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経営の視点 「40年来の友」に割り込む中国 エネ新 秩序で足場探れ 編集委員 松尾 博文 2018/4/1 本日 の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「経営の視点 「40年来の友」に割り込む中国 エネ新秩序で足場探れ 編集委員 松尾 博文」です。





 アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビにある高級ホテルの一角に、「緑水庵」と名付けられた茶室がある。裏千家が寄贈した茶室は、日本とアブダビの茶道を通した交流の場になっている。仲立ちしたのは国際石油開発帝石だ。

 同社は2月、アブダビ沖に持つ日本最大の自主開発油田の権益更新にこぎ着けた。「積み上げてきた協力が評価された」。藤井洋常務執行役員は語った。

 茶室はアブダビとの関係強化のシンボルだ。教育、文化、環境……。国際石油開発帝石は石油を超えた幅広い協力を通して、現地の日本大使館もかなわない人脈をアブダビ中枢との間に築いてきた。

 その3週間後、中国政府系の中国石油天然気(ペトロチャイナ)が、新たにアブダビ沖油田の権益を取得した。日本が更新した1鉱区10%に対し、中国の権益比率は2鉱区で計20%。40年にわたり関係を深めてきた日本を上回る存在感を“新顔”が握った。

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の竹原美佳上席研究員は「『一帯一路』の延長線上にある中東産油国との関係強化は重要課題」と言う。

 「一帯一路」は新興国市場を開拓する経済戦略上の目標と、沿線に中国の勢力圏を広げる安全保障上の狙いが一体化した国家戦略だ。エネルギーの安定確保はその柱であり、沿線国に影響力を広げるための武器もまた、エネルギーだ。

 パキスタンで昨年9月、チャシュマ原子力発電所4号機が稼働した。建設した中国核工業集団は着工から6年足らずで完成させ、5号機建設でも合意した。日米欧の原発メーカーがもたつく間に、中国の国策メーカーは新興国で案件を積み上げ、人材と経験を磨く。

 資源開発や原発輸出で拡大する中国の影響力。これが横軸だとすれば、縦軸は脱炭素へ速度をあげるエネルギー転換だ。次世代エネルギーの普及を政策で強力に後押しし、技術を押さえて主導権を握る。そのサプライチェーンに日本企業も組み込まれざるをえない。

 太陽光発電パネルの世界シェア上位は、今や中国企業が独占する。太陽光発電協会の平野敦彦代表理事(ソーラーフロンティア社長)は「圧倒的な資金力で製造能力を増やす中国のパネルメーカーに、日本企業はついていけない」と語る。

 中国は19年から、同国での自動車生産と輸入について一定比率を電気自動車(EV)など新エネルギー車にすることを義務付ける。車載用電池は事実上、中国政府が認めたメーカーから調達する必要があるが、候補リストに外国メーカーの名前はなく、「中国メーカーに近寄るしかない」(日系自動車メーカー幹部)。

 中国経済に詳しい津上工作室の津上俊哉代表取締役は「中国市場から締め出されるわけにいかない企業は規制に従わざるをえないが、中国が一人勝ちする状況に警告を発し続けるのは日本政府や国際社会の役目だ」と指摘する。

 中国がすべてを変える――。国際エネルギー機関(IEA)は「世界エネルギー展望」の最新版で指摘した。エネルギー大転換後の世界にどう備えるか。国と企業の大きな課題である。



米、不正プログラム警戒中国のIT製品締め出し 2018/3/30 本日 の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「米、不正プログラム警戒中国のIT製品締め出し」です。





 米政府が中国製の一部IT(情報技術)製品を市場から締め出す動きを加速している。米政府はデータを盗み出す「バックドア(裏口)」と呼ばれる不正プログラム技術が組み込まれ、スパイ活動に使われているのではと疑う。一方、米政府も米アップルにバックドアの提供を要請するなど、自国製品にデータの傍受機能を仕掛けているとの噂も絶えない。

 米政府は26日、米国内の通信網から中国の通信機器を事実上締め出す規制を検討していると発表。中国のスパイ活動に使われるという安全保障上の懸念が主な理由だ。

 中国軍との関係が指摘される華為技術(ファーウェイ)など中国勢を締め出す狙いがある。ファーウェイは否定するが、米政府は同社が中国政府の意向を受けて製品にバックドアを仕込んでいると疑っている。

