REIT指数 急回復 追加緩和の期待高まる 2016/06/30 本日の日本経済新聞より

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 不動産投資信託(REIT)の値動きを示す東証REIT指数が急回復している。29日は一時、英国の欧州連合(EU)離脱が決まる前の水準である1818.57(23日終値)を上回る場面があった。先行き不透明感が強まる中で日銀の追加緩和への期待が高まっており、REIT市場がその恩恵を受けるとの見方が広がっている。

 29日の終値は前日比13.26(0.7%)高の1813.14だった。終値こそ23日を下回ったものの、一時1820.60まで上昇した。

 市場では追加緩和への期待が高まる。JPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは日銀が7月末の金融政策決定会合で追加緩和策を打ち出すと予想。REITは「買い入れ額を従来の年900億円から2000億円程度に拡大する」とみる。

 金利低下もREITの相場には追い風だ。長期金利の指標である新発10年物国債利回りは29日、一時年マイナス0.240%と過去最低を更新。上場REITの予想分配金利回りは3.5%(加重平均)なので、相対的に魅力が増している。

 REITが「外部環境に左右されにくいことも資金流入につながっている」(モルガン・スタンレーMUFG証券の竹村淳郎アナリスト)との指摘もある。REITが収入源とする保有不動産の賃料は為替変動の影響を受けにくい。中でも「賃料変動が少ない住宅や契約期間の長い物流REITが選好されている」(みずほ証券の大畠陽介シニアアナリスト)。

 ただ一部では回復ピッチが速い点への警戒もにじむ。「相対的に買われているだけで、再びリスク回避の動きが強まれば資金が流出する可能性がある」(三菱UFJ国際投信の梶井広行シニアファンドマネジャー)との声も聞かれた。



[FT] 離脱派に統治を委ねよ 勝ちは勝ち 2016/06/30 本日の日本経済新聞より

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 デービッド・キャメロン首相は辞任発表前の最後の日々に、聴衆に向かって「英国人は途中でやめたりしない」と言った。先週金曜(24日)に辞任を表明したとき、敵はその言葉を首相に返したが、実は双方とも思い違いをしていた。一体いつから、途中でやめることが、例外なくあらゆる場所で悪徳になったのか。人間関係でも仕事でも、大義でも――完遂するという姿勢は、現実的な証拠に反して、賢い人生のあり方ではない。

 親欧州派は、引き際の美徳を学ばねばならない。味方についた48%の有権者と、所与の状況から最善の結果を得ようとする英国式の衝動に駆り立てられ、今後数年で自国と欧州の間でまとまる合意に影響を及ぼしたいと考えている。テレサ・メイ内務相などの保守党の残留派は、まだ同党を率いる野望を抱いている。

国民投票の結果後、会見のため現れたジョンソン氏(24日、ロンドン)=ロイター

 残留を訴えたキャンペーンは、メイ氏より次期首相になる可能性が高い(離脱派の運動を率いた)ボリス・ジョンソン氏のリベラルな良心の中に生き続けることが期待されている。ジョンソン氏に話を聞いてもらおうとする離脱派ライバルに対抗し、市場と移民に対する同氏の開放的な態度を呼び覚ますのだ。

 (残留派の野望は)大変勇気あることだが、クビになった後に職場に出勤することも勇気ある行為だ。英国民は自らの統治者に、欧州連合(EU)から離脱するよう指示した。国民の意思を遂行することは何年もかかる、精神を疲弊させる細かな仕事だ。そもそもその指示がばかげていたと考える首相にはできない。離脱の実際的な手続きを管理するのが、消極的で自信を失った公務員だということだけでも十分、決まりが悪い。

 民主主義の原則の大事なポイントとして、政府の最高職責――首相、財務相、外相――は忠実な離脱派に明け渡されるべきだ。望ましくは、離脱が何を意味すべきかについて食い違いのない説明ができる人たちに任せるのがいい。あらゆる信条を併せ持つ政府が誕生したら、それ自体おうようではあるが、国民投票の結果を曲解することになる。

