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経営書を読む シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法(4) 大企業が「飛躍」する方法 中核事業、根本的に見直し 2016/10/04 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「経営書を読む シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法(4) 大企業が「飛躍」する方法 中核事業、根本的に見直し」です。





 大企業は指数関数的に成長する飛躍型企業になれるのでしょうか?

 著者のイスマイルは「大企業はスーパータンカーのようで進路変更には時間がかかる。だが不可能ではない」と述べ3つの処方箋を示します。

 第1にリーダー層の変革です。ポイントは、飛躍型企業が生まれた新しい環境・技術についての教育やメンバーの入れ替えを通じてリーダー層が「覚醒」することです。覚醒とは、情報という隕石(いんせき)が地球に衝突し新世界が始まった以上、ただちに適応に向け自己変革せねば生き残れないという危機感をもつことに他なりません。

 第2に、自社に合った変革の在り方をデザインすることです。例えば既存の中核事業を維持しつつ、激しい環境に進出する飛躍型子会社・事業をつくるといった工夫です。自社の中に「外」を作るのがコツですが、その際、飛躍型企業との提携、投資、買収といった手段を有効に使います。

 第3に、中核事業も次のような視点で根本的に見直しをかけます。

・関心が外ではなく内に向かっていないか

・得意な技術を重視するあまり、隣接する技術や全体を統合する技術を無視していないか。その結果ブレークスルーを起こせていないのではないか

・内部のイノベーションに依存しすぎていないか

 いわば飛躍型企業的な目線で全社をレビューします。その上で、飛躍型企業の11の特徴の中から適切なものを取り入れ、自社の既存の強みと組み合わせて、自社流の簡易版飛躍型企業経営スタイルを創り出します。

 もとより、大企業には現在の飛躍型企業からの学習に匹敵する学習を積み重ねて形成した、知的資本の厚みがあるはずです。過去に比べ、新しいことを学習する必要性が増大した現代において、自分と比べはるかに小さくて若い飛躍型企業から謙虚に、しかし貪欲に学び、自分たちで飛躍に向けて実験する。これが飛躍型大企業像です。

=この項おわり



経営書を読む (2)野心的な目標達成 外部人材・資産を活用 2016/09/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「経営書を読む (2)野心的な目標達成 外部人材・資産を活用」です。





 指数関数的に成長する飛躍型企業は、その設計図を理解すればつくることができる人工的な組織です。設計図は「野心的な目標」と「外部の5要素」「内部の5要素」から構成されます。

 「野心的な目標」は、世界中の人々の野心的な想像力をかきたてて、世界に放たれる飛躍ののろしです。例えば「世界中の情報を整理する(グーグル)」「10億人の人々によい影響を与える(シンギュラリティ大学)」「価値のあるアイデアを広める(TED)」などが代表例です。

 野心的な目標を達成するために飛躍型企業はS―C―A―L―Eの5文字で要約される「外部の5要素」を活用します。

 Sはスタッフ・オン・デマンド。必要に応じて契約される契約社員などの外部人材です。

 Cはコミュニティーとクラウド。前者はユーザー、顧客、元社員や仕入れ先、協力先、ファンなどで、後者は群衆です。飛躍型企業内部の従業員をコアとみれば、それを取り巻くようにコミュニティー、スタッフ・オン・デマンド、クラウドの層が位置しています。

 スキルの賞味期限が短くなった時代にあって社内人材のみに頼るのはリスキーです。旬のスキルを調達すべく外部人材の活用を人材マネジメントのど真ん中に据え、外部人材も含めて人々の協調的な行動を引き出す方法としてエンゲージメント(E、愛着を持たせる)の趣向をこらすのが飛躍型企業の流儀です。

 Aはアルゴリズム。AI(人工知能)やロボティックスを含めた自動化機能を象徴し、人材を代替・補完する存在と位置づけます。Lは外部資産(レバレッジアセット)で、資産の所有は最小限にとどめ、外部資産の借用で機動性を保ちます。

 まとめると、最小限の正社員をコアにしつつ、外部人材(S、C)やアルゴリズム(A)、外部資産(L)など「外部」に触手を伸ばし、エンゲージして(E)、伸縮自在のSCALEを実現するのが飛躍型企業です。



