カテゴリー別アーカイブ: 政治

世論調査考(中)深掘り「列島民意」 自民、学生人気 高く 支持層の裾野広げる 2017/12/6 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「世論調査考(中)深掘り「列島民意」 自民、学生人気高く 支持層の裾野広げる」です。





 日本経済新聞社が実施する世論調査では、回答者に6種類の職業からいずれかを答えてもらう。定例調査では農林水産業や学生などの対象者が少ないため、誤差幅が大きく比較が難しい場合が多い。しかし、7万人以上の回答を集める衆院選時の情勢調査を使うと、職業の違いによる内閣や政党支持の動向がより正確にみえてくる。

 各政党がどんな職業の人に支持されているのか分析すると、2012年12月に第2次安倍内閣が発足してから、自民党が支持層の裾野を広げたことが浮かび上がる。

 10月の衆院選時の情勢調査で全体の自民党支持率は39%。職業ごとにみると大きな差がある。

 農林水産業が53%で最も高く、学生が49%で続く。自営業が42%、無職が39%、サラリーマンや公務員を含む「お勤め」が38%、専業主婦が36%となった。09年衆院選時と比べると、農林水産業以外の5業種に支持が広がったことがわかる。

 なかでも特徴的な動きを見せるのが学生だ。今年の衆院選では14年衆院選時と比較すると自営業や「お勤め」、専業主婦は支持率を落とした。だが学生は14年の48%から49%とほぼ横ばいを保った。09年衆院選時の34%と比べると15ポイントも上昇した。

 さらに地域を絞って比較してみよう。東京の学生に限ると自民党の支持率は50%で、09年の39%から11ポイント上昇した。一方、北海道の農林水産業の支持率は09年も今年も40%で横ばい。従来型の地方の農村の支持に加え、都市部の学生など異なる層が自民党に目を向けるようになったといえる。

 年代別の支持率をみると、さらに近年の傾向が顕著だ。09年衆院選では20~50代の自民党支持率は20%台だが、60代が32%、70歳以上が40%となり、高齢層ほど支持率が高かった。今年の衆院選では18~19歳が45%、20代が46%、30代が42%と若年層が40%台で、40~60代は30%台になり、高齢になるほど支持率が落ちる傾向がみてとれる。

 なぜ学生の自民党支持が厚いのか。多くの議員が実感を持つのが就職環境の改善だ。大学生の就職内定率は過去最高の水準で推移する。佐藤正久外務副大臣は衆院選の演説で「この前、女子高生に囲まれて『就職が良くなったので政権を応援したい』と言われた」と自らの体験を披露した。

 埼玉大の松本正生教授(社会調査)は「社会に違和感を持たず、無意識に現状維持志向を持つ学生が多い」と分析する。北朝鮮情勢の緊迫や中国の海洋進出、歴史問題で関係がぎくしゃくする韓国の対応を受け、北朝鮮や中韓に毅然とした態度を取る安倍政権の姿勢に若者が共感を得やすいという見方もある。

 情報収集の手法の変化が影響している可能性もある。自民党ネットメディア局長の平将明衆院議員は「テレビよりネットの方が政権の評価が高い情報が多く、その情報に接する若者は政権寄りになるのではないか」と話す。支持構造の変化は自民1強の源泉にもなっている。



日米、豪印との連携へ 対中国「けん制」「協力」使い分け インド太平洋戦略 2017/11/7 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「日米、豪印との連携へ 対中国「けん制」「協力」使い分け インド太平洋戦略」です。





 安倍晋三首相とトランプ米大統領は6日の首脳会談で、アジア・アフリカ地域の安定と成長をめざす「自由で開かれたインド太平洋戦略」の推進で一致した。オーストラリアやインドを加えた4カ国の連携を軸に、自由貿易や安全保障で同地域に関与する枠組みづくりを狙う。軍事・経済両面で台頭する中国には「けん制」と「協力」の2つの姿勢を使い分ける考えだ。

 安倍、トランプ両氏は首脳会談後の共同記者会見で「インド太平洋」の重要さをそろって説いた。首相は「海洋秩序の維持、強化は地域の平和と繁栄にとって死活的に重要だ。日米が主導的な役割を果たしていく」と指摘。トランプ氏は「貿易を改善し、軍事的な問題を解決するたくさんの課題がある」と強調した。

