Behind the Curtain 金融業務の舞台裏(中)電話応対競争力を左右複雑 な商品、工夫し説明 2017/7/6 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の金融面にある「Behind the Curtain 金融業務の舞台裏(中)電話応対競争力を左右複雑な商品、工夫し説明」です。





 振り込みから住宅ローンの相談まで、利用者の疑問や困り事に電話で応対するコールセンター。インターネットバンキングが普及し支店に足を運ぶ人が減少する一方、金融商品の中身が複雑になるなかで、店に出向かずすぐに疑問を尋ねられる「電話口のコンシェルジュ」の存在感が金融業界で増している。

2000ページのマニュアルから対応部分を探し出す(島根県出雲市のりそなグループカスタマーセンター)

 「ログインができないんだけど」。電話してきた男性客に「画面の右下にオレンジ色のボタンがございますね」と、女性社員がタブレットを片手に応じる。近くには顧客と同じ目線で対応できるよう、米アップルの「iPhone」をはじめ様々な機種のスマートフォン(スマホ)などが13台ずらりと並ぶ。

 りそなグループが2005年に島根県出雲市に設けたカスタマーセンターの風景だ。大阪と埼玉県にもセンターはあるが、ここは地元の誘致で実現した同社の中核施設。約200人のオペレーターがおり、開業時の3倍超に増えた。ほぼ全員をりそな銀行の契約社員として地元で採用している。

 顧客対応など「リテール力調査」でトップ3常連のりそな。働く世代など店の営業時間中に足を運べない顧客も多く、電話で24時間受け付けサービスを提供する。センターは問い合わせを受けるだけでなく、時に営業も支える。電話で投資信託などに興味を抱いた顧客を支店につなぐのは年間6千件にも上る。

 島根にはりそなの支店はなく、大半の人員は銀行業務の経験がない。曽田明美さん(52)もその一人。自動車販売店に20年以上勤めた後、09年に転じた。彼女たちが「銀行員超え」(りそな幹部)の知識を備えているのは、各自が自身で工夫を重ねているからだ。

 金融商品の概要や手続きなどをまとめた対応マニュアルは2000ページに及ぶ。だが社員一人ひとりが使い勝手がいいように分類し、付箋を貼ったりメモを書き込んだりして自分仕様に作り込む。毎月1~2時間は資料整理のために時間を割く。

 模範対応の文例も用意しているが、型だけでは終わらせない。「模範文例はあってないようなもの」(社員)。顧客の反応が良かった受け答えは全員で共有する。現場リーダーの足立真奈美さん(46)は「引き出しは多い方がいい」と話す。

 1日に受ける電話は1000件ほど。顧客の率直な声を聞くため、りそなホールディングスの東和浩社長も年に1回は訪れる。昨秋始めたATMでキャッシュカードの磁気不良を即時修復できるサービスは、センターに「磁気カードが使えない」という問い合わせが多いことから生まれた。

 金融機関にとって問い合わせ対応の充実は顧客満足度に直結する。三井住友銀行は15年に、りそなは3月に、サービスの迅速性や正確さなどが評価されるコールセンター業務の国際品質規格「COPC」を取得した。スマホで完結するローン申し込みなどサービスが店頭の枠を超えるなか、コールセンターの実力は金融機関の競争力をも左右する。

(大島有美子)



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