経営書を読む シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法(1) 指数関数的に成長する企業 情報で構成、組織軽やか 2016/09/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「経営書を読む シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法(1) 指数関数的に成長する企業 情報で構成、組織軽やか」です。





 新しいテクノロジーを生かし企業組織・人材を創り直すとどうなるか?この質問に豊富な事例と記憶しやすい分析で答える新古典が、サリム・イスマイルが著した本書(原書名「Exponential Organizations」=飛躍型企業)です。

 飛躍型企業とは過去4、5年でパフォーマンスを10倍以上改善した企業、すなわち指数関数的に成長する企業を指します。ユーチューブは18カ月で14億ドル、スナップチャットは3年で100億ドルの市場評価額に達しています。本書の魅力はこれら新型企業のあざやかな解剖にありますが、その対比で従来型企業の特徴もえぐり出します。

 従来型企業はヒト・モノ・カネなどリアルな資産で構成される重たい組織です。資産を希少とみなし、所有・雇用して社内に囲い込みます。資産を増大し効率的に活用することで、売り上げや利益を増大させることが成功像で、代表例は巨大なグローバル企業です。

 その最大の弱点は、環境激変の時代で勝ち残るために欠かせない柔軟性に乏しいことです。重い体を機敏に動かす巨大な象は、想像することすら困難でしょう。

 これに対し飛躍型企業は「情報」で構成される軽やかな組織です。内部に抱え込む施設や人材といったリソースは最小化し、階層的な構造や権限規定など、情報の自由な流れをはばむものも最小限に抑えます。

 他方で、情報を媒介としてユーザー、ファン、協力会社等の外部を自分のエコシステムに組み込み、情報でできた製品やサービスを生み出します。情報化する世界において、情報の申し子ともいうべき飛躍型企業は、ムーアの法則に浴して瞬く間に成長を遂げます。

 情報という名の隕石(いんせき)が衝突した地球上ではグローバル大企業(恐竜)に取って代わって小規模で俊敏かつ成長性の高い飛躍型企業が次々と生まれる――。カンブリア爆発が到来したという見立ては鳥肌が立つほど刺激的です。



経営書を読む 「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」(3) 「五誓」の教え トップの心構え集約 2016/08/02 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「経営書を読む 「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」(3) 「五誓」の教え トップの心構え集約」です。





 素志貫徹の事、自主自立の事、万事研修の事、先駆開拓の事、感謝協力の事。松下政経塾の「五誓」と言われるこれらの言葉に、松下幸之助のリーダーシップ論は集約されています。

 素志貫徹、すなわち初志を貫くことが、結局は成功の可能性を高める道であり効率的であると、松下幸之助は自らの体験から結論づけています。初志を貫く中で遭遇するであろう苦労や苦難、心配は、リーダーとしての宿命です。成功を得るために代償を払ったり、辛抱を強いられたりすることは当然で、そうした辛抱も生きがいと感じられる人が成功します。

 逆に多少の苦労や困難もない人生は寂しいものです。まずは初志を持つこと、そして今日ほど成功しやすい時代はないと思って勝つまで努力を続けることが大切です。

 自主自立とは、何事も自らの熱意が基本であるという教えです。新たな発想や着想は熱意をもって考え抜いたときに浮かぶものであり、幸運や縁も待つのではなく自らつかみにいくものです。そういう人の言葉は他人にも突き刺さります。進退が窮まれば人は強く、力を発揮できていない人はまだそこまで自らを追い込んでいないのだと、松下幸之助は諭します。

 そして万事研修とは、成功のための教訓は至る所にあるという教えです。行儀作法、挨拶や掃除など日常の所作はすべての基本であり、これらをおろそかにして成功はありません。こうした基礎的なことを精魂を込めてやり続けることは極めて難しいことです。従って、それが人を育てることにつながります。

