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プーチン帝国の行方(下)ロシア、対外強硬策を継続求心力に利用誤算も 2017/12/9 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「プーチン帝国の行方(下)ロシア、対外強硬策を継続求心力に利用誤算も」です。





 「テロリストを完全に壊滅した」。プーチン大統領は6日に大統領選への出馬を表明した直後、シリアに派遣したロシア軍による過激派組織「イスラム国(IS)」掃討作戦の勝利を宣言した。米軍はなお数千人のIS勢がシリアやイラクで活動中としている。プーチン氏が大統領選に向けて国民への成果アピールを急いだ可能性がある。

 プーチン政権は「強いロシア」を誇示し、国民の愛国心に訴えて求心力を高めてきた。2014年、ウクライナで親ロ派政権が倒れた政変を機にクリミア半島の武力併合を強行。同国東部にも軍事介入した。「政変は米国の陰謀」と主張し、米国に対抗する姿勢を押し出して支持率を上げた。

 15年にはシリア内戦への介入に踏み切った。IS掃討の口実で、欧米と敵対するアサド政権を支え、反体制勢力への空爆で欧米を圧倒した。ウクライナ侵攻を巡りロシアに制裁を発動した欧米を交渉のテーブルに着かせる狙いもあった。

 誤算も目立つ。シリアではアサド政権の勝利が固まり、ISが衰退するにつれ米などとの取引材料としての効果が薄れた。敵対するイランとサウジアラビアも絡むシリア和平交渉を背負わされる構図だ。ロシア国民のシリア介入への支持は下がり、世論調査では半数が軍事作戦停止を求める。だが「軍撤退のメドは立っていない」(政府筋)

 ウクライナ介入も出口が見えない。同地の親ロ派武装勢力を支援する戦争はすでに4年目に入った。「ロシア人を守る」との口実で侵攻しただけに、介入の成否は政権の求心力に直結する。

 クリミアをロシア領と承認する可能性に言及したトランプ米大統領の対ロ融和策に期待したが、16年の米大統領選への介入が裏目に出た。ロシアとトランプ陣営の共謀疑惑への追及が強まり、制裁解除の望みは消えた。ティラーソン米国務長官は7日「(ウクライナへの)侵略は見逃せない」とロシア非難を強めた。

 一連の対外強硬策はプーチン氏の求心力の源であると同時に、「おびえ」の反映だとの見方がある。ウクライナ政変は「米国の陰謀」と疑わず、米はロシアの「政権転覆」を狙っていると思い込んでいるフシがある。オバマ米政権時代に駐ロシア大使を務めたマクフォール米スタンフォード大教授は「プーチン氏と会う度に米国はどの国の政変にも関与していないと訴えたが固定観念は変わらなかった」と明かす。

 プーチン氏は最近も北朝鮮制裁に否定的な発言を繰り返し、北朝鮮問題を新たな対米カードにすることを画策する。サイバー攻撃やSNSを通じた偽ニュースの拡散など米欧社会の分断工作にも拍車が掛かる。生き残りをかけたプーチン氏の強硬策に欧米は身構える。

 モスクワ支局の古川英治、小川知世が担当しました。



インド、28年にGDP6兆ドル突破、日本超え 日経センタ ー中期予測、中国の成長は鈍化 2017/12/5 本日の日本経済新聞より

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 日本経済研究センターは、アジアの主要11カ国について2030年までの中期の経済成長率の見通しをまとめた。インドやフィリピン、ベトナムなどで人口の増加や投資の拡大により高成長が続くとみる。28年時点ではインドの名目国内総生産(GDP)が6兆ドル(約675兆円)を突破し、経済規模で日本を上回る世界3位の大国になると予測した。

 中国の実質GDP成長率は緩やかに減速し、30年にかけて2.8%増に鈍化する見通しだ。過剰設備の調整が進み、投資の減速で資本ストックの増加に歯止めがかかると予測した。人口増の一服で、労働投入による成長の押し上げ効果も薄らぐとみている。

 一方、中国では都市化の進展に伴い、通信インフラの整備や教育水準の改善などにより生産性が高い伸びを示す見通し。経済規模の拡大で成長率は減速するものの、30年時点では米国の名目GDPの8割超の規模となり、アジアや世界での影響力が高まるもようだ。

