FINANCIAL TIMES 中国政府が恐れる「手引書」 民主化運動の波及阻止へ躍起 2015/06/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「FINANCIAL TIMES 中国の人権状況、一段と悪化 海外の民主化運動波及を警戒」です。





 中国の国有出版社が昨年、米マサチューセッツ大学名誉教授ジーン・シャープ氏の著書『独裁体制から民主主義へ』の中国語翻訳権の獲得について、ボストンのアルバート・アインシュタイン研究所に照会した。世界中で民主化運動を触発してきた本である。

 中国共産党が実権を握る出版社が、なぜこんな照会をしたのか。折しも香港で、何万人もの市民が民主化を訴える抗議運動を繰り広げたばかりだった。この本はミャンマー、セルビア、シリアなど世界中で抗議運動の手引書として使われてきた。

 同研究所のジャミラ・ラキーブ主席研究員は、国有出版社に中国語版を出版する意図はなく、出版権を押さえて他社が出せないようにしたいのだろうとみる。

 中国共産党指導部が87歳のシャープ氏を恐れるのには、それなりの理由がある。香港の中心部を占拠して民主化を訴える「雨傘運動」を触発したのも、同氏の教えだった。運動のリーダーたち自身が、彼の本を手引書代わりにしたと語っている。

 その彼らが昨日、ひとつの勝利を宣言した。中国政府から最終案として突きつけられた選挙制度改革案に対し、香港立法会(議会)の民主派議員が結束して否決に持ち込んだのだ。

 改革案の否決を受け、中国政府は失望感を表明した。しかし、雨傘運動は香港統治の脅威にならないという確信は揺らいでいない。

 理由のひとつは、雨傘運動が同書の説く効果的な抗議運動から外れていることだ。1989年の北京・天安門広場での抗議行動と同じく、雨傘運動も学生主体の無秩序な社会運動にすぎず、効果的な指揮系統と戦略的ビジョンを欠いている。

 ただ、香港については自信をもつ中国政府も、シャープ氏に触発された抗議運動が本土に波及するリスクには万全の構えを取っている。

 同氏は、中国政府が取り締まりに走っていることが物語るところは大きいと指摘する。「(中国指導部が)恐れていないのなら、これほどささいなことにまで目を光らせる必要があるだろうか」

(19日付)

=英フィナンシャル・タイムズ特約

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