 日本側の説明によると、会談では(1)基本的価値の普及(2)経済的繁栄を追求(3)平和と安定の確保――を戦略の3本柱とする方針も確認した。豪印をはじめ自由貿易や民主主義の価値観をともにする東南アジア諸国連合(ASEAN)などを巻き込み推進する。

 インド太平洋戦略は2016年に首相が打ち出した。日米がいまこれを共有する背景には、米国の存在感がアジアで低下している現状がある。

 トランプ政権が離脱表明した環太平洋経済連携協定(TPP)には日米が通商ルールづくりを主導する狙いがあった。南シナ海の軍事拠点化を進める中国に対抗して「航行の自由作戦」は展開するが、経済を含む体系的なアジア関与戦略は示していない。

 日米は存在感を増す中国を意識しつつ、その距離感には神経を使っている。日本政府は中国を念頭に「特定の国を対象にした戦略ではない」との公式見解も発表した。

 「中国包囲網」と受け止められたくない事情もある。豊富な資金を背景にした中国の広域経済圏構想「一帯一路」はアジアに浸透している。経済、安全保障で深く関わるASEANにとって、中国は「対抗」すべき国ではない。経済面で結びつきの強いオーストラリアや、国境地帯で紛争を抱えるインドも中国とは微妙な間合いをはかりながら外交を展開している。

 南シナ海の海洋秩序やルール変更に挑む行為はけん制しつつ、経済では共存をはかる姿勢のさじ加減が課題となる。



インド、海洋戦略の要所 対中国で高まる重要度 2017/9/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「インド、海洋戦略の要所 対中国で高まる重要度」です。





 安倍晋三首相がインドとの関係を重視するのは、安全保障上の重要度が高まっているためだ。インドは日本のシーレーン(海上交通路)の要衝。中国の積極的な海洋進出をけん制するためには、インドとの連携は欠かせない。中国の軍拡や北朝鮮の挑発など、東アジアの安保環境は厳しさを増している。強固な日米同盟をさらに補完する狙いもある。

画像の拡大

 日本とインドは1年おきに首相が相互に訪問している。安倍首相がインドを訪れるのは、2012年末の第2次政権発足後、3回目となる。モディ首相との首脳会談は国際会議などを含めると既に10回目に達し、インド重視の姿勢は明らかだ。

 首相は16年、新たな海洋戦略として「自由で開かれたインド・太平洋戦略」を打ち出した。太平洋からインド洋までアジア、アフリカをまたぐ海域を「海洋の法の支配が及ぶ範囲」と位置づけ、シーレーンを確保する考えだ。中国は同海域で経済圏構想「一帯一路」を掲げ、海洋進出を積極化している。

 安倍首相が戦略を実現するには、アジアとインド洋沿岸諸国の結びつきを強めることが不可欠だ。インドのモディ首相が唱える東アジア重視戦略「アクト・イースト」とも共鳴する。インドにとっても、中国の海洋進出は脅威のため、日印で協力を深める方針だ。

 14日の首脳会談では、海上自衛隊とインド海軍による共同訓練の推進や防衛装備品の技術協力など安保分野での幅広い連携を確認する見通しだ。



小池百合子研究(3)予定10分刻み、走り続ける「政策決定者の私が 決めた」 2017/9/8 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「小池百合子研究(3)予定10分刻み、走り続ける「政策決定者の私が決めた」」です。





 「私はマグロなのよ」。東京都知事の小池百合子は周囲に話す。マグロは泳ぎをやめると窒息するため、昼夜泳ぎ続ける。自身のたとえ通り、小池の仕事人間ぶりは都庁で有名だ。

08年の自民党総裁選は(左から)与謝野馨、石破茂、麻生太郎、石原伸晃の各氏と争った

 「局務報告」「面会」「ビデオメッセージ収録」。情報公開請求で小池の週間日程予定表を取り寄せると、連日、10分刻みで予定が入っている。「あらゆる案件の報告を求めている」と都職員は話す。こうした姿勢は、小池が幼少時に所属したガールスカウト時代に身につけたものだ。