 一残留派としては、気持ちよく言えることは何もないが、上記はもちろん真実だ。もし我々残留派が国民投票で4ポイント差で敗北した後、相手側がその大きな得票率を行使し、加盟条件の緩和を視野に入れて欧州の政策立案における重要な地位を正当化したら、我々がどんな反応を示すか想像するといい。

■民主主義はスポーツと同じように残酷

 民主主義は、スポーツと同じように、残酷な明確さによって統治されている。48%の票は親欧州派に、マニフェストの48%、あるいは主要省庁の48%を支配する権利を与えるわけではない。勝利と敗北はそれより絶対的だ。我々の制度において勝者がすべてを手にするのは、アカウンタビリティー(説明責任)のためだ。勝敗に見当違いの男らしさを持ち込みたいとかの理由からではない。



中台対話停止 長期化も 「一つの中国」巡り神経戦続く 2016/06/30 本日の日本経済新聞より

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 【北京=山田周平、台北=伊原健作】中国と台湾が2008年以降に築いた当局間の対話メカニズムの停止が長引く恐れが出てきた。中国政府は29日、台湾で5月に発足した蔡英文政権が「(中国大陸と台湾は一つの国だとする)一つの中国」の原則を認めない限り、対話に応じないと改めて表明した。蔡政権からは逆に台湾の独自性を暗示する言動が続いている。

 中台は戦後、政治対立が続いたが、台湾で親中的な国民党が政権に復帰した08年以降、閣僚級高官らが直接対話する仕組みを築いた。しかし、中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)は25日、「両岸(中台)の対話メカニズムは既に止まっている」との談話を発表した。

 「台湾の新たな当局が今に至るまで『92年コンセンサス』を認めていないからだ」。国台弁の安峰山報道官は29日の記者会見で対話停止の理由を語った。92年コンセンサスとは、中台が「一つの中国」の原則を口頭で認め合ったとされることを指し、中国側は対話の条件としてきた。台湾では、独立を志向する民主進歩党(民進党)の蔡英文氏が5月20日に総統に就任。就任演説で「両岸が92年会談で若干の共通認識に達したという歴史の事実を尊重する」と語ったが、台湾が中国とは別の政治実体であるとの「本音」がにじむ言動が出始めている。

 蔡総統は26日、初の外遊でパナマを訪れて運河の開通式に出席した際、芳名録の肩書に「台湾総統」と記した。台湾当局が正式な「国号」とする「中華民国」は脇に書き添える形式をとった。

 党綱領に「台湾共和国の建国」を掲げる民進党の関係者は「中華民国」ではなく「台湾」を名乗ることを好む。中国に配慮するなら「台湾総統」の表記を避ける手もあったが、そうしなかった。

 5月末には、対中政策を担当する行政院(内閣)大陸委員会の張小月・主任委員(閣僚)が現地メディアなどとの懇談で「中国大陸は隣人」と発言。中国側は「大陸と台湾は『一つの中国』に属し、両岸の同胞は家族。隣人関係などでは決してない」(国台弁の安報道官)と不快感を示した。

 中台関係は00~08年、民進党政権の陳水扁総統(当時)が中台は「一辺一国(それぞれ別の国)」と主張し、緊張が高まった。蔡政権発足後の中台は対話が途絶えた冷たい関係へ移りつつある。



迫真 Brexitの衝撃(2)賭けと誤算 勝者も凍る 2016/06/29 本日の日本経済新聞より

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 英国の欧州連合(EU)残留の是非を問う国民投票前の最後の週末となった19日。ロンドン中心部のハイドパークで残留派が開いた集会に、意外な人物の姿があった。元欧州議会議員のスタンレー・ジョンソン(75)。離脱派を率いた前ロンドン市長、ボリス・ジョンソン(52)の実父だ。スタンレーは息子とよく似たブロンドをふり乱し、怒りもあらわに叫んだ。「ボリスよ、なぜ今日ここにいないのだ。君に弔意を示したい」

