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ミドル世代、転職の心得 減収覚悟、2年分貯蓄で準備 2017/9/9 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「ミドル世代、転職の心得 減収覚悟、2年分貯蓄で準備」です。





 35~40歳代のミドル世代の転職機会が広がっている。海外事業などに対応する人材需要が企業側で旺盛なためだ。ただし転職はリスクを伴う。住宅ローンなどの負担が大きいミドル世代が転職を考える際の留意点をまとめた。

「35歳の壁」崩れる

 「中小企業の経営企画部門で仕事のやりがいを見つけ、増収にもなった」。千葉県に住む43歳の会社員は話す。2012年、金融業界から生活用品メーカーに転職。約10年勤めた大手での実務経験が重宝されているという。小学生2人の子どもの教育費負担はこれからが正念場。「会社の業績を上げ、今後の収入増にもつなげたい」と意欲的だ。

 ミドル世代を中途採用する企業は増えている。転職仲介大手3社によると、36歳以上で転職した人の数はここ数年増加。年齢別に見た比率も上昇傾向にある(図A)。「転職が難しくなるといわれた『35歳の壁』はほぼ崩れた」(転職仲介のエン・ジャパン)との声もある。

 ただし、中高年ならではの難しさもある。転職では収入アップを望みがちだが、本人が思う以上に高い専門性や能力を企業から求められやすい(図B)。ミスマッチが生じ、「転職前より50万~100万円低い年収で妥協せざるを得ないことも多い」(大手仲介会社)という。

 減収リスクに備えるために転職前に「向こう2年間くらいの減収分を貯蓄で賄えるようにしておきたい」(リクルートエグゼクティブエージェントの森本千賀子氏)。転職を4回して現在は米金融機関ステート・ストリートに勤める金野真弓さんは「早くから資産運用をして貯蓄に余裕があったことで転職に踏み切りやすかった」と話す。

 高年齢で転職を考えるなら60歳以降の年収も意識しておきたい。一般に定年以降、嘱託などで働く場合、給与水準は大きく下がる。転職後に減収となれば影響はなおさら大きい。ただ、最近は定年を65歳まで延ばし、一定の給与水準を維持する企業もある。そうした企業に転職すれば「一時的に年収が下がっても65歳までの合計収入は増えることがある」(ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏)。

 もう一つ考えたいのが就労が続かないリスクだ。転職先の企業文化に合わないといった理由からだ。社会保険労務士の池田直子氏は「大手企業から中小への転職でなじめず行き詰まる場合も少なくない」という。ジェイエイシーリクルートメントの松園健社長によると、「同じ企業でも複数部門、出向などの経験が豊富な人ほど変化に対応する能力は高い」。従来のやり方に固執する人は不向きという。

住宅ローンに影響

 厚待遇を条件に転職するケースも注意が必要だ。例えば新規事業の立ち上げに必要な経験者として部長ポスト、高年収でスカウトされるような場合だ。契約時に同意した業務の目標に遠く及ばず、成果を上げられないと退職に追い込まれかねない。一般的な会社員に比べて解雇が正当化されやすい点は認識したい。

 住宅ローンを組む予定がある人も要注意。銀行によっては転職の経験者は今後も転職する可能性があり、収入が不安定だとみなす場合がある。信用力が低下すれば借り入れ条件は悪化する。「可能なら転職前に借り入れておくのが理想」(住宅ローンコンサルティングのMFS)。転職は家計への影響をしっかり見極めて考えたい。

(南毅)



毎月分配は長期に不向きイデア・ファンド・コンサルティング社長 吉井崇裕さん 2017/1/7 本日の日本経済新聞より

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 毎月分配型の投信は長期投資に向いていません。投資元本を取り崩して分配金の原資にしている場合は元本が毎月小さくなり、複利効果が働かないからです。運用収益を原資にしている場合でも、その都度課税されるのがデメリットです。投信の月次報告書には投資対象の利回りが載っています。例えば米国REITは現在、年率4%ほどです。これを大きく上回る分配金を出すファンドは常識的に考えて長続きしにくく、分配金もいずれ下げざるを得なくなる可能性があります。

 高齢者を中心にお金を運用しながら取り崩して生活費に充てるニーズがあるのは事実です。生活費のための取り崩しが必要なら、毎月決算型ではなく年1回決算のファンドを選び、自分の判断で少しずつ定期的に解約して換金することを勧めます。

(聞き手は表悟志)



