フィリピン、15年5.8%成長 GDP伸び堅持、サービス業がけん引 2016/01/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「フィリピン、15年5.8%成長 GDP伸び堅持、サービス業がけん引」です。





 【マニラ=佐竹実】フィリピン統計庁は28日、2015年の実質国内総生産(GDP)伸び率が5.8%だったと発表した。中国の景気減速が輸出に影響したが、サービス産業の発展や旺盛な個人消費がそれを補った。アキノ政権下で東南アジアで屈指の高成長を達成した同国がその勢いを維持するには、5月の大統領選後も改革路線を続けることが求められる。

 10年に発足したアキノ政権は財政再建や汚職撲滅を進めた。6年間のGDP伸び率は年平均で6.2%。28日に記者会見したバリサカン国家経済開発庁長官は「政権運営の成功が投資や消費につながり、世界的な経済減速を乗り越えられた」と評価した。15年のGDPは3011億ドル(約35兆7000億円規模)。1人当たりGDPは3千ドルを超えたとみられる。

 15年は中国減速の影響で輸出が5.5%の伸びにとどまった。それを補ったのが投資とサービス業。インフラ整備など官民の投資は13.6%増加し、コールセンターなどの業務委託を目当てに外資が進出したサービス業は6.7%増だった。

 サービス業の発展で国民の所得水準が上昇。年3兆円規模の海外居住者からの送金と併せ、GDPの7割を占める個人消費を押し上げた。中国や先進国の景気減速などの影響を受けにくく、堅調な成長を維持する。

 1億人超の人口は平均年齢が23歳と若く、政治が安定すれば成長を続ける素地がある。汚職との決別で海外投資家のイメージを改善させたアキノ大統領の功績は大きい。

 それだけに「アキノ後」への不安はある。後継指名したマヌエル・ロハス前内務・自治相の支持率はいまひとつ。次期大統領が改革路線を引き継ぐ確証はない。バリサカン長官は「有権者がさらなる経済成長に導く正しい指導者を選べるかどうかが課題」と指摘する。



大機小機 EUを試す文明の融合 2016/01/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 EUを試す文明の融合」です。





 欧州連合(EU)は戦後最大の試練に直面する。ユーロ危機が小康状態を迎えたかと思えば、パリがイスラム過激派のテロに見舞われた。シリアからの大量の難民受け入れで域内のあつれきが高まり、移動の自由という土台が揺らぐ。中東危機がEUを覆う。

 フランスでは排外主義の極右勢力が勢いを増す。英国ではEU離脱を問う国民投票が年内にも実施される。深刻なのはEUのリーダー、メルケル独首相が難民受け入れを巡って批判にさらされていることだ。

 EUは分裂し崩壊に向かうのではないかという悲観論さえある。しかし、これは間違いである。2度の世界大戦という悲惨な歴史を経て創設されたこの平和の連合は、パリ市庁舎の紋章にある通り「たゆたえども沈まず」なのである。

 EUには危機バネが作用する。ユーロ危機は深刻だったが、銀行同盟創設など再統合につながった。財政統合への論議も高まった。震源地であるギリシャを含めユーロからの離脱は最初からありえなかった。

 米国が「世界の警察官」を降りた主役なき世界で、EUはグローバル・アクターとしての役割が一段と求められる。地球環境危機からウクライナ危機など地政学リスク打開までEUの存在感は大きい。アジアインフラ投資銀行(AIIB)を巡る中国との連携はEUのしたたかさを物語る。

 もちろん英国がEUを離脱する事態になれば国際政治を揺るがすが、これは「賢い英国」の選択ではない。EU離脱はスコットランド独立に直結し「グレート・ブリテン」は「リトル・イングランド」に転落する。外資に依存した英経済は外資撤退で窮地に陥る。ロンドン・シティーは金融センターの座をフランクフルトに奪われるだろう。

 EUにとって最大の問題は、キリスト教文明を基盤に拡大してきた「大欧州」がこのまま単色の共同体として存続できるのかという点である。EUは既に域内にイスラム社会を抱えている。排外主義が激化し「文明の衝突」につながるのが最悪のシナリオである。それは何としても防がなければならないが、「文明の共存」を超えて「文明の融合」にまで深化させられるかどうかが問われている。

