新産業創世記 外国人留学生20万人 越・ネパール急増 2016/09/30 本日の日本経済新聞より

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 日本の新しい産業を担う「金の卵」になり得る外国人の裾野が広がっている。日本学生支援機構(JASSO)によると、2015年5月時点で日本に留学している外国人は20万8379人。前年5月から13%増えた。在留資格の変更で11年5月以降から日本語教育機関に在籍する留学生もカウントすることになったこともあり、20万人の大台を初めて突破した。

 出身地別ではアジアが19万人強と圧倒し、中でも中国が9万4111人と国別で最多だ。ただ、中国からの留学生数は頭打ち。15年は前年比で微減だった。全体に占める比率は45.2%となり、初めて5割を切った。

 一方でベトナムとネパールからの留学生が急増している。ベトナムは3万8882人と14年5月から5割近い伸びを見せ、ネパールも5割超増やして1万6250人。前年比微減の韓国を抜いて国別で3位だ。

 背景には現地での就職難がある。大学を卒業しても働き口が見つからないため、海外に活路を求めるわけだ。日系企業の進出が相次ぐベトナムでは就職に有利な日本語学習熱が高まっている。

 若い時からなじんだ日本で起業を――。その流れは強まっている。調査会社の東京商工リサーチによると、日本で社長を務める中国出身者は15年に1763人。11年と比べ500人以上増えた。今後は中国人以外の経営人材が増えるかが焦点となりそうだ。

(1面参照)



シンガポール首相、対中国「対立より協調を」 2016/09/30 本日の日本経済新聞より

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リー首相の発言は、順序として、中国に大国としての責任を果たす必要性を説いた上で、全ての国が中国の存在感に適応し、自制する必要性を述べています。この順序が逆であれば、大変なことです。中国は早く大国としての必要な素養(マナー、エチケット)を身に付けるべきでしょう。





 シンガポールのリー・シェンロン首相は29日に都内で開いた講演会で、存在感を高める中国に対し「すべての国が適応し、自制する必要がある」と述べ、日米や東南アジア諸国は中国と対立より協調すべきだと訴えた。東シナ海や南シナ海の問題を念頭に「中国は他国の懸念に気を配るべきだ」とも語り、中国にも国際法に基づく抑制的な姿勢を求めた。

 「中国は台頭する大国としての責任を果たさなければいけない」

 リー首相は中国に対してこうクギを刺した。南シナ海で人工島をつくり軍事拠点を設けるなど海洋進出が活発になるなか「近隣国の不安が高まっている」と指摘。「安定した外部環境は中国にとっても大きな利益だ」と海の憲法と呼ばれる国連海洋法条約など「法と秩序」に基づいた平和的な取り組みを促した。

 一方で中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)などは「貿易や投資で新たな機会が生まれる」と評価。中国の台頭は、周辺国の経済成長やインフラ開発を後押しする動きになると指摘した。そのうえで国際通貨基金(IMF)などの国際機関で発言力を高めようとする中国の行動を「主要国は配慮し受け入れるべきだ」と日米などに理解を求めた。

 「東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国が、『一つの国』になるのは無理だろうが、協力できることもある」

 南シナ海問題を巡って足並みの乱れが指摘されるASEANに関しては多様性を維持すべきだとの考えを示した。国連海洋法条約に基づく仲裁裁判でフィリピンが7月に中国に勝訴したものの、ASEANとしては判決を支持する共同声明を出さなかった。

 リー首相は欧州連合(EU)は「ASEANより緊密に調整をしているが、問題も抱えている」と地域統合の複雑さを指摘。ASEANも中国から多額の援助を受けるラオスやカンボジアの例を挙げつつも「国際法に基づいて平和的に解決すべきだとの意見では一致している」と説明した。

 「構造改革は最も重要で、日本政府は大胆な動きが必要だ」

 リー首相はアジアの経済発展に欠かせない日本経済の活性化を求めた。安倍政権が掲げる経済政策アベノミクスで第3の矢と呼ばれる構造改革の遅れが指摘されるなか、日本政府に真剣に取り組むよう促した。環太平洋経済連携協定(TPP)の早期批准も求め、TPPを構造改革のエンジンにすべきだとの考えも示した。

