AIと世界 今そこにある未来(1) 仕事が消える日 変化に適応可能か 2017/4/11 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「AIと世界 今そこにある未来(1) 仕事が消える日 変化に適応可能か」です。





 インド南部の古都マイソール郊外。車と人でごった返す市街地を抜けると、高い塀や監視カメラに囲まれたビル群が現れる。インドIT(情報技術)サービス大手のインフォシスだ。

■「AIにはかなわない」

 米欧のグローバル企業を顧客にシステム開発やコールセンター業務の受託で成長してきた。ここで昨年、8千人分以上の仕事が消えた。人工知能(AI)の本格導入がきっかけだ。

 今の仕事は続けさせられない――。Tシャツにジーパン姿で門から出てきた31歳の男性社員は昨年末、上司から告げられた。大卒後に入社、一貫してシステムに不具合がないか監視してきたが、AIに取って代わられ今は担当業務がない。「人間が数時間かかる仕事を瞬時にできる。AIにはかなわない」と語る。

 コールセンターは音声認識AIに代替されシステム開発もAIが手掛ける。効率が上がり、社員19万人の約5%の業務がなくなった。

 AIが普及すれば職を失う人はもっと増えるとの試算もある。野村総合研究所と英オックスフォード大学の研究によれば仕事の49%はAIで代替可能という。

■新たな職場も生み出す

 ただ、負の部分にだけ目を奪われると本質を見失う。AIは職場を奪う一方で新たな職場も生み出す。AIを顧客に合わせて作り替えたりAIが分析しやすいようデータを加工したりする仕事の注文が増えている。この男性も社内のAI研修に参加。「認められれば失業は免れAIに関する新しい業務に就ける」

 米ニューヨークの金融業界で10年近く働いたジャック・ベラスコ氏は今年1月、会社を追われた。「トレーダーはここ数年で1~2割減った」。2010年ごろからAIが職場に入り始め多くのセールストレーダーが辞めていった。

 「ショックだった」というベラスコ氏だが今はトレーダーへのこだわりはない。AIなどのITと金融を融合したフィンテック企業が「ニューヨークで続々誕生している」。新興企業専門の転職サイトに登録。面接を重ねるたびに「金融の知識を生かせる仕事は増えている」と実感する。AIが作る新しい仕事に飛び込んでみるつもりだ。

 AIは万能ではない。富国生命保険はAI活用で医療保険給付金の査定部署131人を約3割減らした。入力情報の確認をAIに任せる。だが「病名の読み取りなどにAI特有のミスがある。慎重にチェックしないと」と女性職員は言う。

 全件数の約1割でミスがあり、人がAIの仕事をチェックする。AIのサポート役に人がまわることも増えるだろう。

 1980年代、自動化で工場の製造部門が減り、90年代のIT革命で経理や人事の省力化が進んだ。一方でシステム開発やネットサービスといった雇用が生まれた。イノベーションは変化を生んできた。AIもその一つにすぎない。



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