「会見の直前で」

 「Be prepared(備えよ常に)」。スカウト活動の創始者、ロバート・ベーデン・パウエルの言葉だ。小池は常に情報を集め、準備を怠らない。

 「我々との間で物事を決めるつもりがないのではないか」。都幹部の1人は話す。築地市場の豊洲移転や、2020年東京五輪・パラリンピックの会場見直し問題など、重要政策であるほど「知ったのは会見の直前」(都幹部)という声は多い。

 小池が任命した顧問団ともそんな関係がにじむ。

 市場移転について専門家会議が「豊洲は安全」との見解に傾くと、小池は市場問題プロジェクトチーム(PT)を設置。PT座長に指名した小島敏郎が「築地建て替え案」をまとめると、小池は「政治的にもたない」と漏らし、別の有識者に解決策の検討を打診。最終的に自身の判断で「豊洲移転+築地再利用」という折衷案をまとめた。

 「市場問題でも知事に色々な情報を入れたが、最後は知事が一人で決断した」。顧問の1人は振り返る。

 「保守」を自任する小池だが、主張はかたくなではない。保守系団体「日本会議」に籍を置いたが、最近は出席していない。小池は「少しカラーがきつくなってきて違和感を感じた」と説明している。

 閣僚時代には終戦記念日の8月15日に靖国神社に参拝したが、知事就任後は実施していない。昨年10月の都議会では、自民党都議が参拝を見送った理由をただしたが、小池は明確にはしなかった。「常に心の中で、どこであれ戦没者への崇敬の念を抱いている」と述べた。

政策発信抑える

 首相の安倍晋三が狙う憲法9条改正はどうか。「(自衛隊を)違憲という人がいるからといって憲法に付け加えるというのは、いきなりは理解しがたい」と距離を置く。

 国政での経済政策の発信もいまは抑え気味だ。08年に自民党総裁選に出馬した際は成長を重視する「上げ潮派」。「埋蔵金の活用」を掲げ、特別会計の積立金を含む政府資産の圧縮や、歳出削減を主張していたが、最近はこうした発言をすることはない。

 都知事になって何を主張しているのか。「東京大改革の一丁目一番地は情報公開」。小池は就任以来、このフレーズを振り返す。

 「最後の決めはどうかというと、人工知能です。人工知能というのは、つまり政策決定者である私が決めたということ」。小池は8月10日の記者会見で「豊洲移転の検討過程の記録がない」と追及され、こう答えた。就任前の都政を「ブラックボックス」と批判していた小池だが、都政を透明化できるだろうか。

(敬称略)

=おわり



内閣官房の研究(下)「歴史」摩擦の芽を摘む根本解決なお描けず 2017/ 8/17 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「内閣官房の研究(下)「歴史」摩擦の芽を摘む根本解決なお描けず」です。





 6月30日、米南部ジョージア州のブルックヘブン市。市内の公園で、地元の韓国系団体が寄贈した従軍慰安婦像の除幕式が開かれた。外交担当の内閣官房副長官補室の指揮の下、在アトランタ日本総領事館が地元政府などに設置撤回を強く働きかけたが防げなかった。

米ジョージア州ブルックヘブンに設置された慰安婦像(6月30日)=共同

中韓と宣伝戦

 同市の話はほんの一例にすぎない。日本は今、中国や韓国と、世界中で歴史問題を巡る宣伝戦を繰り広げている。

 「市の公園に慰安婦像を設置する」。2016年秋、ドイツ南西部のフライブルク市長が突然発表したときには、副長官補室がすぐに火消しに動き設置を阻止した。日本に気づかれぬよう同市と姉妹都市提携する韓国・水原市が動いていた。

 3人いる副長官補のうち外交担当の兼原信克副長官補の下では、外交・安全保障政策を立案する国家安全保障局とは違い、他国との摩擦など省庁横断の案件を扱う。このときはフライブルク市側に事業を中断するよう促す資料を至急準備し、駐ドイツ大使館員らに説得にあたらせた。

 以前は「請求権の問題は法的に解決済みだ」などと日本の立場を主張するばかりで、かたくなな態度が逆に相手国の不信を招いた。最近は「あなたの愛する自治体が政治利用されているんですよ。良いのですか」などと相手が説得を受け入れやすい言いぶりまで副長官補室が細かく指示する。