 具体的には、シンガポールがこれまで積極的に進めてきた外国人労働者の受け入れに関し「国民感情にかかわる神経質な問題なので、コントロールしながら徐々に進めるべきだ」と語った。女性の社会進出を後押ししたり、子育て環境を改善して出生率を高めたりする必要性も強調した。意識改革を促すためにも、中国や韓国に比べて減っている日本人の海外留学を増やすべきだと指摘した。



ベトナム・フィリピン首脳が会談 対立超え対中連携 2016/09/30 本日の日本経済新聞より

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 【ハノイ=富山篤】フィリピンのドゥテルテ大統領は29日、ベトナムのハノイでチャン・ダイ・クアン国家主席と会談した。両国は南シナ海の領有権を巡る問題を抱えてきたが、大国中国の海洋進出を脅威とする点では一致しており、安全保障面で連携することで合意した。中国の台頭を抑えたい米国も交え、対中包囲網の構築を模索する。

 フィリピン大統領の訪越は1994年のラモス氏以来22年ぶり。連携の詳細は明らかになっていないが、艦艇の相互寄港、訓練など軍事面も含む内容とみられる。両国は南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で領有権を争っているが、共通の「敵」である中国を前に協力して対処することを目指す。

 中国が西沙諸島付近で石油掘削を始めた直後の2014年6月ごろ、越比両国は南沙諸島に駐留する双方の海軍が人材交流するなど雪解けムードは広がっていた。

 南シナ海における中国の領有権主張を全面否定した今年7月の仲裁裁判所判決も、越比両国の歩み寄りを後押しした。

 米国は14年4月にフィリピンと結んだ「拡大防衛協力協定」に基づき、パラワン島などでの事実上の駐留を再開する。ベトナムも南部の要衝、カムラン湾に「米国の艦艇を受け入れる方向で調整している」(政府筋)とされ、年内にも実現するとみられる。越比の防衛面での連携が強まれば、米国も協調して南シナ海で活動しやすくなる。

 ただ「米国嫌い」とされるドゥテルテ氏が6月にフィリピンの大統領に就いたことで、同国の親米姿勢が揺らいでいる。今月上旬に予定されていた米比首脳会談は、同氏の暴言が原因で中止に追い込まれた。28日には米比による南シナ海での軍事演習について「次が最後。今後、(他国への挑発となる)演習、軍事的パトロールに参加しない」とも発言し、米国と距離を置く考えを示した。

 その一方で10月には日本のほか、中国やロシアを訪問する。南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)で中国による漁民への妨害活動が続く問題について、中比間で協議するとみられる。パトロールの不参加発言はその後政府高官が否定したものの、中国を挑発したくないとの思いがにじむ。

 今月中旬、南シナ海で合同演習「海上協力―2016」を実施した中ロを訪れるのは投資の呼び込みのほか、人権問題で批判を受けた米国に対するけん制の意味が大きい。ベトナム側の思惑通り、米国を含む3カ国で対中包囲網を築けるかは微妙な情勢だ。



米シェール生産強化へ OPEC合意受け、供給過剰解消に時間も 2016/09/30 本日の日本経済新聞より

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 【ニューヨーク=稲井創一】石油輸出国機構(OPEC)による減産合意を受け、米国のシェール企業には原油の生産再開や増産の動きが出てきそうだ。シェール企業は原油安局面でコスト競争力を高めており、市況回復が続けば採算が取りやすくなるからだ。ただOPECの減産分をシェールの増産が埋めることにもなりかねず、供給過剰の解消にはなお時間がかかる可能性がある。

 OPECは2014年11月に減産を見送り、原油先物相場の下げを容認した。背景にあったのが米国のシェールブームだ。米の原油生産は5年でイラク1国分に匹敵する日量約400万バレル増加し、市況の撹乱(かくらん)要因となっていた。減産見送りで原油安を加速させ、米シェールを市場から追い出す狙いがあった。

 原油相場は急落し、今年2月には指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が1バレル26ドル台を付けた。OPECの思惑通り米シェール企業は苦境に陥り、15年から今年9月上旬までの倒産件数が102社に達するなど、米エネルギー業界は「厳冬期」を迎えた。

