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大機小機 ナイトタイムエコノミー 2018/2/16 本日の日本 経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「大機小機 ナイトタイムエコノミー」です。





 新興国の夜の街は活気に満ちている。それに比べ高齢化し低成長が続く日本では、夜の街が寂れつつある。ナイトタイムエコノミーは経済活力のバロメーターでもある。日本でも夜の消費活性化を考えたい。

 夜の消費といっても不健全なものではない。日本の居酒屋やレストラン、バーなどは世界に劣らず遅くまで営業している。だが、美術館や博物館など文化施設は夜は閉まってしまう。ショッピングセンターの閉店は早く、交通機関の終夜運行もない。

 訪日観光客が増え、経済効果も大きくなっている。彼らの「日本の夜」に対する期待は大きいのに、なかなかそれに応えられていない。家族と共に日本の夜の街で健全な娯楽を楽しみたくても、言葉だけでなく、施設や交通機関の稼働時間がそれを阻む。インバウンドの数は増えても、1人当たり支出を増やしてもらう機会をみすみす逃していることになる。

 人手不足下で交通機関の24時間化などは高いハードルかもしれない。しかしIT(情報技術)や人工知能(AI)を駆使し、人の流れや活動を把握すれば、交通機関の効率的な運用が可能ではないか。

 居酒屋やバーだけでなく、ショッピングセンターやスポーツ・文化施設に交通機関も組み合わせ、あるいは郊外に足を延ばし、日本人家庭の訪問・宿泊体験を組み入れるなど、健全で面白いナイトツアーを開拓する余地はいくらでもある。世界の主要都市では、24時間活動し、楽しめる街を目指し、ナイトメイヤー(夜の市長)を設置するなど、競争力強化に躍起である。

 ナイトタイムエコノミーには別の側面もある。夜に活動するのは観光客ばかりではない。夜に働く人々も多い。経済活動の24時間化である。グローバル経済下では、夜間の時間帯も使って物流を最適化することは常識である。副業を持つ人や夜に学びたい人もいる。彼らを支える病院やその他の施設、交通機関の整備も必要である。ロンドンでは市の国内総生産(GDP)の8%が夜間に生み出されているという。

 人手不足だけでなく、治安悪化や省エネに逆行するとの指摘もあるが、日本でもナイトタイムエコノミーの活性化を考えてみてはどうだろうか。

(追分)



大機小機 円の実効レート低水準1年11カ月ぶりリスク選好 強まる 2018/1/6 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「大機小機 円の実効レート低水準1年11カ月ぶりリスク選好強まる 」です。





 主要通貨に対する円の総合的な価値が下がっている。日経通貨インデックスが示す円の実効レート(2008年=100)は5日時点で97.4と約1年11カ月ぶりの低さとなった。日米の株式相場が高値で推移するなか、投資家心理が改善し、新興国や資源国の通貨に比べて金利の低い円が売られやすくなっている。

 原油など資源価格の上昇も投資家のリスク選好姿勢を強め、資源国や新興国の通貨の上昇を促している。5日の東京外国為替市場では、資源国通貨とされるオーストラリアドルやニュージーランドドルが対円と対ドルで2カ月半ぶりの高値を付けた。南アフリカランドやトルコリラなどの新興国通貨も上昇している。

 ドルも円と同様に売られている。米インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出するドルの実効レート(ドル指数)は、2日に3カ月半ぶりの低さとなってから、横ばい圏で推移している。他の通貨に対する円安とドル安が同時に進んでおり、「対ドルの円相場では円安が進みにくくなっている」(国内証券)。

 円とドルの実効レートが下がっているのは、ユーロ高の影響も大きい。好調な欧州経済や欧州中央銀行(ECB)による金融政策の正常化が意識されており、ユーロが対円や対ドルで買われている。5日の東京市場で、ユーロは対円で136円台半ばと約2年3カ月ぶりの高値に上昇した。対ドルでも、約4カ月ぶりの高値圏で取引された。



大機小機 保育無償化の見直しを 2017/12/1 本日の日本経 済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「大機小機 保育無償化の見直しを」です。