 バックドアを悪用すれば第三者がネットを使い遠隔でデータを盗み見できる。「キルスイッチ」と呼ばれる停止機能を潜ませることも可能だ。

 もっとも米政府にも、かつてバックドアを普及させようとした歴史がある。米政府が開発した初期のバックドアとしては、「クリッパーチップ」と呼ぶ暗号化用の半導体チップが有名だ。

 1993年に電話機やコンピューターに組み込もうとしたが、政府による盗聴が可能な仕組みのため、反対論が高まり計画は頓挫した。それでも米政府が自国製IT機器にバックドアを仕掛けているとの噂は絶えない。

 16年には米政府高官が米アップルや米グーグルなどの幹部にバックドアの提供を要請していた。アップルなどは拒否するが、疑いは晴れない。顧客の疑念を払拭させるために「当社の製品には米政府のバックドアは組み込まれてない」と宣言する企業も存在する。

 日本で使われている機器にも、外国政府の意向を受けて開発されたバックドアが仕込まれている可能性は否定できない。警戒すべきは北朝鮮だ。

 北朝鮮のサイバー部隊の内情に詳しい非営利団体、韓国NK知識人連帯の金興光(キム・フングァン)代表は「隊員は身分を偽って日本メーカーからソフト開発を受注している。その行動原理から必ずバックドアを仕掛けている」と話す。事実なら日本中で家電や産業機器の機能を一斉に停止させ、社会を混乱に陥れることもできるという。

 日本は危機感が薄い。ソフトバンクは「ファーウェイとは次世代通信規格の分野で実証実験に取り組むなどしており、関係を見直す予定はない」(広報担当者)。KDDIも「事実関係を確認中で何かすぐに行動を起こすことはない」という。

(吉野次郎)



エアビー、無許可物件の掲載中止民泊法施行日に 2018/3/15 本日 の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「エアビー、無許可物件の掲載中止民泊法施行日に」です。





 一般住宅に旅行者らを有料で泊める民泊の仲介世界最大手の米エアビーアンドビーは14日、6月15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊法)の対応について、無許可の物件の掲載を取りやめると表明した。6月14日時点で必要な手続きをしていない物件は同月15日から掲載しない。エアビー日本法人の田辺泰之代表は「まだまだ地方の物件は少ない」と施行後の物件開拓に意欲を示した。

 観光庁は仲介業者に無許可物件の排除を求めている。エアビーは物件の届け出が始まる3月15日からサイト上に貸し手が届け出番号を入力する欄を設ける。手続きが済んだ物件のみを残し、6月15日以降はサイト上で予約者が届け出番号を確認できるようにする。

 エアビーが14日に都内で開いた記者会見で明らかにした。エアビー本社の公共政策の最高責任者、クリストファー・レへイン氏は平昌五輪を例に挙げ「東京五輪では宿泊客を受け入れる手伝いができる」と話した。規制については「日本の政府や自治体に従っていきたい」と方針を示した。



ヤクルト、呪縛解けるか 巨人ダノン、保有株を一部売却単独での 生き残りに課題 2018/2/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「ヤクルト、呪縛解けるか 巨人ダノン、保有株を一部売却単独での生き残りに課題」です。





 ヤクルト本社は14日、仏食品大手のダノンが保有する株式の一部を売却すると発表した。両社は提携関係の維持を強調するが、過去に遡れば巨人ダノンがヤクルトをのみ込もうとして対立した歴史がある。ダノンは株売却後も依然として筆頭株主の座にとどまる。敵対の歴史を乗り越えられるか、まだ予断は許さない。

提携契約解消について話す堀会長(13年、東京都千代田区)

 「友好的な関係は維持していく」。14日、ヤクルトはダノンのヤクルト株売却に関して、こうコメントした。ダノンは現在、議決権ベースでヤクルト株の約21.52%を保有する筆頭株主。最大で15%分を放出する可能性があるという。

 両社の関係の始まりはダノンがヤクルトの株式の5%を取得した2000年に遡る。ダノンの狙いはヤクルトが持つ「乳酸菌シロタ株」。関係強化を求めたダノンは03年に20%まで株を買い増し、04年には事業提携契約も締結した。