 顧客や取引先に接する際にも、相手が感動するような手紙を書く、かゆいところに手が届くサービスをさせていただく、そうしたことを通じて人の機微を学んでいくのです。自分に面白くないことでも、誰かの役には立っているということを忘れずに、先のことのために今日のことをおろそかにしないこと。それがリーダーの基本なのです。

(全文を電子版に▼ライフ→出世ナビ)



経営書を読む(2) 変革はカリスマのみでは成らず 従業員全員に権限与える 2016/06/14 本日の日本経済新聞より

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 企業変革というと、1人の偉大なリーダーが成し遂げるイメージがあります。たとえばクライスラー社のリー・アイアコッカなどはその最たる例でしょう。確かにトップのリーダーシップは重要です。ただそれ以上に重要なのは変革のための連帯チームを作り上げることです。どんな偉人でも独りでは大規模な変革を成し得ません。

 変革のリーダーシップは、まずは2~3人によって始められるとコッターは言います。しかし、やがてそれが20人、50人と多くの人の参画につながることが大事で、そうなって初めて変革は実現すると主張します。

 そうだとすると次の2点が重要になります。一つは、個人の力を過信せず、連帯チームを作ってエンパワーメント(権限委譲)し、彼らにリーダーシップを発揮させることです。もう一つはメンバーの選定を間違わないことです。特にエゴが強い人、批判的な人は決して参画させてはなりません。なぜなら、彼らはチームの相互信頼を傷付け、チームワークを壊してしまうからです。

 企業変革は実現の過程で様々な障害に遭遇します。たとえば、経営資源や業務プロセスを分断する組織構造や、行動を制約する古い人事制度や情報システムなどです。

 ただ、それ以上に問題になるのはスキル不足です。企業の変革後にはこれまでとは異なる新しい行動、技能、態度が必要になります。本来ならトレーニングなどを通じた事前準備が必要ですが、残念ながらほとんどの場合、準備不足です。

 このような障害を乗り越えていくためには、連帯チームに留まることなく、全社員に権限が与えられる必要があります。全社員が自分で行動する力を持てば、変革実現はもう目の前です。権限委譲の際は変革にむけたビジョンが重要な役割を果たします。企業変革は、ビジョンを示す大きなリーダーシップと、それを実現していく小さなリーダーシップの両輪で成し遂げられるのです。



経営書を読む(1) 企業変革の出発点 現状満足から抜け出す 2016/06/07 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「経営書を読む(1) 企業変革の出発点 現状満足から抜け出す」です。





 著者のジョン・P・コッターはハーバード・ビジネス・スクール名誉教授で変革のマネジメントやリーダーシップ論の世界的権威です。いかに企業変革を成功に導くかについて論じた本書の中でコッターは、現状満足や自己肯定が変革を妨げると繰り返し警告します。

 これは、変わることへの抵抗がとても大きいことを意味しています。変革を成し遂げるには、まずその必要性を認識することが必要です。

 ただ、変革への抵抗は組織の至る所に存在します。例えば自社の業績低迷に対し「しかし、他社も低業績ですよ」「しかし、我々も改善しつつありますよ」といった「しかし」の付いた発言が多ければ、それは問題から目をそらす企業文化の表れです。「景気が良くなれば」など「れば」の付いた発言が多ければ他人頼みの組織であることを意味します。このような組織では問題を自分自身の中に見いだせず、変革は始まりません。

 また、大規模なコスト削減プロジェクトに取り組む中、役員がマホガニー製のテーブルのある見事な会議室で打ち合わせをし、ファーストクラスで出張をしているようではうまくいくはずがありません。変革への抵抗は行動によっても組織内に広がってしまいます。

 このような状況は過去の成功が生み出します。企業は社員、特に管理職に対し、それまでうまくやってきたことを守るためのマネジメントを要求するからです。マネジメントとは、計画立案や実行に向けた組織化、コントロールといった側面を強く持ちます。確実性と秩序を築き上げる原動力であり、日々の組織運営には必要不可欠です。

 しかし、変革にはそれとは違う力が必要になります。危機意識を醸成し、変革の方向を示し、人材を整列させ、行動に駆り立てる原動力です。コッターは、それこそがリーダーシップだと言います。リーダーが現状満足を打破し組織を目覚めさせることが企業変革への第一歩となるのです。