 保育無償化・負担軽減策の具体化が進んでいる。必要性については明らかだ。待機児童の存在は、保育園を探す「育活」のために親が費やしている莫大な時間とエネルギーの表れだ。保育にまつわる問題は、子育て世代の福祉水準を損なっているだけでなく、女性の社会参画を妨げ、少子化の原因にもなっている。

 こうした状況を受け、政府・与党は2兆円規模の政策パッケージの中で、保育の無償化・負担軽減を図ろうとしている。だが、その内容を見ると、かえって事態を深刻化しかねない。

 第1に、保育サービスの負担を軽減するという基本方向が間違っている。保育サービスが不足しているのは、需要が超過する一方、供給が足りないからだ。需要超過・供給不足に対しては、価格を引き上げ、供給を増やすことが基本である。保育の無償化・負担軽減は、保育サービスの価格を引き下げることを意味するから、保育への需要はさらに増大し、待機児童・育活問題はさらに深刻化する。

 第2に、3~5歳児について、認可保育所を無料にするという方向で検討が進んでいるようだが、これは所得分配に対して逆進的である。現在、認可保育所の保育料は、基本的には所得が多いほど負担も多い構造になっている。これを一律無償化すると、高い保育料を払っていた高所得層ほど恩恵も大きいことになる。

 第3に、認可外保育所よりも認可保育所の負担をより大きく軽減する方向で検討が進められているようだが、これは、保育所に通っている世帯の中での格差を拡大する。

 認可外保育所を選択している世帯は、育活によって認可保育所を目指したもののそれがかなわなかった世帯である。しかも価格は認可外保育所の方が高い。育活の不満で最も大きいのは、時間とエネルギーを費やしたにもかかわらず、価格の高い認可外保育所に通わざるを得なくなった世帯である。こうした中で、認可保育所をより手厚く処遇すれば、ただでさえ大きい認可外に通う世帯の不満はより大きくなるだろう。

 このままでは巨額の財源を使った結果、待機児童はさらに増え、育活はさらに悲惨なものとなり、保育サービスへの不満はさらに高まるという最悪の結果になりかねない。ぜひ、再考してほしい。

(隅田川)



日本株、バブル崩壊後の「半値戻し」視野 2017/11/10 本日の日本 経済新聞より

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 日経平均株価は9日、1989年につけた史上最高値(3万8915円)からバブル崩壊後の最安値(2009年の7054円)までの下げ幅の「半値戻し」となる2万2985円を一時上回った。調整局面の終わりを示唆する水準として意識されており、終値でも回復すれば新たな強材料と受け止められそうだ。

 「バブル崩壊後の下げの半値戻しは株価の『デフレ脱却宣言』を意味する」と東海東京調査センターの中井裕幸専務は指摘する。この水準が注目されるのは、「半値戻しは全値戻し」との相場格言があるためだ。

 これまでの下げ幅の半分相当を回復できれば、過去の高値に達する勢いにつながるとの経験則を示す。底値から戻る過程で利益を得ている投資家が多くなり、心理的に上値を追いやすくなるためとみられる。

 ただ、これはあくまで経験則にすぎず、一段の株高には企業業績の拡大などが欠かせない。それでも「半値戻し」が間近に迫るなか、市場では「投資家心理が強気に傾くサインとなる」(大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリスト)との声が早くも出ている。



大機小機 内部留保課税が問うもの 2017/10/19 本日の日本 経済新聞より

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 この週末の衆議院選挙を巡り内部留保課税が改めて議論の俎上(そじょう)に上った。経済界は「内部留保課税は二重課税である」として反対している。そもそも留保利益は法人税等を支払った後に残った利益の集積であるという訳だ。

 また、我が国の法人税負担は諸外国より高いとの経済界からの声に配慮して、2015年度には32.11%であった法人実効税率が来年度には29.74%にまで軽減される減税措置と整合性がないとの声もある。

 財務省の統計によると、内部留保総額は07年度には269兆円であったが、年々着実に増加し、16年度には406兆円に達している。また、現預金は07年度の135兆円が16年度には211兆円にまで積み上がった。最近のシンクタンクの分析では上場企業の約6割が実質無借金経営である。