 ただ、関係を強めたいダノンに対し、経営の独立性を維持したいヤクルトは次第に距離を置き始める。ダノンが一定期間株を買い増さない条項を結ぶなど、両社の溝は広がっていった。13年には事業提携契約を解消、インドなどでの合弁事業は続けながらも、両社の関係は変化がないまま時間だけが過ぎていった。

 こうしたなか、ダノンからの呪縛から逃れたいヤクルトに思わぬフォローの風が吹く。

 ダノンは16年に米国の有機食品メーカー、ホワイトウエーブ・フーズを1兆円超で買収した。ただ、巨額買収に伴い負債が拡大。効果があがらない関係の解消を求め、米アクティビスト(物言う株主)ファンドがダノンに圧力をかけたとされる。今回の株売却もこの流れのなかにある。

 ヤクルトは20年以上、経営トップとして君臨した堀澄也会長兼最高経営責任者(CEO)が昨年退任するまで、盾になってダノンから経営の独立を守ってきた。堀氏は1990年代にデリバティブ取引で経営危機に陥った同社を再生。アジア各国に展開、18年3月期には315億円の連結最高益を見込むまで同社を成長させた。

 ただ、売り上げで2兆円を超える巨人ダノンが息を吹き返せば、再びヤクルト買収に出る懸念は残る。昨年末、ダノンがヤクルト株を手放すとの情報が市場に流れた。その際、投資銀行などが国内の食品・飲料メーカーに株買い取りの意向を探ったが、「ヤクルトは乳酸菌を手放す気はなくシナジーが見込めない」として、逆に孤立を深めていった面もある。

 欧米など先進国ではまだヤクルトの知名度は高くない。ダノンに加え、スイスのネスレなど世界を股にかけるガリバーに対し、単独で戦うには限界がある。経営の独立を勝ち得ても、その先の展望を描けるのか。堀氏からのバトンを受けた現経営陣の重い課題となる。

(湯前宗太郎)



エアビー、違法物件排除民泊法6月施行にらみ営業停止リスク回避 2018/ 2/8 本日の日本経済新聞より

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 一般住宅に旅行者らを有料で泊める民泊の仲介世界最大手の米エアビーアンドビーは、住宅宿泊事業法(民泊法)が施行される6月15日までに予約サイト上から違法な物件を排除する。民泊法に従い、許可を得ない物件の仲介を取りやめる。民泊法で処分を受けるリスクを避けると同時に、利用者の不安を取り除く必要があると判断した。

 エアビーの利用者は国内で年間約500万人にのぼる。増加が続いているが、法的な位置づけがあいまいな「ヤミ民泊」も多い。エアビーは「旅館業法はインターネットの普及を想定していない」として未許可の物件も掲載を続けてきたが、こうした姿勢を転換する。

 民泊用に住居などを使う場合は本来、旅館業法に基づく簡易宿所の許可を得るか、国家戦略特区を利用する必要がある。だが厚生労働省が2017年3月に発表した全国調査で合法と確認できた物件は16.5%。エアビーは違法物件の件数を明らかにしていない。

 個人が無許可で営業する場合は摘発されるケースもあるが、海外の予約サイトを取り締まる法律はなかった。このため民泊法では、仲介業者に観光庁への登録、物件の貸し手には自治体への届け出を義務付ける。

 物件の所有者は合法的に営業できる半面、年間の営業日数は180日までに制限される。民泊の営業をやめる貸し手が増える可能性がある。

 ただ、違法な状態で仲介業務を続ければ、民泊法での営業停止などの処分を受けるリスクがある。エアビーには仲介業者として登録をしない選択肢もあるが、法的な位置づけがあいまいでは利用者が離れる懸念もある。

 他の仲介大手も民泊法に従う方針を示している。米エクスペディア子会社のホームアウェイや中国大手の途家(トゥージア)は違法物件を予約サイトから削除する予定。物件数はホームアウェイが1万件前後、途家は数千件とみられ、約6万件のエアビーを下回るが、利用者は増加傾向だ。

