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The Economist トランプ氏の危うい対ロ外交 2017/2/14 本日の日 本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のグローバルBiz面にある「The Economist トランプ氏の危うい対ロ外交 」です。





 米国のブッシュ元大統領はロシアのプーチン大統領の目をのぞき込み、プーチン氏の人間性がわかったと思った。それは思い違いだった。オバマ前大統領は冷え込んだ米ロ関係を「リセット」しようとしたが、ロシアはクリミアを編入したばかりか、ウクライナ東部などで紛争を引き起こし、シリアでは米国が中東への関与を減らそうとして生じた力の空白を埋めた。トランプ新大統領はブッシュ、オバマ両氏より踏み込み、戦略的にロシアと全く新しい協力関係を築こうとしているように見える。成功するだろうか。それとも両氏のように、プーチン氏に出し抜かれてしまうのか。

■プーチン氏へくすぶる親愛の情

 トランプ氏が考える協力関係はまだ詳細がわからず、どのようなものにも変わり得る。これは側近の間で意見が割れているためでもある。ヘイリー米国連大使はウクライナでの「ロシアの攻撃的行動に対する明確で強い非難」を表明したが、トランプ氏のプーチン氏への親愛の情はくすぶり続けている。今月初め、米フォックス・ニュースの番組で、司会者がトランプ氏にプーチン氏は「人殺しだ」と言うと、トランプ氏は「人殺しはたくさんいる。我々の国がそんなに潔白だと思っているのか」と切り返した。

プーチン氏と重要な取引をしようというのはまさに妄想だ=ロイター

 米大統領が自国をロシアと同じくらい残忍だと示唆するのは前代未聞で、ロシア政府の情報工作員を喜ばせるだけだ。トランプ氏がプーチン氏は米国のためになることを色々してくれると考えるのはロシアの力と国益だけでなく、米国が代わりに失うかもしれないものの価値をも読み違えている。

 トランプ氏周辺から聞こえてくる話からすると、ロシアに対するシナリオは次のようなものだ。米国は「イスラム過激派によるテロ」、とりわけ過激派組織「イスラム国」(IS)の撲滅のためにロシアと手を組む。するとロシアは、中東での米国の宿敵で、バーレーンやサウジアラビアなど米国の同盟国にとっても脅威であるイランとの協力関係を断つことに応じる。欧州では、ウクライナでの紛争をあおるのをやめ、近隣の北大西洋条約機構(NATO)加盟国を威嚇しないことに同意し、ことによると核軍縮交渉にも入る。

■対イラン・中国、全く異なる国益

 長期的には、米ロ関係が緊密になれば、中国の勢力拡大を抑えられる可能性もある。トランプ氏の顧問の中で最も警戒すべきバノン首席戦略官・上級顧問は昨年、「5年か10年のうちに我々は間違いなく南シナ海で戦争することになる」と述べた。そうなれば米国には同盟国が必要で、ロシアは中国と4200キロにわたって国境を接する核大国だ。米国にとって、ロシアほど組むのにいい相手はいないというわけだ。

 しかし、この理屈は間違っている。ロシアによるハッキングは米大統領選でトランプ氏に有利に働いたかもしれないが、だからといってプーチン氏を信頼していいことにはならない。ロシアと米国では国益が全く異なるからだ。

 一例を挙げれば、プーチン氏はシリアでISのテロリストと戦っていると言い立てているが、実際は真剣に戦おうとはしていない。プーチン氏は米国に協力する見返りとして、シリアのアサド大統領を支えることでロシア軍が中東に恒久的に駐留できるようになることを望んでいるのかもしれない。



ダイソン、次はEV参入? 電池技術に力 2016/10/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のグローバルBiz面にある「ダイソン、次はEV参入? 電池技術に力」です。





 電気自動車(EV)市場に新たな有力プレーヤーが登場する可能性が出てきた。英家電大手のダイソンだ。実現すれば独創的な商品で事業を拡大する米テスラモーターズのライバルになりそうだ。主力商品の掃除機や空気清浄機で常識を打ち破り、新市場を切り開いたダイソンの次の一手に注目が集まる。

 ダイソンが本社を置く英南部マルムズベリー。ロンドンから電車と車を乗り継いで2時間ほどの田園地帯にあり、大学キャンパスのような自由な雰囲気が漂う。9月中旬、本社敷地内に2億5000万ポンド(320億円)を投資し、研究開発拠点を新設した。約30のプロジェクトが進むが、実態はベールに包まれる。

