FT国家主義、米中戦争リスク 膨らむ対立の芽 2018/3/15 本日 の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「[FT]国家主義、米中戦争リスク 膨らむ対立の芽」です。





 3月に入り、米中関係の基盤が崩壊した。転機となったのは、米国が保護主義に向けて一歩踏み出したことと、中国が独裁へとかじを切ったことだ。

 米国と中国という世界の2大経済国は過去40年間、互いの動きに対する理解に基づき、ともにグローバル主義を受け入れてきた。中国は、米国が今後も自由貿易を支持し続けるものと想定してきた。米国は、中国経済の自由化が進めば、いずれ政治面の自由化にもつながっていくと信じてきた。

 この前提は、いまや両方とも崩れ去った。中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は11日、習近平(シー・ジンピン)国家主席がその地位を終生保ち続けられるよう、国家主席の任期を2期10年までとする規制を撤廃する憲法改正案を採択した。それに先立つ8日には、トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムの輸入を制限すべく、重い関税を課す大統領令に署名した。同氏は「貿易戦争をするのはいいことで、勝つのは容易だ」とツイートした。

イラスト James Ferguson/Financial Times

 しかし、トランプ氏のこの軽率な確信は、貿易戦争を起こすことに伴ういくつもの危険に目を向けていない。リスクは経済的なものばかりではない。貿易戦争が始まれば、どこかで米中が本物の戦争へとなだれ込む危険性も高まる。

■米の輸入制限は最初の号砲の可能性

 中国はこれまでは、大国として台頭しつつも、欧米の市場を自国に向けて開かせておく必要性から、その地政学的野望は抑えてきた。だが、米国がこのまま保護主義への傾斜を強めれば、中国のもくろみも変わってくるだろう。実際のところ、トランプ氏が今回、発動した関税措置が貿易戦争の最初の号砲にすぎない可能性は十分にある。

 米国が発表した関税(輸入制限)措置は世界全域を対象とするもの(編集注、ただしカナダとメキシコは既に適用除外が決まっており、オーストラリアもその方向で調整が進んでいるという)で、中国への直接的な打撃は比較的小さい。しかし将来、とくに知的財産を標的とする関税が発動されれば、それは中国政府に狙いを定めたものになる可能性が高い。なにしろ米国のピーター・ナバロ国家通商会議委員長は「中国がもたらす死」というタイトルの本を書いている人物だ。

 米国が中国を経済的に敵視し始めたのに対し今、中国は自国への自信を深めつつあり、米政府に対してイデオロギー面でも、地政学的な面でも挑戦する姿勢を強めている。習氏の国家主席就任以降、中国は南シナ海の領有権は自国が有するとの主張を補強するため「島を建設する」という大胆な計画に着手した。その先に見据える大きな目標は、世界で最も重要な商業航路である西太平洋における米国の支配に終止符を打つことだ。

 それと同時に、中国政府は自国の新たな独裁主義を、中国に適した統治法というだけでなく、欧米の民主主義に代わる世界的な統治モデルとして提唱しようとしている。

■両国でイデオロギーが大きく変化

 米中両国が貿易、領土、イデオロギー面で対立を深めると、互いに相手から不当に扱われたという不満も高まっていくだろう。習氏もトランプ氏も国家主義者であり、双方とも過去の歴史において自国が傷つけられてきたとする国民感情をしばしば意図的にかき立てる。トランプ氏は、世界が米国を笑いものにし、中国は米国をレイプしていると発言した。習氏は、中国が侵略を受け植民地化された1849年に始まった「屈辱の世紀」を最終的に葬り去り、中華民族の「偉大なる復興」を自らの手で推進すると約束した。



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