 各国の豊かさの目安となる1人あたりの名目GDPでは、23年にマレーシアが1万2千ドル以上の高所得国に仲間入りし、25年には中国も同水準を上回る見通し。タイも高所得国入りが目前に迫る。また、インドネシアやフィリピン、ベトナムが30年までに高位中所得国(4千ドル以上)に加わると予測した。



インドが軍拡加速中国の進出に危機感空軍、新型ミサイル配備へ 2017/12 /4 本日の日本経済新聞より

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 【ニューデリー=黒沼勇史】インドが自らの勢力圏とみなすインド洋で軍事的な影響力の拡大を急いでいる。空軍は超音速巡航ミサイルの発射実験に初めて成功。今後は領土の東西に配備する戦闘機約40機に搭載する方針だ。海軍も国産空母を建造中で、二正面作戦が可能な体制をめざす。インド洋への中国軍進出に危機感を強めているためで、マラッカ海峡へも防衛線を延ばしつつある。

インドは超音速巡航ミサイル「ブラモス」の戦闘機からの発射実験にも成功=ロイター

 インド空軍が発射実験に成功したのは、ロシアと共同開発した超音速巡航ミサイル「ブラモス」。軍によると11月22日にベンガル湾でスホイ30戦闘機から発射され、想定通りの軌道を描き海上の標的に直撃した。

 命中精度の高さで知られるブラモスは陸上や艦上では実験済みだが、戦闘機での発射実験は初めて。インドの防衛当局者は日本経済新聞に今回の実験成功で「インドの作戦能力が飛躍的に高まり敵国の軍事的冒険を封じられる」と強調。今後、約40機のスホイに搭載することも明らかにした。

 別の当局者はインド洋全域をブラモスの射程に入れていると表明。「(ミャンマー南方のインド領)アンダマン・ニコバル諸島(の基地)を使えばマラッカ海峡もカバーできる」と説明した。

 配備場所は非公表だが、インド洋の東側に位置する同諸島やベンガル湾沿いの都市ビシャカパトナム、アラビア海に面した西部グジャラート州になるとの見方が多い。

 防衛当局者が自国領から離れたマラッカ海峡に言及する背景には、同海峡を経由してインド洋に進出する中国海軍への危機感がある。中国の潜水艦は2013年末~14年年初や、14年後半にそれぞれ約3カ月、インド洋で確認され、目と鼻の先のスリランカの港にも入った。中印両軍が国境で対峙した今夏も潜水艦を含む複数の軍艦がインド洋に姿を現した。

 インド海軍もインド洋での制海権の強化に向け、初の国産空母「ビクラント」の建造を進めている。3月に1隻が退役したため保有する空母は現在1隻のみだが、ビクラントを数年以内に就航させ、2空母による2艦隊を編成する。中国と仮想敵国・パキスタンに対する二正面作戦が可能な体制を整える方針だ。

 ストックホルム国際平和研究所によると、インドの軍事費は16年で559億ドル(約6兆2500億円)で世界5位で、2位の中国(2151億ドル)の4分の1程度の規模。ただ、モディ政権は17年度(17年4月~18年3月)の国防予算を2年連続で前年度より9%増やした。軍拡のペースでは中国(17年は7%増)を上回っている。



中国の「市場経済国」認定見送り米が方針、WTOの地位で 2017/12/1 本日の日本経済新聞より

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 【ワシントン=鳳山太成】米トランプ政権は中国の「市場経済国」認定を見送る方針を固めた。30日、米英の複数のメディアが報じた。中国は米国に対し、世界貿易機関(WTO)における市場経済国の地位を認めるよう要求していた。

 中国がWTO協定上の「非市場経済国」として2016年12月に期限を迎えた際、オバマ前政権は欧州連合(EU)と足並みをそろえて市場経済国と認めない方針を表明した。

 トランプ政権が改めて市場経済国の認定を見送ることで、米中の貿易摩擦が一段と激しくなりそうだ。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)によると、米国は11月半ばに市場経済国認定の見送りをWTOに通知した。