 その一端が見えたのが今年3月。ダイソンの「秘密計画」を英政府が誤って公開する騒ぎがあった。政府はインフラ整備計画の一環で、ダイソンの電池技術の開発に1600万ポンドを支援する方針。当初開示した説明資料には「新しい電池を用いたEVの開発」と書かれていた。政府はすぐ資料を差し替えたが、ダイソンがEVに進出するとの観測が強まった。

 マックス・コンツ最高経営責任者(CEO)にEV参入の可能性について聞くと「驚かせたい」と述べた。「電池技術で新たな飛躍を目指したい」とも話している。主力商品のコードレス掃除機は電池が性能を左右する。EVも同様だ。電池の性能を磨き上げればEVでも強みを発揮することができる。

 電池分野での動きは活発だ。昨年10月、9000万ドルで米新興企業のサクティー3を買収した。固体電池と呼ばれる次世代電池を開発しており、実用化すればリチウムイオン電池を大幅に上回る出力が可能。今後5年間で電池の技術開発に10億ポンドを投資する計画だ。

 EVは世界の自動車大手が力を入れる。燃費規制の強化を背景に欧州車大手はEVシフトが鮮明だ。新規参入企業も目立つ。テスラは電池も生産し、自動運転や斬新なデザインといった強みを生かして事業を拡大している。ダイソンは同社の他の商品同様、EVでも常識を覆すようなデザインや機能で挑むとみられている。

 これまでも同社ならではの商品で市場を切り開いてきた。2015年の売上高は前年比26%増の17億4000万ポンドと過去最高。掃除機や空気清浄機だけでなく、新しく発売した商品も売れ行きは予想以上という。

 4月に世界に先駆けて日本で先行発売したヘアドライヤー「スーパーソニック」もその一つ。モーターはドライヤーの持ち手の中に収まるほど小さいのに高出力で、短時間で髪を乾かせる。音も小さく、電話をしながらでも使える。あらゆる髪質に対応するため、毛髪の研究から取り組んだ。プロの美容師にも実験に協力してもらい、従来製品の「問題を根本的に解決すること」(コンツCEO)に力を注いだ。

 開発力を支えるのが若いエンジニア集団だ。平均年齢は26歳。今後5年間で3000人のエンジニアを世界で採用する予定。コンツCEOは開発に成功する秘訣を「若さを保つこと」という。研究開発の中心にデザインを置き、創業者のジェームズ・ダイソン氏が若い技術者と直接話し合いながら新しい発想をすぐ形にする仕組みがある。

 満を持して投入したが失敗に終わった洗濯機のようなケースもある。だが、失敗を恐れずに、新規参入市場で「リーダーになる」(コンツCEO)ことを常に目指している。株式を公開せず家族所有を続けていることも、果敢な投資を可能にする要因になっている。



南シナ海・鉄鋼巡り応酬 米中戦略対話 温暖化対策は協調 2016/06/07 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のグローバルBiz面にある「南シナ海・鉄鋼巡り応酬 米中戦略対話 温暖化対策は協調」です。





 【北京=原田逸策】米中が安全保障や経済の懸案を話し合う戦略・経済対話は6日、1日目の討議を終えた。南シナ海問題や中国の鉄鋼の過剰生産などでは双方が激しく応酬した。世界的な課題である地球温暖化対策を巡っては協調することで一致した。

 AP通信によると、ケリー米国務長官は開幕式の演説で南シナ海問題に関して「一方的な行動ではなく、法律や交渉、外交を通じて解決すべきだ」と中国に呼びかけた。一方、中国側は楊潔篪国務委員が、南シナ海問題における米国の介入を念頭に「当事者間の協議を通じた解決」を目指す方針を強調し、双方の主張の違いが改めて浮き彫りになった。

 またケリー氏は北朝鮮の核・ミサイル問題で「米中が対北朝鮮で足並みをそろえなければいけない」と述べ、挑発行動を続ける北朝鮮への圧力で中国の協力を求めた。

 経済分野で最大の焦点となる中国の過剰生産を巡っては、ルー米財務長官が「中国の鉄鋼やアルミニウムの減産が国際市況の安定に欠かせない」と減産を要請した。これに対し中国の楼継偉財政相は「金融危機後に中国が設備投資をしたときは世界は歓迎した」と批判するなど意見が対立した。

 ルー氏は開幕式での講演で「米国は中国が過剰生産能力と過剰債務を減らすのを支援したい。過剰生産能力は世界の市場をゆがめ、傷つける」と表明。経済討議の冒頭でも「(生産能力削減などを盛った)第13次5カ年計画はうまく実行されてはじめて効果が出る。計画をどう実行するかもっと聞きたい」と生産能力の削減を強く迫った。