マネー研究所セレクション 相続税対策で賃貸経営 家賃保証の更新も考慮して 2016/10/19 本日の日本経済新聞より

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 賃貸アパート建築は相続対策上、有利であることが知られています。例えば、相続税上の評価額が5000万円の更地を考えてみましょう。

1都3県では空室率が上昇している

 この土地にアパートを建築して賃貸すると、相続税上の評価額は約2割減額され約4000万円に下がります。建築費を4000万円とし、これを借り入れると土地建物の相続税上の合計評価額は約2000万円(土地評価額4000万円+建物評価額2000万円-借入金4000万円)と、更地よりも3000万円下がります。

 2015年1月以降の相続増税と超低金利の影響で、アパートを建築する人が増えています。しかし、アパート経営には3つの注意点があります。

 まず、15年6月以降、1都3県(千葉・埼玉・神奈川)の空室率が急増しています。今後はこれまで以上に家賃の下落リスクが高まるでしょうし、人口減少の影響も考えておくべきです。

 「30年間、業者が家賃保証をしてくれるから大丈夫」という話も聞きますが、家賃保証は一般に2年ごとの更新で貸主と借り主(保証する側)の合意が更新の条件となっていることが多くあります。家賃相場が大きく下がれば、借り主は従前の家賃水準で合意するはずはなく、結果として家賃保証を終了するか、保証家賃水準を下げるかの選択を迫られます。

 また、賃貸アパートを借入金で建築する際の注意点もあります。元利均等返済を選択すると、返済当初は返済額のうちの多くが金利で、次第に元本の割合が大きくなっていきます。

 このとき注意したいのが、金利の支払いが減少すると、逆に現金収支が悪化する点です。賃貸事業にかかる所得税を計算する際、金利は賃料収入から引き算できます。当初は所得税が少なくなりますが、返済が進むと所得から差し引ける金利分が減り、税金が膨らんでいきます。

 減価償却費にも留意しましょう。減価償却費とは建物や設備の購入金額を資産として計上した上で、その金額を資産の耐用年数にわたって毎年費用として収入から控除できるものです。

 通常、減価償却では建物と設備に分けて償却をします。例えば建物が鉄筋コンクリート造なら建物の耐用年数は47年、設備は一般に15年ですから、16年目以降の減価償却費は大きく減少し、現金収支が悪化します。

 以上のように、賃貸アパート経営は15年ぐらいたつと、(1)家賃が下がっている可能性がある(2)金利支払いの減少に伴い、現金収支が悪化する(3)減価償却費が減少する――という状況を考えておく必要があります。

 実際、賃貸経営には16年目以降に現金収支が赤字となった事例が多々ありますし、筆者が相談を受けた中には、35年間の収支の累計もマイナスになるものさえ散見されます。

 賃貸経営はこれらの注意点を踏まえ、無理な借り入れになっていないか、建築コストをかけすぎていないかなどをチェックし、長期的な収支をシミュレーションしておくことが大切です。

(不動産コンサルタント 田中 歩)



FX リスク回避強まる 高金利通貨より米ドル 2016/10/12 本日の日本経済新聞より

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 「ミセス・ワタナベ」とも称される外国為替証拠金(FX)取引を手掛ける日本の個人投資家。リスクのある高金利通貨を買って利ざやなどを狙うというこれまでの取引姿勢に変化がみられる。金融市場での不透明感の高まりや、不安定な国際政治情勢などを背景に、コツコツと利益を稼ごうとする傾向が足元で強まってきている。

 「高金利通貨を安いときに買って2~3年保有して、相場が上昇してから売るのが鉄則」(横浜市在住の60代男性)。FX取引では高金利通貨を持っていると、日本との金利差を運用益として受け取れる仕組みがある。以前は国内外の金利差である利ざやと、円と外貨の為替水準の差である値ざやの両方を狙う個人投資家が多かった。このため「円売り・外貨買い」や相場の流れに逆らう「逆張り」が取引の主流だった。「従来は円相場が上昇する局面で、トルコリラや南アフリカランドなどの高金利通貨の持ち高が増える傾向にあった」(セントラル短資FXの伊藤雅博営業企画部長)という。

 トルコ中央銀行が定める主要な政策金利(翌日物貸出金利)は現在8.25%。7カ月連続で利下げに踏み切っているものの、政策金利の一部をマイナスにしている日銀や欧州中央銀行(ECB)に比べるとかなり高い。南アフリカも7.0%と高水準にあり、手数料などを勘案しても魅力的に映る。

