NTT、海賊版サイト接続遮断 「荒業」鵜浦社長の決断 2018/06/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「NTT、海賊版サイト接続遮断 「荒業」鵜浦社長の決断」です。





漫画などを無料で読める「海賊版サイト」について、NTTグループがサイトの接続遮断(ブロッキング)を決めた。電気通信事業法で定める「通信の秘密」に反するなどとして他の通信事業者が慎重になる中、NTTは著作権保護を重視した。グループ内ですら異論がある荒業の背景には、26日に退任する鵜浦博夫社長の決断があった。

(画像:26日に退任する鵜浦社長)

「NTTを訴えてもいいですか?」。カドカワの川上量生社長は17年10月、鵜浦社長に詰め寄った。著作権侵害に業を煮やし、NTTが権利侵害を助けたなどとして訴えようとした。訴えることで問題を表面化させ、社会的議論を巻き起こすことが目的だった。

かねてネットの無法状態を問題視していた鵜浦社長はこれに同調し、社内の法務部門と議論を重ねた。政府も海賊版サイトの問題について法整備に乗り出す方針を示したことから、「コンテンツを作る人の意欲を守るため、何らかの宣言をする必要がある」との結論を出し、4月に「漫画村」など3サイトのブロッキングを行うと発表した。

「ネット社会で(NTTは)悪者になっているが、無法状態は放置したくない」。社長交代を発表した5月11日の会見で、鵜浦社長は珍しく語気を強めた。

ブロッキングには、NTT幹部の間でも異論がある。根幹にあるのは通信の秘密の解釈だ。日本インターネットプロバイダー協会は「政府が特定サイトへの遮断を求めることは憲法が禁じる検閲に当たる恐れがある」と表明した。

通信の秘密はもともと国家権力による検閲を防ぐために制定された。同協会は「政府検閲に向けたアリの一穴になる。接続遮断をするには、利用者すべてが監視されるという点をもっと知る必要がある」と警戒する。

11年から実施されている児童ポルノのサイトに対する接続遮断については、被害を受けている児童の人権侵害への対処が優先された。今回は著作権の被害と通信の秘密の侵害による影響をどう解釈するのかという結論が出ておらず、ネット空間の急速な膨張に法制度が追いついていない現状が浮き彫りとなっている。

政府の知的財産戦略本部は22日から、海賊版サイトへの接続遮断(ブロッキング)の法制度整備に向けた検討を始めた。

どのような法令で立法するのか、どんな手続きによる請求が適切かなど論点があがる一方、検討会の出席者からは「ブロッキング自体に反対」(検討会に参加する森亮二弁護士)という声も目立った。出席者の間でも法制化以前に、著作権の被害への対処に重きに置くのか、それとも通信の秘密を死守するのか、意見は割れている。

検討会は9月中旬に中間報告をまとめる方針で、19年の通常国会への法案提出を目指している。議論が始まったことは一歩前進だが、異論相次ぐブロッキングの法制化に向けては、整理しなければならない項目は山積している。

(佐竹実、堀越功)



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