nikkeimaster のすべての投稿

働き方改革、服装も優秀な人材獲得へ魅力高めるTシャツ禁止撤廃 2017/ 9/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「働き方改革、服装も優秀な人材獲得へ魅力高めるTシャツ禁止撤廃」です。





 大企業の間で職場のドレスコード(服装規定)をよりカジュアルな方向に見直す動きが相次いでいる。日本オラクルは服装規定を全廃し、伊藤忠商事はジーンズ着用を解禁した。多様な働き方を認める機運が高まる中、働く人の個性を引き出そうと、職場の装いもこれまで以上に変わろうとしている。

伊藤忠商事では金曜日のカジュアルな服装が定着している(東京都港区)

 東京・青山通り沿いにあるIT(情報技術)大手、日本オラクルの本社。最近、ジーンズにTシャツやショートパンツ姿の男女が行き交うようになった。6月に服装規定を撤廃し、社員が思い思いの服装で出社できるようになったからだ。

 これまでスーツの着用義務こそなかったが、ジーンズやTシャツ、スニーカーは禁止していた。一方でIT業界では、ベンチャー企業を中心にTシャツなど自由な服装で仕事するのが当たり前となっている。「スーツでは浮いてしまう」。社員の声が人事に届き、規定を撤廃した。

 ルールの変更は風通しの良い職場であることをアピールし、人材獲得に好影響を及ぼす目的もある。若者世代は企業風土や文化、働きやすい環境などを就職の際に重視する傾向が強まっている。人事本部の二見直樹シニアマネジャーは「職場のカルチャーへの注目が高まっている」と指摘する。

 伊藤忠商事も6月に服装規定を見直した。毎週金曜日には、ジーンズやくるぶし丈のズボン着用も認める。さらに15日から、スニーカー着用を奨励する日も設ける。

 「楽な格好で仕事をするというのではなく、柔軟な発想力を養うことにつながる」。音頭を取る岡藤正広社長は、服装規定の見直しを生産性向上を目指す取り組みの一環と位置付ける。20年前に始めたカジュアルフライデーよりも、より柔軟な着こなし方を選べるようにした。社内からは「部下との距離が近くなった。」(本司博水産部長代行)との声が聞かれる。

 マニュライフ生命保険も服装が仕事に与える効果を指摘する。このほど「毎日カジュアルでよい」との服装規定を新設。金融機関では珍しくジーンズも容認する。

 慶応義塾大学の満倉靖恵准教授の監修のもと、ギャップジャパン(東京・渋谷)が昨秋、約20人を対象に実施した脳波測定調査では、フォーマルウエアでのストレス度の数値がカジュアルウエアに比べ7割高かった。ラフな服装での会議は相手と打ち解ける突破口を生みやすいという。

 働き方改革で社員の能力や個性を引き出す企業が増えている。社員の個性を認め、伸ばしていくという企業の姿勢は、働く人の装いからもうかがえる時代になりそうだ。

(弟子丸幸子)



「投資外交」で勢い増す中国米ユーラシア・グループ社長イアン・ブレマ ー氏 2017/9/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「「投資外交」で勢い増す中国米ユーラシア・グループ社長イアン・ブレマー氏」です。





 ある国が国際社会において、自らの権益を主張する方法は数多くある。軍事力を誇示する国や破壊活動をする国、こけおどしの文句を並べる国もある。中国の場合はアジアやアフリカ、中南米、欧州においてさえ投資をテコに、困っている政府から望むものを得ようとしている。

画像の拡大

 最も明白なのはアジアだ。米国とパキスタンの関係は近年大幅に悪化したが、多くの理由がある。トランプ米大統領とインドのモディ首相の良好な関係が、パキスタン政府に中国との関係強化に動く格好の口実を与えた。中国の対パキスタン投資は勢いを増した。

 中国の経済圏構想「一帯一路」の一環である550億ドル(約6兆円)規模の中国・パキスタン経済回廊プロジェクト(CPEC)はパキスタンに成長をもたらし、必要とされる雇用を創り出している。中国はパキスタン南部グワダル港の開発を認められ、インド洋での存在感を高めるだろう。

