FINANCIAL TIMES 社説 英国は暗闇に飛び降りた 2016/06/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合3面にある「FINANCIAL TIMES 社説 英国は暗闇に飛び降りた」です。





 人々はついに怒りを言葉にした。英国の欧州連合(EU)離脱の選択は、1989年のベルリンの壁崩壊以来の大きな衝撃を欧州大陸に与えた。余波は英国や欧州だけでなく、西側諸国にも広がるだろう。

英国のEU離脱決定を知らせる号外を受け取る市民(24日、ロンドン)=写真 小林健

 英国は73年、EUの前身の欧州共同体(EC)に加盟してから40年余りで、離脱を選んだ。これまでEUの一員として外交、経済政策をとってきたが、今後、28カ国で構成する共同体と5億人を抱える単一市場から離れることになる。後戻りはほぼできない。

 フィナンシャル・タイムズ(FT)は国民投票までの間、離脱は自傷行為と主張してきた。離脱は経済に悪影響を与え、世界の中での役割を弱める。EUにも壊滅的な一撃になる。

 欧州はユーロ圏の景気減速や、第2次大戦後で最も深刻な難民危機に依然、苦しんでいる。フランスからイタリア、ポーランドまで各地でポピュリズム(大衆迎合主義)が台頭し、これまで国を主導してきた勢力は押されている。英国の国民投票は「ポピュリズムの怒りが爆発した瞬間」として歴史に残るだろう。

 英国は国民投票の結果で社会通念がひっくり返された。保守主義と政治的安定で知られてきた国が、暗闇に向かって飛び降りたのだ。残留派は運動に情熱がなく、都市部の支配層に対する怒りの大きさを見くびっていたと責め立てられるだろう。移民への不安や地域社会への影響は多くの人が考えているよりもっともなことで、経済的な国益にまさった。「自分たちの力を取り戻そう」というスローガンは、足並みの乱れた欧州に批判的な人々の心に響いた。

 離脱は経済、金融、政治に強い不確実性をもたらす。キャメロン英首相は辞意を表明したが、当面は首相の座にとどまり、先の見えない変化の時を率いなければならない。英国は離脱の条件や欧州との新たな関係を決める必要がある。離脱派はこのどちらについても、糸口を示していない。

 投票は地域で大きく割れた。ロンドンとスコットランドでは残留票が圧倒的だった。都市部と地方の間で残留、離脱が分かれた。連合王国としてのまとまりに疑問符がつくのは避けられない。ほぼ100年にわたり英国政治を支配してきた保守党、労働党の二大政党は政策の浅さを露呈した。

 英国各地で産業界や投資家は今日、これまでとは違った景色を目にしている。英ポンドの急落や債券利回りの急上昇は、英国が直面する混乱の前兆といえる。

 主要国の中央銀行や政治家などすべての関係者は、2008年の世界的な金融危機を引き起こしたリーマン・ショックの再来を何としても防ぐ必要がある。

 英政府の最優先事項は経済を安定させることだ。中期的には今回の危機をチャンスに変える道筋を探る必要があるが、容易ではない。「(EUからの)独立の日」を語るだけでは、信頼に足る方策は出てこない。

 とはいえ、英国民は誇り高き歴史を持った才能豊かな人々だ。FTも非常に強く願っているが、英国はこれからも世界に関与し続け、開かれた、そして親欧州の国であり続けてほしい。そうしてこそ、英国の未来は開ける。

(24日付)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です