 それは多様な文明を抱える米国やアジアを含め世界共通の課題だ。

(無垢)



迫真 民泊狂騒曲(2)商機か荒れ地か 2016/01/27 本日の日本経済新聞より

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 今春から東京都大田区で民泊ビジネスを計画する大京。空き家となっている戸建て住宅を購入し、内装などを改装した上で旅行者を6泊7日以上で受け入れるアイデアを温める。

大京の紹介で沖縄県のマンションをモニター利用した家族は「子供連れなので自炊が楽」と話す

 「需要は十分にある」。実動部隊となる大京穴吹不動産(東京・渋谷)の社長、海瀬和彦(59)の鼻息は荒い。自信の背景にあるのは沖縄県での予行練習だ。昨年、「旅家」という部屋の仲介サービスを始め、これまで那覇市や宜野湾市などにある17戸分を紹介している。

 部屋はオーナーが日ごろ住んでいない分譲マンションだが、家電や家具、調理器具はそろっている。管理人も常駐し滞在者の相談に乗る。大京が開設した専用サイトで予約し、クレジットカードで支払う仕組みで、大田区の民泊でも同様の決済システムを活用する予定だ。

 問題は利用客の数だ。旅家では法規制に抵触しないよう1カ月以上の長期滞在を条件とする。取り込めるパイは小さく、採算は合わない。需要を探るため、試験的に1週間の無料滞在のモニターを募集したところ約630組分もの応募が殺到した。潜在需要の大きい東京都で6泊7日以上の設定なら勝算があるとソロバンをはじく。

 「このタイミングを逃してはいけない」。東京都多摩地区を地盤とする京王電鉄は昨年末、民泊の予約仲介サイト運営の百戦錬磨(仙台市)に10%出資した。仕掛けたのは経営企画部戦略担当課長の吉田智之(40)。ベンチャー企業とのマッチングイベントで出会った百戦錬磨の担当者から第三者割当増資の打診があり、飛びついた。

 沿線にある高尾山は外国人観光客の人気スポットで、多摩ニュータウンなどで民泊が活用できるようになれば京王グループの利益は大きい。規模も数値目標も盛り込めない吉田の資料に、社内には懸念の声もあったが、最後は「我々で新しい市場を作っていこう」と社長の永田正(64)のゴーサインが下りた。

 新規参入組が動き出す一方で既存業界は身構える。「天変地異が起きたとき、お客の身分がしっかりわかることが宿泊業の前提条件。お客を管理できないものを宿泊と決して呼ばない」。日本旅行業協会会長の田川博己(68)は1月7日に都内で開いた記者会見でこう訴えた。

 商機とみて踏み込むか。末は荒れ地と距離を置くか。法制度の行方もにらみつつ、民泊ビジネスは手探りが続いている。

(敬称略)



総統選後の台湾(中)中国、統一へ長期戦覚悟 2016/01/19 本日の日本経済新聞より

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中国の国営中央テレビが2015年7月初めに放送した軍事演習の特集。番組が始まって約4分後のことだった。内モンゴル自治区の訓練基地で、土ぼこりの中を前進する歩兵の左前方に一瞬、台湾の総統府にうり二つの建物が映った。

(画像:中国国営中央テレビが15年7月に報じた軍の演習(同テレビホームページより)には、台湾の総統府にそっくりの建物が映っていた)

(画像:台湾の総統府)

「選挙へ圧力か」

「総統選挙への圧力ではないか」。番組内容は台湾でも大きく報道され、改めて台湾住民の対中警戒感を呼び覚ます結果となった。

中国が08年以降、融和的な国民党・馬英九政権の下で台湾との交流を深めてきたのは、将来の統一につなげる環境づくりが狙いだ。蔡英文次期総統が、民進党が党綱領に掲げる通りに台湾独立に動けば、武力統一する選択肢を捨ててはいない。

しかし、中国が直ちに強攻策に転じるとの見方は少ない。呉●燮(●はかねへんにりっとう)・民進党秘書長(幹事長)は「中国の習近平国家主席の台湾政策には柔軟性がある」とみる。根拠は中国は総統選が事実上始まった15年春以降も、台湾との様々な協定の協議を続けたことだ。