米中「新型大国関係」視野に 習政権ブレーンの胡氏 2017/11/9 本日の日本経済新聞より

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 中国の習近平(シー・ジンピン)政権のブレーンとして知られる清華大学の胡鞍鋼教授は8日、都内で日本経済新聞の取材に応じた。9日に控える習氏とトランプ米大統領の首脳会談について「良い成果が得られることを期待する」と述べた。胡氏は8日の講演で米中関係を「新型大国関係」とも表現し、経済や軍事面で米国に並ぶ強国を目指す考えをにじませた。

 胡氏は清華大の国情研究院長を務め、中国の政策決定に影響力を持つ。今回は学術交流や講演目的で来日した。

 米中関係の現状を巡っては、様々な分野で進む協力の成果を強調した。習政権が発足した2012年以降、米中間で交わした合意は700件を超えると指摘。米国のオバマ前政権と習政権が14年に温暖化ガス削減強化で合意したことに触れ「米中が手を携えれば世界中の問題に対処できるようになり、世界の安定に欠かせない」と指摘した。

 米中両国は貿易不均衡を巡りきしみも目立つが、企業活動などでは相互依存が強まる。胡氏は中国を訪れる米国人の1人当たり消費が欧州や日本から訪れた人を大きく上回るなどと説明し「今後も両国間の民間交流は貿易を除き全方位で伸びる余地がある」と述べた。

 その先に描くのは胡氏が口にした「新型大国関係」だ。この言葉には、領土や主権を巡る中国側の主張を容認するよう求める意図が隠されているとされる。習氏はオバマ前米大統領との会談でこの言葉を用いて米国の警戒を招いた経緯があり、トランプ政権発足後はこの表現を封印してきた。

 習氏は10月の共産党大会で自らの名前を冠した政治思想を「行動指針」として党規約に盛り込み、建国100年の今世紀半ばまでに経済や軍事などで米国に並ぶ「強国」になると宣言した。米国との対等な関係を意識した動きは今後一段と強まりそうだ。(国際アジア部 川上尚志)



<FT特約>習氏、独裁体制に近づく民主主義を脅かす懸念 2017/10/27 本日の日本経済新聞より

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 西側では多くの人が、国は豊かになるにつれて民主化すると固く信じている。中国は、その紛れもない例外であることを示している。中国共産党が5年に一度の党大会を24日に終えた中国は、この40年間で最も独裁体制に近い姿となった。

 習近平国家主席は、党最高指導部を忠実な盟友と信奉者で固め、党規約に自らの名を盛り込んだ。1949年の革命以降、在任中に自身の名を党規約に記したのは毛沢東以来だ。表向きには、習氏は76年の毛沢東死去後の中国で最強の指導者になったように見える。

 党の権力の正統性を確立し、平和的で秩序ある指導者の交代を制度化しようとする数十年来の多大な努力を、習氏は一撃で打ち壊した。習氏は国家と軍、共産党の3つのトップを兼ねているが、正式な任期制限があるのはそのうちで最も重要性の低い国家主席だけだ。

 東西冷戦の最盛期、中国は武力革命を第三世界全体に輸出したが、毛沢東が大惨事を引き起こした後、歴代指導者は西側資本主義の概念を輸入することに目を向けた。

 それが今、習氏は中国が台頭するなかで西側は衰退し、世界に対する中国の影響力を倍加すべき時だと考えている。習政権は中国の「ソフトパワー」の強化にも力を入れている。力ずくではなしに他国を引き付け、納得させる能力だ。

 その一環として、中国をサッカーとエンターテインメントの超大国にしようとしている。世界中の人々に影響力を及ぼすとともに、都市化する中国の大衆の目を政治参加という悪からそらす狙いだ。西側でおなじみの「パンダ外交」以上に重要なのは、今や世界の大学500校以上で開設されている孔子学院で、この教育機関を通じて中国関連の学術研究も統制しようとしている。

 国家の規模と高位中所得国という地位から、中国が文化として、そして国として国際舞台で影響力を増すのは必然であり、また望ましくもある。しかし、世界は、習氏の下で中国は、西側が第2次世界大戦以前から推進してきた民主主義と相いれない統治モデルを国際的に広めようとしている、ということを忘れてはならない。

(26日付、社説)

