AIと世界 今そこにある未来(3) 育てるのは私たち 真価引き出せるか 2017/4/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「AIと世界 今そこにある未来(3) 育てるのは私たち 真価引き出せるか」です。





 カフェやブランド店が立ち並ぶ米ロサンゼルスの中心街から数区画。華やかだった街の空気がふいに変わった。鼻をつく臭い、道端に寝そべる人たち、飛び交う無数の黒い虫。「交差点の先へ行くのはやめておけ」とタクシーの運転手は別れ際に言った。

 ロスだけで4万7千人いるホームレス。エイズウイルス(HIV)感染や薬物中毒が広がり、社会問題になっている。動き出したのが南カリフォルニア大学の研究者たちだ。人工知能(AI)で外からは見えにくいホームレス社会の実態をあぶり出そうとしている。

 人間関係を解析してリーダー的な存在を見つけ、なかなか浸透しなかったHIV検診などの支援策を多くのホームレスに広げてもらう。

■足を運んでデータ補う

 始めてみると一筋縄ではいかなかった。ホームレス支援団体の職員が把握する人間関係の情報だけではAIはうまく働かなかったからだ。「友達は誰?」。研究に取り組むエリック・ライス准教授は結局、人的ネットワークを巡る確かなデータを集めるため、学生や職員と現場に何度も足を運ぶことにした。

 AIが割り出したリーダーがすでにいなくなっていれば、最初からやり直しだ。ネット上のビッグデータを学習しただけのAIは現実社会で常に使えるとは限らない。AIとの二人三脚は「道半ば」(ライス氏)だ。

 AIの真価をいかに引き出すか――。競うようにAIを導入する企業にも通じる課題だ。

 「またやり直しか」。昨年10月、イオンで社員の問い合わせに自動で答えるAIコールセンターを立ち上げていた福嶋碧氏はため息をついた。

■AIの返答、的外れなものも

 プロジェクトの開始当初、「出勤簿の画面が開かない」と質問すると「メールのログインについて」という的外れな答えを返してきた。半年近く過ぎても、満足な回答ができるのは140種ほどのやりとりだけだ。

 東京工業大学の寺野隆雄教授は「データの整備や人材面でAIを生かす準備ができていない企業は多い」と指摘する。

 「最後は従業員1人でホテルをまわせるようにする」。HISの沢田秀雄会長兼社長は、多くのロボットが働く長崎県の「変なホテル」について明言する。開設当初の5分の1にあたる6人まで人員を削減。3月に千葉県で2号店を開業し、軌道に乗り始めたようにも見えるが、今も試行錯誤が絶えない。

 会話ができるロボットをホテルに置いたところ「(人間同士の)会話に割り込んできてうるさい」という不満の声が客から上がった。音声認識の感度を高くしすぎた結果、空気を読まない「おせっかいロボ」になってしまった。

 人が対応したほうが今はうまくいくのかもしれないが、あくまでロボットにこだわり続ける。失敗は次に生かせばいい。歩みを止めないことこそが未来への近道になる。



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