ジョンソン氏(左)は、キャメロン首相を支えながらも、野心を忘れることはなかった=ロイター

 ジョー・コックス議員の殺害事件などの影響で世論は残留に傾いていた。敗色の濃い息子に父が公然と引導を渡す。異様な親子相克の背景には、ボリス・ジョンソンの生い立ちがある。

 ニューヨークで生まれ、幼少期を父とともにブリュッセルで過ごし、仏独伊と多様な言語を操る。トルコやロシアにもルーツを持つコスモポリタンのジョンソンには、離脱決定後も「本心は残留支持だったのではないか」との疑惑がくすぶる。英メディアはジョンソンが3年前のインタビューで「私は単一市場の支持者だ。国民投票が実現したら、残留に投じる」と答える様子を伝えた。

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 生粋の離脱論者には見えないジョンソンが、なぜ離脱派のリーダーを買って出たのか。浮かんでくるのは、かつての盟友であり、生涯のライバルでもある英首相、デービッド・キャメロン(49)への強烈な対抗心だ。

 ともに裕福な家庭に生まれ、有名私立イートン校、名門オックスフォード大学で学んだジョンソンとキャメロンは保守党を担う逸材と期待されてきた。だが、宰相レースではキャメロンが一歩先んじ、2010年に43歳と戦後最年少にして首相の座を射止めた。ロンドン市長として高い人気を誇っていたジョンソンは、キャメロンを盟友として支えながらも、野心を忘れなかった。一昨年末に出版したチャーチルに関する自著でも「たった1人で歴史と世界を変える力」の重要性を強調し、最高権力への思いを隠そうとはしなかった。

 そんなジョンソンの目に今回の国民投票は権力奪取の好機に映った。たとえ国民投票で負けても、離脱派の保守党内の重鎮たちの信任を確保できれば、次期党首選出の布石になる。当時のジョンソンは「僅差で負けて存在感を高められるのがベストシナリオ」と想定していたフシすらある。

 「私がもっとも望まないことはデイブを敵に回すことだ」。2月21日、ジョンソンはこう釈明しながらも離脱支持を表明。首相の座を狙い、賭けに出た瞬間だった。

 皮肉なのは、最初に権力闘争のために国民投票を利用するという危険なギャンブルに手を染めたのは、キャメロンの方だったことだ。

 若くして首相に就き、後ろ盾のないキャメロンは、保守党内の反EU派幹部らから突き上げられてきた。ナイジェル・ファラージュ(52)が率いる英国独立党の躍進も脅威となり、キャメロンは右腕である財務相のジョージ・オズボーン(45)の猛反対を押し切って13年1月、15年の総選挙で保守党が勝てば国民投票を実施すると公約してしまう。権力基盤を固めるために、国策が賭け金に差し出された。

 「英国は大きな問題から逃げない。だからこそ国民投票を実施したのだ」。24日朝の会見で、キャメロンは国民投票の実施を後悔していないと強弁した。だが、キャンペーンを通じて残留のメリットを説き続けたキャメロンには、自らの賭けの敗北が英国にもたらす打撃の大きさが手に取るように分かっていた。スコットランド独立の住民投票や総選挙など数々の難所を乗り切ってきた「ラッキー・デイブ」は、最後の大勝負で身ぐるみはがれた。

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 その数時間後、もう一人のギャンブラー、ジョンソンが記者会見を開いた。勝利宣言を上げる晴れ舞台に笑顔はなく、キャンペーン中に見せた威勢の良さや軽口も消えていた。凍り付いた表情で「これで英国が分裂するわけではない。英国はこれからも欧州の大国であり続ける」と読み上げるのが精いっぱいだった。

 一世一代の賭けには勝った。だが、欧州合衆国の提唱者チャーチルの崇拝者であるジョンソンは、自らが開いた「パンドラの箱」の闇の深さを誰よりも知っている。この会見のあと、次期首相候補の筆頭に位置するジョンソンは、「離脱後の英国」がたどるべき道筋を口にしていない。

