3500万円かけても米大卒 アジア富裕層に留学熱 「リターンは大きい」 2015/06/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「3500万円かけても米大卒 アジア富裕層に留学熱 「リターンは大きい」」です。





 米国の大学でトップクラスの教育を受けるのは安くない。それは周知の事実だ。例えばハーバード大学。同校のウェブサイトによると日本の4年制大学にあたるカレッジの学費、諸経費、寮費を合わせると年6万659ドルかかる(2015―16年)。これに生活費、旅費、医療保険を加えると年7万1990ドルに膨らむ。4年間の総額は日本円でざっと3500万円だ。

南カリフォルニア大学の卒業式で記念撮影する学生(米カリフォルニア州)=ロイター

 その額は中国の1人当たり国内総生産(GDP)の35倍、インドだと159倍に当たる。にもかかわらず米国への留学生全体で中印の学生数は43%を占める(米国際教育研究所調べ)。両国の富裕層は、高くても米留学はそれに見合う価値があると判断している。

 理由の一つは確実にリターンが見込めるためだ。米国の給与調査サイト、ペイスケールは4年制大学の学位を持つ人と、高校卒業後に働き始めた人の累計給与を比較した。世界大学ランキングでトップクラスに登場することが多いカリフォルニア工科大学(カルテック)の出身者が卒業後20年間に得る平均収入は、大学時代の総コストを差し引いても、高卒者の24年間の収入より90万ドル多い。

 ペイスケールはこれを「大学ROI(投下資本利益)」と呼ぶ。スタンフォード大だとROIは81万ドル、ハーバードは65万ドルという。

 中国やインドの留学生にとっては、本国の学生と比べると給与格差はさらに広がる。「米国のマサチューセッツ工科大(MIT)、ハーバード大、プリンストン大などから戻って国際金融機関に就職すれば、年収は60万~70万元(約1200万~1400万円)得られる」と留学支援会社、新東方前途出国の担当者は指摘する。1人当たりGDPの11倍だ。「運良く米国で就職先が見つかれば、給与はさらに2割高くなる可能性がある」という。

 インド出身のキンシュク・チョウドゥーリさんはそんな幸運に恵まれた一人だ。サンディエゴ州立大学で電気工学を学び、卒業後は米西海岸を代表する半導体会社に就職した。「欧州の大学に進んだインドの同級生は就職に苦労していた。(学費が)高くても米大は投資に対するリターンが大きい」と確信する。

 アジア各国・地域の学生にはそれぞれに留学せざるを得ない事情がある。香港の学生に重くのしかかるのは地元の不動産価格の高騰だ。「報酬が高い投資銀行や法律事務所に勤めなければマンション購入は無理だね」。香港で最近開かれた留学フェアで教育コンサルティング会社、雅思留学諮詢の呉学尭さんは話した。

 一方、中国大陸では今夏大学卒業の学生が749万人に上る。政府は経済の高度化を急ぐものの、今の中国に700万人のホワイトカラーの新規就職口はない。少しでもライバルと差を付けようと海外留学に足が向かう。

 上海からカリフォルニア州立大学に留学した女性は「学費を出すために、両親は所持していたマンションの1つを売却した」と話す。卒業後、彼女はカリフォルニアにとどまり、税務事務所に就職できた。

 子供が留学し、そのまま米国で就職し、永住権を取得すれば、一家そろって米国に移住する足がかりとなる。習近平指導部の反腐敗キャンペーンで立場が危うくなっている中国の公務員にとっては、子供の留学は逃走ルートの確保という別の側面を持つ。

 アジアからの留学生は富裕層ばかりという米国のキャンパス風景も異様だ。

 かつてアジアの留学生は「苦学生」「まじめ」「試験で上位」という印象を抱かれていた。いま動画共有サイトユーチューブには、週末の夜にカリフォルニアの一角に集い、パーティーをする中国人学生らの映像が多数投稿されている。乗り回す車はフェラーリやベントレーのスーパーカーだ。昨年、米大学を退学処分になった中国人学生は8千人にのぼる。カンニングや落第によるものだった。



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