15年11月には習氏自らが初の中台首脳会談に応じる積極性をみせた。対中政策の担当閣僚の経験もある呉氏は「交流のある学者などを通じ、習指導部と意思疎通したい」と意欲を見せる。

中国社会科学院台湾研究所の彭維学所長助理も、習氏の台湾政策を「(台湾は中国の一部だとする)『一つの中国』の立場は決して揺るがないが、一方で包容力がある」と表現する。個別の選挙に一喜一憂せず、長期戦を覚悟し、硬軟両様で台湾統一を目指す構えだ。

台湾は「海洋強国」を目指す中国が太平洋に進出するルートのど真ん中に位置し、つばぜり合いを続ける米中のはざまで地政学的な重要性を増している。台湾を巡るオバマ政権の本音は2つの動きに象徴される。

「台湾海峡の平和と安定は米国の基本的な利益で、緊張緩和と関係改善の動きを歓迎する」。アーネスト米大統領報道官は昨年11月、中台首脳会談が固まった直後の記者会見でこう表明した。

そのわずか1カ月半後。オバマ政権は「台湾が十分な自衛能力を維持することを支援する」(アーネスト報道官)として、4年ぶりとなる台湾への武器売却を決めた。

台湾が求めていた「F16C/D」戦闘機など新型の軍用機や兵器は見送るなど中国への一定の配慮を見せながらも、総統選前の武器売却を決めた米国。中台融和を評価するものの、統一は支持しておらず、「現状維持」を望んでいる。

限られる選択

蔡氏は18日、台北市内の民進党本部を訪れた米国のバーンズ前国務副長官と会談した。「オバマ政権の特使」(台湾紙)とされるバーンズ氏に、蔡氏は「米国とは緊密な友好関係を維持したい」「地域の平和と安定を維持する責任を果たす」と強調した。中台関係が念頭にあるのは明らかだ。

蔡次期政権が中国と対立すれば、台湾海峡は再び緊張し、東アジアの安全保障体制にも大きな影響が及ぶ。「現状維持」を打ち出した蔡氏が、米中のはざまで選択できる道は限られている。



逆石油ショック(1)また危機が起こる 2016/01/19 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「逆石油ショック(1)また危機が起こる」です。





「サウジアラビアは対話をしたくないと言っているのではないはずだ」。ナイジェリアの石油資源相のカチク(59)は年明けから世界各国の石油相に電話をかけ続けていた。

深刻な原油安を招いたサウジを説得し、生産を減らして価格を支えることで協力するよう呼びかけたのだ。

新興の有力産油国であるナイジェリアは、採算割れとなったともいわれる。欧米からの経済制裁解除でイランが原油の輸出を増やすとみられることも、行動を急がせた。カチクは原油安で悲鳴を上げる石油輸出国機構(OPEC)加盟の数カ国から支持を取り付け、臨時総会を2月か3月に開く腹積もりだ。

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カチクが軟着陸を探ろうとしているさなか、中東の政治情勢の変化が市場の空気を一変させた。

「神の報復を受けるだろう」。イラン最高指導者ハメネイ師(76)は3日、サウジを鋭く批判した。首都テヘランでは抗議する群衆がサウジ大使館を襲撃していた。2日にサウジがイスラム教シーア派の宗教指導者を処刑したことで、対立が一気に表面化した。

サウジは3日夜にイランと断交した。サウジ外相のジュベイル(53)は「イランは30年にわたり過激主義と宗派主義を支援してきた」とののしり、亀裂修復のめどは立たない。イスラム教の宗派対立が先鋭化した形だが、根底には原油の需給を巡る石油大国間の立場の違いが横たわる。

埋蔵量が多いサウジは目先の原油安に耐えてでも、シェアの維持を優先する。減産の要求に耳を貸さないサウジに、イランは鬱憤をマグマのように膨らませていた。

中東の政治緊迫は市場で「地政学リスク」と受け止められ、ふつうなら原油価格を大きく押し上げるはずだった。ところが今回は違った。サウジとイランの対立でOPECが減産で協調する最後の望みが消えたと受け取められた。原油相場は急落し一時1バレル30ドルを割り込んだ。

