2015/04/19 本日の日本経済新聞より「風見鶏 米での演説を生かそう」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・政治面にある「米での演説を生かそう」です。

4/28の日米首脳会談に合わせて、上下両院合同会議での安倍首相の演説は、非常に意味が重いものがある、記事を見てそう感じます。当日の演説内容や報道に留意したいと思います。





 7日、ワシントンで開かれたシンポジウム(主催・笹川平和財団米国)に参加した時のことだ。「原爆投下が、日米和解の妨げになっているのでは」。聴衆からいきなりこんな声が飛び出した。

 テーマは戦後70周年と日米。議論を交わしてまず感じたのは、日米の認識の隔たりだった。典型は、日本への原爆投下だ。

 席上で発表された米ピュー・リサーチ・センターの日米世論調査では、米国人の56%が投下は「正当だった」と答え、日本人は「正当ではなかった」が79%を占めた。国ごとの歴史観にはなお開きがある。

 一方で、こんなにも互いの認識が近いのか、と思う発見もあった。先の大戦中の行為について、日本は十分に謝罪したかという、問いへの答えがそうだ。

 「十分に謝罪した」「もう謝る必要はない」を合わせると、日本(63%)だけでなく、米国(61%)でも6割に達した。米世論も、日本の歴史問題を意外に冷静にみているようだ。

 それでもなお、この問題は時々、日米の火種になる。安倍晋三首相の靖国神社参拝に米政府が「失望」を表明したり、従軍慰安婦問題の河野談話について、日本で見直し論が出たとき、米側が懸念を抱いたりしたのもその一例だ。

 米国のリベラル派などの反応にすぎないとの見方も日本にはあるが「従軍慰安婦問題には米保守派も批判的だ」(元米政府高官)。

 なぜなのか。歴史問題の研究でも知られる米ダートマス大のジェニファー・リンド准教授は何回、謝罪したかが問題なのではないとみる。

 「日本の指導者はすでに何度も謝ってきた。しかし問題は、有力な指導者から、いまだに戦前の虐待行為を否定する言動が出ることにある。謝罪に説得力を持たせ、日本が平和と人権を重視していると他国に信じてもらうには、そうした否定をやめる必要がある」

 必ずしも、日本の謝罪が足りないわけではない。その真意を疑われかねない言動が出ることで、謝罪の意味が損なわれてしまっているというわけだ。

 幸いにして、安倍首相は今年、この連鎖を断ち切る好機に恵まれている。今月29日、日本の首相として初めて、米議会の上下両院合同会議で演説する。

 同じ敗戦国のドイツの首脳は5回、イタリアは6回も演説している。日本は小泉政権当時に実現しかけたが、靖国参拝を理由に一部から異論が出たという。

 今回も楽観はできなかった。米下院には韓国系米国人を票田の一部にしている議員がいて、歴史問題に敏感だ。複数の米議会関係者によると、それでも演説が決まった真相はこうだ。

 安倍氏を演説に招くかどうか判断するため、過去の記録を確認した有力議員らは驚いた。同盟国の日本の演説が「ゼロ」だとは、さすがに思っていなかったからだ。「それなら実現したほうがいい」。リベラル派議員からもこんな声が出て、流れは決まった。

 演説の内容に、米側から事前に注文をつけるつもりもないという。「それだけに演説への期待度はとても高い」(同関係者)

 安倍首相が語るべきなのは、平和国家として、世界でどんな役割を果たしていくのかだ。ただ、「将来」の話に説得力を持たせるには、「過去」の総括も明確に伝えることが大切だ。

 中国は米欧やアジアで反日歴史キャンペーンを展開しているが、戦後の日本の歩みは、世界から評価されている。その信頼を、さらにどう深めるか。米国だけでなく、世界が首相の演説に注目している。

(編集委員 秋田浩之)

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