Disruption 断絶を超えて(3) 拝啓ツイッター大統領様 名門紙 が戦う脅威 2017/1/4 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「Disruption 断絶を超えて(3) 拝啓ツイッター大統領様 名門紙が戦う脅威」です。





 米国を代表する有力紙ワシントン・ポストの本社7階。紙が散らばる昔ながらの編集局はない。サイト訪問者数、記事閲覧数……。編集局の中央の大型モニターに様々な分析データが並ぶ。

ワシントン・ポストのギンズバーグ氏

 ニュースが今、どうネット上で読まれているか。編集者は刻一刻と変わるデータを横目にスマートフォンで見やすい「画面づくり」にエンジニアらと知恵を絞る。

 ポストが米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏を社主に迎えたのは3年前。ネット上の無料ニュースの洪水で業績は下り坂に。「新聞は民主主義のインフラ」という通念まで揺るがす断絶をもたらしたが、「ベゾスのポスト」は真正面から向き合う。

 フェイスブックなどに記事を流して読者層を広げ、サイト訪問者は3年前の3.5倍にあたる月約1億人に増えた。コンテンツ管理や広告配信の情報システムを他社に貸し、広告収入も補った。

 ところが、自信を取り戻したのもつかの間、新たな断絶に見舞われる。

 「トランプのアメリカ」をどう報じるか。ツイッターなどソーシャルメディアを巧みに使い、新聞やテレビなどマスメディアを中抜きする次期大統領との関係に頭を悩ませているのだ。

 政治ニュースはポストの生命線なのに、ドナルド・トランプ氏は人事から外交まで重要な政策はツイッターで一方的に発信する。記者会見も嫌う。

 政治部シニアエディターのスティーブン・ギンズバーグさんは「ニュースを操作しようとする姿勢は報道の自由への脅威だ」と危機感を隠さない。ネット時代の主役は、トランプ氏お気に入りのソーシャルメディアで決まりなのだろうか。

 ワシントン郊外。ごく普通のピザ店「コメットピンポン」で昨年暮れ、発砲事件が起きた。発端はネット上の偽ニュース。「民主党の大統領候補、ヒラリー・クリントン氏が関わる人身売買組織のアジトだ」というデマがフェイスブックなどで拡散、それを信じた男が銃を持って押し入った。

 常連のジャッキー・グリーンバウムさんは「根も葉もない情報で店主や従業員が危険にさらされた。許せない」と憤る。

 米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「真剣に受け止める」と改善を約束。第三者機関が虚偽と判定した情報について警告を示す対策を打った。

 信頼を失えば、経営への打撃も大きい。ディー・エヌ・エー(DeNA)は、昨年11月にまとめ記事サイトで誤りや盗作が発覚して以降、時価総額が1000億円以上吹き飛んだ。

 米ギャラップの調査によると、新聞などマスメディアを信頼する人は32%と1972年の調査開始以来最低。一方、別の調査では、71%が「ソーシャルメディアは偽ニュース対策に責任がある」と答えている。

 ニュースの伝え方が変わる中で、何を変え、何を守るのか。次の民主主義のインフラをつくる競争が始まっている。



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