2015年12月にウィーンで開いたOPEC総会。約20年にわたってサウジの原油政策を率いる石油鉱物資源相、ヌアイミ(80)は民俗衣装で出席した。普段のスーツ姿でなかったことに会議への決意を感じさせた。

ヌアイミは総会の冒頭で記者団に「市場の均衡を手助けする相手とは協調したい」と話したものの、実際にはイランなど価格を重視する産油国の立場と一線を画す姿勢を貫いた。生産量の維持で新興のシェール生産業者を追い込む思惑だった。

サウジの強硬姿勢に対しては、OPECに加盟していない国からも不満の声が上がる。

「現実を見なければ(財政危機に見舞われた)98年と同じ事態が起こりうる」。ロシア財務相のシルアノフ(52)はモスクワで開いた経済会議で苦渋の表情で語った。原油はロシアの輸出収入の4割ほどを占める。今年の予算は50ドルを想定したが「82ドルにならなければ予算は均衡しない」。

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サウジが身を削って追い込もうとするシェール企業はしぶとい。「我々は効率的な開発が実行できる」。米シェール企業大手のパイオニア・ナチュラル・リソーシズ最高経営責任者(CEO)のスコット・シェフィールド(63)は、あえて投資を拡大することを決めた。中長期的にシェール企業が競争力を持つことを示すためだ。

開発資金を調達するため、14億ドル(約1700億円)の新株を発行。18年まで年率20%で生産量を引き上げる。

中東の混迷が続くなか、市場の先行きに関する見方は大きく変化した。

「1バレル20ドルの時代が到来する」。ゴールドマン・サックスで商品投資戦略を率いるジェフリー・キュリー(49)は昨秋のロンドンでの石油市場関係者の会議で大胆な予想を披露した。聴衆の多くは半信半疑だったが、今は一気に現実味を増している。金融危機前には200ドルという強気予想で鳴らしたゴールドマンが、今では弱気で先頭を走っている。

「あらゆる原油価格に対応しなければならない。やめる案件もあるだろう」。米石油メジャーのシェブロンCEOのジョン・ワトソン(59)は、獲得に向けメジャーがしのぎを削ったカナダ沖の北極海での資源の開発を停止した。将来のドル箱と期待された案件は一転してお荷物に変わった。消費国に恩恵をもたらすと期待された原油安は経済を揺らす逆オイルショックの様相を呈している。

(敬称略)

急速に進んだ原油安。何が相場を動かし、世界経済がどのように変わっているのか報告する。



「ワタミ高付加価値化、裏目」 2016/01/19 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「「ワタミ高付加価値化、裏目」」です。





業績不振に直面するワタミ。昨年12月には介護事業を売却した。創業者で実質的な筆頭株主である自民党参院議員の渡辺美樹氏は現状をどう見ているのか。現経営陣との関係、経営復帰の可能性などについて聞いた。

――ワタミの業績悪化をどう見る。

「2014年3月期と15年3月期で計約200億円の連結最終赤字を出したのは大変残念だ。創業者のリーダーシップに基づいた経営から集団指導体制への転換を図ったが、十分ではなかった。会社を引き継いだ者として強い責任を感じる」

――居酒屋事業の厳しさが続いている。

「最大の失敗はメニューの高付加価値化だ。単価を上げて利益率を上げ収益を上げるのを狙ったが、それはワタミ側の都合で、お客様の要望をくみ取っていなかった。都心部では幅広いメニューを出す総合居酒屋の時代は終わったが、地方はまだ需要がたくさんある。個々の事例にきめ細かく対応する必要がある」

――渡辺氏とワタミは今はどのような関係か。

「親と子の関係と捉えている。ワタミがより自立を目指しているのを、自分は生みの親として見守る。ただ、自立しようとしても様々な葛藤や迷いがあり、そのときに創業者に聞くのは当然。この関係は死ぬまで続く」

――経営トップへの復帰論を否定している。

「これからのワタミは僕がいない方が伸びると思う。地球上で一番たくさんのありがとうを集める会社という理念を掲げており、そのためにはもっと強く大きな組織にならねばならない。ボトムアップの経営が軌道に乗り始めた今、自分は戻るべきではない。保有株を手放す気は今は無い。理念をある程度形にし続けるためには(大株主という)裏付けが必要だ」