 一方、楼氏は6日午後の記者会見で「いまの過剰生産能力は2008年の金融危機後に積み上がった。危機後の09~11年の世界の経済成長への中国の貢献は50%。大半は投資拡大によるもので当然、原料として鉄鋼を生産した」と指摘。「当時、世界中が中国に感謝した。米『タイム』誌の表紙は中国の農民工だった」と述べた。

 ルー氏がいらだつのは、習近平指導部が鉄鋼や石炭の減産や設備廃棄を度々打ち出す割に、実行が伴わないためだ。中国の4月の粗鋼生産量は6942万トンで1日平均の生産量は過去最高水準。鋼材の輸出量も4月は前年同月比6%増の908万トンで、鋼材1トンあたりの輸出単価は487ドル(約5万2千円)と同2割安い。中国の鉄鋼製品の海外への安値攻勢は変わっていない。

 意見対立が目立つ中、地球温暖化対策の国際的な新枠組み「パリ協定」の発効に向けて米中が協力することでは一致した。

 ケリー氏は環境問題への対応が「米中関係の最も大きな柱の一つだ」とも述べ、意見の違いが比較的目立たない分野では協調を演出した。



GLOBAL EYE スタバ「仕事帰り」戦略 次の成長、ワインでつかむ 2016/03/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のグローバルBiz面にある「GLOBAL EYE スタバ「仕事帰り」戦略 次の成長、ワインでつかむ」です。





 コーヒーからワインへ――。米コーヒーチェーン大手のスターバックスが「帰りがけの一杯」の需要取り込みを進めている。アルコールも提供する店舗の展開を米本国で加速している。ひととおりの出店を終えた先進国市場での次の成長の芽に育てようと、英国に続き30日に日本に海外2番目となる店を開く。競合の激しい「酒場」市場でも「スタバ」ブランドを確立できるのか。

ワインや地ビールを提供する「イブニングス」(米シアトル)

 「仕事帰りにふらっとワインを飲みに来るのが楽しみ」。ジョセフ・テージャスさん(36)は週に3~4回、米西海岸のシアトル市内のアルコールも提供する「スターバックス・イブニングス」を訪れる。時には1人でリラックスしに、あるときは同僚や友人との会話を楽しみに来る「最も好きな場所の一つ」だ。

 スタバは2010年から「イブニングス」の展開を始めた。全米の約1万2700店のうち、イブニングスを約300店にまで増やした。年内にさらに100店を出す計画を持つ。

 通常の店舗と同様、コーヒーやラテも提供するが、目玉はアルコールだ。メニューには500種類から選び抜いたという10種類のワイン、200~300種類からよりすぐった5種類の地ビールが並ぶ。料金もワインは7ドル(約800円)から、地ビールは4ドルからと、米国の大都市では比較的手ごろな設定だ。

 スパークリングワインに合うトリュフ味のポップコーン、赤ワインに組み合わせるマカロニ・チーズなど飲み物が主役となるつまみもそろえた。

 イブニングスワイン・地ビール担当ブランドマネジャーのダニエル・エックマン氏は「一日の休息時間に、コーヒーの代わりに手軽にワインを楽しめる第3の場所」と位置づける。

 スタバの15年9月期の売上高は前期比17%増の191億6270万ドルと好調だ。最大市場の米国が順調なうえ、中国での展開が加速している。

 「中国は世界で最も重要かつ成功している市場の一つで、いつか米国をしのぐだろう」と、ハワード・シュルツ最高経営責任者(CEO)は中国事業の成長に期待を寄せる。中国では現在約2千店を展開し、今後5年間は年500店のペースで新規出店する計画だ。

 かたや北米など先進国の成熟市場ではひととおりの店舗展開を終えた。さらなる事業拡大に向けアルコールの提供でコーヒー以外の需要開拓をすることにした。海外展開も進め、30日に東京・丸の内に新店を開く。海外では英国に続く2店目でアジアでは初となる。

 日本では働く女性が仕事帰りに立ち寄れる店として展開する。ハウスワインは1杯850円で提供する。日本の外食チェーンでサラリーマン向けの「ちょい飲み」サービスが広がる中、「気分転換の一杯」という文化を女性にも植え付けられるかどうかがカギとなりそうだ。

 地方の小さなコーヒーショップから始まり、今や世界70カ国で2万4000店近くを構えるグローバル企業に成長したスタバ。そのサクセスストーリーに新たな1章が加わるのだろうか。

(シアトルで、高橋里奈)