 

不透明な米政策

 ただ、かつての「ミセス・ワタナベ」像は変わりつつある。英国が6月23日の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決定。これをきっかけに「個人投資家がリスクへの意識を強めるようになった」(伊藤氏)。顕著な動きは高金利通貨よりも米ドルを中心とした取引の割合が増えてきていることだ。通貨ペアごとの取引量をみると、もともとドル・円は主流だが、足元ではさらにその割合が上昇。逆にトルコリラや南アフリカランドなどと円の取引では人気にやや陰りが出始めている。背景には新興国からの資金流出懸念や地政学リスクの高まりがあるとみられる。

 金融市場では米国の金融政策の先行きに焦点が当たっている。米連邦準備理事会(FRB)は金融緩和の出口戦略として早期の米利上げを目指している。FRBが米利上げに踏み切ると、米国に資金が向かうとの連想から世界的にドル高が進みやすくなる。新興国からは資金が流出し、景気減速や金融の不安定化につながりかねないとの見方が出ている。

 昨年12月にFRBが利上げを実施した際には、新興国の金融市場で投資家がリスクを回避しようとする姿勢を強め、実体経済にも影響を与えた。

 過去の米利上げ局面ではアジア通貨危機などが起こった経験もあり、新興国通貨には逆風が吹きやすい状況にある。

 新興国では経済の不透明感に加え、一部の国では政情不安も強まっている。トルコでは7月、軍事クーデター未遂が発生した。これを受けて米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスなどがトルコ国債の格付けを引き下げ、同国の通貨リラが大幅に売られた。

 8月には南アフリカで過去の不正疑惑を巡って同国の財務相が出頭命令を受けた。メキシコでも米共和党の大統領候補のトランプ氏との会談を調整した責任を取って財務相が辞任したことをきっかけに通貨ペソが下落した。

 こうした状況を受けて個人投資家の安全志向は以前より強まっている。とはいえ、完全にFX取引での投資意欲を失ったわけでもない。日本国内では日銀が今年1月に導入を決めたマイナス金利政策の影響もあり、金利水準は一段と低下している。銀行や生損保だけでなく「個人投資家も運用難に苦しんでいる」(岡三オンライン証券の武部力也投資情報部長)というのが実情だ。

 

サイクル短く

 収益源を容易には見いだしにくくなっているなかで、トルコリラや南アフリカランドをはじめとする高金利通貨への投資をあきらめない個人投資家もいる。ただし従来から投資手法は変わってきている。

 まず、これまでの相場の流れに逆らう「逆張り」から、最近では上昇している通貨を買う「順張り」が増えている。こうした順張りの取引では「(通貨を)買ったら買いっぱなしにせず、潮目が来たらすぐに手放す動きが出始めている」(武部氏)という。このため、利益や損失を確定させるサイクルを短くする傾向が出てきている。

 自分自身の取るリスクが小さくなれば、得られる収益もその分限られてくるのが世の常。ただ、それを加味したうえでも、何とか利益を増やしたいと考える個人投資家は少なくない。

 当面、市場の関心を集めているのは11月8日に控える米大統領選とFRBによる年内米利上げの有無だ。米国のみならず世界経済への影響が大きい二大イベントのリスクに備えて、個人投資家の間でも持ち高を減らす動きが加速する可能性もある。

 2016年は申(さる)年、翌17年は酉(とり)年。両年とも「騒ぐ年」とされ、相場が荒れやすくなるという格言がある。金融市場で不透明感が強まるなか、FXをはじめ投資に臨む際には考えられるだけのリスクをあらかじめ想定しておくことが大切といえる。

(生田弦己)



金融アイテムレビュー 国内REIT型投信 多彩に 運用コスト 低水準に 2016/10/08 本日の日本経済新聞より

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 国内の不動産投資信託(REIT)に投資する「REIT型投信」への関心が高まっている。債券などリスクを抑えた運用商品の利回りが低下するなかで、相対的に高い利回りを確保できるのが魅力だ。9月に手数料が安い投信が相次ぎ設定されるなど、商品の選択肢も広がりつつある。

 REITはそれ自体が複数の不動産に分散投資をする。ただ、REITによって投資する不動産の用途や地域などには偏りがある。投資に必要な資金が10万円を超える銘柄も多い。投信なら広くREITに投資したのと同様の運用成果が得られるほか、数千円といった少額から投資できる。