 フライブルク市側は日本側の説明に「すべての女性の尊厳のためだと聞いていた。歴史問題が絡んでいるとは思わなかった」と応じ、像設置の中断を決めた。米ブルックヘブン市では韓国系住民の政治力が強く、阻止はかなわなかった。

 歴史問題は第2次安倍政権になって重視するようになった。中国が申請した「南京大虐殺の記録」資料が、15年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録されたのは痛手だった。首相も外務省幹部に「なぜ気づかなかったのか」と怒りをぶつけた。

 「国際機関で働く日本人がみな、必ずしも歴史問題に詳しいわけではなく、意識が及ばなかった」と外務省幹部は振り返る。世界中に大使館がありながら、中韓の宣伝戦が野放しにされてきたのも同じ側面がある。

 反省を踏まえ副長官補室は、世界各地の大使館に歴史問題重視の方針を伝達。摩擦の芽をいち早く摘むべく、情報収集を強化するよう指示した。

 中韓両国の場合、海外での宣伝戦を担うのは各地に転じた移民らで数は増えるばかり。一方、日本は海外への留学生が減り、在米日本人でさえ少なくなってきている。

本来は外務省

 「顔の見えない日本」に歯止めを――。内閣官房国際広報室は、在日米軍基地での勤務経験がある米国人を組織化し、交流を強化する考えだ。海外で親日家ネットワークをつくり、歴史問題などで日本に不利な動きがあれば、いち早く気づく仕組みづくりといえる。

 状況は「いたちごっこ」(副長官補室)だ。最近では、国際連合人権理事会から任命された国連の特別報告者らに中韓が積極的に接触し、日本を批判する情報を伝えているという。

 中韓との摩擦への対応は本来、外務省の担当部局の仕事だ。だが外務省幹部は「担当者は目の前の相手との協調を優先しがちだ」と明かす。摩擦対処の役割を副長官補室に移したことで、主張すべきことはしながら良い関係を築く外交はしやすくなった。根本的な摩擦をどう解消するか。対症療法を超えるシナリオはまだ描けていない。

 島田学、地曳航也、田島如生、山崎純が担当しました。



シンゾウとの距離(7)二階俊博あうんの呼吸、いつまで 2017/7/21 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「シンゾウとの距離(7)二階俊博あうんの呼吸、いつまで」です。





 18日夜、自民党幹事長の二階俊博(78)は滞在先のワシントンのホテルの自室に駐米中国大使の崔天凱を招き入れた。崔は米中経済対話で多忙な時期だったが、二階の訪米を聞いて駆けつけた。「長年の日中関係における尽力に敬服する」。5月に国家主席の習近平との会談を実現した二階の仕事ぶりをこう評した。二階は大きくうなずいた。

18日、ワシントンで崔天凱駐米中国大使(左)と会談する二階氏=共同

 内閣改造を2週間後に控える中、党の要である幹事長が日本を不在にできるのはなぜか。答えを解くカギは自民党が惨敗した都議選直後の4日にある。

 「新しい課題に対応していきましょう」。首相の安倍晋三(62)は首相官邸を訪ねた二階に語りかけた。昼食を交えた2人だけの会談は約50分。子細は明かさないが「あの会談で幹事長続投が決まった」というのが大方の見立てだ。

「百戦錬磨」の腕力

 本来なら党執行部の責任問題に発展してもおかしくない都議選惨敗だったが、県議出身の二階は早い段階からこう語っていた。「県議選を党本部にやってもらったことはない。候補者や都連が努力しなきゃ」。敗戦必至とみて党執行部や首相官邸には矛先が向かないよう布石を打つための発言でもあった。

 二階と安倍との間で都議選への対応をじっくり打ち合わせたフシはない。定期的に首相官邸を訪ねる際にも細かい選挙や国会への対応で二階が指示を仰いだこともない。「あうんの呼吸だ。細かいことは相談しなくても分かる」。二階は周囲にこう語る。

 昨年8月の幹事長就任後、二階の存在感を高めたのはまさにこの「あうんの呼吸」だった。就任早々に安倍の総裁3選を可能にする党則改正をぶちあげ、電光石火で党内論議をとりまとめた。二階は「総理にはもっと感謝してもらわんとな」と満足げに語る。

