Disruption 断絶を超えて 第6回 ビットコインvs銀 行 22世紀のカタチそこに 2017/1/7 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「Disruption 断絶を超えて 第6回 ビットコインvs銀行 22世紀のカタチそこに」です。





 ギリシャの首都アテネ。古代遺跡アクロポリスに近い地区で貿易商のバシリス・パパドプロス氏がATMを操作していた。画面には大きく「B」の文字。国や中央銀行に依存しない仮想通貨ビットコインのATMだ。

ビットコインを使える場所が増えてきた(東京・六本木のバー「Two Dogs Taproom」)

 金融危機を何度も経験し、「政府も欧州中央銀行(ECB)も信用できない。資産の保全にビットコインは不可欠」との結論に至った。いまや金融資産の約2割をビットコインが占める。

 経済が不安定なギリシャだけの話なのだろうか。いや違う。これは通貨の未来そのものだ。そう確信した日本人がいる。

 ビットコイン取引所を運営するビットフライヤー(東京・港)の加納裕三社長。3年前、米連邦準備理事会(FRB)議長の発言でビットコイン相場が急騰し、「日経平均株価が9万円になるような衝撃」を受けた。古巣のゴールドマン・サックス証券を飛び出し、たった2カ月で今の会社を立ち上げてしまった。

 「仮想通貨は100年後にはもっと使いやすくなり、一部の国では法定通貨になる」。加納氏の目にはデジタル革命で通貨や金融の常識が断絶に見舞われる世界が映る。

 独自の仮想通貨「MUFGコイン」を今年度中にも発行する三菱UFJフィナンシャル・グループ。新たな成長の起爆剤が実現間近なのに、社内には危機感が充満する。

 「他のメガバンクと店舗を共同運営してはどうか」。昨年半ば、構造改革を巡る会議。中堅行員が口にしたのは、「聖域」である店舗網をライバル行と相乗りにしてしまうという型破りな提案だった。ネット決済などが普及し、リアルな店舗や大量の人員は経営の重荷に変わりつつある。

 「今後10年で総合職を3500人削減する」。平野信行社長はこう語るが、今後訪れるのはもっと深刻な変化かもしれない。米バンク・オブ・アメリカは「(グローバルに金融業から)2500万人分の職が消える」として、「大量失業時代」の到来を予測する。

 「国・中銀による独占発行」という通貨の常識まで崩れかねないから、中銀もざわめく。

 「仮想通貨がどんどん増えていけば、(円の金利や発行量を操作する)金融政策が効きにくくなってしまう」。日銀の岩下直行フィンテックセンター長は語る。スウェーデン中銀や中国人民銀行はデジタル通貨の発行を検討し始めた。日銀内部でも「検討に入るべきだ」との声があがる。

 アテネで出会ったパパドプロス氏は「いずれビットコインを資産の8~9割まで増やす」という。野放図な金融緩和や財政出動に頼る国からマネーは逃げ出し、ビットコインは年初に1000ドルを突破した。約40年前、経済学者ハイエクは「貨幣の脱国営化論」で「多様な通貨が競争し合う状態こそ健全」と指摘した。その予言がいま、現実のものになりつつある。

 22世紀に銀行や金融のかたちはどこまで変わっているのだろう。断絶の先を巡る攻防はこれから本格化する。



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