2015/04/27 本日の日本経済新聞より「グローバルオピニオン 訪米機に近隣関係改善を 米ハーバード大名誉教授 エズラ・ボーゲル氏」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「訪米機に近隣関係改善を 米ハーバード大名誉教授 エズラ・ボーゲル氏」です。

安倍首相の今回の訪米に関して、右派、左派の両派から、さまざまな意見が付されています。その中で、中韓から疑念を招かぬような配慮を行うよう求めるケースが多く見受けられます。中韓はプロパガンダとして日本を歴史修正主義と決めつけている節がありますので、中韓向けのメッセージは別に発し、国際社会に対しては未来志向での発言を堅持していただきたいものです。





 安倍晋三首相の今回の訪米は、戦後70年間の日本の歩みを誇らかに示す歴史的な機会であるとともに、周辺国との関係改善の布石を打つ機会でもある。来るべき東アジア新時代に向けて自らの構想を披露する機会にもなるだろう。

 戦後、日本が世界の平和と発展に貢献する苦難の道を歩む中で、国民が払った努力を安倍首相が誇らしく思うのはもっともである。筆者が1950年代後半に日本で研究を始めた頃、世界の中で新しい平和的な役割を担うとともに経済再建に取り組む日本の人々の決意に感嘆を禁じ得なかった。近隣諸国の復興への日本の尽力や、国際機関への多大な貢献にも、感嘆を禁じ得ない。安倍首相は、こうした貢献を誇ってよいであろう。

 筆者は79年の著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の中で、日本が欧米に勝る点を米国の人々に理解させようとした。その後、日本は成長の鈍化とともに問題を抱えるようになったものの、当時の優位性はいまなお損なわれていない。平均寿命や医療技術は世界で最上位グループに、犯罪率は世界で最も低いグループに、平均的な教育水準、製造技術と品質管理はいずれも最も高いグループに属す。

 どんな国の指導者も、自国に誇りを持ち、国のために命をささげた人々に敬意を払うことを国民に奨励すべきである。他国から度々謝罪を要求され、また愛国心をあおる狙いから日本軍の残虐行為を言い立てられて、多くの日本人が動転したのは理解できる。

 だが、近隣国との良好な関係は日本の利益にもかなう。被侵略国の人々に思いやりを示すことが大切だ。日本兵が与えたとされる痛手を「根拠のない非難」だと否定したら、欧米諸国の指導者や著名人も、日本は痛手を被った人々の苦しみを小さく見せかけようとしていると非難するだろう。逆に安倍首相が勇気をもって戦争中に一部の日本兵が犯した行為を認め、侵略された苦しみに思いやりを示し続けるなら、近隣国との関係改善に大きく寄与すると同時に、欧米諸国からも評価されよう。

 中国経済は成長を続けている。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)構想に世界各国が好意的に反応したのも、中国がグローバル経済で果たす役割の拡大を確信しているからだ。安倍首相は、中国の武力による威嚇にはけっして引かない決意を示すとともに、対中・対韓関係の改善に取り組む姿勢を見せるべきだ。

 安倍首相の訪米は、民主主義の価値観に対する強い信頼を改めて表明する好機でもある。そこには、国内外で首相の政策や見解を批判する自由を認めることも含まれる。首相の訪米は、アジア各国および米国との関係強化に向けた大きな一歩となるだろう。

Ezra Feivel Vogel ハーバード大大学院で社会学を学び、博士号取得。中国と日本の専門家として同大教授、東アジア研究所長などを務めた。84歳。

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