 中国は(人権問題などに関する)欧米の批判に反発するフィリピンのドゥテルテ大統領に、開発が遅れている同国のインフラ構築を支援すると約束した。現時点で中国はあまり多くのことを実行していない。だがドゥテルテ大統領は支援の約束を取り付けただけでも納得し、中国やフィリピンなど複数の国が領有権を主張する南シナ海について、中国の進出への抗議を控えることにした。東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国には親中の姿勢をとる国も多いが、フィリピンも加わった。

 マレーシアのナジブ首相も、南シナ海への中国の進出に対する抗議から手を引いたようにみえる。同国も道路や橋、特に鉄道への投資を必要としているからだ。国営投資会社「1MDB」を巡る資金の流用疑惑などもあり、財政が悪化しているからでもある。

 中国は長年、豊富な資金を利用してアフリカにおける影響力を強化してきた。習近平国家主席は今後数年間で、さらに数十億ドルの支援を約束しているという。中国は影響力を一段と強めるため、北京を拠点とするメディア「スタータイムズ」を通じ、アフリカ30カ国の家庭に向けたテレビ放送などで中国の世界観を伝えている。

 中国など主要新興国5カ国で構成するBRICS首脳会議の加盟国、南アフリカは、アフリカ南部15カ国で構成する南部アフリカ開発共同体(SADC)への入り口を提供した。SADCは中国の成長を支える天然資源へのアクセスと、中国のアフリカ地域への政治的な影響力を強める機会を与える。中国は南アフリカにとって最大の貿易相手国で、両国は2015年に65億ドル相当の商談に合意しているという。

 南アフリカ政府は中国の投資に報いるためか、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の訪問を拒否している。ダライ・ラマ14世は中国では外交上「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」だが、南アフリカでも09年以降、入国を3回拒否されたようだ。

 ケニアのケニヤッタ大統領は、5月に北京で開かれた一帯一路の国際フォーラムに招かれたアフリカ首脳のうちの1人だ。ケニアは一帯一路の海上ルートの一部として、中国のインフラ投資の主要受け入れ国になると予想される。中国はすでにケニアの首都ナイロビと貿易港モンバサを結ぶ高速鉄道を建設している。ケニア政府は感謝の意を示すため、中国の南シナ海の領有権主張に対する支持を表明し、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)への人民元組み入れも支持したようだ。

 中国はかなりの時間と資金をかけて、中南米での影響力の強化にも動いている。中国はブラジルなどにとって最大の輸出市場になった。ボリビアは、中国からの輸入がどの国よりも多くなっている。同様の状況のパナマは6月、台湾と断交して中国と国交を結び、中国に外交的な勝利をもたらした。

 中国は欧州のギリシャにも投資するようになった。債務危機に陥ったギリシャは、欧州連合(EU)から押しつけられた緊縮財政と厳しい批判にうんざりしている。ギリシャは一帯一路の構想を通じ、中国の投資を得た。今では中国の国有企業が、ギリシャ最大のピレウス港を運営する。EUは6月、国連の人権理事会で中国の人権状況を非難する声明をとりまとめようとしたが、ギリシャの反対で阻止された。ギリシャは、中国の南シナ海の領有権主張に対しても支持を表明しているようだ。

 ギリシャのある政府高官は8月、「欧州はギリシャを中世の吸血鬼のように扱うが、中国はお金をどんどん持ってきてくれる」と語った。米国やEUなどは、ある国がどうしても必要とするプロジェクトへの投資の条件として、政治行動まで変えさせようとする。米国やEUなどが学ぶべき教訓が、ギリシャの高官の発言に込められている。トランプ大統領は米国の力を吹聴するものの、巨額の小切手を切ることに関心はないとはっきり述べている。中国のやり方は、次にどこで成功するだろうか。