 安倍は自身に思想信条が近い「お友達」で周囲を固めたい気持ちがある一方、二階や官房長官の菅義偉(68)といった異なるタイプの政治家を高く評価する。安倍はことあるごとに「百戦錬磨、自民党で最も政治的技術を持っている」と二階を持ち上げ、二階も「ポスト安倍は安倍」と長期政権を支える立場を徹底してきた。

 安倍が悲願とする憲法改正はこの秋、大きなヤマ場を迎える。臨時国会までに党独自の改憲案をまとめると宣言したからだ。実現できなければ自らの求心力低下につながりかねない。それをまとめるには「あうん」の関係をもつ二階の腕力が不可欠になる。

時にあつれきも

 ただその腕力は時にあつれきを生む。二階が狙った無所属で自らの派閥に所属する衆院議員、長崎幸太郎(48)の復党問題。先週になって突如「今の執行部のうちに一定の結論を出したい」と党紀委員長を務める山東昭子(75)をけしかけた。書面提出で多数決にかける強行突破を試みた。

 しかし、18人の委員のうち、二階の意向に沿って復党に賛成したのは6人。しかも5人は民間人で、国会議員での賛成は自派の河村建夫(74)だけ。二階は「党人事後の次の体制で審議する」となお執念をみせるが、党内からは「派閥を拡大するために幹事長のポストを使っているだけだ」との不満も表面化する。

 「安倍1強」への逆風が強まる中、来年9月には党総裁選、年末には衆院議員の任期満了が控える。「衆院解散は総理の権限ですが、選挙は1人でできますか」。衆院解散風が吹いた3月中旬、二階は安倍にこうクギを刺したことがある。安倍と二階。あうんの関係は緊張関係の裏返しでもある。

(敬称略)

=おわり



シンゾウとの距離(6)小泉進次郎互いの価値を値踏み 2017/7/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「シンゾウとの距離(6)小泉進次郎互いの価値を値踏み」です。





 6月25日夜、自民党農林部会長、小泉進次郎(36)の発言が注目を集めた。

小泉氏(左)は横須賀市長選で「借りた恩の返し方はいろいろある」と述べた(6月25日)

 「借りた恩の返し方はいろいろある」

 「恩」とは同日投開票された横須賀市長選。横須賀市は「小泉家」のお膝元だが、市長選は父親の純一郎の時代から2回連続で敗北した。今回は自民、公明両党が推す新人が当選した。

 背景にあったのは首相官邸や自民党が展開した国政選挙並みの総力戦だ。そのおかげで小泉は面目を保てただけに恩の返し方への臆測が永田町で広がった。

 というのも、8月上旬に予定される内閣改造で、小泉の人事が1つの焦点となっているためだ。東京都議選の惨敗で「1強」を誇った政権の足元は揺らいだ。局面打開には人気者の小泉は格好の目玉人事となる。

謙虚さ前面に

 衆院当選3回ながら衆目が一致する「将来のリーダー」。嫉妬の渦巻く永田町で、謙虚さを前面に慎重にキャリアを積んできた。

 2015年に抜てきされた農林部会長としては、票田である全国農業協同組合連合会(JA全農)の改革に切り込んだが、先輩である農林族議員らは徹底的にたてた。部会が終わると、必ず農林族幹部らに「今日もありがとうございました。おかげ様で無事に終わりました」と丁寧に頭を下げた。部屋には最後まで残り、JA幹部ら出席者の意見を聞いた。

 3月末に党内の若手議員らと提言した子育て支援の財源案「こども保険」。党内からは厚労族議員を中心に反発も出た。小泉は自ら厚労族幹部らの事務所に電話して面会を打診。断られれば国会で待ち伏せし、一生懸命説明して回った。

 だからこそ改造で噂される「異例の抜てき」には不安もぬぐえない。「周りは俺の失敗を待っている」。経験を積む好機である半面、要職を受け失敗すれば非難の嵐となりかねない。一方、官房副長官など政権の中枢に入れば政権を擁護せざるを得ず、これまでの政権批判も辞さない清新なイメージは壊れてしまう。