(敬称略)



経営書を読む 「企業変革力」(4) 未来創出へリーダー育成 チャレンジ求め続ける 2016/06/28 本日の日本経済新聞より

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 コッターは企業変革のプロセスを8つの段階に整理しました。(1)危機意識を高める(2)変革推進のための連帯チームを築く(3)ビジョンと戦略を生み出す(4)ビジョンを周知徹底する(5)従業員の自発を促す(6)短期的成果を実現する(7)成果を生かしてさらなる変革を推進する(8)新しい方法を企業文化に定着させる――です。

 このプロセスを遂行する上で特に重要なのがリーダーシップの発揮です。誰か1人のリーダーシップというよりも、組織全体としてのリーダーシップです。その観点から、今後企業が注力すべきはマネジメント能力の開発ではなく、リーダーシップ能力の開発ということになります。

 ただしリーダーの養成は、長い時間を過ごす職場での学習が大切になります。企業組織はリーダーを養成する「生涯学習」の場にならなければいけないのです。そのために企業が備えるべき特質は、フラットでぜい肉のない組織構造、統制が過剰でないこと、リスクが許容される文化といったものになります。

 職場で学び続ける人材は、自らの快適ゾーンを抜け出し、新しいアイデアを試す勇気を持ち、リスクをいとわず、他人の声に耳を傾けます。それを支えるのは、自らに対する高い基準や野心的な目標、高い使命感で、何度も修羅場を経験することで育まれていきます。

 修羅場の経験は、短期的な苦痛を生む行動を避け挫折してしまう性向を克服する最良の薬なのです。リーダーシップ能力を開発するため、企業には、社員を一つの専門分野に閉じこめず、どんどん新たなチャレンジを課すことが求められているといえるでしょう。

 コッターは、寡黙でこつこつと仕事を遂行するタイプの経営者は流行らないと言います。企業を成功に導くのは、常に現状満足にくさびを打ち続け、意図的に健全な危機意識を生み出し、過去を守るのではなく未来に向けて力強く進んでいける、そういった人たちなのです。

=この項おわり



一目均衡 幻と化す欧州資本市場統合 欧州総局 黄田和宏 2016/06/28 本日の日本経済新聞より

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 英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた翌25日、EUの執行機関である欧州委員会で英国代表を務めたジョナサン・ヒル氏が静かに辞表を提出した。受理したユンケル欧州委員長はヒル氏を「真の欧州人」と評し、辞任をおしんだ。欧州の資本市場を米国並みに発展させることを目指した資本市場同盟(CMU)の旗振り役として尽力してきたヒル氏の退任で、欧州の資本市場統合の夢は幻と消えつつある。

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 CMUは雇用や成長、投資を促すための欧州委の優先戦略の要のひとつとして、2015年9月に行動計画に移行した。ヒル氏は今月、ブリュッセルでの会議で「CMUはいいスタートを切ったが、これは始まりにすぎない。私はペースを緩めないことを固く決心している」と述べ、市場統合にまい進する考えを示していた。ところが、英国のEU離脱でこれまでの努力は台無しになった。

 英国のEU離脱は、欧州の資本市場に厳しい現実を突きつけている。英シンクタンク、ニュー・フィナンシャルによると、英国を除くEU27カ国の資本市場を活用した資金調達のうち、英国で調達している割合は78%に達する。英国はこれらの資金調達の場としての地位を失うリスクがある一方、欧州企業は英国以外で新たな調達方法を探す必要に迫られている。

 すでに離脱問題は欧州資本市場の機能をむしばんでいる。1~6月の英企業の新規株式公開による調達額は45億ドルで、前年同期比4割減、欧州全体では5割以上も落ち込んだ。国民投票前の4月中旬には、200を超す英国起業家が連名で「EUを離脱すれば、事業を始め、技術を革新し、成長するのを阻害する」と警告していたが、こうした懸念が現実になりつつある。