――元社員の過労自殺に関する裁判などで従業員に対し過酷な「ブラック企業」のイメージがつきまとっている。

「ワタミは社員をこき使う会社だとして客が離れたことは、真摯に受け止めたい。名誉回復やブランド挽回は、時間をかけながら事実を積み上げていく必要がある」

(インタビュー詳細を電子版に▼Web刊→ビジネスリーダー)

インタビュー詳細を電子版に



隙間時間生かして続ける 2016/01/19 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「隙間時間生かして続ける」です。





5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を控え、活躍の場が増えそうなのが三重県庁で働く久保貴之さん(42)。現在は国際戦略課で海外とのビジネスを希望する県内企業をサポートするのが主な仕事だ。研修で2年間欧州に派遣された「国際派」だが、「大学入試では英語が苦手で浪人した」という。

英語学習に目覚めたきっかけは、大学を卒業し最初に勤めた民間企業で先輩から受けたアドバイスだった。「業務に加えて何か勉強しておいたほうがいい」。経理部門にいた久保さんは英語に着目。自分のレベルが客観的に確認でき、企業での評価に使われるTOEICテストの対策を中心に取り組んだ。

英語の勉強で大切なことは「いかに継続するかだ」と語る久保さんは、勉強時間を長時間まとめて確保するのではなく、30分程度の隙間時間を見つけては勉強に充てているという。また最近は無料通話ソフト「スカイプ」を利用して海外の人と話し、英語力に磨きをかけている。

新社会人にはTOEICでリスニングとリーディングのテストスコアが650点になるまでは、頑張って勉強を続けてほしいと話す。「300~400点では、ネーティブの英語を十分に理解するのが難しく続けるのが苦痛に感じる。しかし、650点くらいになると上達が実感でき面白さを感じられる」という。



投資の失敗に「心理のわな」 投信や保険、事前にルールを 2016/02/17 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「」です。





 あのタイミングでなぜ株を買ったのか。どうして高額の生命保険を契約したのか。自分の判断を後で悔やんだ経験はないだろうか。人間の心理を経済の分析に応用した行動経済学は、お金に関する様々な失敗には「心理のわな」が影響していることを示している。

 日経平均株価が1日で900円あまり急落したかと思えば、数日後に1000円超急騰するなど株式相場は不安定な動きが続く。中国景気の減速や米国景気への懸念、円相場の乱高下などが背景だが、気を付けたいのが「相場の雰囲気に流され、慌てて売買すること」(イボットソン・アソシエイツ・ジャパンの小松原宰明最高投資責任者)。

 伝統的な経済学は市場参加者など全員が合理的に行動するのが前提だが、生身の人間は感情に左右されがちだ。冷静な判断ができず、周りに同調して動くことを行動経済学では「ハーディング(群れ)現象」と呼ぶ。

  

買いコスト上昇

 グラフBは日経平均が急落した12日終値(1万4952円61銭)とほぼ同水準だった2005年11月以降の株価と、公募投資信託への資金流出入を示す。投信は株価の高値圏で大量に買われ、安値圏では買いが細る傾向が鮮明だ。この期間はリーマン・ショックやアベノミクス期待などがあった。相場の上昇局面では楽観ムードが広がりやすく、投資家は「今買わないと乗り遅れてしまう」と一斉に買いがちだ。下落局面では逆の状態になりやすい。

 結果的に起きるのが買いコストの上昇だ。グラフBで投信の購入がすべて日経平均連動型と仮定して平均購入価格を計算すると約1万5500円(線(1))になり、同期間の株価の平均(約1万3280円)を上回る。高い時期に大量購入したため、高値づかみになっていることを示す。

 「感情に流されない一つの方法が投資行動のルール化」と小松原氏は助言する。例えば割安な時期も買い続ける定時定額購入が有効だ。グラフBで日経平均連動型投信を毎月定額購入するケースを試算すると、平均購入価格は約1万2270円(線(2))。相場が乱高下している現在でも大幅な含み益が出ている。

 もう一つ個人投資家の悩みで多いのが「塩漬け銘柄」だろう。仮に高収益体質を評価して買った会社の収益力が低下し、今後も株価の下落が続くと予想するなら売却が選択肢だ。しかし自分が高い価格で買っていた場合は売りづらく、判断を先延ばしするうちに含み損が増えていく。