 Ian Bremmer 世界の政治リスク分析に定評。著書に「スーパーパワー――Gゼロ時代のアメリカの選択」など。47歳。ツイッター@ianbremmer



迫真 漁業資源ウォーズ4 食守る完全養殖の夢 2017/9/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「迫真 漁業資源ウォーズ4 食守る完全養殖の夢」です。





 8月中旬の早朝。奄美大島南部の沖合で、体長2メートルほどのクロマグロが次々と船上へ釣り上げられた。バタバタと激しく動くクロマグロを数人がかりで押さえつけ、保存のための血抜きを施す。まるで天然モノのような生きの良さを見せるクロマグロは人工授精させた卵から育てた成魚の卵をふ化し、育て上げた「完全養殖」。事業化は不可能に近いとされてきたが、マルハニチログループは約30年かけて2015年の初出荷にこぎつけた。

食を自衛する上で養殖技術の発展は欠かせない(鹿児島県瀬戸内町)

 マルハニチロが1年間に出荷する完全養殖クロマグロは約300トンと、国内消費量の1%にも満たない。それでも責任者の小野寺純(48)は「自社で出荷するクロマグロすべてを完全養殖にしたい」。夢物語のように聞こえる目標だが、世界的に水産資源の不足が懸念される中「完全養殖が必要になる」からだ。広さ約3200平方メートルのいけすの中を泳ぐクロマグロの体調管理のため、担当者たちは海面からいっときも目を離さない。

 一般的な養殖は天然の稚魚を使う必要があった。稚魚の確保も難しくなっており、完全養殖が活発になっている。

 日本水産の子会社、黒瀬水産が手掛ける養殖ブリ150万尾の半数を完全養殖が占める。宮崎県串間市の沖合では台風などの被害を避けるため、広さ約100平方メートルの浮沈式のいけすを使って完全養殖に取り組む。

 ブリの旬は秋冬だが、完全養殖で春夏の端境期でも出荷できる。卵を産む親魚の産卵期を調節することで、機動的に出荷時期を設定。天然稚魚の不漁がささやかれた今年は、天然の旬である秋冬に照準を合わせた。「天然モノが不漁になっても日本中の食卓に養殖ブリを届けられる」。黒瀬水産社長の山瀬茂継(55)は自信を見せる。

 日本水産は完全養殖の魚類を増やす。大分県佐伯市にある日本水産の研究センターで4月、完全養殖のマダコのふ化に成功した。マダコの完全養殖はこれまで例がない。ほんのわずかな刺激でも稚魚が死ぬため、外部から遮断した環境で稚魚の生育に取り組む。

 世界的な水産資源の争奪戦に翻弄されるだけでは、日本の食は守れない。天然モノを補完する役割だった養殖が主役に躍り出ようとしている。(敬称略)

 佐々木たくみ、原島大介、中戸川誠、湯前宗太郎が担当しました。



大和ハウス、訪日客向け3000戸 ホテル仕様で1泊から3 年で 1泊から長期滞在まで対応、市場の空白狙う 2017/9/14 本 日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「大和ハウス、訪日客向け3000戸 ホテル仕様で1泊から3年で 1泊から長期滞在まで対応、市場の空白狙う」です。





 大和ハウス工業は2020年までに訪日客を主な対象にしたホテル仕様の賃貸マンションを全国で3千戸整備する。キッチン付きで1戸当たり4~6人が利用できる。訪日客の急増でホテル不足が指摘されるが、一般の家屋を貸し出す民泊は規制が厳しい。大和ハウスは旅館業の許可を得られる規格の施設を建て、長期滞在ニーズにも対応した訪日客の受け皿を作る。

 整備するのは欧米では一般的に「アパートホテル」と呼ばれる施設。キッチン付きのホテルのような仕様だが、ホテルよりもサービスを絞り込むことで手ごろな価格で1泊から長期滞在まで対応できるのが特徴。民泊やホテルなどの間にある隙間市場を狙う。