 資本市場の担い手である取引所にも、大きな影響を及ぼす恐れがある。ドイツ取引所とロンドン証券取引所グループの経営統合の行方に懸念が広がっているためだ。ドイツ取引所による再三の買収提案を受けて、今年3月に16年越しの合意にこぎ着けた両社の統合は、CMUが目指す市場統合の象徴だった。

 金融機関の中には、欧州の金融センターであるロンドンからダブリンやフランクフルトなどに一部機能を移す検討を始めているところもあるが、英国が長年培ってきた資本市場の媒介役としての投資銀行機能を移転するのは容易ではない。ドイツ銀行の最高経営責任者で英国人のジョン・クライアン氏は独紙ハンデルスブラットに「金融センターは死なないが、次第に弱くなるだろう」と話した。

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 このまま手をこまぬいていれば、英国に待っているのは衰退だけだ。ドイツやフランスなどには金融機能を強化するチャンスだが、英国の機能を全て代替するのは難しい。世界的に金融市場の統合が進む中で、流れに逆行し「分断」を選んだ欧州の資本市場。英国の存在感の低下が欧州全体にも暗い影を落としている。



米英「特別関係」綻び拡大も オバマ氏、募る危機感 2016/06/28 本日の日本経済新聞より

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迫真 Brexitの衝撃(1)EU終わりの始まりか 2016/06/28 本日の日本経済新聞より

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 米西部時間23日夜。米大統領のバラク・オバマ(54)は世界起業家サミットに出席するため訪れたカリフォルニア州サンフランシスコで、米グーグル最高経営責任者(CEO)のスンダル・ピチャイ(43)らと夕食をとっていた。

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辞意を表明したキャメロン英首相(24日、ロンドン)=写真 小林健

 オバマは欧州連合(EU)の是非を問う英国民投票のキャンペーン中に訪英して盟友の英首相デービッド・キャメロン(49)を援護射撃するなど残留を訴えてきた。EUで最も親密なパートナーである英国のEU離脱は、米国にとって欧州との関係が根底から変わりかねない一大事。それでも会食の予定を入れたのは、「残留」を想定していた表れだ。衝撃的な結果を受け、オバマはキャメロンとの電話協議の調整を命じた。

 日付が24日に変わっていた日本では、首相の安倍晋三(61)が不在の首相官邸で各府省の事務方トップが集まる事務次官会議が開かれていた。官房副長官の萩生田光一(52)、世耕弘成(53)、杉田和博(75)らに各秘書官が「英国がEU離脱」というメモを差し入れると、一瞬の驚きのあと、出席者は一様に渋い表情を浮かべた。会議のテーマは、すでに進みつつあった急激な円高への対応策などに移った。

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 参院選の遊説中の安倍は岩手県内を移動中に一報を受けた。すぐに同行の秘書官らと対応を協議。株価急落など金融市場の動揺を抑えるため、午後1時15分頃に財務相の麻生太郎(75)にメッセージを出させ、夕方に閣僚会議を開くことを決めた。

 「まさか、こうなるとはね」。帰京した安倍は24日夕、周囲に改めて驚いた表情を見せ、こう吐露した。参院選はアベノミクスへの信任が争点。英EU離脱が景気を下押しすれば、逆風は強まる。そんな不安が安倍の脳裏をよぎっていた。

 欧州では、夜が明けるとすぐEU本部に主要機関のトップが集結。委員長のジャンクロード・ユンケル(61)、EU大統領のドナルド・トゥスク(59)、欧州議会の議長マーティン・シュルツ(60)、EU議長国を務めるオランダ首相のマルク・ルッテ(49)ら4人のトップが欧州委員長室のガラスのテーブルを囲み、共同声明の作成に取りかかった。