「時間軸が違う」

 首相の安倍晋三(62)とは微妙な距離感を保つ。「時間軸が違う気がするんだよね」。こう評したことがある。実際、遊説や党内論議で「アベノミクス」に触れたことはほぼない。金融緩和や財政拡大などカンフル剤的な政策にも一定の同調は示すが「日本の課題は20年以降に一気に顕在化する」と構造改革の必要性を訴える。12年党総裁選で元幹事長の石破茂(60)に票を投じたのも石破が訴える「持続可能な日本」に共鳴したからだ。

 一方、安倍の側にも複雑な感情がにじむ。ある党幹部との会食の席。出席者によると、安倍は「ポスト安倍」候補を披露していた。そこで党幹部が「進次郎もいますしね」と水を向けると、返ってきた答えは「まあ、そうだね」。

 閣外からの歯にきぬ着せぬ発言にも不快感は隠せない。「いろいろ言ってて頼もしいね」と安倍は最近、皮肉にも似た感想を周囲に漏らした。政権浮揚のカードだが、引き立てた結果、自らの後継者とはいえない政治家を育ててしまう恐れもある――。首相周辺は「進次郎は首相にとってもろ刃の剣でもある」と語る。

 「マクロン仏大統領は39歳。カナダのトルドー首相は45歳。俺とほとんど年の変わらない彼らの活躍はすごく意識するね」。小泉は最近、周囲にこう語った。小泉にとってトップをめざす戦いは遠い未来ではない。ここから積むキャリアは大きく勝負を左右する。

 安倍は「進次郎カード」をどう利用しようとし、小泉はどう対峙するのか。現リーダーと将来のリーダー候補が互いの価値を慎重に値踏みしている。(敬称略)



シンゾウとの距離(5)稲田朋美庇護が生んだ痛手 2017/7/19 本 日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「シンゾウとの距離(5)稲田朋美庇護が生んだ痛手」です。





 「撤回と謝罪をしたほうがいいな」。首相、安倍晋三(62)の声は意外にも落ち着いていた。6月27日の東京都議選の応援演説で「自衛隊としてもお願いしたい」と発言した防衛相の稲田朋美(58)。自衛隊の中立性を損ないかねない発言とメディアが一斉に報じたのを受けて、慌てて連絡を取ったのが安倍だった。

安倍首相と「思想信条はほとんど一緒」と話す稲田氏

 選挙期間中というタイミングでの稲田の不適切発言で野党は罷免を要求。与党内からも資質を疑問視する声が相次ぐ。8月に予定する内閣改造・自民党役員人事では稲田の防衛相続投を予測する声はもはや党内で皆無となりつつある。

党内に嫉妬の声

 昨年8月の防衛相就任後、稲田には過酷な日々が続いた。土日返上で官僚から政策の説明を受け、週1回だった国際情勢の報告も毎日させるようにした。「いつでも出られるよう寝室の横に服をそろえているの」。緊迫度を増す北朝鮮情勢への対応にも追われた。

 そんな中で今年2月、最大の試練が襲う。南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題だ。「廃棄」と説明していたデータの存在が発覚。稲田自ら事実関係の把握に乗り出したが、自らの知らないところで「存在しない」はずのデータ残存や組織的な隠蔽が次々と報じられた。

 「まだ何か出てくるの?」。強気だった稲田もさすがに25万人規模の実力組織である自衛隊の統治への不安を漏らすようになった。首相周辺から「防衛省が大臣の足を引っ張っている」と同情論も出たが、稲田のもとでどこまで原因究明できるかも焦点となる。

 風当たりの強さは当選4回ながら防衛相に抜てきされたことへの嫉妬とも無関係ではない。防衛相の前は党三役である政調会長、その前は行政改革担当相を務めた。一貫して重要ポストに居続けられたのはひとえに安倍の庇護(ひご)があったからというのが永田町の一致した見方だ。

 稲田と安倍との出会いは2005年にさかのぼる。当時、党幹事長代理だった安倍が保守派の弁護士だった稲田を若手の勉強会に講師として招いた。靖国参拝問題などに鋭く切り込む稲田に一目ぼれした安倍が同年の郵政選挙の刺客候補として口説き落とした。