経営書を読む 若桑みどり著「クアトロ・ラガッツィ」(1) 経営グローバル化の本質 異境で成果迫られた宣教師 2016/05/10 本日の日本経済新聞より

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 タイトルの「クアトロ・ラガッツィ」とは「4人の少年」のこと。16世紀に日本に来たヨーロッパのキリスト教宣教師と、日本からヨーロッパに向けて旅立った日本人宣教師たちの話です。

 原マルティーノ、中浦ジュリアン、伊東マンショ、千々石ミゲル。日本史の授業で習う1582年の天正遣欧少年使節団です。意味も文脈も分からずに、テストのために年号と名前を暗記した人も多いことでしょう。

 歴史ノンフィクションである「クアトロ・ラガッツィ」は、時間的にも空間的にも今日のビジネスとは一見無関係に見えます。しかし本書は企業経営のグローバル化を考えるうえで重要な洞察を与えています。

 本書が描いている16世紀の日本に来たカトリック宣教師たちの経験は、グローバル化への挑戦の究極の事例といえます。この事例研究から今日の日本企業のグローバル化とその経営について、彼らの成功と失敗の体験から驚くほど多くの示唆が引き出せるのです。

 グローバル化が日本企業の経営にとってますます重要なのは間違いありません。だからとにもかくにも「グローバル化」が重要で大切で必須で不可欠で時代の趨勢、避けて通れませんよ! という話になります。ここに落とし穴があります。

 ことの本質を押さえずにグローバル化のかけ声に飲み込まれジタバタするとロクなことになりません。グローバル化の本質は単に言語や法律が違う国に出て行くことではありません。経営の「非連続性」にこそグローバル化の本質があります。

 ヨーロッパから来た宣教師たちは母国と異なる言語や文化、生活習慣に直面しました。しかし、こうした違いを克服することに一義的な挑戦課題があったわけではない。ヨーロッパでの宗教活動とはまるで違う、極東の日本という国でゼロからキリスト教を布教し成果を出さなければなりませんでした。この仕事そのものの非連続性に困難の正体があったのです。



経営書を読む C.K.プラハラード著「ネクスト・マーケット」(3) エコシステムづくり 貧困層へのビジネス教育 重要 2016/04/26 本日の日本経済新聞より

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 世界に40億人いる貧困(BOP)層へのビジネスは、企業単独では成しえません。途上国には先進国以上に多様な取引先・ステークホルダーがおり、彼らを巻き込む仕組みをつくらなければならないのです。この多様なプレーヤーを巻き込む仕組みをプラハラードはエコシステム(生態系)と呼びます。BOP市場に進出する先進国企業にはエコシステムの形成が求められます。

 例えば同書は、欧州企業ユニリーバのインド子会社HULを取り上げます。日用品・食料品を扱うHULのエコシステムにも、150の工場からなる中小サプライヤー、1万2000の卸業者、30万の中小・零細の小売業者、4万の部族民、あるいは州政府など、多様なプレーヤーがいます。

 中でも興味深いのはシャクティ・アマと呼ばれる多数の個人起業家です。インドのような巨大BOP市場では農村部までHUL単独の直販網が届きません。代わりにシャクティ・アマが農村部の直販を担っています。

 ここで彼らをエコシステムに巻き込むポイントは「教育」である、とプラハラードは述べます。それも学校教育のような座学ではありません。実際に市場でのビジネスを経験させ製品・価格・収益の知識を学ばせます。

 さらに重要なのは契約の知識です。彼らに契約の概念を教え、契約を順守すれば利益が得られることを体感させることで、シャクティ・アマは一人前の起業家として育っていくのです。

 ビジネスを通じてBOP層の人々を教育することは、彼らの尊厳の向上にもつながるようです。本書によると、あるシャクティ・アマは「(この仕事を始めて)やっと一人前の人間になれた」と言ったそうです。HULがインドで契約するシャクティ・アマは、いまや100万人に達します。BOPのエコシステムとは、このように民間企業が市場メカニズムの規範を植え付けることで形成され、それが貧困問題解決にもつながるのです。