=英フィナンシャル・タイムズ特約



東南ア各国、貿易で対米接近 中国の影響力抑制狙う 2017/10/24 本日の日本経済新聞より

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 【シンガポール=中野貴司】シンガポールのリー・シェンロン首相は23日、ホワイトハウスで米国のトランプ大統領と会談した。大型の航空機購入契約を交わすなど、先立って訪米したマレーシア、タイの首脳と同様、貿易拡大を前面に打ち出した。東南アジア各国が貿易赤字削減を目指すトランプ政権の方針に沿う姿勢をみせた背景には、米国が同地域へ強く関与するようにし、中国の一方的な影響力拡大を避けたいとの思惑がある。

トランプ米大統領(右)とシンガポールのリー首相(中)はボーイング機購入契約式典に同席(23日)=ロイター

 リー首相「シンガポール航空は悪くないですよ。最高の飛行機をそろえようとしている」

 トランプ大統領「だからボーイング機を買うんだろ」

 シンガポール航空がホワイトハウスで、米ボーイングと総額138億ドル(約1兆5500億円)の航空機購入の契約を結んだ直後、両首脳は冗談を飛ばし合った。首脳会談では北朝鮮や南シナ海問題、イスラム過激派対策で連携を確認した。この場で潤滑油の役割を果たしたのが、巨額の商談だった。

 マレーシアやタイの首脳がそれぞれ9月12日、10月2日にホワイトハウスを訪問した際にもこうした光景がみられた。マレーシアのナジブ首相はトランプ氏との会談冒頭で、マレーシア航空が100億ドルを超えるボーイング機を購入する計画を表明。タイのプラユット暫定首相も首脳会談で、米国への積極投資を打ち出した。

 東南アジアの首脳が米経済や雇用への貢献を強調したのは「米国第一」を掲げるトランプ氏との関係強化に最も効果的なカードだからだ。特にマレーシアやタイは米国にとって貿易の赤字額が多く、トランプ政権によって今春「不公正貿易」の調査対象に名指しされた。貿易不均衡の是正につながる投資計画を打ち出すことで、これ以上の批判を避けたい考えだ。

 また、トランプ政権にアジア太平洋地域へ積極的に関与するよう促す狙いもあった。東南アジア各国には、米国が内向き志向を強めれば中国の域内での影響力が一段と強まり、パワーバランスが崩れるとの懸念が根強い。

 シンガポールのリー首相は23日の共同記者会見で、11月のトランプ氏のアジア歴訪に触れ「トランプ氏の訪問はアジアの友好国や同盟国にとって多大な意味を持つ」と強調した。中国やインドといった大国に挟まれた東南アジア諸国連合(ASEAN)各国にとって、米国の関与は地域の安定に欠かせない。

 国営投資会社の資金の不正流用疑惑がくすぶるナジブ氏や、オバマ前政権からの批判を受けていた軍事政権のプラユット氏にとっては、トランプ氏との会談で政権の正当性のお墨付きを得るという思惑も透けた。



「習思想」のめざすもの 党主導の中国流資本主義 2017/10/20 本日の日本経済新聞より

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 北京で開催中の中国共産党大会で、習近平総書記(国家主席)の名前を冠した政治思想が党規約に盛り込まれる見通しとなった。「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」と社会主義を掲げてはいるが、実態は党がすべてを指導する中国流の資本主義だ。

 習氏が党大会の開幕式で3時間半にわたる演説をしてから一夜明けた19日、地方指導者らが相次いで習氏の思想に言及した。「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想は、中華民族の復興にとって非常に重要だ」。黒竜江省トップの張慶偉・同省党委書記はこう訴えた。

 習氏のいう「社会主義」とは何か。18日の活動報告で習氏は「わが国がいまも、これからも長期にわたって社会主義の初級段階にあるという国情は変わっていない」と語った。

 1949年に成立した中華人民共和国は、はじめから社会主義をめざしたわけではない。遅れた農業国だった当時、まず資本家らの力も借りて工業化を実現しなければ社会主義には進めないと考えたからだ。

 ところが、わずか4年後の53年に、建国の指導者である毛沢東氏は社会主義の道に向かう決断をする。東西冷戦が激しくなるなか、ソ連にならってあらゆる権限を共産党に集中する計画経済にカジを切る必要があると判断したためだ。