 ただ、肝心の米原油生産量は直近で日量849万バレルと、15年6月のピークから約110万バレルの減産にとどまる。原油価格の低迷時でも生産を維持できるようにシェール企業が生産の効率化などのコスト削減を急いだためだ。

 米シェール企業にとって、採算のとれる原油価格は1バレル40~70ドルとされる。ただ足元ではより安い相場水準でも利益が出る企業が増えてきた。

 一部のシェール企業は地層のビッグデータ解析などIT(情報技術)の活用などで、1つの油井から生産できる量を飛躍的に増やした。生産活動を支援するサービス会社への費用も大幅に削減。「1バレル30ドル台でも十分利益が出る」(EOGリソーシズのウィリアム・トーマス最高経営責任者=CEO)という例も出始めた。

 「歴史的な合意だ。1バレル60ドルへの(相場の)回復に向けての第一歩となる」(米商品先物企業プライス・フューチャーズ・グループのフィル・フリン氏)。OPEC合意の報道を受け、28日のWTIは前日比5%高の1バレル47.05ドルに急伸した。

 このまま原油価格の回復基調が続けば、シェールは生産強化に動く可能性が高い。生産活動の先行指数となるリグと呼ばれる石油掘削設備の稼働数は今年5月27日時点の316基を底に9月23日には418基まで回復。14年10月のピークに比べ4分の1の水準だが、価格がさらに戻れば掘削・生産活動を再開する企業が増えそうだ。

 ただ、今後の原油価格の先行きについてRBCキャピタル・マーケッツのヘリマ・クロフト氏は「1バレル50~60ドルが中心帯で、75ドルや80ドルには戻らない」と話す。OPEC減産合意はシェール企業にとって朗報だが、原油価格回復に乗じて生産強化に走れば、原油価格が再び下落基調に転じる危うさをはらむ。



税額控除で所得再分配 所得税改革、政府税調が議論本格化 11月めど全体像 2016/09/30 本日の日本経済新聞より

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 政府の税制調査会は29日、専業主婦を優遇する配偶者控除の見直しを柱とする所得税改革の議論を本格化した。中低所得者に減税の恩恵が及ぶ「税額控除方式」と呼ぶ仕組みの導入でおおむね一致しており、11月をめどにまとめる改革の全体像に盛り込む見通し。税で所得再分配の機能を高め格差是正につなげる狙いだが、与党側の出方は不透明だ。

 同日の総会で増田寛也元総務相は、「控除の体系を社会の実態が変わったのに合わせて見直すのは当然だ」と抜本的な所得税改革の必要性を強調した。委員の間では所得の大きさに関係なく同額の減税が受けられる税額控除そのものへの異論は少ない。政府税調として11月に導入を提案し、与党側が年末に向けて取り扱いを協議する。

 日本の所得税は「所得控除」と呼ばれる仕組みを採用している。所得税は収入から一定の所得を差し引いた後に個人ごとに異なる税率をかける。所得控除で差し引く金額は同じなので、高い税率をかけられている高所得者ほど控除によって税の軽減額が増え、有利になるのが特徴だ。

 例えば38万円を差し引く配偶者控除の場合、夫の年収が300万円の世帯は減税額が約5万円だが、1200万円の世帯は約12万円になる。

 政府税調は中低所得者の減税効果がより大きくなる税額控除に切り替える方向で、具体的な制度設計を検討する。

 税額控除方式へいきなり切り替えるのではなく、段階的に移行する案も検討する。年収に応じて所得控除の額を減らし、税額控除と同じ効果を持つ新しい仕組みを導入することが軸になる。

 英国の基礎控除は所得が10万ポンド以上の人からなだらかに所得控除の額を縮小する。税額控除にすると高所得層が実質的に大幅な増税になる可能性もあるため、英を参考に移行措置を設けて税額控除に移行していくべきだとの意見がある。

 所得税改革を巡っては10月から与党の税制調査会も議論を本格的に始める見通しだ。自民党の茂木敏充政調会長は配偶者控除は一定の年収以下の共働き世帯にも控除を適用する「夫婦控除」に移行し税額控除を導入したいとの意向を示している。

 委員の佐藤主光一橋大教授は29日、「中長期的な観点からは(年金受給者に恩恵が大きい)公的年金等控除などの議論も視野に入る」と話した。政府税調は配偶者控除の見直しにとどまらず、給与所得控除や公的年金等控除の抜本見直しも視野に入れる。

