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羅針盤 中国も「流動性のワナ」? 2016/09/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の予定面にある「羅針盤 中国も「流動性のワナ」?」です。





 中国で現金と普通預金(M1)が急増する一方、現金・普通預金・定期預金(M2)の合計額は伸び悩んでいる。両者の伸び率の差はかつてないほど大きくなっている。中国も通貨供給量を増やしても投資に回らない「流動性のワナ」に陥ったとの指摘が出始めた。

 M1、M2はいずれも中国人民銀行(中央銀行)が通貨供給量の指標として重視する。とくにM2の伸びは目標値を掲げており、2016年は13%前後としている。

 異変が起きたのは昨年10月。通常ならばM1の伸びはM2の伸びを下回るのに、M1が14%増、M2が13.5%増と逆転したのだ。

 その後も両者の差はどんどん開き、今年7月にM1が25.4%、M2が10.2%となった。両者の差は過去最高とみられる。

 いくつかの原因が考えられる。1つは中国も以前より預金金利が下がり、定期預金と普通預金の金利差が縮んだこと。もう1つはより深刻だが、企業が有望な投資先がみつからないので、いつでも借金返済に回せる普通預金を増やしている可能性だ。

 実際、中国では民間投資の伸び率の失速が話題になっている。昨年は通年で10.1%も伸びたのに、今年は月を追うごとに伸び率が縮小。1~8月は2.1%まで落ち込んだ。

 人民銀の盛松成調査統計局長は7月の講演で「通貨供給量を増やしても、金利が下がらず、投資も増えない。中国企業は『流動性のワナ』に陥っている」と語った。流動性のワナは通常、ゼロ金利など利下げの余地がなくなって発生するとされるが、まだゼロ金利でもない中国でも似た現象が起きたというのだ。

 ただ、この主張には「人民銀が金融緩和をしない言い訳にしている」(北京の外交筋)との指摘がある。実際、投資の許認可権を持つ国家発展改革委員会は人民銀に「企業の資金調達難は変わっていない」と一段の金融緩和を求める。M1とM2を巡る論争はしばらく続きそうな気配だ。

(北京=原田逸策)