 9月に設定されたのは東証REIT指数(配当込み)に連動した運用成績を目指す「インデックス型」と呼ばれる投信だ。個別のREITに比べて値動きは小さく、短期間で大きな収益を得るのは難しいものの、手数料など利用者側のコストは抑えられる。

 三井住友アセットマネジメントの「三井住友・DC日本リートインデックスファンド」は信託報酬が業界最低水準の0.2808%(税込み)で販売手数料はゼロとしている。大和証券投資信託委託の「iFree J―REITインデックス」も販売手数料なしで購入できる。

 一方でファンドマネジャーが投資するREITを厳選し、指数を上回る運用成績を目指すアクティブ型の投信も人気がある。

 三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用する「J―REIT・リサーチ・オープン」は、組み入れ上位に「総合型」のREITが並ぶ。REITはオフィスビルや商業施設など、物件の用途により値動きが異なるが、複数の種類に投資する総合型は比較的値動きが安定している。

 三菱UFJ国際投信の「三菱UFJ Jリートオープン」はオフィスビルに投資するREITの組み入れ比率が高い。一般に景気が良くなると、オフィス向けREITは値上がりしやすい。

 アクティブ型は信託報酬が1%を超えるなど、インデックス型に比べて運用コストは高めだ。実際に投資する際には、目指す運用成績と手数料を確認したい。運用する資産が大きい場合などは、直接REITに投資をしたほうが手数料を払わない分、効率良く運用できるとも考えられる。



税務当局、監視一段と厳しく 国外財産報告の義務 国内では「名義預金」 2016/09/21 本日の日本経済新聞より

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 税務当局が国外所得や相続財産の申告漏れの把握に一段と力を入れている。申告義務があるのに国外所得・財産を隠す人が依然多いほか、親が子供などの口座を借用して預金し相続財産を減らす「名義預金」が目立つからだ。質問文書「お尋ね」の送付を増やしたり調査対象者への聴取を強化したりするなど、あの手この手を駆使する。税務署から指摘されやすい点や対処法を探った。

 「国外財産調書の提出が必要だと思われるので出してほしい」。東京都に住む会社経営者Aさん(58)は、自宅に送られてきた税務署からの封書を読んで、はっとした。税務署に指摘されたとおり、調書の提出を怠っていたからだ。

 国外財産調書とは、日本国外に多額の財産を持つ人に提出が義務付けられている書類(図A)。年末時点で円換算額が5000万円を超えていると、翌3月15日までに詳細を税務署に申し出なければならず、罰則規定もある。

 国外にある預金や有価証券から生じる利子や配当、売却益といった所得は申告漏れが多く、2013年末分から導入された。国外取引をしていた人が指摘された申告漏れは、所得税全体の申告漏れの平均金額を大きく上回る(図B)。

 

金融機関が報告

 Aさんが国外に多額の財産を保有することを、税務署はどうやって把握したのだろう。答えは簡単だ。Aさんが預金口座を開いている銀行が、取引記録を税務署に通知していたからだ。

 1回当たり100万円を超える額を国外に送金するか、国外からの入金があると、その記録を金融機関は「国外送金等調書」の形にして税務署に送る。年間の提出件数は600万強。Aさんも数年間にわたり何度も高額の送金をしていた。

 義務がありながら提出を怠る人には監視の目が厳しくなっている。気配を察知した税務署が最近よくとる手が「お尋ね」の送付だ。納税者に事実関係を確認するための文書で、Aさんが受け取ったのもこれだ。

 公正な申告を促す意図が込められた任意の文書であり、返答義務がないために放置する人もいるという。しかし、「甘く考えると大変な目に遭うことがある」と、元特別国税調査官で税理士の岡田俊明氏は話す。

 「回答しない場合、税務署が直ちに正式な税務調査に入るケースが目立つ」(岡田氏)というのだ。税務署員が家に出向くなどして進める税務調査は、いったん始まると、後でいくら自主的に修正申告をしようが原則、加算税を課される。

 「国外送金等調書に基づいてお尋ねが作成されるのが最近の流れになっている」(元仙台国税局長の川田剛氏)。今年初めに「パナマ文書」をきっかけに各国で次々と明らかになった租税回避地を使った課税逃れの動き。目を光らせるのは日本も例外ではない。