 「安倍さんがいなかったら私は政治家になっていません。思想信条はほとんど一緒」。週刊誌のインタビューで稲田も安倍との関係をこう語っていた。

「急ぎ過ぎた」

 安倍は出身派閥である細田派の後継「四天王」の一人に必ず挙げる。初の女性首相候補に育てようとしたとの見方は多い。「表情はしおらしく見えるから攻めやすいが、内面はそうじゃない。攻撃側になると元気になるんだ」。安倍の稲田への評価は高い。防衛相への抜てきも安倍の期待あってのことだった。

 それだけに稲田も安倍の期待に応えようとしてきた。政調会長時代、自ら「政治家なら誰でも首相を目指す」と公言したのも本心だった。各省庁などとの勉強会を積極的に主催。「ポスト安倍」を意識し、政策の幅を広げて「保守」一枚看板の政治家からの脱却を試みようとした。

 「いろんな事を急いでやり過ぎてきた」。四面楚歌(そか)となる稲田は最近、周囲に吹っ切れた一面も見せる。稲田と親しい自民党中堅も「議員としての幅を広げるちょうど良い機会だ」と次に備えるべきだとアドバイスする。

 それでも安倍の口から稲田を批判する声を聞いた議員は少ない。安倍政権内では数少ない財政規律派である稲田には財務省内にもファンが多い。試練となった防衛相。次につなげられるかが問われている。

(敬称略)



「失敗したらつぶされる」「次の首相」期待には冷静 2017/4/14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「「失敗したらつぶされる」「次の首相」期待には冷静」です。





 ――次の内閣改造で入閣を求められたら。

 「周りからぐうの音が出ないほどの努力をして結果を出さなければ次のチャンスはない。そこそこじゃダメ。ぶっちぎりじゃないと。これが若手の宿命だ。よく『若いから失敗を恐れずやれよ』という。あれは失敗を待っている。失敗したら徹底的にたたきつぶされる。チャンスを得るには、自分がいま出せる最大限をどれだけ出せるかという意識がないと、政治の世界は生き残れない」

 ――閣僚を受けるのは、ぶっちぎりで仕事ができる自信を得た時か。

 「自分が選べるものではない。周りが思うほど余裕があるわけではない。必死ですよ」

 「歌手の宇多田ヒカルさんの『人生最高の日』という歌がある。よく車の中で聞いている。『一寸先が闇なら二寸先は明るい未来』って歌詞がある。いい言葉だなって。(自らが手掛けた)農業改革の時も一寸先は闇と何度も思った。闇を知らなきゃ明るい未来も見えないのかもしれない」

 ――いつか首相になりたいか。

 「親父(純一郎元首相)をみていればわかるが、なりたいと思ってなれるものではない。この人を首相にしたい、任せてみたい、この人の描く日本ってどんな日本か見てみたい、一緒にそういう未来をつくりたいと思われることが大事だ」

 ――日本経済新聞の世論調査では、次の政権の首相にふさわしい人で2位だ。

 「あれはね、知名度調査だからね。それと実態は違いますよ」

 ――純一郎元首相はどんな存在か。

 「まねできないし、まねしちゃいけない人だ。でも、父親としての小泉純一郎はまねしたい。それくらい愛情深く自分のことを愛してくれている。そのことが僕の自信や、自己肯定感にもつながっている」



自民・小泉氏「高齢者偏重を是正」 社会保障制度で 2017/4/14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「自民・小泉氏「高齢者偏重を是正」 社会保障制度で」です。





 自民党の「人生100年時代の制度設計特命委員会」の小泉進次郎事務局長は13日、日本経済新聞のインタビューに応じ、将来の社会保障制度について「真の全世代型にする」と述べた。幼児教育の無償化に向けた「こども保険」の導入などで高齢者偏重の現状を是正する必要性を訴えた。

■「こども保険」突破口に

 ――こども保険の着想はどこから得たのか。

 「2015年度補正予算で低所得の年金生活者に1人3万円の臨時給付金を配った。財源は4千億円。それなのに財務省は子育て支援になるとお金がないという。一体何なんだと思った。高齢者偏重の社会保障から全世代型の社会保障にしなければいけない。こども向けの社会保険が公的な保険制度にない中で、子育ての負担を軽減し、就学前の幼児教育を実質無償化していく。こどもの有無にかかわらず、社会全体で支えていく国にしなければいけない」