 首都圏や近畿圏など大都市部で地権者などとの交渉を始めた。自社で土地を購入して建設するほか、土地オーナーからアパートの建設を請け負い運営を受託することも想定する。1戸あたりの建設コストは1千万円程度で、投資額は最大300億円規模となるもようだ。金沢市など観光地でも展開する。

 1棟あたりの戸数は4~100戸ほどとする予定。各戸の間取りは2~3部屋(40~50平方メートル)とし、6人程度までの収容を基本とする。宿泊費は1泊1室3万円程度に設定。1泊から泊まれるが、6人なら1人5千円以下で泊まれるようにして長期滞在のニーズに応える。

 各戸に備えたキッチンで自炊できる。長期の滞在でも週2回の割合で清掃やシーツ替えをする。1施設が数十戸を超える規模の物件ならフロントも設置し、宿泊者の相談に乗るコンシェルジュを駐在させる。コンシェルジュには外国人を積極採用する。

 旅館業の登録は基本的に自治体が管轄する。大和ハウスは自治体や地域の保健所と協議して「ホテル営業」や「簡易宿所営業」などの認可が通る仕様で建設する。管理でもホテル運営などで培ったノウハウを生かす。

 ホテルの代替となる施設ではマンションなど一般の住戸を貸し出す民泊も広がっている。ただ基準を満たさない「違法民泊」が社会問題化しており、治安面の懸念などで同じマンション住民からの苦情も相次いでいる。

 東京都大田区や大阪市などでは「特区民泊」の営業ができるが、2泊3日以上が前提。2018年施行予定の「住宅宿泊事業法(民泊法)」では年180日の営業日数上限がある。



「同盟国、強力な貿易協定を」バノン前首席戦略官に聞く 2017/9/14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「「同盟国、強力な貿易協定を」バノン前首席戦略官に聞く」です。





 【香港=粟井康夫】トランプ米大統領の最側近だったスティーブン・バノン前首席戦略官・上級顧問は訪問中の香港で日本経済新聞の取材に応じ、日本との2国間の自由貿易協定(FTA)交渉が重要との認識を示した。同氏はトランプ支持層の思想を代表する論客。米国の政策に影響をおよぼす可能性がある。

 ――対中貿易赤字をはじめ不均衡の是正が必要だと主張してきました。

 「私は決して反中派ではなく、中国に深い敬意を抱いている。だが米中の貿易関係は均衡を取り戻さなければならない。中国による過剰供給の輸出は米国の政治も動かしている。過去10年で3.5兆ドル(約385兆円)に当たる技術移転も強制された。経済戦争を続けるわけにはいかない」

 「中国企業による技術取得を狙った米企業の買収も懸念している。トランプ大統領は(知的財産権侵害に関し)通商法301条に基づく調査を始めた。過去の政権がしなかった勇気ある行為だ」

 ――環太平洋経済連携協定(TPP)は中国との経済関係を是正する解になりませんか。

 「米国は自らが一加盟国にすぎない多国間協定に入るべきではない。中国にも反中同盟のようなものと解釈されうる。貿易相手国と直接、強力な関係を結びたい」

 「米国の経済ナショナリストが望むのは日本との強力な2国間の貿易交渉だ。条件も明確だし、日本との軍事的な協力関係も絡められる。韓国にも同じ事が言えるし、ベトナムやフィリピンとも2国間で交渉したい」

 ――対日軍事関係の見直しもあり得ますか。

 「そうではない。提案しているのは、軍事的な協力関係にある国との強力な2国間の貿易交渉だ。率直に言えば、私は日本や韓国はコスト負担を増やし、自国防衛により貢献すべきだと考えている。ただこれは私の個人的な信念で、大統領や政権の考えではない」

 ――日本との貿易交渉での議題は何ですか。

 「農業だけでなく自動車、製造業の製品などあらゆる項目を含めるべきだ。米企業による日本の自動車市場への参入にも不安がある。日本と米国は非常に緊密な同盟国であり、その関係を強力な貿易協定でさらに固めるべきときだ。ただ日本側に熱意があるとは言い難い」