 国外財産と並び、「税務調査が一段と厳しくなっているのが相続関連」(ランドマーク税理士法人代表税理士の清田幸弘氏)だ。

 「まるで被疑者として取り調べを受けているような気分だった」。千葉県に住む会社員Bさん(45)は今年5月に受けた税務調査の様子を打ち明ける。14年3月に父を亡くし、翌年1月に相続税の申告をした。

 「名義預金がありますね」。税務署員はおもむろに聞いた。親が子どもらの名義口座を使ってためていた「名義預金」は本来、相続財産として申告しなければならない。税務署は預金口座の入出金の状況をさかのぼって調べ、痕跡を探す。

 ただ資金の移動が現金によるものであったりすると決め手に欠く。そこで最近目立つのが相続した子どもに「証言」させる手。例えば「私名義の口座の存在自体知らなかった」などと語ってもらう。名義人自身が知らなかったのなら、それは名義預金に他ならない。

 

目立つ「現預金」

 証言記録は「質問応答記録書」という。以前は「聴取書」といわれ、仮装や隠蔽に対して重加算税を課す目的でとる手立てだったが、「最近はさほど悪質とは思えない案件にも広がっている」と相続税に詳しい阿保秋声税理士は言う。

 Bさんのケースも同様。口座の存在や入金の事実を知らず、取引印は親が自身の口座用に使っていたのと同一だった。Bさんは記録書への署名・押印を求められた。「強引ともいえる調べ方が今後広がるのでは」とみる税理士は多い。

 過去に申告漏れの対象になった相続財産の内訳を見ると「現預金」が目立つ(図C)。多くは名義預金とみられる。15年から相続税の基礎控除が大幅縮小され、課税対象者が広がったことで名義預金は富裕層だけの問題ではなくなっている。15年以降に起きた相続で税務調査が入るとすると「早ければ年内から」(税理士の藤曲武美氏)だ。

 相続税関連で税務署が重点的に調べる内容を図Dに示した。例えば預貯金の相続額を正確に申告しない場合。死亡時点の残高を書く必要があるが、生前の入院費や葬祭費を親の口座から支払い、その後の残高を申告するケースが多い。

 死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を超える部分を申告せずに指摘されることもある。自宅敷地の評価額を80%減らせる小規模宅地の特例について条件を満たしていない例も目立つという。

(M&I編集長 後藤直久)



投信トレンド 海外REITファンド人気続く 個人の高利回り志向映す 2016/09/17 本日の日本経済新聞より

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 海外の不動産投資信託(REIT)で運用する投信への資金流入が活発化している。QUICK資産運用研究所によると、設定額から解約額を差し引いた資金流入額は8月に2937億円となり、統計を取り始めた2014年9月以来で最大となった。流入は21カ月連続。低金利を背景に、少しでも高い利回りを求める個人の資金が向かった。

 投信市場で個人マネーは海外REITのほか、国内REIT、海外の先進国債券などへと向かう一方で、先行き不透明感が強く、価格変動リスクが相対的に高い国内株式や海外の先進国株式からは流出した。

 海外REIT型投信の1年間のリターンは2.55%。国内外の株式や海外の債券で運用する投信の成績が水面下に沈む中では堅調さが目立つ。一方、8月月間のリターンは2.13%のマイナスだった。海外REIT型投信の主な投資先は米国REITで、米利上げ観測を背景に米REIT相場が軟調に推移したことが響いた。足元の運用成績は悪化したが、米景気拡大による不動産市況の改善期待は根強く、購入に動く個人が増えたとの見方が多い。

 8月1カ月間の資金流入額首位は「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」で、1093億円の流入超だった。米国上場のREITで運用しており、8月は基準価格(分配金再投資後)は下がったが「長期目線の個人が投資機会と捉えて買いを入れたようだ」(フィデリティ投信商品マーケティング部)。このほか「新光US―REITオープン」(新光投信)や「ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)」(日興アセットマネジメント)への流入も目立った。

 資産分類別で流出額が最も大きかったのが国内株式で、459億円の流出超となった。日経平均株価は上値の重い展開が続き、資金が流出した。海外の先進国株式も小幅な流出超となる一方、新興国株式は14カ月ぶりに流入超に転じた。資源価格の持ち直しで新興国株不安が後退。「先進国に比べて高い経済成長が期待できるとして、見直す動きが出た」(ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏)ようだ。

 投信の流出入額などを把握することで、個人マネーの行方を探ります。

(日経QUICKニュース)



不動産投資、民泊に期待 賃貸より高利回り狙う 2016/09/07 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「不動産投資、民泊に期待 賃貸より高利回り狙う」です。