 「日本はどんな国をつくるのかという議論を同時に深めていくよいチャンスだ。支え合い、助け合い、困ったときはお互いさま、だ。こどもが減り続けることは社会保障全体の持続可能性を危機に陥らせる。その社会全体のリスクを少しでも抑えていく」

 ――現状は世代間の不公平の是正が不十分だという認識があるか。

 「ある。社会保険料が毎月どれだけ天引きされているか。年金、医療、介護、雇用保険の4つで毎月15%。大半は高齢者向けだ。仮に新たに0.1%加わることをなぜ負担と言うのか。発想が全世代型になっていない。日本は何を変えないといけないかが、ここに表れている」

 ――自民党が高齢者偏重を助長してきた面もある。

 「これは政治の責任がある。60歳以上は投票率が7割、20代は3割くらいの中でどちらの声が大きいか。全ての予算の裏にはそういった人たちがいる。ここと真剣に向き合っていかないといけない。こども保険はその覚悟の表れでもある」

 ――「シルバー民主主義」是正のメッセージを込めたのか。

 「世代間の対立の問題だけではない。ただ、これ以上続けるのは不可能なくらい予算配分や人口構成がいびつになっている。骨格を変えていく作業を覚悟を持ってやらないといけない。持続可能な形に変えていく」

 ――どう実現するか。

 「最大の力は国民の声、世論だ。世論の高まりが政治の世界では実現不可能だと思われることも可能とするときがある。ぼくらの世代は本気だ。今までの延長線上でいいのか。もしこれがダメだったら他の案は何か。こども保険の提言がなかったら、自民党の教育国債と民進党の子ども国債で『国債対国債』の構図だった。その政治の姿を一変させた」

 ――消費税率を引き上げる選択肢はないのか。

 「8%から10%に上がるのは2年後だ。使い道は決まっている。新しいことをやるには10%以上の消費増税の話を決め、理解を得て執行されない限りできない。何年かかるのか。筋論として消費税はそうだと思うが、現実的な解としてはない」

 ――消費税の議論から逃げていないか。

 「これまでの政治の現実を正面から見ていないのではないか。8%にするのに何年かけて、いくつの政権が倒れたか。消費や社会に与えるインパクトの大きさを過小評価しているのではないか。政治の世界は筋論だけ言って通る世界ではない」

■「失敗したらつぶされる」

 ――次の内閣改造で入閣を求められたら。

 「周りからぐうの音が出ないほどの努力をして結果を出さなければ次のチャンスはない。そこそこじゃダメ。ぶっちぎりじゃないと。これが若手の宿命だ。よく『若いから失敗を恐れずやれよ』という。あれは失敗を待っている。失敗したら徹底的にたたきつぶされる。チャンスを得るには、自分がいま出せる最大限をどれだけ出せるかという意識がないと、政治の世界は生き残れない」

 ――閣僚を受けるのは、ぶっちぎりで仕事ができる自信を得た時か。

 「自分が選べるものではない。周りが思うほど余裕があるわけではない。必死ですよ」

 「歌手の宇多田ヒカルさんの『人生最高の日』という歌がある。よく車の中で聞いている。『一寸先が闇なら二寸先は明るい未来』って歌詞がある。いい言葉だなって。(自らが手掛けた)農業改革の時も一寸先は闇と何度も思った。闇を知らなきゃ明るい未来も見えないのかもしれない」

 ――いつか首相になりたいか。

 「親父(純一郎元首相)をみていればわかるが、なりたいと思ってなれるものではない。この人を首相にしたい、任せてみたい、この人の描く日本ってどんな日本か見てみたい、一緒にそういう未来をつくりたいと思われることが大事だ」

 ――日本経済新聞の世論調査では、次の政権の首相にふさわしい人で2位だ。

 「あれはね、知名度調査だからね。それと実態は違いますよ」

 ――純一郎元首相はどんな存在か。

 「まねできないし、まねしちゃいけない人だ。でも、父親としての小泉純一郎はまねしたい。それくらい愛情深く自分のことを愛してくれている。そのことが僕の自信や、自己肯定感にもつながっている」