 財務省は同日、過度な課税逃れを防止する対策案も提示し、委員からは支持する声が大勢を占めた。林正義特別委員(東大大学院教授)は「国際課税のモニタリングを十分にするため、税務当局の人的資源の拡充などが必要だ」と述べた。



OPEC、原油減産 土壇場の合意 サウジ、財政難で譲歩 「イラン例外扱い」認める 2016/09/30 本日の日本経済新聞より

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2年半ぶりの決定により、原油価格は安値止まりの可能性がかなり少なりそうです。一方、高値どまりがあるかどうかと言えば、米国シェールの動向次第ですので、こちらの可能性も少なくなりそうです。よって、安値でもなく、高値でもない、こう着状態になりそうです。これにより、為替動向の反転が予測されます。





 【アルジェ=黄田和宏、久門武史】石油輸出国機構(OPEC)は28日にアルジェリアの首都アルジェで臨時総会を開き、8年ぶりに原油の減産を決めた。困難とみられていた合意が一転成立した決め手になったのは、サウジアラビアだ。対立するイランへの態度を軟化させ、減産の「例外」とすることを認めた。これ以上の消耗戦は国力を疲弊させるだけだという焦りが、財政難にあえぐ中東の大国を動かした。(関連記事国際1面に)

27日、臨時総会前の国際会議でOPEC閣僚らと顔を合わせたサウジのファリハ・エネルギー産業鉱物相(右)=ロイター

 「最高水準の生産を認める」。サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は27日、イランの例外扱いを認めた。イランが増産凍結しなければサウジも参加しないとして協議をひっくり返した4月の態度から一変。軟化は明らかだった。

 開催国アルジェリアが示した案にサウジは乗った。サウジに減産を求める一方で、イランに小幅の増産を提案。14カ国の加盟国全体で生産量を減らす案だった。

 サウジの懐事情は減産を受け入れざるを得ないところまで追い込まれていた。2016年予算は約9兆円の財政赤字に陥る見通しだ。政府は国民への生活費の補助金を減らした。26日には財政難で公務員給与の大幅なカットも発表した。サウジの中間層は原油安の打撃を受け始めている。

 経済運営の実権を握るムハンマド副皇太子は原油に依存しない経済への構造改革を急ぐが、時間がかかる。原油安の長期化は、国営石油会社サウジアラムコの株式上場などの経済改革の足かせになりかねない。「これ以上の消耗戦は得策ではない」。王室のこんな意向が働いた可能性も指摘されている。

 「2年半ぶりにOPECが市場を管理する決定をした」。28日夜、6時間の会合を終えたイランのザンギャネ石油相は、合意を歓迎した。増産継続を主張したイランは例外扱いが認められた。失うものはなかった。

 対立関係にあるサウジとイランは、普段から閣僚らが会合の控室で顔を合わせることがないとされる。今回も両国の閣僚が直接会談で合意に導いた形跡はない。

 加盟14カ国は原油生産量を日量3250万~3300万バレルに制限する総論で合意した。国ごとの生産量をどう割り振るかの各論は、11月30日にウィーンで開く総会に持ち越した。OPECの調整役だったサウジが減産のしわ寄せを受ける可能性が高い。例外を認めたイランなどに、どこまで増産を許すかも不透明。各論を巡り、加盟国の利害が再び対立するリスクは残る。11月の総会はOPECの本気度を測る試金石になる。

 OPECの生産シェアは約4割。減産に踏み出すとしても、原油市況を好転させるにはロシアなどの非加盟国との協調が不可欠になる。ロシアはOPEC内で減産に合意できれば、増産凍結に応じる構え。だが、大幅な減産を引き出すのは難しいとの見方もある。

 OPECは、北米のシェールオイルに対抗するために供給量を優先する戦略に見切りをつけ、価格支配力を取り戻す狙いだ。ただ、米国のシェールは原油安の局面にコスト競争力をつけた。「1バレル50~60ドルを超えてくれば、米国のシェール生産者が息を吹き返す」(米シティグループのエドワード・モース氏)。OPECの戦略は原油市場でシェアを失うリスクを抱えている。



