カテゴリー別アーカイブ: 起業の軌跡

2014/11/24 本日の日本経済新聞より「うどん店「丸亀製麺」運営 勝てる舞台見つけ成長 トリドール社長 粟田貴也氏」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の新興・中小企業面にある「起業の軌跡 うどん店「丸亀製麺」運営 勝てる舞台見つけ成長 トリドール社長 粟田貴也氏」です。





 トリドールは讃岐うどん店「丸亀製麺」を全国に約800店運営する。セルフ式うどん店の最大手だが、社長の粟田貴也(53)が約30年前に個人で立ち上げたのは社名の由来にもなった焼鳥店。「負けるとわかったらこだわらずに勝てるフィールドを探す」という柔軟な姿勢で、成長をたぐり寄せた。

 起業のきっかけは大学時代の喫茶店でのアルバイトだった。自分がいれたコーヒーや作ったサンドイッチに対する「おいしいね」というお客の一言がうれしかった。飲食店の経営に興味を持った粟田は卒業を待ちきれず中退。運送会社で働いて創業資金をためた。

 稼いだ約500万円などを元手に1985年に兵庫県加古川市に開いたのが焼鳥店「トリドール三番館」だ。このとき23歳。三番館という店名には、いつか3店まで増やすという意欲が込められていた。お客を最寄り駅まで見送るなど、地道な取り組みでリピーターを増やし、創業6年で目標の3店に達した。

 ゆったりした店内などがファミリー層に受けてさらに店舗網を拡大。株式上場も視野に入った2004年、日本で鳥インフルエンザが発生した。鶏肉は敬遠され、来店客は半減。「目の前が真っ暗になった」。上場も延期に追い込まれ、窮地の粟田が“勝てるフィールド”と考えたのがセルフ式うどん店だった。

 粟田は讃岐うどんのブーム到来を感じとった00年、店内製麺を売りとする丸亀製麺の1号店を開いていた。「鳥インフルショック」を受けて一気に事業の軸足を移し、商業施設のフードコートや郊外の幹線道路沿いなどに店舗網を広げていった。1年間に130店近くを出した年もある。

 丸亀製麺は大台の国内1000店に近づきつつある。足元の業績は堅調だが、外食に対する消費者の好みの変化は激しい。最近、粟田は「10業種でそれぞれ100店ずつの方が経営は安定する」と考えている。これからも丸亀製麺だけに固執しないで、勝ち戦を探しつづける。

=敬称略

(黒井将人)

 あわた・たかや 1982年神戸市外国語大学中退。85年に焼鳥店を開業。90年に法人化して社長に就任。兵庫県出身。

2013/10/21 本日の日本経済新聞より「起業の軌跡 バルミューダ 寺尾玄社長 「自然の風」再現した扇風機ヒット 破綻寸前 世のニーズ追求」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の新興・中小企業面にある「バルミューダ 寺尾玄社長 「自然の風」再現した扇風機ヒット 破綻寸前 世のニーズ追求」です。





 扇風機に空気清浄機、加湿器……。バルミューダ(東京都武蔵野市)はその独自の技術や設計で、大手メーカーがひしめく国内家電市場に新風を送り込む。

 同社の存在感を高めたのが2010年に発売した扇風機「グリーンファン」だ。二重構造の羽根が生む風がぶつかり合って拡散し、自然の風に近い空気の流れをつくり出す。体に優しい風が過去の製品と思われがちだった扇風機に新たな価値をもたらした。

 創業社長の寺尾玄はもともとミュージシャン志望だった。20代で大手レコード会社と契約したが、結局断念。「次の挑戦を考えたときに頭に浮かんだのがものづくりだった」。音楽創作活動で使っていたパソコンや椅子の使い勝手やデザインにほれ込んだ経験があったからだ。

 だから製品開発のこだわりは半端ではない。デザインは約1千通りから絞り込む。動作機構も同じ程度を検討する。自前の工場を持たないファブレスメーカーだが、徹底的に試作を重ね、量産を委託する協力工場には自ら製造法と品質管理を指導する。

 とはいえ、当初は夢はあっても素人。秋葉原の電気街などに通い、素材や構造を研究。電話帳を片っ端からめくって町工場を訪ね、自ら描いた図面を手に加工を頼むとともに製法を学んだ。CAD(コンピューターによる設計)も独学だ。

 03年に起業し、デスク用照明スタンドなどを開発。価格は高めだったが、シンプルで洗練されたデザインが若い世代に受けた。だが08年秋のリーマン・ショック後、売れ行きが止まった。「人々が本当に必要としているものではなかった」ことを思い知る。

 「どうせつぶれるなら前向きに倒れたい」。破綻寸前に追い込まれ、最後の挑戦に選んだのが、省エネ意識の高まりで再評価されると目をつけていた扇風機。「必要とされる扇風機は何か」。突き詰めた結果が自然の風だった。続いて送り出した空気清浄機も看板商品になり、リーマン・ショック直前は数千万円だった年商は10億円を超える規模になった。

 今月、新たにラインアップに加えた加湿器は水がめのような形が特徴的だ。「使う人の利便性や所作、居間での調和などを考えればこの形も自然」と言う。

 「スマートフォンだって少し前まで存在しなかった。今は世にないが、10年後には当たり前のように使われている家電をつくるチャンスはある」。寺尾の目には、家電市場は今なお成長市場に映る。

=敬称略

(岡森章男)

 てらお・げん 高校中退後、音楽活動などを経て2003年(平15年)バルミューダデザイン(現バルミューダ)設立。茨城県出身。40歳