 ――北朝鮮問題に関して「軍事的解決はない」と発言しました。

 「米国と中国が2国間で解決策を見つけ出すのを望んでいる。トランプ大統領の11月の訪中がそのスタートになるだろう。地域の二大国が顔を合わせて議論し、解決策を探るのは理にかなう」

 ――北朝鮮情勢が深刻化しても、米韓FTAを再交渉するのですか。

 「米韓FTAは明らかに米国の役に立っていない。北朝鮮との深刻な状況が、交渉の予備協議を止めるとは思わない」

 ――トランプ政権はアジアから手を引きつつあるとの見方もあります。

 「政権発足後8カ月で多くのアジアの指導者の訪米を受け入れた。オバマ前政権の最初の数年より多い。安倍晋三首相が(当選から)数日で飛んできたのが象徴的だ」

 「中国という巨大な貿易相手国との問題を解決する必要があり、緊密な同盟国である日本の上空にはミサイルが飛んだ。大統領は世界のどの地域よりもアジアに関与してきたし、これからもそうするだろう」

 Stephen Bannon 極右的思想を掲げる米ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」会長。昨年の米大統領選でトランプ陣営の選挙参謀として「米国第一主義」のスローガンを前面に打ち出し、勝利に導いた。 新政権では首席戦略官・上級顧問に就任したが、トランプ大統領の娘婿、クシュナー上級顧問らとの対立が激化。8月に解任された。トランプ氏とは解任後も電話で話すなど良好な関係にあるとされる。63歳。



働き方改革 さびつくルール 下 悩めるフリーランス 個の力生かす仕組みを 2017/9/14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「働き方改革 さびつくルール 下 悩めるフリーランス 個の力生かす仕組みを」です。





 「当社で副業しませんか」。1月、他社に本業をもちつつ副業先として働く人の募集を始めた企業向けソフト会社のサイボウズ。数人を受け入れる過程で、担当者を悩ませる問題も浮上した。

 希望者が正社員になるか契約社員になるかなどは当人の希望も含めて相談で決める。一部の応募者は社員ではなく業務委託契約を希望したが、募集は業務開発や広報など幅広く、仕事の指示が必要な場合もある。指揮命令ととられると、業務委託契約から逸脱しかねない。「新しい働き方に合った法的枠組みがあればよいのだが」(政策渉外担当の石渡清太氏)

 日本の労働法制は企業で正社員として終身雇用されることを前提に、働く人を保護してきた。自由な立場で働きたい人の増加に、既存の制度はうまくかみ合っていない。

尾崎さんはウーバーイーツ配達員の支援会社を立ち上げた(東京都目黒区)

 「当社の配達員は個人事業主です。損害保険はご自身で見つけてお入りください」。米ウーバーテクノロジーズの料理配送サービス、ウーバーイーツの配達員になった尾崎浩二さん(39)は昨年11月、東京都内の同社相談所でこう告げられた。

 「配達で人をひいてしまったら大変だ」。何社も保険会社を回ったが、個人事業主の業務に使える保険を自力で見つけるのに3カ月かかった。苦労の経験から尾崎さんは今年7月、配達員を支援する会社を自らの手で立ち上げることにした。200人以上の配達員を束ね、「団体で保険に加入できる仕組みを作ったり機動力を生かした仕事を融通したりしたい」。

 自由に働きたい個人が企業と契約しようとすると立場は弱くなりがち。公正取引委員会は8月、既存の労働法制では守れないフリーランスを独占禁止法で守る研究会を設けたが、結論を得るまで時間がかかりそうだ。

 育児の合間など、余裕のある時間だけ働くことを選択する人も増えている。ネット経由で仕事を受発注する「クラウドソーシング」の大手、ランサーズ(東京・渋谷)によると、現在、国内のフリーランスは1122万人。いずれ労働人口の半分を占めるとの試算もある。「働くということが企業から染み出している。シェア経済での働き方に合った制度を考えるときだ」(クラウドワークスの吉田浩一郎社長)