迫真 爆買い、ネット時代(3)「北京税関は本気だ」 2016/09/30 本日の日本経済新聞より

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 「国際スピード郵便(EMS)より3割安く輸送できます」。日本通運は8月、中国のインターネット通販最大手のアリババ集団と日本製品の輸送で提携した。日通で国際貨物を手掛けるエクスプレス開発課長の打越博(46)はそれ以降、連日、取引先の小売り大手を訪れ、自社のサービスの優位性を訴えた。

物流各社は「速く」「安く」を競う(日通の成田空港物流センター)

 中国向けのネット通販「越境EC(電子商取引)」で日本製品の取り扱いが増える中、物流がネックとなっている。日本からの発送は日本郵便のEMSが主流だが、注文が集中するセール期には遅延も生じていた。

 「月に5万個、滞りなく持ってきてほしい」。打越は今春、浙江省杭州のアリババ本社で物流担当者からこんな取引条件を提示された。国際貨物最大手の日通は航空機や船舶の貨物スペースを大口で仕入れることで要望に対応。配送料も抑え、日本郵便が6月に収支改善を理由にEMS料金を引き上げたのに乗じ新規顧客獲得を進めている。

 「規模でこそ2番手だが信頼性は高い」。ヤマトホールディングスの国際物流子会社、ヤマトグローバルロジスティクスジャパンの吉野拓也(33)は今春開いた日本企業向けの説明会で熱弁を振るった。4月に中国のネット通販2位の京東集団(JDドットコム)と提携し、日本企業の京東のサイトへの出店や商品輸送を一貫して請け負う。

 通関手続きなどを円滑に進めるため、事前に企業から商品情報の提供を受け、輸出の可否や税率を調べてから輸送する。中国の消費者が注文してから最短4日で商品を届ける。

 「北京税関は本気だ」。ANAカーゴのチャネル開発推進課長、大久保明彦(46)は3月、北京空港内に設けられた越境ECの通関専用倉庫に息をのんだ。体育館ほどの空間に重々しい金網が立ち並ぶ。通関前と通関済みの貨物を分けるためだ。

 同社はANAホールディングスの貨物事業の営業を担う。大久保は課税回避や模造品の横行に悩む中国政府が越境EC拡大に向け関連税制を今春以降に改正するとの噂を耳にしていた。6月にECで実績のあるシステム会社へ出資し、越境ECサイト用の情報を生かし通関資料も自動作成するシステムを開発。家電量販や百貨店に売り込む。

 中国経済の減速で活発だった自動車や電機向け部品の荷動きが鈍化、航空貨物業界は低迷を余儀なくされている。「越境ECは有望市場」(大久保)との思いは業界共通だ。

(敬称略)



真相深層 アパート建設 空室率悪化で泣くオーナー 甘い皮算用、業者の「家賃保証」に落とし穴 2016/09/30 本日の日本経済新聞より

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 人口減の日本でなぜか賃貸アパートが増えている。2015年の相続税増税でアパート経営が節税策として注目され、それを追い風に建設請負業者が売り込みをかけているからだ。家賃保証などでオーナーの負担は軽いとして受注を伸ばすが、需給は崩れ、空室率は過去最悪の水準に達する。目算が狂ったオーナーは悲鳴を上げる。

節税対策で脚光

 「空室リスクは覚悟していたけど、こんなにも早く出るなんて」。千葉県白井市の男性公務員(43)は肩を落とす。相続した土地にアパートを12年に建設した。2階建てで総戸数は8戸。今年で築4年、最寄り駅から徒歩10分と条件は悪くない。だが、今年は一時、5戸が空室になった。

 母親が亡くなるとほどなく大手の建設請負業者が訪れ、相続した土地にアパート建設を勧めてきた。9千万円という建設費にためらったが、担当者は「当社が全室借り上げ、入居者も集めます」と提案書を差し出した。

 試算では家賃収入は年660万円。業者の取り分を差し引いて600万円強の収入が35年間続くという。銀行からの借り入れは必要だが、試算で示された月30万円程度の返済には十分。地銀からの融資も決まり、建設に踏み切った。

 現実は甘くなかった。当初こそ業者から月50万円が振り込まれたが、今は40万円弱。家賃収入は空室率によって最低保証額まで引き下げられる契約だからだ。今後、定期的な契約更新で金額が変わる可能性も残る。