 56年には、社会主義への移行が基本的に完成したと宣言した。その後、毛氏が60年代半ばに発動した文化大革命で、中国経済は崩壊の瀬戸際に追い込まれた。

 鄧小平氏が78年に始めた改革開放は、危機的な状況だった経済を立て直すために私企業の活動や格差の拡大を認め、事実上、資本主義に回帰する政策だった。しかし、いちど社会主義になったはずの中国が資本主義に戻れば党の権威に傷がつく。保守派からの反発も強まりかねない。

 そこで、鄧氏が提起したのが習氏も触れた「社会主義の初級段階」という概念だった。工業化が遅れている中国は完全な社会主義にはほど遠い。だから、資本主義の要素も大胆に採り入れて経済を発展させなければならない。共産党の指導さえ徹底していれば、社会主義の道からそれる心配はないという理論だった。

 鄧氏が掲げたややゆとりのある「小康社会」の実現は、目標どおり党創立100年の2021年までに達成するメドがついている。

 習氏は建国100年の49年に「社会主義現代化強国」をめざすとした。それまでに経済、軍事、文化の幅広い分野で世界の頂点に立ち「社会主義の初級段階を終わらせる」と宣言したようにもとれる。

 もちろん、資本主義をやめるわけではない。党の支配を通じて中国の特色ある資本主義を続けるという意味だろう。習氏の最大のねらいは鄧氏が築いた時代に区切りをつけ、自らの時代の到来を宣言することにある。

(北京=高橋哲史)



「ロシア国民に閉塞感」プーチン氏政敵の元石油王に聞く体制移行へ新指 導者支援 2017/10/11 本日の日本経済新聞より

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 かつてロシアで「石油王」と呼ばれながら、プーチン大統領と対立し10年にわたり投獄されたミハイル・ホドルコフスキー氏が亡命先のロンドンでインタビューに応じた。来年3月に大統領選を控え、国民に閉塞感が強まっていると指摘。プーチン体制の打破に向け、各地の新しい政治指導者を後押しすると表明した。主なやり取りは以下の通り。

ミハイル・ホドルコフスキー氏

 ――ロシア全土で反政権デモが起きている。

 「(17年間の)プーチン体制に国民は疲れている。プーチン氏は国をどこに導くのかが見えていない。国民は不安定さを感じ取っており、変化が必要と考え始めている。次期選挙は安泰だろうが、2020年ごろから問題に直面する」

 ――経済は停滞が鮮明になっている。

 「プーチン氏の周辺が経済の大半を独占し財産権も保護されない現状では投資は増えない。技術移転も期待できない。有能な人材の国外流出も目立つ。政権は多くの産業で競争を最小限にした」

 「米国が8月に対ロ制裁を強め(ウクライナ侵攻を巡る)経済制裁の解除が難しくなったのは打撃だ。政権は(米大統領選への介入により)自らの手で制裁長期化を確定させた。投資や技術革新に確実に響いてくる」

 ――あなたが描く体制移行のシナリオは。

 「2つある。まず改革に取り組む人物がプーチン氏に代わること。もう1つは代表制政治への移行だ。ロシアの議会には、各地の住民の声を反映する代表がいない。そもそも議会に権力がない」

 「プーチン氏は次の任期中に70歳になる。後継指名しても安全は保証されない。権力闘争は避けられない。おそらく地方で問題が噴き出す。地域代表による議会制への移行が一つの道だ。プーチン派は議会で多数を維持し、安全を確保できる」

 ――汚職を糾弾するナワリニー氏が反体制指導者として台頭している。

 「政権に圧力を掛ける重要な役目を果たしており、支持している。彼は自身が政治リーダーシップをとるために大統領を代えようとしている。私は政治体制そのものを変えたい。将来のビジョンは異なるが、今は同じ方向で動いている」

 「多くの政治リーダーを後押ししたい。たとえば(9月のモスクワ区議会選で多くの議席を獲得した)グドコフ氏のグループだ。彼は来年のモスクワ市長選に出馬する。各地で地方選や議会選に出る新しいリーダーを支援する」

(ロンドンで、聞き手は古川英治)