 しかし、なぜ今内部留保課税なのか。

 かねて「企業の6重苦」といわれた事態に対して、法人税減税や円高対策、そして日銀の超緩和策の継続など、政府や中央銀行はプロビジネス政策を続けてきた。それにも関わらず、企業はリスクをとって事業を展開するとか、従業員への還元を増やすとか、また配当増や自社株消却で株主に報いるといった行動につなげず、ただ単に何かあった時のためにと利益や現預金を蓄積するだけであった。

 現に設備投資の水準は1995年以来横ばいであり、労働分配率は2001年の75%から67%に下がってきている。そのことへの政策当局者の不満や憤慨が背景にあると見てよかろう。

 かつてケインズが唱えたアニマルスピリットが日本の大企業の経営者から消えてしまい、何かあった時に身を守るためという「保身の経営」がまん延してしまったのだろうか。

 そういえば、今の大企業経営者は、70年代の学生時代、社会問題に関心が薄いノンポリと称され、学生運動に参加しなかった「リスクを取らない優等生」が多いのかもしれない。

 経済のダイナミズムをつくる主役は民間事業者であり、政府はその環境を時代に合うよう整える役割にすぎない。内部留保課税の議論で真に問われているのは、わが国の経営者にアニマルスピリットをいかに取り戻すかということなのだ……情けないことに。(万年青)



大機小機 アベノミクスで変わったか 2017/10/17 本日の日 本経済新聞より

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 安倍晋三首相は自らの経済政策の成果を強調し、解散総選挙に臨もうとしている。旧民主党政権時を暗黒の時代と呼び、アベノミクスによって景気は回復したと主張する。これを裏付けるように、内閣府の景気判断でも回復基調が続き、いざなぎ景気超えという声まで出ている。

 実態はどうか。旧民主党政権下の3年間の年データ(2010~12年)と、安倍政権下の4年間(13~16年)の経済動向を比較してみよう。

 実質国内総生産(GDP)は安倍政権下で4年連続プラス成長だが、年平均1.1%で旧民主党政権下の3年の平均1.8%よりもはるかに低い。消費も同様だ。安倍政権下では年平均0.4%程度の成長であり、それ以前の東日本大震災を挟んだ3年の平均1.3%よりもはるかに低い。

 雇用動向はどうか。旧民主党政権下の3年間では雇用者数は30万人ほどしか増えず、正規雇用は50万人も減っている。一方、安倍政権下の4年間では雇用者数は230万人増えた。内訳は非正規がほとんどで約210万人増えている。正規雇用は政権発足当初の2年で57万人も減らしたが、直近2年間で持ち直し、20万人ほど増えている。

 GDPがあまり変わらないのに雇用が大幅増なのは、雇用が劣化している証拠だ。本当に労働環境が改善していれば賃金も上がるはずだが、所定内給与額の上昇率は、前政権下の年平均0.4%に対し0.5%で、ほとんど同じだ。

 他方、ストックは大きく伸びている。前政権下で年14兆円程度の増加だったマネタリーベースは、安倍政権下では年80兆円規模の増加という異常なペースだ。

 株価や地価もこれに呼応している。日経平均株価は2万円を超え、前政権下の2倍以上になった。地価も都市部を中心に大幅上昇が目立つ。家計金融資産も大きく膨らみ、前政権下の年率1.8%の伸びに対し、安倍政権下では年2.9%伸びている。

 つまり、異次元金融緩和は、数字上、金融資産を大きく増やしたが、実体経済は伴っていない。国債と貨幣量が異常なペースで積み上がり、株価もバブルの様相だ。金融危機を起こしかねない。投資家も金融面ばかりに目を奪われず、異次元緩和を止めるよう働きかけるべきだ。(魔笛)



大機小機 物価目標2%の意味 2017/8/11 本日の日本経済 新聞より

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 7月公表の「展望リポート」で、日銀は2%の物価目標達成の時期を2019年度ごろとした。先送りはこれで6回目だが、今回の先送りが持つ意味は重い。

 というのも、19年度に入って目標を達成できても、10月に予定される消費増税を考えれば、直ちに金融緩和の「出口」に向かうことは難しい。増税の影響を見極めてからだとすると、「出口」は最速で今から3年先の20年度になるが、それまで景気拡大が続いている保証はない。