 個人の不動産投資が活況だ。中でも、マンションや住宅などの投資物件に国内外の観光客らを有料で泊める「民泊」への関心は高い。高い収益が期待できるうえ、相続税などの節税メリットも受けやすいからだ。一方、政府・自治体はガイドラインを設けており、民泊ならではの高いコストやノウハウの難しさも潜む。

 「日本にいながら多様な文化に触れられるのが魅力」。東京都内の主婦、佐藤良子さん(仮名、30代)は、顔をほころばせる。民泊仲介サイトの米Airbnb(エアビーアンドビー)を通じて、自宅の空き部屋3室のうち1室を貸し出す。欧米、アジアの外国人観光客の利用が多く、1カ月のうち平均20日ほど稼働しているという。

 収益力も高い。佐藤さんは、ほぼ残りの2室を通常の賃貸に出しているが、家賃は月8万円ほど。観光のピークシーズンには「民泊で使ってもらう方が倍以上の収入になることもある」という。施設の稼働率と単価の上昇が相まって、比較的安定した不動産運用商品という民泊の「もう一つの顔」が浮かび上がる。

 

相続税節税にも

 民泊に活路を見いだすのは佐藤さんにとどまらない。日本政府観光局によると、今年1~7月の訪日外国人は累計で1400万人を超え、14年通年の実績を上回った。中国人観光客らの「爆買い」は一巡したとは言え、滞在型の旅行需要は伸びる一方だ。国内の宿泊施設不足は外国人にとって深刻な問題であり、同時に国内の不動産オーナーにとってはビジネスチャンスになっている。運用利回りが10%を超えるケースも少なくないという。

 民泊情報サイト運営のオックスコンサルティング(東京・品川)によると、新宿区で2~3人で利用可能な部屋(1K中心)を民泊で「運用」した場合、1カ月の平均収入は約34万円。近隣の平均家賃が1Kで9万円程度なのに比べ、有利さは際立つ。

 オフィスビルや賃貸住宅は東京都心ほど運用収益が高くなる傾向があるが、民泊では台東区なども人気が高い。浅草や東京スカイツリーなどの観光名所に近く、利便性の高さが受けている。京都市内では都心より高い地域もある。

 節税対策としても注目されている。相続税制では現預金を直接相続するよりも不動産の方が有利な点が多い。「貸付事業用宅地」「特定事業用宅地」は、一定の基準を満たせば課税価格が下がる。一方、東京都内ではアパートの空室率が約3割に達する。「賃料を下げてまで賃貸契約を取るくらいなら民泊で」という潜在的なニーズは多い。

 しかし、国・自治体のガイドラインには留意が必要だ。民泊は大きく分けて(1)一般の個人が自宅の一室などに旅行者を泊める「ホームステイ型」(2)収益を主な目的にマンション、アパートなどの部屋を用意して客を泊める「ビジネス型」――の2つがある。ホームステイ型は休眠資産の有効活用と外国人との交流が主な目的だが、(2)の実態は限りなくホテル・旅館に近い。

 民泊サイトに登録されている物件の中には、旅館業法の許可を受けていないところもあるという。法律上は「グレー」な存在で、近隣住民やマンション管理組合の反対で休止に追い込まれる場合もある。民泊運営サイト、百戦錬磨(仙台市)の橋野宜恭取締役は「リスクをかかえたまま物件を民泊で運用するのは、持続的なリターンにつながらない」と警鐘を鳴らす。

 個人が民泊に新規参入する具体策としては(1)旅館業法上の簡易宿所として許可を取る(2)国家戦略特区に指定された自治体の条例に従って許可をもらう――くらいに限られる。東京都大田区、大阪府では特区で民泊が認められている。

 

ハードル高く

 実際の運営に目を向けると、2つのルールの違いは少なくない。旅館業法では宿泊日数の制限はないが、特区条例では同じ旅行者を6泊7日以上宿泊させる必要がある。今後、2泊3日まで緩和される可能性がある。大田区で民泊物件を運営するアンビションの前田洋総務課長は「日数制限が緩和されれば、部屋の稼働率や宿泊料が上げやすくなる。投資にもなじみやすい」という。

 それでも実際の運営には設備投資が不可欠だ。旅館業法、特区ともに物件には消火器などの消防設備を義務付けている。自治体によってはフロントの設置も必要になるなど、運営のハードルはさらに高くなる。