 自分の保有銘柄の買値など判断の際にこだわってしまう値を行動経済学で「参照値」と呼ぶ。立正大学の林康史教授は「買値と企業の実態価値とは関係がない。いったん売ったと仮定し、現在の業績でも買いと判断できる場合だけ持ち続けるべきだ」と話す。

 「売れ筋の新商品ならきっといい商品だろう」などと単純に判断するのを行動経済学では「ヒューリスティック(大ざっぱな判断)」と呼ぶ。これも投資で失敗につながることがある。

 

「旬」のテーマ用心

 一例として過去十数年の新規設定投信の顔ぶれをみてみよう。「IT(情報技術)」「中小型株」「新興国通貨」「海外不動産投信」「シェールガス関連」などが相次ぎ登場し、いずれも「旬のテーマ」「成長性が見込める」などとして、個人投資家の人気が盛り上がった。

 しかしこうしたテーマ株は、投信の設定時にはすでに買われて割高になっていることも多い。モーニングスターが1999年度から2010年度まで各年度の新規設定投信の販売上位を対象に調べたところ、3年後には7割弱が同じ資産クラスの市場平均を下回った。

 ヒューリスティックは投信以外でも要注意だ。例えば民間生命保険会社の個人年金保険。毎月掛け金を出して老後に受給する。掛け金の一部が所得控除され、課税所得が500万円の会社員が月2万円を出した場合は年1万800円の節税になる。14年度の新規加入は159万件と国の制度である個人型確定拠出年金(DC)の約55倍だ。

 しかし実は個人型DCの方が節税効果は大きい。掛け金が全額控除されるためだ。先のケースに当てはめると、年7万2000円の節税になる。自営業者や企業年金のない会社員など約4000万人が加入可能だ。

 経済コラムニストの大江英樹氏は年金保険の加入者が多い理由について「保険会社の営業力が強いだけではなく、ヒューリスティックも影響している」と指摘する。国の制度は頼りにならないという大ざっぱな判断に基づいて「年金の役割を果たす保険は心強いというイメージで選ばれている」(大江氏)。

 金融商品を選ぶ際は自分の持っている大まかなイメージが必ずしも正しくないという可能性も頭に入れておこう。

(編集委員 田村正之)



迫真 農業を解き放て(4)もっと上を 2016/01/15 本日の日本経済新聞より

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 冬場というのに畑の土は、毛の長いじゅうたんのようにふかふかしていた。昨年12月、熊本県東部の山都町。野生のシカがしばしば姿を現す山あいで、飯星淳一(38)がニンジンの葉を2、3本分まとめてつかむと、あっけなく抜けた。そろって太めの形状に、曲がりなどの規格外品はほとんどない。「収量はこの4年で数倍に増えた」

飯星さんの畑でできたニンジン。規格外品がほとんどない(熊本県山都町)

 生まれ変わった畑には技術の裏付けがある。飯星は農薬や化学肥料を使わない有機農産物の販売会社「くまもと有機の会」(熊本県御船町)のメンバー。そこで堆肥の方法を一から学び直した。かといって時間はかからなかった。会のノウハウをもとに「普通は数年かかる土作りはすぐに終わった」。ニンジンを抜きながら飯星は笑う。

 会の先輩農家、八反田幹人(81)のホウレンソウは1年前、地元の消費者を驚かせた。

 「生のままでどうぞ」。熊本市内の直売所で試食を勧められた客は顔を見合わせ、居合わせた農家も「これは何ですか」と首をひねった。後日、八反田の作ったホウレンソウを調べると糖度は17.5に達し、ふつうの桃を上回った。検査を受託した会社は「間違いじゃないか」と結果を疑い3回も計り直した。直売所では規格外の甘さが評判となり、三束、四束とまとめ買いする客が続出した。

 常識を覆す野菜づくりは2003年に始動した。有機の会の専務、田中誠(45)は居酒屋で知人の卸会社のバイヤーに悩みを打ち明けた。「有機栽培は本当にいいんだろうか」。安心を売り物にする半面、勘や経験が頼りで品質が安定しない印象が強かった。知人がその場で電話したのが、栽培コンサルタントの小祝政明(56)だった。