 物件の貸し手は民泊法の施行3カ月前の3月15日から自治体に届け出られる。エアビーは民泊法の施行までに合法かを確認する。

 民泊は法施行に先駆けて市場が拡大している。観光庁によると17年7~9月の訪日外国人客(インバウンド)のうち12.4%が民泊を利用。エアビーの推計では経済効果が16年で9200億円に達した。民泊の活性化は堅調な訪日消費を持続する上でも欠かせないテーマとなっている。



オムロン、自動チェックイン機発売秋にホテル向け 2018/2/7 本日 の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「オムロン、自動チェックイン機発売秋にホテル向け」です。





 オムロンは2018年秋に国内では初となるホテル向け卓上自動チェックイン機を商品化する。政府は6月にホテルなどの対面での接客義務を緩和する。カメラやスピーカーを搭載して、フロントに人がいなくても離れた場所で接客できるようにした。フロント業務を遠隔で代行するサービスも始める計画だ。

 チェックイン機は家庭用プリンターほどの大きさで、客室のカードキーを発行する機能やパスポート用のスキャナーを備える。英語や中国語など4カ国語に対応でき、宿泊客はクレジットカードで料金を決済する。1台約200万円を想定。現金決済に対応する航空会社の自動チェックイン機と同様の大型機も400万円前後で売りだす。

 ホテルではチェックインを従業員が対応すると宿泊客1人あたり3分ほどかかる。自動チェックイン機を導入すると客室200室のホテルであれば、接客時間を月平均300時間ほど削減でき従業員も半数に減らせるという。宿泊に特化したホテルを中心に年100~150台の販売をめざす。

 ホテル業界では訪日客の増加に加え、20年の東京五輪に向けて新設が相次いでいる。従業員不足が深刻となっている。



中小ホテルAIで応援 民泊に対抗スタートアップに商機 空、料金設定短時間で ビースポーク、多言語案内ツール 2018/1/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「中小ホテルAIで応援 民泊に対抗スタートアップに商機 空、料金設定短時間で ビースポーク、多言語案内ツール」です。





 スタートアップ企業が中小ホテルや旅館の業務見直しを支援する。人工知能(AI)やクラウドソーシングで業務の時間短縮や人手不足に対応する。民泊解禁で中小宿泊施設は苦戦が予想されるが、スタートアップ各社は商機と捉え、外国語対応を省力化したりすることで訪日客などの取り込みを促す。

空の「ホテル番付」は料金設定など運営の効率化につながる

 ホテル建設が相次ぐ大阪・梅田。高級プチホテル「アルモニーアンブラッセ大阪」の加藤正明副総支配人は「毎日90分ほどかかる料金設定の業務時間が10分の1以下に減った」と喜ぶ。経営診断ツール「ホテル番付」を3カ月前から利用する。

 ホテル経営分析ツールを手掛ける空(東京・渋谷)が開発した。ネットで公開されている全国1万軒以上のホテルや旅館の宿泊料金や予約状況などを自動収集できる。ホテル側は価格や稼働率を手軽に比較できる。

 ホテル番付は昨年8月のサービス開始以降、導入するホテルや旅館が1000を超えた。空は日本全体で約5万軒あるホテル・旅館の1割にあたる5000施設との契約を目指す。

 松村大貴社長は「IT(情報技術)で経験や勘に頼っていたホテル業界を支援できる」と力を込める。

 人手不足が深刻なホテルや観光業界で訪日観光客への対応として利用が広がっているのがチャットボット(自動対話システム)だ。英語圏や中国圏からの観光客がスマートフォン(スマホ)から母国語で問い合わせができる「コンシェルジュ」の役割を果たす。

 ビースポーク(東京・渋谷)の「Bebot(ビーボット)」はAIも使ってホテルや空港の案内ができる。宿泊客はホテルにチェックインするとアクセスコードをもらい、スマホで施設のサービスや周辺のお薦めレストランを質問できる。

 国内で約6000部屋相当のホテルで導入されており、18年後半には3倍にする計画だ。社員18人のうち15人が外国籍と多様な人材が集まる。「社員が訪日客の目線で作り込み、口コミでも利用が広がった」(綱川明美社長)。今年から海外での展開も始める。