 居住人口の少ない土地でのアパート経営に無理はなかったか。オーナーの妻(35)は後悔の念を抱きながら敷地の草むしりをする。専門業者に任せるお金はないからだ。

 国土交通省によると、7月の住宅着工の伸び率は持ち家が前年比6.0%だったのに対しアパートなど貸家は11.1%。大幅増の背景にあるのは相続税対策だ。更地にしておくより借金をしてアパートを経営した方が税金が安く済むからだ。

 その波に乗ったのがサブリースと家賃保証を売り物にするアパート建設請負業者だ。建設だけでなく、一括借り上げして入居者を集め、手数料を除いた家賃をオーナーに支払う。こんな提案で、大東建託やレオパレス21といった大手が続々とアパートを建設している。大東建託の16年3月期の売上高は8期連続で過去最高を更新した。

トラブルも発生

 業界が活況に沸く一方、トラブルが発生している。「空室を理由に提案通りの家賃が支払われていない」。不動産コンサルティングの青山財産ネットワークスの高田吉孝執行役員の元には、こうした相談が月に数件寄せられる。

 国交省は9月から業者に対し契約時には、将来の家賃が変動する可能性があると説明するよう求め始めた。業者側は「契約書面ではリスク要因を強調している」(レオパレス21)、「賃料改定があり得ることを説明をした上で、本人の署名なつ印を頂いている」(大東建託)と適切に対応していると主張する。

 言い分が分かれる中、アパートの需給は悪化を続ける。不動産調査会社のタス(東京・中央)によると首都圏の空室率は15年夏ごろから急上昇。最も高い神奈川県は7月に36.66%と過去最悪を更新し、16カ月連続で悪化した。適正水準の上限30%を大幅に上回る。

 無秩序なアパート建設に行政も危機感を抱く。埼玉県羽生市では1年ほど前にアパートの建設地域を制限した。しかし、局地的に規制しても焼け石に水だ。首都圏全体でみた場合は「当面は空室率は改善しないだろう」(タスの藤井和之氏)。

 空室増のあおりを受ける不動産管理会社は対策を余儀なくされている。

 6万戸の賃貸住宅を管理する東急住宅リース(東京・新宿)。空室が増えれば収入減につながる。そこで7月からオーナーに従来より3割程度安く改修できる新提案を始めた。大学再編で居住学生が減少する相模原市の管理会社は入居者専用の食堂設置をオーナーに呼びかける。

 空室率が悪化してもなお増え続けるアパート。建設業者にとって数少ない「成長分野」を狙って、住友林業など戸建て住宅メーカーもアパート事業に力を入れる。

 相続税対策を狙うオーナー、アパートの建設代を得たい業者。空室が発生した場合、誰が責任を取るのか。直視しないまま、今もアパートは増え続ける。

(岩本圭剛)



新産業創世記 ニッポンを生きる(2)それでも「助っ人」不要ですか 異端の発想 村社会に力 2016/09/30 本日の日本経済新聞より

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 「アジア発のイノベーションを起こしたい」。そんな決意を胸に2008年に日本で起業した中国人がいる。河南省出身の程濤さん(34)。インターネット上の広告を閲覧者がどれくらい精読しているのかを示す技術を持つベンチャー企業、popIn(ポップイン、東京・文京)の社長だ。

 国内の250サイトで採用されている同社の技術。昨年6月には中国のインターネット検索最大手、百度(バイドゥ)傘下に入り、台湾や韓国でも事業展開を始めた。

1000人の大台突破

 18歳で来日し、東工大、東大大学院で情報工学を学んだ程さんはなぜ、中国に戻らず、ニッポンを創業の地に選んだのか。「アジアから優秀な人材が集まっているからですよ」。程社長はさらりと言う。

 「オール・アジア」の人材が創業時の苦労を共にした。IT(情報技術)のスキルを持つ日本人に加え、時給2000円でアジアからの留学生をアルバイトで雇い、プログラミングなどの業務を任せた。今も20人の従業員の4割が外国人だ。