 不安げな田中に小祝が告げた答えは「科学的にやるなら」。小祝は畑のホウレンソウを見て「根が張ってないですね」。抜いてみるとその通り。「土中の鉄分が足りません」。これも的中し、理由を一つ一つ説明してみせた。田中は「頭をガツンとやられた」。オーストラリアの研究所で科学的な栽培を身につけた小祝の勉強会が始まった。化学記号が飛び交い、時に難解な“授業”に辛抱強くついてきたのが八反田らだった。

 1月12日、有機の会の事務所を訪れたニンジン農家の飯星に田中が語った。「もっと上を目指そう」。飯星は収量と糖度のアップを誓った。

(敬称略)

 編集委員の吉田忠則が担当しました。



ポジション 米利上げ1カ月、「ドル高」に勝った「円高圧力」 リスク回避ムードが拡大 2016/01/14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「ポジション 米利上げ1カ月、「ドル高」に勝った「円高圧力」 リスク回避ムードが拡大」です。





 昨年12月16日に米連邦準備理事会(FRB)が事実上のゼロ金利政策を解除してから、まもなく1カ月となる。FRBの利上げは新興国通貨などに対するドル買いを生んだものの、円買い圧力はそれを上回り、ドルは円に対しては大幅に下落した。特に今年に入ってから市場にリスク回避的なムードが拡大。「逃避通貨」と目される円が、ドルを含む様々な通貨に対して買われた。

 米利上げ後に円買い圧力がドル買い圧力に勝った様子は、多数の通貨に対する平均的な相場変動を示す日経通貨インデックスを見るとわかる。

 昨年12月15日から今年1月12日にかけてドルのインデックスは約2%上昇した。米利上げによる海外からの資金回帰などでドルが上がったことを示すが、円は約4%の上昇とドルを上回る。両者の差がドル安・円高進行の裏側にある。利上げ前に1ドル=121円前後だった円は一時116円台に上昇した。

 「米利上げ局面開始後にむしろ円高圧力がかかるのはこれまでにも見られた現象」とJPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉氏は言う。過去4回(1994、97、99、2004の各年)の米利上げ開始前後のドル・円相場を平均した指数を見ると、ドル安・円高方向への振れが確認できる。利上げを織り込んで買われたドルが、利上げの少し前から売られるパターンだ。利上げが確実視されるようになったことによる材料出尽くし感がありそうだ。

 もっとも過去4回では利上げ1カ月後のドルの対円下落率が平均1%程度だったのに今回は3%程度と大きい。その要因は市場のリスク回避ムードの高まりだろう。

 一般に市場がリスクをとることに積極的になると、円のような超低金利通貨を借りて相対的に高金利の通貨を買う取引が出やすい。リスク回避の空気が広がるとこの取引が巻き戻され、円買い戻しが起きる。円が「逃避通貨」とされるゆえんだ。「リスク回避ムードなら円買い」という条件反射的な反応により、単なる巻き戻し以上の円買いが起きることもある。

 12日の米、13日の日本と株価は上昇したものの、年明け以降の内外の株式市場は不安定な動きを続けてきた。リスク回避ムードの背景にある要因として、ドイツ証券の大西知生氏は(1)減速する中国経済(2)米利上げに伴って資金流出に見舞われる新興国(3)過激派組織「イスラム国」(IS)や北朝鮮を巡る地政学リスク――の3つを挙げる。

 特に中国に関しては「ドルに事実上ペッグ(固定)している人民元の上昇が中国景気の足を引っ張ってきたため、大幅な切り下げの可能性が高まっている」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)との警戒論が聞かれる。昨年夏の「人民元切り下げ」による市場混乱の再来が懸念されるわけだ。

 昨年12月の利上げ決定時には、FRBは2016年に0.25%ずつ4回の利上げを進めるとの解釈が聞かれた。しかし、市場混乱を受け、このシナリオに懐疑的な空気がさらに広がっている。日米の金利差(期間2年)も年明け以降縮小。思い切ったドル買いは進めにくくなった。

 12日発表の昨年11月の日本の経常黒字は市場予想を大きく上回る約1兆1000億円を記録。原油安による貿易赤字縮小などで経常黒字が膨らむなら、需給面でも円が買われやすくなりそうだ。

(編集委員 清水功哉)