 様々な働き方が生まれ、自立した人と保護が必要な人はひとくくりにできなくなってきた面もある。フリーランスと企業の関係では関連業界による自主ルールづくりが先行するが、水町勇一郎・東京大学教授は「法的保護がないと救済手段もなくなる。実態に合った法改正も忘れてはならない」とくぎを刺す。

 15~64歳の生産年齢人口が毎年数十万人規模で減り続けるなか、日本が競争力を高めるには多様な働き方が必要。1つの企業に縛られず、自由な時間に能力を発揮したい全ての人の力を生かす仕組みが不可欠だ。古いルールのさびを落とし、時代に合う体系に進化させ続けなければならない。



FT米ロ大統領、共倒れか 非難と制裁招くロシアゲート 2017/9/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「[FT]米ロ大統領、共倒れか 非難と制裁招くロシアゲート」です。





 もし本当に、ロシアのプーチン大統領がトランプ氏の昨年の米大統領選挙における勝利を手助けしていたとすれば、それは情報工作による究極のクーデターだったと言える。しかしそれは、究極の「オウンゴール」だったのかもしれない。

 米政権に親ロ的な人物を送り込むことでプーチン政権への圧力緩和を狙った作戦は、逆に対ロシア制裁の強化を招いた。また、ロシア国内でもプーチン氏に対する政治的な風当たりが危険なほど強まっている。

 トランプ氏の側からみても、トランプ陣営が大統領選中にロシアと共謀していたとすれば、トランプ氏の勝利に寄与した可能性はあるものの、そのことはトランプ氏から大統領の座を奪う危険性もはらんでいる。

イラスト James Ferguson/Financial Times

 プーチン政権とトランプ陣営の親密な関係が、最終的に両大統領の政治生命に終止符を打つとしたら、それは奇妙なまでに皮肉な事態と言えよう。

 もちろん、ロシア政府もトランプ氏の熱烈な支持者たちも、そうした共謀関係を否定している。だが米国の複数の情報機関は、大統領選中に米民主党のメールサーバーがハッキングされた事件の背後にロシアがいたことを確信している。

 民主党から流出したメールが、僅差の選挙結果に影響を与えた可能性は高いと思われる。

■共和党支持に乗り換え

 筆者は昨年7月、最初にウィキリークスが流出メールを公開した時、翌日から民主党大会が開催されるフィラデルフィアにいた。公開されたメールから、民主党全国委員長を務めていたデビー・ワッサーマンシュルツ氏が、ヒラリー・クリントン氏の対立候補だったバーニー・サンダース氏を追い落とすことをひそかに画策していたことが明らかになり、同氏は辞任。当然、党大会は大混乱の中での開幕となった。

 サンダース氏の支持者らは、同氏が不当に扱われたことを確信した。そして、彼らが共和党支持に乗り換えたことがペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンなどの重要な州でトランプ氏が勝利を収めた要因となった。今では、ロシア側がフェイスブックやツイッターを利用して反クリントンのメッセージを拡散したことも判明している。

 トランプ氏は選挙運動中、一貫してロシア政府に好意的な姿勢を示していた。それが、思想的な動機からなのか、投資家としての考えからなのか、あるいは公にできない恥ずべき理由が何かあったのか、今なお明らかではない。

 いずれにせよ、ロシア政府と共謀していたのではないかとの疑惑から始まった一連の出来事は、トランプ氏を最終的に大統領の座から引きずり下ろすかもしれない。

 トランプ氏は、米連邦捜査局(FBI)が同氏のロシアとの接触について捜査を始めたことを警戒し、5月にFBIのコミー長官を解任した。だがこのことが、それまで特別検察官を任命してロシア介入疑惑を捜査することに慎重だった米議会などの反発を招き、モラー元FBI長官が特別検察官に任命され、トランプ氏とロシアの関係を捜査することになった。モラー氏は徹底した捜査を進めているため今後、複数が起訴され、辞職に追い込まれる可能性が高い。そうなれば議会が大統領の弾劾に動く可能性もあり、トランプ氏は失職するかもしれない。