 「遺憾だが、英国民の判断を尊重したい」。ユンケルが声明を発表すると、報道陣から「これはEUの終わりの始まりか」という容赦ない質問が飛んだ。ユンケルが毅然として「ノーだ」と答えて足早に会見場を去ると、EU職員らから大きな拍手が上がった。

 ユンケルの強気の姿勢は苦境の裏返しだ。フランス、イタリア、スペイン、オランダ――。EU懐疑派は方々で勢いづく。EUの盟主でドイツ首相のアンゲラ・メルケル(61)はベルリンで「今日は欧州統合にとって分水嶺となる日だ」との声明を読み上げた。

 「経済が弱い国とその国民を食わせ、支援するなんて、誰だってしたくないのだ」。この日、旧ソ連・ウズベキスタンの首都タシケントに外遊中だったロシア大統領のウラジミール・プーチン(63)は愛用のダークブルーのスーツとストライプのネクタイ姿で記者団の前に姿を現すと、離脱派の勝因を淡々と解説してみせた。

 ウクライナ問題で欧米と対立するロシアにとって、対ロ強硬派の英国が抜け、EUが弱体化するのは望むところ。だが、離脱はロシアを利するという英首相キャメロンの発言については「全く根拠がない」と語気を強めた。実際、天然ガスなどの主要輸出先である欧州の景気が冷え込めば、ロシアの不況も一段と深刻化しかねない。

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 2013年に国民投票の実施を公約し、自ら残留派を率いて敗れたキャメロンは、最終結果の正式発表を待ち、午前8時すぎに首相官邸前に夫人とともに姿をみせた。英メディアは会見で「新しいリーダーが必要だ」と辞意を表明したキャメロンがその後、官邸内に戻り、側近らとの内輪の席でこう漏らしたと伝えている。「なんで俺が離脱派のためにクソ難しいことをやらなくちゃいけないんだ」

 2度の世界大戦の教訓から生まれた欧州統合の流れは、英国のEU離脱で大きく逆流する。英国、EU、そして世界を海図無き航海に導くブレグジット(Brexit、英国=Britainと離脱=Exitを組み合わせた造語)の衝撃は計り知れない。

(敬称略)



起業の軌跡 アマの写真販売サイト 孫氏の半生読み一念発起 ピクスタ社長 古俣大介氏 2016/06/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の新興・中小企業面にある「起業の軌跡 アマの写真販売サイト 孫氏の半生読み一念発起 ピクスタ社長 古俣大介氏」です。





 写真投稿・販売サイトを運営するピクスタはアマチュア写真家と画像を必要とする広告制作者らを橋渡しする。1枚500円(税抜き)からと競合他社の10分の1以下の価格が強み。作品の売り上げが投稿意欲を刺激し、素材数は約1800万点、登録者は約20万人に達する。古俣大介社長が国内最大の写真素材サイトを築く原点には2人の起業家との出会いがあった。

 写真事業のヒントを得たのは2004年。ネット掲示板に子供や風景など質の高い写真が1日何百枚も投稿されていた。背景にあったのがキヤノンのデジタル一眼レフカメラ。高機能ながら手ごろな価格でヒットし「デジタルアマチュア写真家が100万人単位で出現した」。質の高い写真が評価され、売り上げが立つ場として06年にピクスタのサイトを立ち上げた。

 小売業を営む父母の背中を見て育った。起業を目標に切り替えたきっかけがソフトバンクグループの孫正義社長だ。大学時代に読んだ書籍で孫氏の半生を知り衝撃を受けた。アルバイトと遊びに明け暮れていた生活を転換、週末は経営大学院の授業に参加した。

 身近な手本が父の知人を通じて会ったウェブサービス会社ガイアックスの上田祐司社長だ。「目標から逆算して戦略を立て、資金、人、技術をどんどん引っ張る」姿勢は刺激的だった。同社に入社し、1日に18時間働いた。在籍は10カ月間だったが、起業時に相談したり、ガイアックスの社内の一部を間借りして登記するなどの支援を得た。