 その間に景気後退が来ても、バランスシートを目いっぱい拡大し、マイナス金利まで導入した日銀が追加的にできることは少ない。本来は財政の出番だが、安倍政権では日銀緩和依存症から財政健全化がさっぱり進んでいないため、財政の発動余地も乏しいのが現実だ。

 政府・日銀には、こうした最悪シナリオに備えた作戦の練り直しが求められる。ここでは、2%目標の意味を問い直すことが重要な柱になると思う。実際、多くの国民は物価目標の意味が理解できなくなっているのではないか。

 デフレ脱却が目標として受け入れられたのは「デフレさえ終われば力強い日本経済が戻ってくる」というリフレ派の主張を国民が半ば信じたからだろう。それがおとぎ話だったことは、アベノミクスが始まるとすぐ判明したが、それでも「物価が上がらないと景気は良くならない」という思いは共有されてきた。

 しかし今度は物価上昇が好景気に必須ではないことが分かってきた。現にエネルギー価格を除いた消費者物価の上昇率はゼロでも、有効求人倍率がバブル期を上回るほどの人手不足である。なぜ無理して2%を目指す必要があるのか、疑問に思う方が普通だろう。

 もちろん、平時のインフレ率がゼロだと平時の金利もゼロ近くになり、リーマン・ショックのような景気悪化時にも金融政策の発動余地が乏しくなる。だからせめて2%インフレ、2%強の金利水準を常態にしたいという、日銀の理屈はよく理解できる。

 だが、現在直面しようとしているのは、2%を目指して金融緩和を進めてきた結果、景気悪化時の政策余地がなくなるという逆説だ。やはり物価目標の意味を根本から問い直す必要があるのではないか。

(希)



大機小機 デフレの容疑者 2017/8/4 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「大機小機 デフレの容疑者」です。





 政府・日銀のデフレ脱出作戦が大苦戦している。

 日銀は2%のインフレ目標時期をさらに延期した。6度目の延期である。政府は経済財政白書で「デフレ状況ではないが、(中略)デフレ脱却には至っていない」と総括した。デフレなのかデフレではないのか。意味不明の代表的な霞が関文学作品だろう。

 政府も日銀もインフレ目標達成を阻む犯人の割り出しに必死だが、成功しているようには見えない。

 犯人は誰か。有力容疑者の一人(一つ)はデジタル革命ではないだろうか。

 デジタル経済化が進み、世にはデジタル化された製品・サービスがあふれている。携帯電話もコンピューターも、技術進歩はとてつもなく速く、実質的な価値は著しく高まっている。品質が同じなら驚くほど安くなっている。デジタル財の限界生産費用が、限りなくゼロに近づくという特性が背後にある。

 インターネットの普及による、モノやサービスの完全競争市場化も物価下落圧力として働く。情報の検索コストは劇的に低下し、均衡価格は瞬時に見つかる。あちこちに商品価格の比較サイトが出現しているのが典型例だ。供給側に有利な情報の非対称性は薄れ、企業の超過利潤は消える。仮にコストが増えても、競争が激しく簡単には価格に転嫁できない。人件費増でもサービス価格はなかなか上がらない構造だ。

 労働市場そのものへのデジタル・情報革命の影響も小さくない。伝統的な経済理論には、雇用の特性と情報のミスマッチで、これ以上は下がりにくいという失業率の水準がある。構造的・摩擦的失業率とか自然失業率とか呼ばれる。ここを下回れば、賃金上昇に勢いがつき、物価を押し上げるという水準だ。

 日本の構造的・摩擦的失業率は3%強、米国は5%前後とされてきた。足元、実際の失業率は日本が2%台、米国が4%台前半である。だが両国とも賃金・物価へのハネ返りは弱い。

 「実は構造的・摩擦的失業率が低下している」という説がある。非正規労働者の増加など雇用の流動化に加え、ネットの普及で求人情報や求職情報が隅々まで行き渡り、ミスマッチが減少しているというわけだ。

 大胆な金融緩和――。さて的を射た政策なのだろうかと、ふと思う。

(横ヤリ)



大機小機 出光興産の新株発行を巡って 2017/7/26 本日の 日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「大機小機 出光興産の新株発行を巡って」です。