経営書を読む C.K.プラハラード著「ネクスト・マーケット」(2) 「使い切り化」革命 貧困層に浸透、薄利多売で収益 2016/04/19 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「経営書を読む C.K.プラハラード著「ネクスト・マーケット」(2) 「使い切り化」革命 貧困層に浸透、薄利多売で収益」です。





 発展途上国の貧困(BOP)層向けに収益の出るビジネスを提供し、社会問題の解決にも寄与する――この目的を達成するために「先進国の既存のビジネスモデルをそのまま延長する」という考えは間違っているとプラハラードは説きます。BOPビジネスは先進国とは全く異なる発想、すなわちイノベーションが求められるのです。

 第2章ではBOPビジネスにおける様々なイノベーションの考え方・事例が紹介されています。ここでは「使い切り化」に焦点を当てましょう。

 例えば、シャンプーです。先進国では、シャンプーは大きめのボトルに入って数百円、高いものだと数千円で売られています。これは先進国では普通の感覚ですが、所得の極めて低いBOP層ではシャンプーに数百円、ましてや数千円を支出することは不可能です。

 それに対し、現在のインドではシャンプー1回分の使い切りパックが飛ぶように売れています。小分けにすることで単価を0.5~1ルピー(約1円)の超廉価に抑えるのです。これならBOP層でも購入可能です。もちろん超薄利ですが、インドのように10億人もいる市場であれば、圧倒的な数を販売することで収益を確保できます。

 インドのシャンプー市場はプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)など先進国の巨大企業が主導しているのも特徴です。P&Gの高級シャンプー「パンテーン」も使い切りパックで販売されています。こうした多国籍企業の積極的な市場開拓の結果、シャンプーは今やインドのBOP層の90%にまで浸透し、うち6割(金額ベース)は使い切りパックなのです。

 このように、多国籍企業の発想の転換・イノベーションは巨大なBOP市場を生み、今まで高級シャンプーに手が届かなかったBOP層の衛生問題までもが改善されているのです。「使い切り化」革命により、いまや様々な食料品、化粧品をBOP層が手に入れられるようになっています。



経営書を読む 「アレックス・ファーガソン自伝」(4)ピッチの外で 趣味を謳歌、ストレスから逃れる 2016/02/09 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「」です。





 本書で「息子たちが幼い頃の私は家を空けてばかりで、仕事一筋」と述べているように、ファーガソンの人生はサッカー一色でした。そんな彼も「引退前の10年ほどは多くの趣味に心の安らぎを見いだすことで、より効率的に監督業をこなした」と記しています。

 具体的には、馬主になるほど競馬を愛したほか、アメリカの歴史(特にケネディ元米大統領暗殺事件)についての書物を読みあさったり、ワインをコレクションしたり。

 「私は競馬のおかげで気分を切り替えることを身につけ、読書とワインからも同じ喜びを得た。実際のところ、本格的にこうした分野にのめりこんでいったのは1997年で、当時は壁にぶつかり、サッカー以外のことを考えなければと思うようになっていた」

 では、他の名将はどうでしょう。本書にも登場するペップ・グアルディオラは、FCバルセロナの監督として偉業を達成した後に「ほかにやりたいこともあるし、人生はサッカーだけじゃない」と4年で退任。その後の1年間を家族とニューヨークで過ごしました。

 チェスの世界チャンピオンであるガルリ・カスパロフと交流を持ち、美術館を訪れ、ゴルフを楽しむなど“ピッチの外”の世界を謳歌しました。

 私は仕事柄、業種も規模もさまざまな企業のトップとお目にかかる機会がありますが、彼らに共通しているのはオンとオフをうまく切り替え、仕事一辺倒ではなく、造詣の深い趣味を持ち教養にあふれていることです。

 「これと言った趣味がないんです…」という部下には、読書をすすめています。ファーガソンも自伝の中で「ありがたいことに読書という単純な行為は、仕事と人生のストレスから逃れる素晴らしい手段だ」と記していますし。

 私はファーガソンの意に反し(?)読書から仕事と人生のヒントをもらうことが少なくないのですが。

=この項おわり