 宿泊施設の管理を支援するのは、SQUEEZE(スクイーズ、東京・港)だ。クラウドソーシングサービス「ミスタースイート」は、宿泊客のメールや電話の問い合わせに多言語で24時間対応。清掃員の手配もできる。14年の開始以降、累計で1000超の施設を支援してきた。人手不足に悩む地方からの引き合いが強い。

 スクイーズはサイトを通じて旅館の集客や運営も遠隔支援する。これまでのノウハウを使い昨年9月には大阪で自社運営のホテル「Minn(ミン)」を開業。現場に必要な人員はフロント1人。支払いは事前決済で、チェックインも自動化するなど効率的な運営を実現した。館林真一社長は「宿泊業界のスマート化を目指す」と意気込む。



NEXTユニコーン Sansan、クラウドで名刺管理6000社 が導入、人脈を共有 2018/1/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「NEXTユニコーン Sansan、クラウドで名刺管理6000社が導入、人脈を共有」です。





 ビジネスでは日々多くの人が出会い名刺交換するが、その後大半が事務所の机の引き出しに眠ったまま。「人と人の出会いを資産に変え、効果的に人が出会う仕組みをつくりたい」。三井物産出身の寺田親弘社長らが2007年に起業したのはこのような思いからだ。

個人向けの名刺管理サービス「エイト」で海外展開も始めた(画面は日本語版)

 Sansan(サンサン)はクラウド型の名刺管理システムを提供している。スマートフォン(スマホ)のカメラやスキャナーで名刺を読み込み連絡先などの情報をクラウド上で管理する。名刺が手元になくても連絡先などを確認できるほか、異動や転職で名刺が代わると情報が更新される。約6000社が導入する法人向けサービスでは、社員が持つ人脈を社内で共有できる。

 海外展開にも力を入れている。シンガポールに拠点を持ち利用企業を開拓している。国内で約180万人以上が使う個人向けのスマホアプリ「Eight(エイト)」についても、17年11月にインドで始めた。ニューデリーのシェアオフィスなどに名刺のスキャナーを置き利用者を開拓する。

 今後は名刺の管理だけでなく、ビジネス向けのSNS(交流サイト)として用途を広げる。企業や利用者が情報発信できる機能を加えたほか、人工知能(AI)を活用して社内の名刺データから次に会うべき人を推薦する機能を実験している。

 企業価値は505億円(日本経済新聞社が登記簿情報などを踏まえ、17年7月の増資を基に推計)。同11月には米ゴールドマン・サックスらが資本参加した。日本経済新聞社も出資している。

(随時掲載)



経営の視点 企業を蝕む「熱意なき職場」 社員の強み重視 の文化を 編集委員 西條都夫 2018/1/28 本日の日本経済新 聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「経営の視点 企業を蝕む「熱意なき職場」 社員の強み重視の文化を 編集委員 西條都夫」です。





 次の質問に「はい」「いいえ」で答えてほしい。

・私は仕事をする上で、自分の最も得意なことを行う機会が毎日ある。

・職場で自分の意見が考慮されていると感じる。

・最近1週間で自分の仕事が褒められたり、認められたりしたことがある。

・職場に親友がいる。

・過去1年の間に仕事を通じて学び、成長する機会を持った。

 これらの質問は米調査会社のギャラップが仕事への熱意(エンゲージメント)を調べるために実施しているアンケートの一部だ。「はい」が多い人や職場ほどモチベーションが高く、主体的に仕事に取り組んでいる。逆に5つ全て「いいえ」の人は、転職を考えたほうがいいかもしれない。

日本では社員の離職率は高くないが…(都内のオフィスビル)

 こうした働く人のエンゲージメント調査は米欧で盛んだ。結果をみると、実は日本人の仕事に対する熱意はほぼすべての調査で最下位クラス。ギャラップ調査では「仕事に主体的に取り組む人」は全体の6%にとどまり、世界139カ国のなかで132位だった。米IBMが昨年発表した同種の調査でも、43カ国中42位で、日本より劣るのはハンガリーだけだった。

 かと思えば、こんなデータもある。近畿大学の松山一紀教授の最近の調査では、会社員1千人のうち「この会社でずっと働き続けたい」という積極的終身雇用派が25%だったのに対し、「変わりたいと思うことはあるが、このまま続けることになるだろう」という消極派(イヤイヤ派)が40%とそれを上回った。