 政府は民泊解禁に向け、法案を検討している。この「民泊新法」では住居専用地域での営業が認められる見込み。一方、営業日数は最長180日までとし、宿泊人数にも制限を課す方向で議論が進んでいる。

 国・自治体の制度改正で民泊の裾野が広がれば、民泊も利用者に選別される時代に入る。運用収益も一層、差が付く可能性がある。

 オックスコンサルティングの原康雄代表取締役は「民泊に最適な物件は40m2以上。部屋当たりの収益が大きく、固定費もカバーしやすい」と話す。固定費は物件の取得・改修から広告宣伝、日々の清掃までさまざま。個人が担うには荷が重く、専門業者に委託するケースも少なくない。

 民泊支援サービス、スクイーズ(東京・港)の舘林真一社長は「東京で募集から雑務までフルカバーで請け負うと、代行手数料は宿泊収入の20~25%が相場」と話す。幅広いコストを差し引くと、賃貸の方が確実な収益を出す場合もある。

(押切智義)



不動産投資、民泊に期待 賃貸より高利回り狙う 2016/09/07 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「不動産投資、民泊に期待 賃貸より高利回り狙う」です。





 個人の不動産投資が活況だ。中でも、マンションや住宅などの投資物件に国内外の観光客らを有料で泊める「民泊」への関心は高い。高い収益が期待できるうえ、相続税などの節税メリットも受けやすいからだ。一方、政府・自治体はガイドラインを設けており、民泊ならではの高いコストやノウハウの難しさも潜む。

 「日本にいながら多様な文化に触れられるのが魅力」。東京都内の主婦、佐藤良子さん(仮名、30代)は、顔をほころばせる。民泊仲介サイトの米Airbnb(エアビーアンドビー)を通じて、自宅の空き部屋3室のうち1室を貸し出す。欧米、アジアの外国人観光客の利用が多く、1カ月のうち平均20日ほど稼働しているという。

 収益力も高い。佐藤さんは、ほぼ残りの2室を通常の賃貸に出しているが、家賃は月8万円ほど。観光のピークシーズンには「民泊で使ってもらう方が倍以上の収入になることもある」という。施設の稼働率と単価の上昇が相まって、比較的安定した不動産運用商品という民泊の「もう一つの顔」が浮かび上がる。

 

相続税節税にも

 民泊に活路を見いだすのは佐藤さんにとどまらない。日本政府観光局によると、今年1~7月の訪日外国人は累計で1400万人を超え、14年通年の実績を上回った。中国人観光客らの「爆買い」は一巡したとは言え、滞在型の旅行需要は伸びる一方だ。国内の宿泊施設不足は外国人にとって深刻な問題であり、同時に国内の不動産オーナーにとってはビジネスチャンスになっている。運用利回りが10%を超えるケースも少なくないという。

 民泊情報サイト運営のオックスコンサルティング(東京・品川)によると、新宿区で2~3人で利用可能な部屋(1K中心)を民泊で「運用」した場合、1カ月の平均収入は約34万円。近隣の平均家賃が1Kで9万円程度なのに比べ、有利さは際立つ。

 オフィスビルや賃貸住宅は東京都心ほど運用収益が高くなる傾向があるが、民泊では台東区なども人気が高い。浅草や東京スカイツリーなどの観光名所に近く、利便性の高さが受けている。京都市内では都心より高い地域もある。

 節税対策としても注目されている。相続税制では現預金を直接相続するよりも不動産の方が有利な点が多い。「貸付事業用宅地」「特定事業用宅地」は、一定の基準を満たせば課税価格が下がる。一方、東京都内ではアパートの空室率が約3割に達する。「賃料を下げてまで賃貸契約を取るくらいなら民泊で」という潜在的なニーズは多い。

 しかし、国・自治体のガイドラインには留意が必要だ。民泊は大きく分けて(1)一般の個人が自宅の一室などに旅行者を泊める「ホームステイ型」(2)収益を主な目的にマンション、アパートなどの部屋を用意して客を泊める「ビジネス型」――の2つがある。ホームステイ型は休眠資産の有効活用と外国人との交流が主な目的だが、(2)の実態は限りなくホテル・旅館に近い。

 民泊サイトに登録されている物件の中には、旅館業法の許可を受けていないところもあるという。法律上は「グレー」な存在で、近隣住民やマンション管理組合の反対で休止に追い込まれる場合もある。民泊運営サイト、百戦錬磨(仙台市)の橋野宜恭取締役は「リスクをかかえたまま物件を民泊で運用するのは、持続的なリターンにつながらない」と警鐘を鳴らす。