=関連記事を電子版に▼ビジネスリーダー→コンフィデンシャル→プライムインタビュー

 ソ連崩壊後の民営化で国有資産を買収し、1993年に石油会社ユーコスを設立。2000年に就任したプーチン大統領と対立、03年に脱税容疑などで逮捕され、ユーコスは解体された。13年に恩赦を受け、ロンドンに事実上亡命。市民社会を支援する「オープンロシア」を立ち上げた。54歳。



「同盟国、強力な貿易協定を」バノン前首席戦略官に聞く 2017/9/14 本日の日本経済新聞より

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 【香港=粟井康夫】トランプ米大統領の最側近だったスティーブン・バノン前首席戦略官・上級顧問は訪問中の香港で日本経済新聞の取材に応じ、日本との2国間の自由貿易協定(FTA)交渉が重要との認識を示した。同氏はトランプ支持層の思想を代表する論客。米国の政策に影響をおよぼす可能性がある。

 ――対中貿易赤字をはじめ不均衡の是正が必要だと主張してきました。

 「私は決して反中派ではなく、中国に深い敬意を抱いている。だが米中の貿易関係は均衡を取り戻さなければならない。中国による過剰供給の輸出は米国の政治も動かしている。過去10年で3.5兆ドル(約385兆円)に当たる技術移転も強制された。経済戦争を続けるわけにはいかない」

 「中国企業による技術取得を狙った米企業の買収も懸念している。トランプ大統領は(知的財産権侵害に関し)通商法301条に基づく調査を始めた。過去の政権がしなかった勇気ある行為だ」

 ――環太平洋経済連携協定(TPP)は中国との経済関係を是正する解になりませんか。

 「米国は自らが一加盟国にすぎない多国間協定に入るべきではない。中国にも反中同盟のようなものと解釈されうる。貿易相手国と直接、強力な関係を結びたい」

 「米国の経済ナショナリストが望むのは日本との強力な2国間の貿易交渉だ。条件も明確だし、日本との軍事的な協力関係も絡められる。韓国にも同じ事が言えるし、ベトナムやフィリピンとも2国間で交渉したい」

 ――対日軍事関係の見直しもあり得ますか。

 「そうではない。提案しているのは、軍事的な協力関係にある国との強力な2国間の貿易交渉だ。率直に言えば、私は日本や韓国はコスト負担を増やし、自国防衛により貢献すべきだと考えている。ただこれは私の個人的な信念で、大統領や政権の考えではない」

 ――日本との貿易交渉での議題は何ですか。

 「農業だけでなく自動車、製造業の製品などあらゆる項目を含めるべきだ。米企業による日本の自動車市場への参入にも不安がある。日本と米国は非常に緊密な同盟国であり、その関係を強力な貿易協定でさらに固めるべきときだ。ただ日本側に熱意があるとは言い難い」

 ――北朝鮮問題に関して「軍事的解決はない」と発言しました。

 「米国と中国が2国間で解決策を見つけ出すのを望んでいる。トランプ大統領の11月の訪中がそのスタートになるだろう。地域の二大国が顔を合わせて議論し、解決策を探るのは理にかなう」

 ――北朝鮮情勢が深刻化しても、米韓FTAを再交渉するのですか。

 「米韓FTAは明らかに米国の役に立っていない。北朝鮮との深刻な状況が、交渉の予備協議を止めるとは思わない」

 ――トランプ政権はアジアから手を引きつつあるとの見方もあります。

 「政権発足後8カ月で多くのアジアの指導者の訪米を受け入れた。オバマ前政権の最初の数年より多い。安倍晋三首相が(当選から)数日で飛んできたのが象徴的だ」

 「中国という巨大な貿易相手国との問題を解決する必要があり、緊密な同盟国である日本の上空にはミサイルが飛んだ。大統領は世界のどの地域よりもアジアに関与してきたし、これからもそうするだろう」

 Stephen Bannon 極右的思想を掲げる米ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」会長。昨年の米大統領選でトランプ陣営の選挙参謀として「米国第一主義」のスローガンを前面に打ち出し、勝利に導いた。 新政権では首席戦略官・上級顧問に就任したが、トランプ大統領の娘婿、クシュナー上級顧問らとの対立が激化。8月に解任された。トランプ氏とは解任後も電話で話すなど良好な関係にあるとされる。63歳。