 松山教授によると、消極派が多いのは今に始まった話ではなく、「高度成長時代にもイヤイヤ派が2割を超えていた」という。会社に不満はあるが、かといって転職するまでの踏ん切りはなく、そこに滞留する。低エンゲージメント・ワーカーの典型といえる。

 こうした調査結果は企業経営にとっても重大な警鐘といえるだろう。米国企業は一般に社員の意識調査に熱心だ。社員の不満が高まれば、優秀な人から順に会社を辞めて、大きな損失につながるからだ。

 一方、日本は労働市場の流動性が低く、社員の離職率は高くない。だから経営者は働き手の心のありように鈍感だが、社員が会社を辞めないことと、彼らが生き生きと仕事をしているかはまた別の話だ。むしろ一連の調査が示すように、日本人は受動的なまじめさはあっても、自ら積極的に仕事に向きあう姿勢に欠け、それが労働生産性の低さやイノベーション不足に帰結しているのではないか。

 処方箋はある。社員の意欲を最も左右するのは直属の上司との関係だ。部下とよく話し、彼らの「弱み」ではなく、「強み」に着目する上司がいれば、職場の意欲は目に見えて上がる。マネジャーに適切な人を選び、彼らの技量を高める工夫が企業には欠かせない。

 こうした取り組みは地味で、すぐに効果が上がるというものではない。だが、さぼれば(または経営者が無関心のままでは)確実に組織の活力は減退し、業績にも悪影響が及ぶだろう。不摂生や運動不足を続ければ、いつかは重篤な生活習慣病に蝕(むしば)まれる。それに少し似ている。



アマゾンの無人コンビニ体験購入品の把握、実力十分 2018/1/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「アマゾンの無人コンビニ体験購入品の把握、実力十分」です。





 米アマゾン・ドット・コムは22日、米シアトルでほぼ無人のコンビニエンスストア「アマゾン・ゴー」を開業した。画像認識や深層学習の技術を駆使することで「棚から品物を取って歩いて外に出るだけ」で会計が済む。小売店の常識だったレジのない店で本当に買い物できるのか。早速、訪ねてみた。

センサーやカメラが天井に配置された店内=AP

 アマゾン・ゴーは、アマゾン社屋が集まるエリアにある。買い物には専用アプリをスマートフォン(スマホ)にダウンロードすることが必要。アプリの設定時に自分のアマゾンの口座を登録し、商品の代金もこの口座から支払われる。

 アプリに表示されるQRコードをゲートにかざして店内に入って目に飛び込んだのが、天井一面にある130台以上のカメラ。QRコードと画像から買い物客を特定し、店内でどの商品を棚から取り、自分のバッグに入れるかを追跡する。米メディアによると、来店客のプライバシーを考慮して、顔の認識はせず、衣類などの特徴をカメラで把握しているという。

 日本のコンビニとほぼ同じ約170平方メートルの店内には、サンドイッチやヨーグルトといった軽食や、ポテトチップス、ビールなどが売られている。「無人コンビニ」と呼ばれることが多いアマゾン・ゴーだが、人間のスタッフがしている仕事が2つあった。一つは棚への商品の補充、もう一つはアルコール売り場での年齢確認だ。

 本当に何を購入したか正確にわかるのだろうか。カップケーキの棚の前で実験をしてみた。

 まず、チョコレート味をバッグに入れた後に棚に戻して、同じ段にあったストロベリー味を取った。さらにストロベリー味からレッドベルベット味に変更した。できるだけ猫背にして、手元も覆い隠すようにして店外に持ち出した。

 近くのカフェに入り、選んだ商品が決済されているかどうかを確認してみた。レッドベルベット味のカップケーキが購入と記入されるなど、選んだ全ての商品がレシートに記載されていた。間違っていたときは「払い戻し」を請求できる機能もアプリに付いていた。

 「時間に追われている働く母親にとって、レジの待ち時間を気にしないで済むことは素晴らしい」。子育てしながら働くリンサル・カンパウさん(42)は、アマゾン・ゴーを利用した感想をこう語った。

 最初は戸惑ったが、消費者は利便性の高い店舗に慣れていく。これまでの常識を取り払うことで、買い物という行為はまだまだ大きく変わりそうだ。

(シアトル=佐藤浩実)