 島国で閉鎖的な「村社会」といわれてきたニッポンに外国人の助っ人が増えている。法務省によれば、15年に「経営・管理」の在留資格を取得した外国人は1352人。この数年は減少傾向にあったが、一気に1千人の大台を突破した。すべてが起業家ではないが、会社経営に携わる外国人層の厚みは着実に増している。

 「日本だからこそ、会社の成長が見込める」。ロボット制御装置ベンチャーのMUJIN(東京・文京)の共同創業者で最高技術責任者(CTO)を務める米国人のデアンコウ・ロセン氏(33)の言葉は力強い。

 米カーネギーメロン大でロボット工学の権威、金出武雄教授(70)に師事したデアンコウ氏。労働人口が減少する日本でこそ、自身が研究してきたロボットの制御技術が生きると見る。11年の設立以来、顧客先の開拓に注力し、現在は物流企業など約20社に技術を提供するまでになった。

資金調達に壁

 もちろん、日本で事業をする難しさはある。デアンコウ氏は「実績を示さないと相手にされない」と指摘する。日本企業は全くの新技術や新商品に対する評価に時間がかかりがち。商談から正式に受注するまでの時間も長い。「実績がないからこそ、イノベーションなのに」

 資金調達のハードルも高い。ネット上で医師に医薬品情報を提供するエンタッチ(東京・千代田)を15年に創業した米国人のマーティ・ロバーツ社長(39)は「社会的な信用が得られないから何度も資金調達に失敗した」と打ち明ける。

 業界の垣根が崩れ、新産業を生み出す力を世界が競い合う。従来の発想の延長線上では戦えない。「日本人が気付かない発想を持つ外国人起業家をもっと生かすべきだ」と早稲田大の東出浩教教授(53)は指摘する。

 独自のルールや制度で長く秩序を保ってきたニッポン。異端の人材は「変人」として阻害されがちだ。このままのニッポンで競争力を保てるのか。心の扉を少し開くだけで見えてくる変革の芽。踏み出すか否か。決めるのはあなた自身だ。=関連記事企業面に



大機小機 台頭するミレニアル世代 2016/09/29 本日の日本経済新聞より

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 米国でミレニアル世代(M世代)の研究と分析が進んでいる。研究機関によって多少の違いはあるが、米ピュー・リサーチ・センターの定義では1981年から96年生まれで、その人口は2014年時点で約7000万人となる。米国の総人口の実に2割だ。

 M世代の特色を日本の経済同友会がまとめている。金融危機や失業増加、格差拡大、気候問題の深刻化などの厳しい環境で育ち、消費行動や職業観、社会的な価値観が過去の世代とは大きく異なっている。米国初のデジタル・ネイティブ世代でもあり、欲しい情報を簡単かつ瞬時に入手できるのが生活の前提だ。

 M世代は米国の社会や経済の仕組みに大きな変化をもたらしている。物よりも経験、所有よりも借用といった価値観との相乗効果で多様なビジネスが登場した。配車サービスのウーバーテクノロジーズや民泊仲介のエアビーアンドビーはその代表格だ。

 しかも交流サイト(SNS)で知人と経験を共有し、消費の判断は企業広告よりSNSなどの第三者評価を重視する。こうした新興企業はSNSによる認知度の向上と若年層を中心としたユーザーの支持を得て急成長している。

 残念ながら日本はM世代の影響力に対する認識が圧倒的に不足している。彼らは今後確実に社会の中核を占める。欧州やアジアでも大きな広がりとなるだろう。変化への対応が後手に回ればグローバル競争の中で取り残される。官民挙げての対応が不可欠だ。

 政府は賞味期限の過ぎた企業を創造的に破壊し、革新的なビジネスモデルに切り替えていかないと日本のあすは無い。新たな規制の導入は最小限にとどめ、既存の規制が新たなビジネスの発展を阻害しないようにすべきであろう。

 企業は消費者の価値観の変化を先取りして商品開発から販売、広告までのあらゆる側面で事業の刷新が不可欠になる。仕事の充実感や大義を重視するM世代社員のやる気を引き出すべく年齢にこだわらずに挑戦の機会を与えるなど企業文化や人事制度の見直しも必要だ。社会や環境への貢献といった非財務的価値を重視するM世代の信頼を得るべく、社会的課題の解決や環境への貢献といった社会性の追求も従来にも増して求められよう。

(眉山)