■冷戦時代以来の厳しさ

 一方、プーチン氏側も、トランプ政権で最初の国家安全保障担当大統領補佐官を務めたフリン氏がロシア政府と接触していた事実を明かしていなかったために、トランプ氏が同氏を2月に解任せざるを得なくなった時点で、自らの賭けが裏目に出た可能性があることが明白になった。以来、トランプ氏がロシアを助けるために制裁緩和するのは政治的に不可能になった。それどころかロシアの介入疑惑は、制裁強化をもたらした。トランプ氏への不信感を募らせた米議会は、同氏の一存で制裁解除をできないようにもした。



京都市、民泊も課税 18年秋に1人1泊200〜1000円 2017/9/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「京都市、民泊も課税 18年秋に1人1泊200~1000円」です。





 京都市は来年10月の導入をめざす宿泊税の概要をまとめた。ホテルや旅館だけでなく民泊への宿泊者にも幅広く課税するのが特徴。税額は最高1000円と東京都などより高額にし、観光振興の財源を確保する。宿泊税を財源に観光客を呼び込むのは世界の潮流。観光政策で欧米に後れを取る日本にとって、国内随一の観光地の取り組みは観光立国の試金石になる。

 京都市の宿泊税は宿泊料金に応じて200円、500円、1000円の3段階。公平性の観点から宿泊料金にかかわらず、民泊を含む全施設の宿泊客に課税する一方、高い宿泊料金を支払う富裕層らは税額が大きくなる仕組みにした。税収は年間45億円超と東京都のほぼ2倍を見込む。

 京都市の観光客はこの12年間で1000万人増え、違法民泊や交通機関の混雑などの問題が市民生活に影響を及ぼしている。税収は観光振興に加え、交通網整備などにも充てる見通しだ。

 京都市では宿泊施設の不足を背景に民泊の存在感が増している。来年施行する住宅宿泊事業法(民泊法)は、新たに民泊を始める事業者の自治体への届け出を義務付け、宿泊税を徴収するのはこうした民泊事業者が対象になる。

 京都市が昨年公表した民泊などの仲介サイトの実態調査によると、サイトが仲介する宿泊施設の7割弱が無許可の民泊に該当したとしている。こうした民泊が宿泊税徴収を怠った場合、市はさかのぼって課税する構え。徴税漏れを避けるため、民泊の仲介サイトに徴収業務を委託することも検討する。

 東京都は現在、民泊に宿泊税を課していないが、8月の都税制調査会では「税の公平性の観点から考えれば、民泊も課税対象にすべきだ」との意見が目立った。ただ徴収方法など実務的な課題が多く、具体化はしていない。京都市の民泊課税がうまくいけば一つのモデルになり、各地に広がる可能性がある。

 欧米の観光先進地は宿泊税を徴収し、観光PRや景観保全の財源に充てている。パリやローマはホテルのランクなどに応じて課税している。税額が大きいのは文化財保護などに使っているローマで5つ星ホテルの場合、7ユーロ(約920円)。京都市の1000円はこれに近い水準になる。

 観光政策に詳しい京都府立大学の宗田好史副学長は「質の高い観光に財源の確保は必須で、観光先進国の欧米には宿泊税を設けているところが多い。受け入れ体制整備には1人あたり1000円程度は必要だ」と話している。



変わる金融の黒子たち(上)債権回収、企業再生担う利払い猶予や役員派 遣 2017/9/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の金融面にある「変わる金融の黒子たち(上)債権回収、企業再生担う利払い猶予や役員派遣」です。





 貸出債権を二束三文で買い取り、厳しい取り立てでサヤを抜く――。1990年代後半の金融危機時のイメージで「債権回収」という言葉を聞くと、苛烈な取り立てを思い起こしがちだが、実態は大きく変わっている。

資金の不安払拭

 「利払いをいったん止めますからまず納税しましょう」。あおぞら銀行傘下のあおぞら債権回収(あおぞらサービサー)の担当者はある宿泊施設の経営者に切り出した。同施設の債権を地方銀行から買い取ったのがあおぞらサービサー。銀行への利払いを優先し税金を滞納していた。施設を維持するために必要な修繕費用も思うようにひねり出せず、客足がさらに遠のく悪循環に陥っていた。