 出光興産は20日付で、既存の1億6000万株の30%に当たる4800万株の新株発行を完了した。昭和シェル石油との経営統合について、経営陣と対立していた創業家側の持ち株比率は、33%台から26%台に低下したとされる。創業家側は新株発行の差し止めを求めたが、裁判所は認めなかった。この結果は驚くに値しない。

 会社法は、定款で定める株数の上限(出光の場合は4億3600万株)までは、取締役会決議での新株発行を認めている。取締役会の判断で株主の持ち株比率が低下することは、法が予定するところであり、手続きや価格が正当であれば、株主が新株発行を差し止められるのは、著しく不公正な方法による発行の場合に限定されるからだ。

 その判断に当たり、判例は「主要目的ルール」と呼ばれる基準を採用する。会社に資金需要がある場合は、副次的に他の目的があっても差し止めを認めないことを原則としている。

 もちろん、資金需要があっても、金融緩和局面では銀行借り入れの方が合理的だという考えもある。しかし、裁判所は、資金需要をどう満たすかの判断には、安易に介入すべきではないと考えているようだ。

 本件では資金需要の存在に加え、創業家側の影響力低下が限定的であることも、差し止めを認めなかった裁判所の判断の背景にありそうだ。棄権者が一定数存在する上場会社の株主総会で、経営統合のための特別決議を否決するために33.4%の議決権が必要なわけではない。創業家側の26%超の持ち株比率は、市場からの株式買い増しによっても、数%の株主を味方につけることによっても、経営統合議案を否決することができる数字だ。

 また、創業家側の反対が功を奏しなかった場合には、創業家側による株式買い取り請求権の行使もあり得る。裁判所は、差し止めを認めなかったからといって、「著しく不公正」と評価できるほど、経営陣の立場が強くなるわけではないと考えたのだろう。

 新株発行は、創業家のみならず、全ての既存株主の持ち株割合を低下させた。経営陣は近い将来、自社の企業価値が新株相当分の30%以上増加することを株主に約束したとも言え、重い責任を負ったことを忘れてはならない。

(腹鼓)



大機小機 わが国高齢化の本当の課題 2017/7/8 本日の日本 経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「大機小機 わが国高齢化の本当の課題」です。





 内閣府が毎年行っている世論調査では、若者の現在の生活に対する満足度は8割を上回る高い値になっている。それはバブル期や高度成長期をも上回っているとのこと。ところが将来に明るい希望を持っているかとなると、日本の若者がそう答える割合は諸外国に比べると極めて低い。

 これから少子高齢化が急速に進む日本の本当の問題がここにある。若者が夢を持って活躍するようでなければ、経済はじり貧になり国民生活も貧しくなるばかりだからだ。

 若者の夢については、フェイスブック創設者のマーク・ザッカーバーグ氏が、先日、母校のハーバード大学の卒業式で行ったスピーチが興味深い。

 ザッカーバーグ氏は、自分は多くの起業家を見てきたが、同時に、失敗したときに路頭に迷わないだけの備え(クッション)がないために夢を追うことを初めから諦めてしまう人もたくさん見てきた。そこで自分は、誰もが新しいことに挑戦できる社会にするために、失敗した時の備え(クッション)としてベーシックインカムのような制度を検討すべきであると考えている、というのである。

 失敗した時のことを恐れ夢を追うことを諦めてしまう若者が多いのは、米国よりも圧倒的に我が国だろう。だから冒頭の世論調査のような答えになるのだ。

 人生100年時代といわれるようになり、世界中の人々が人生の途中で職を替えることが当たり前になってきた。ところが、そんな時代に日本の若者だけが失敗を恐れて社会に出たらとにかく無難に過ごすことで満足してしまうというのでは、日本の将来は暗い。

 最近は、我が国でも子育て支援についてはコンセンサスができてきた。誰もが、高齢者になれば、今日の子供たちに支えられるのだからというわけである。

 しかしながら、高齢者が今日の子供たちにしっかりと支えてもらうためには、子供たちが若者になったときに夢を持って活躍し、日本をしっかり発展させてくれなければならない。そのために、ベーシックインカムかどうかは別として、若者が夢を持って活躍することを支える仕組みを作ることが必要だ。そのために国民的なコンセンサスを創り上げていくことが、これから迎える高齢化への本当の課題だ。

(唯識)