 個人が民泊に新規参入する具体策としては(1)旅館業法上の簡易宿所として許可を取る(2)国家戦略特区に指定された自治体の条例に従って許可をもらう――くらいに限られる。東京都大田区、大阪府では特区で民泊が認められている。

 

ハードル高く

 実際の運営に目を向けると、2つのルールの違いは少なくない。旅館業法では宿泊日数の制限はないが、特区条例では同じ旅行者を6泊7日以上宿泊させる必要がある。今後、2泊3日まで緩和される可能性がある。大田区で民泊物件を運営するアンビションの前田洋総務課長は「日数制限が緩和されれば、部屋の稼働率や宿泊料が上げやすくなる。投資にもなじみやすい」という。

 それでも実際の運営には設備投資が不可欠だ。旅館業法、特区ともに物件には消火器などの消防設備を義務付けている。自治体によってはフロントの設置も必要になるなど、運営のハードルはさらに高くなる。

 政府は民泊解禁に向け、法案を検討している。この「民泊新法」では住居専用地域での営業が認められる見込み。一方、営業日数は最長180日までとし、宿泊人数にも制限を課す方向で議論が進んでいる。

 国・自治体の制度改正で民泊の裾野が広がれば、民泊も利用者に選別される時代に入る。運用収益も一層、差が付く可能性がある。

 オックスコンサルティングの原康雄代表取締役は「民泊に最適な物件は40m2以上。部屋当たりの収益が大きく、固定費もカバーしやすい」と話す。固定費は物件の取得・改修から広告宣伝、日々の清掃までさまざま。個人が担うには荷が重く、専門業者に委託するケースも少なくない。

 民泊支援サービス、スクイーズ(東京・港)の舘林真一社長は「東京で募集から雑務までフルカバーで請け負うと、代行手数料は宿泊収入の20~25%が相場」と話す。幅広いコストを差し引くと、賃貸の方が確実な収益を出す場合もある。

(押切智義)



金融アイテムレビュー 原油ETF、証拠金は不要 数千円から投資可能 2016/08/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「金融アイテムレビュー 原油ETF、証拠金は不要 数千円から投資可能」です。





 原油価格に関心が集まっている。今は供給過剰への懸念から下落基調だが、新興国の需要が増えて将来は上がるとの見方も多い。原油に投資したい個人にとって手ごろな商品の一つが、原油連動型の上場投資信託(ETF)だ。商品先物取引と違って担保は要らない。銘柄によっては数千円から投資できる。

 原油ETFは基本的にニューヨーク先物市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)や東京商品取引所のドバイ原油といった先物をもとにした指数に連動する。例えばシンプレクス・アセット・マネジメントの原油ETFはWTIに連動している。

 商品先物で原油を取引するには、担保となる「証拠金」を差し入れる必要がある。証拠金の何倍もの額を取引できるが、値動きが激しいと、その分だけ証拠金も膨らむ。個人が投資するにはリスクが大きい。原油ETFは証拠金が要らず、株式と同じような感覚で売り買いできる。

 原油に加えて金や穀物といった幅広い商品に連動するのが米国の取引所に上場しているブラックロック・ジャパンのETFだ。多様な商品に分散投資するうえ、ドル建てのため保有資産の多様化につながる。

 野村グループのノムラ・ヨーロッパの上場投資証券(ETN)は、より積極的な運用を想定した商品だ。ETNは投資信託ではなく債券だが、基本的な仕組みは同じだ。ダブル・ブルETNは値動きが原油の2倍。ベアETNは原油価格が下がるほど利益を得るチャンスが増える。

 注意点もある。WTI連動型のETFや海外のETFには為替変動のリスクがある。ドル建て価格が上昇しても、円高・ドル安でリターンが打ち消される可能性がある。

 原油ETFは決済期限(限月)が最も近い先物(期近物)に投資する。決済日が近づくと期近物を売り、次の限月に乗り換える「ロールオーバー」で買い持ちを維持する。乗り換えの際、限月間の価格差によって想定したリターンが得られない可能性がある。

 野村証券の塩田誠ETFビジネス推進室長は「原油と為替相場、さらにロールオーバーも注意深く見る必要がある」と指摘する。いずれも値動きの荒い原油に連動するため、投資する場合はリスクを十分に見極めておく必要がある。