450万人の衝撃無期雇用、迫る新ルール(下)中小、賃上げに二の足乏し い余力進まぬ理解 2017/8/10 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「450万人の衝撃無期雇用、迫る新ルール(下)中小、賃上げに二の足乏しい余力進まぬ理解」です。





 「無期雇用に転換しても待遇は変えない」。関東地方にある中堅スーパーの担当者はこう明言する。同社では2000人強のレジ打ちや品だしをするパート従業員が働く。このうち2018年4月に無期転換の権利を得る勤務5年超の人は約7割にのぼるが、給与体系だけでなく福利厚生なども変える予定はない。

厚生労働省はハンドブックを作り無期転換の準備を促している

 同社にはパート従業員を正社員に登用する制度が既にある。正社員になれば業務内容は変わるが、レジ打ちのパートを無期に転換しても仕事内容は有期のときと同じ。「無期転換に伴って処遇を改善するのは不合理だ」として、社内で積極的に広報する予定もない。

「決断できない」

 求人広告大手のアイデム(東京・新宿)が従業員30人以上の企業の担当者554人に聞いた調査では、契約社員が無期雇用に転換した場合に賃金を「変えない」という回答が45%で最多。一方、契約社員に聞くと、85%が現状よりも労働条件や待遇が良くなることを期待している。

 大企業は新ルールの導入を機に賃金などを正社員に近づける傾向があるが、経営基盤が弱い地方の中小はその余力が乏しい。売上高に占める人件費コストは事業規模が小さい企業ほど重いことが理由の一つだ。15年版中小企業白書によると、大企業(資本金1億円以上)の売上高固定費比率が14%なのに対し、中規模企業(同1000万~1億円未満)で20%、小規模企業(同1000万円未満)では29%を占める。

 基板加工を手掛ける群馬県の中小企業の社長は「仕事のモチベーションを上げるために基本給を上げたいが、仕事の受注量が減れば人件費が重くのしかかる。決断できない」と明かす。

 無期転換ルールの認知が進んでいないことも大きな課題だ。労働政策研究・研修機構の調査によると、従業員1000人以上の企業の91%が改正内容を知っている一方、49人以下の企業で内容を知っているのは26%にとどまる。「中小企業では人事・労務の機能が弱く、従業員にも周知できていない」(厚生労働省幹部)実態がある。

 厚労省は17年度に全国約300カ所で無期転換ルールなどを周知するセミナーを開催。今秋には経済団体や業界団体などに従業員への周知を呼びかける予定だが、現状のままでは18年4月に大きな混乱が起きる可能性がある。

雇用調整難しく

 今後、景気が変調して雇用調整の必要性が出てきた場合の対応も必要になる。

 日本の労働法制は合理的理由や社会通念上の相当性を欠く解雇を禁じている。働く人の申し出に応じて無期転換を進めれば、企業は人員削減が難しくなり新卒採用の抑制などにつながる可能性がある。日本総合研究所の山田久チーフエコノミストは「雇用調整が可能な限定正社員の枠を設けるなど、企業は労使で準備を進める必要がある」と指摘する。

 島本雄太が担当しました。



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