 ピクスタは投稿者の作品について、ネットでの販売価格を画素数に応じて決める。著作権は投稿者に帰属し、売買成立の時、売上代金の一部を「成功報酬」として投稿者が受け取る。アマといってもプロと見まがう出来栄えの作品もある。

 15年に東証マザーズに上場。国内では比肩するものがない地位を築いた今、海外事業の拡大に向けてシンガポールや台湾などに拠点を設けた。「アジアナンバーワンの写真サイト」という目標に向かいまい進する。

(森国司)

 こまた・だいすけ2000年多摩大経営情報卒。ガイアックスを経て05年にオンボード(現ピクスタ)設立。埼玉県出身。39歳



月曜経済観測 変わるインバウンド 「爆買い」の次はクルーズ エイチ・アイ・エス会長 沢田秀雄氏 2016/06/27 本日の日本経済新聞より

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 増え続ける訪日外国人(インバウンド)の数。熊本地震や為替の円高はどう影響するのか。長崎県佐世保市のテーマパーク、ハウステンボス社長でもあるエイチ・アイ・エスの沢田秀雄会長に聞いた。

 ――熊本地震の影響はどうですか。

 「5、6月と九州全域で旅行者が減った。長崎県内でも韓国、台湾などからの人を見かけなくなった」

 「経験で言えば3カ月、遅くとも半年くらいで元の状態に戻るのではないか。余震や天候による部分もあるが、政府が九州旅行への補助金を決め、夏休みも控えるので7月中には観光客が戻り始めると思う」

中国内陸部からも

 ――円高も心配です。

 「為替は大きい。去年の好調は円安の追い風が続いたためだ。最近は元安が進み、日本での爆買いにも変化が出てきた。免税店で聞くといいが、売れ行きはがくっと落ちているはずだ」

 「中長期的にみて中国人旅行者が減るということはない。むしろ逆だ。これまでは上海など沿海部からの旅行者が多かった。今後は内陸部からもやってくる」

 ――けん引役はやはり中国人旅客ですか。

 「欧州からの旅行者も増えているが、数の上では中国人だろう。最近はクルーズ旅行の人気が高まっており、九州にも船がたくさん乗り入れている。地震前にはさばききれずに、入港を断る港もあった」

 「佐世保にも今度停泊することになった。2、3年したら年間100万人以上が船でやってくるようになる。買い物がしやすい、イメージが豪華、安心といったところが人気の秘密だ。私が長崎にやって来た2010年には一隻も来てなかった。大変な変化だ」

九州、秋には回復

 ――政府はインバウンドの数を東京五輪のある20年に年間4千万人まで増やしたいとしています。

 「訪日客は全体では勢いが続いているから今年も昨年を上回るだろう。これ以上地震被害がなければ九州も秋には完全に戻る」

 「3千万人だったら今建設中のホテルに民泊を合わせて何とかなるかもしれない。だが、4千万人となると今の2倍だからホテルや移動手段が足りない。飛行場の発着枠にも余裕がない。インフラがブレーキをかける懸念がある」

 ――民泊は旅行会社にどう影響しますか。

 「我々が民泊を売ることがあってもいい。きちっと対応していけば旅行会社の利用者が減ることはない。東京、京都、大阪ではそもそもホテルが足りない。問題は民泊そのものではなく、ルールだ。現状では使えるようでいて使えない」

 ――人工知能(AI)の研究に力を入れています。

 「旅行業界にもAIが入り込む日は近い。当社では近く実験が始まる。何がどこまで可能かは実験次第だが、予約などの店頭業務やコールセンターはAIで置き換わる可能性がある。不確かなことは言えないが、そう遠くない将来、画期的な変化が起きる」

 「雇用は大丈夫。(旅行の企画など)創造的な仕事は当面残るし、事業を世界規模で展開している。ホテルも経営している。もう半年か1年したら、正確な話ができるだろう」

(聞き手は編集委員 中山淳史)

 さわだ・ひでお 長崎と東京を毎週往復する。他企業とロボット開発も。65歳。