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日本の科学力「この10年で失速」 英ネイチャー誌が特集 20 17/3/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の科学技術面にある「日本の科学力「この10年で失速」 英ネイチャー誌が特集」です。





 日本の科学研究はこの10年間で失速している――。英科学誌「ネイチャー」が23日付の最新号で日本の科学力の低下を指摘する特集を掲載した。発表論文数などをもとに分析した。1990年前後には躍進する日本を取り上げたが、四半世紀を経て論調は一転、激しい国際競争の中で埋没する姿を浮き彫りにした。

 特集では、各国が研究開発投資を増やす中で日本は2001年以降は横ばいで、国立大学への交付金を削減したため若い研究者が就ける任期のないポストが少なくなった点を低迷の要因にあげた。影響は主要な科学誌に占める日本の論文の比率が低下する結果に表れ、日本が強かった材料科学や工学分野でも「15年の発表論文数は05年と比べ10%以上減少した」と指摘した。

 16年のノーベル生理学医学賞を受賞した東京工業大学の大隅良典栄誉教授やロボットベンチャー企業、サイバーダインを創業した筑波大学の山海嘉之教授らの研究を紹介し、日本の科学研究はまだ世界のトップレベルにあると解説。しかし衰えもみえており、このまま課題を放置すれば、世界での地位が脅かされると警告した。

 指摘した内容は国内の研究や政策に関わる人たちはすでに把握しており、若手のポストを増やす予算措置や挑戦的な研究の支援強化などを打ち出し始めている。ただ中国やドイツをはじめとする欧州の活動はもっと積極的で、日本の改革が世界のスピードに追い付いていないのが実態だ。

 豊かな先進国を目指し発展してきた日本には、海外の成功モデルに追随する「キャッチアップ」の考え方が強く残る。新たな科学技術を生み出して社会へ行き届かせるためには「フロントランナー」として挑戦し、やり抜く強い意志が重要だ。それにふさわしい体制が大学や企業、行政のそれぞれに整えられているのか。いま一度問い直す必要がある。

(編集委員 永田好生)



マヨネーズも雪もはじく、慶大がはっ水技術 0.5度傾ければスルリ 2017/1/8 本日の日本経済新聞より

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 慶応義塾大学の白鳥世明教授はガラスなどの表面をわずか0.5度傾けるだけで、表面の水が滑り落ちるはっ水加工技術を開発した。マヨネーズのような粘性のある物質や霧などの細かな水滴、雪にも対応した。車の窓ガラスや内視鏡の曇り止め、航空機の翼に氷が付くのを防ぐなど幅広い用途に使えるとみている。2020年ごろの実用化を目指す。

 新技術は有機物質「フェニルトリエトキシシラン」の分子を並べた極薄の膜を、ガラスや金属の表面に吸着させた。表面に水滴や雪などがあっても付着せず、ごくわずかな傾きがあれば滑るように落下する。

 潤滑油によって表面の摩擦を極めて低くすることで付着を防ぐ仕組みだ。実験では水滴になりにくい細かい霧や雪、アイスクリームやハチミツ、血液なども滑り落ちた。カッターナイフなどで傷を付けてもすぐに自己修復し、劣化しにくい。

 従来のはっ水加工は水滴がハスの葉の表面を転がる現象をまねていた。表面に細かい凹凸を付け接触面積を減らすことで水滴を作って転がり落としていたが、落ちにくい場合もあった。



免疫高めるたんぱく質 静岡大、母乳含有を確認 マウス実験 感染症防ぐ期待 2016/07/18 本日の日本経済新聞より

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 静岡大学の茶山和敏准教授らの研究チームは、小腸などにある免疫機能を高めるたんぱく質が母乳に含まれていることを突き止めた。このたんぱく質を人工乳に加えてマウスを育てると、免疫を担う器官が発達し、抗体を作る細胞も増えた。赤ちゃんに下痢などを起こす感染症の予防につながる可能性がある。

 母乳には免疫機能が未発達な新生児を守る様々な成分が含まれている。発見したたんぱく質「CCL25」は胸腺や小腸にあり、感染などを起こした際の免疫反応を促す働きがある。

 人工乳にCCL25を加えて新生児マウスを8日間育てたところ、人工乳だけを与えたマウスに比べ、脾臓(ひぞう)や胸腺がよく発達し、体重も増えた。

 また小腸に、人工乳だけで育てたマウスにはほとんど見られない、異物を攻撃する抗体を作る細胞ができた。小腸からCCL25が吸収され、抗体を作る細胞が誘導されたとみられる。

 静岡済生会病院と共同で調べたところ、人間の母乳にもCCL25が含まれていることがわかった。未熟児や低体重児、母乳の栄養状態が悪い乳児にCCL25を補給することで下痢などを起こす感染症の予防に役立つ可能性があり、企業と組んで実用化研究を進める。



がん化学療法センター、がん転移防ぐ抗体を開発 2016/04/25 本日の日本経済新聞より

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 がん研究会のがん化学療法センターは、がんの転移を防ぐ方法を見つけた。がん細胞が血中の血小板をよろいのように身にまとい、免疫細胞から逃れる性質に着目。たんぱく質でできた抗体で血小板とくっつくのを妨げる。がんが転移しやすい肺がんや肉腫の治療を狙う。3年以内に臨床試験(治験)を始めたい考えだ。

 転移しやすいがんは、血小板とくっつきやすいという。血小板は免疫細胞に異物として認識されないので、血小板の付いたがん細胞は体内を動き回りやすいとみている。

 がん細胞の表面のたんぱく質が、血小板とくっつく接着剤の役割を果たしている。

 研究チームは、このたんぱく質が結合する際に重要な働きを担う部分を特定した。ここにふたをするような抗体を新たに開発した。

 ヒトの肺がんをマウスに移植し、抗体を投与した実験では、40日後の腫瘍の大きさが4分の1程度に抑えられた。今後は、人の体に適した抗体を作る。