 そこで担当者が選んだのが利払いの猶予だ。経営者の資金繰りの不安を取り除いてあげれば本業に集中でき、業績の改善につながりやすくなる。本業支援のために人材も派遣する。「再生の近道になるなら我慢する」。あおぞらサービサーの新川洋司取締役は話す。

 一般的に債権回収業者(サービサー)に持ち込まれるのは、担保などを処分したうえで銀行がこれ以上、回収するのは難しいと判断した貸出債権だ。かつて銀行は貸出債権をひとまとめにして売却し、不良債権を処理してきた。ただ不良債権そのものが減っている。

 金融庁によると、2017年3月期の全国銀行の不良債権額は前年同期比8%減の7兆7240億円。過去最低を更新し続けており、5年間で34%も減った。案件の減少に伴い、債権回収業者も企業再生に軸足を移している。たとえば額面10億円の債権を3億円で購入。再生後に4億円の債権として銀行に譲り渡すビジネスだ。1億円がサービサーの利益になる。

 独立系の山田債権回収管理総合事務所(山田サービサー)も再生に力を入れる。同社が経営再建を主導したサービス業者は、もともと銀行が外資系ファンドに債権売却した取引先だ。余裕資金ができると返済への充当を強く求められ、先行きが見通せなかった。

3年で新規融資

 外資ファンドから債権を買い取った山田サービサーは返済条件を緩和。役員の派遣を含め徹底的に事業再生を進め、3年間で地域金融機関による新規融資にこぎ着けた。山田晃久社長は「我々は金融機関から再び融資を受けられるようになるまでのセットアッパー(中継ぎ役)だ」と話す。

 サービサーが再生を請け負うことで銀行にとっては正常先が増え、当事者の企業は債務を減らせる。サービサーも企業をよみがえらせれば利益を得られる。あおぞらサービサーの新川氏は「三方一両得」と表現する。債権回収の現場は企業の終わりではなく、再生の始まりに変わりつつある。

 金融危機から20年。不良債権時代の終わり、IT(情報技術)化の進展などで、金融の黒子たちの役割も変わってきた。その現場を追う。



インド、海洋戦略の要所 対中国で高まる重要度 2017/9/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「インド、海洋戦略の要所 対中国で高まる重要度」です。





 安倍晋三首相がインドとの関係を重視するのは、安全保障上の重要度が高まっているためだ。インドは日本のシーレーン(海上交通路)の要衝。中国の積極的な海洋進出をけん制するためには、インドとの連携は欠かせない。中国の軍拡や北朝鮮の挑発など、東アジアの安保環境は厳しさを増している。強固な日米同盟をさらに補完する狙いもある。

画像の拡大

 日本とインドは1年おきに首相が相互に訪問している。安倍首相がインドを訪れるのは、2012年末の第2次政権発足後、3回目となる。モディ首相との首脳会談は国際会議などを含めると既に10回目に達し、インド重視の姿勢は明らかだ。

 首相は16年、新たな海洋戦略として「自由で開かれたインド・太平洋戦略」を打ち出した。太平洋からインド洋までアジア、アフリカをまたぐ海域を「海洋の法の支配が及ぶ範囲」と位置づけ、シーレーンを確保する考えだ。中国は同海域で経済圏構想「一帯一路」を掲げ、海洋進出を積極化している。

 安倍首相が戦略を実現するには、アジアとインド洋沿岸諸国の結びつきを強めることが不可欠だ。インドのモディ首相が唱える東アジア重視戦略「アクト・イースト」とも共鳴する。インドにとっても、中国の海洋進出は脅威のため、日印で協力を深める方針だ。

 14日の首脳会談では、海上自衛隊とインド海軍による共同訓練の推進や防衛装備品の技術協力など安保分野での幅広い連携を確認する見通しだ。