2015/04/18 本日の日本経済新聞より「真相真相深層 財政健全化揺れる方程式 「歳出抑制で9.4兆円」に異論 自民、増税封印で百家争鳴」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合1面にある「財政健全化揺れる方程式 「歳出抑制で9.4兆円」に異論 自民、増税封印で百家争鳴」です。

財政健全化は、単に収支の帳尻を合わせればよいわけではなく、やはり、健全な支出への修正が必要と思います。バブル崩壊後もひたすら一般会計が膨張し、人口減少社会になってもその膨張が止まらないのは、どう見ても健全化を意識しているとは思えません。




 政府・与党が6月決定を目指す財政健全化計画の「方程式」が揺れている。5年間で9.4兆円の赤字解消が必要とみられるが、安倍晋三首相は10%を超す消費税増税は封印。社会保障などの歳出抑制で賄うのか、税収の自然増に頼るのか。自民党は百家争鳴が続く。

経済財政諮問会議であいさつする安倍首相(16日、首相官邸)

目標変更論も

 「2020年度に基礎的財政収支を黒字化する目標は堅持すべきだ」

 「まずは歳出抑制により、9.4兆円の収支改善を検討すべきだ」

 16日、自民党本部で開いた財政再建特命委員会(委員長=稲田朋美政調会長)。民間アドバイザーとして加わっている土居丈朗慶大教授らがこんな論点整理案を示した。

 議員側から異論も出たが、稲田氏はこれらも踏まえ、5月連休明けに中間取りまとめを目指す。かねて政府が目標とする基礎的財政収支の黒字化を、有識者がことさら強調したのは理由がある。

 「基礎的財政収支でなく、債務残高の名目国内総生産(GDP)比を目標にすることが、財政と成長の双方に得策」

 目標の変更を迫るこんな文書が出回ったのは年明けだった。防災・減災へ公共投資を推進する「国土強靱(きょうじん)化」の旗を振る二階俊博総務会長の名前でだ。

 2月の特命委のヒアリングでも、国土強靱化派の理論的支柱である藤井聡内閣官房参与(京大教授)が同じ主張をした。

 藤井氏は公共投資上積みへ国債を増発しても、GDPも同等以上に増え、債務残高のGDP比は低下して経済に対する負荷は減ると説明。成長と財政健全化の両立を目指すアベノミクスには、財政収支の帳尻合わせより、この目標がふさわしいと訴える。デフレ脱却へ積極財政を説く西田昌司参院議員らも共鳴する。

 アベノミクスで名目3%超の成長軌道に乗ると、当面の債務残高GDP比は低下していく――。実は内閣府が公表した23年度までの経済財政試算の資料にこんな右肩下がりの折れ線グラフがある。国土強靱化派の論法なら、財政再建を急ぐ必要もないかに見える。

 こんな楽観論に待ったをかけたのは河野太郎行政改革推進本部長ら行革派だ。内閣府試算を独自に検証し、2日の特命委で警鐘を鳴らした。

 「債務残高GDP比の低下は、たまたま低い長期金利と高成長率の恩恵を受けているだけ。23年度の先は長期金利の上昇でGDP比は悪化する」

 内閣府試算もデフレ脱却後は長期金利が名目成長率を上回る前提に立っている。だとすれば、長期的に債務残高GDP比の上昇を避けるうえで、基礎的財政収支の黒字化を後回しにはできない。

 内閣府は成長率が1%台だと、20年度黒字化に16.4兆円の収支改善が必要と試算。3%超なら、税収の自然増で9.4兆円に圧縮されると見積もる。河野氏は、内閣府が物価上昇などを織り込み、国と地方で15兆円の歳出増加を見込んでいるうちの9.4兆円の抑制は「十分可能」とする。

規律派の影薄く

 金融緩和を重視するリフレ派の山本幸三氏らは、1%の成長で税収がどれくらい増えるかを示す弾性値を「内閣府は低く見過ぎている」と注文をつけ、さらなる自然増収に期待する論陣を張る。一方、行革本部の検証報告は「内閣府試算の弾性値は妥当」とする。

 従来の税財政改革論議をけん引してきた財政規律派の存在感は党内で薄れがちだ。消費税10%を法制化した当事者の谷垣禎一幹事長は地方選対策などに専念。野田毅税制調査会長が特命委顧問でにらみを利かせるが、社会保障制度特命委員長でもあり、難しい立場だ。

 首相の10%超え封印により、消費税増税で社会保障財源を安定させる選択肢は今回はない。高齢化による医療や介護などの歳出の自然増をどこまで抑えるかが9.4兆円改革の核心で、社会保障重視派は身構えている。

 16日の経済財政諮問会議。民間議員が安価な後発医薬品の利用促進などで医療費を減らした自治体を、財政面で優遇する仕組みを提案し、首相は「議論を進めてほしい」と指示した。諮問会議は党内論争も見て、歳出抑制の数値目標の設定には及び腰だが、社会保障改革からは逃げられない。

(編集委員 清水真人)




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