アジアの振り子、米に戻るか トランプ氏、関与継続表明中国の影響力 拡大に不安 2017/11/11 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「アジアの振り子、米に戻るか トランプ氏、関与継続表明中国の影響力拡大に不安 」です。





 トランプ米大統領は10日、訪問先のベトナム・ダナンで演説し「我々はインド太平洋地域のパートナーであり、同盟国だ」と訴え、アジアへの関与を続ける姿勢を鮮明にした。だが「米国第一」は譲らず、多国間交渉を通じて地域全体に自由貿易のルールと理念を広げる先導者の役割には背を向ける。代わりに台頭してきた中国は、大国としての影響力の一段の拡大に余念がない。アジアの主導権を巡る振り子は米に戻るのか。(関連記事総合2、国際面に)

 「全てのインド太平洋諸国との友情の絆と貿易関係の強化に向けて協力するためにここにきた」。アジア政策を初めて包括的に表明したトランプ氏は「『自由で開かれたインド太平洋』というビジョンを共有するのは誇らしい」と、アジアに関与し続ける姿勢を明確にした。

貿易協定、2国間で

 もっとも「全ての国が自国を第一に考えるように、私は米国を第一に考える」とクギを刺した。自身による環太平洋経済連携協定(TPP)離脱の決断を正当化し、「公正で互恵的な貿易という原則を守る国とは2国間の貿易協定を結んでいく」と強調。多国間の枠組みによる国際協調を重視したオバマ前政権との違いを改めて印象付けた。

 自国優先に傾く米国のスキを突き、地域の盟主の座をうかがうのが中国だ。トランプ氏の直後に演説に立った習近平(シー・ジンピン)国家主席は「アジア太平洋の平和と安定、繁栄はアジアの人々に属する」と語った。独自の勢力圏づくりを急ぐ。米中が太平洋を挟んでせめぎ合う構図が深まっている。

 むろん、安全保障面ではなお米国の軍事的な実力が中国を圧倒している。トランプ氏も「力による平和」に大きく傾き、強力な米軍の存在を誇示する。自身のアジア歴訪に合わせ、西太平洋に米空母3隻を同時に展開させる異例の軍事訓練の実施を決め、北朝鮮をけん制した。南シナ海では中国の動きに目を光らせ、「航行の自由」作戦は政権発足から4回を重ねる。

 「戦略的忍耐」と称して北朝鮮の核・ミサイル開発を事実上放置し、「航行の自由」作戦の提案を何度も退けたオバマ前政権との違いがここでも際立つ。

 だが安全保障と両輪であるべき経済外交戦略は乏しい。

 2008年のリーマン・ショック以降、世界経済における米国の存在感は低下し、中国が躍進した。東南アジア主要国をみると、07年にフィリピンやタイの最大の輸入相手は米国や日本だったが、いまや軒並み中国がトップ。中国マネーもアジアに押し寄せる。だがトランプ政権はアジアの「中国化」に歯止めをかけるTPPからの離脱を決め、貿易や投資のルールづくりを主導する座を自ら捨てた。

 米国が中国への警戒感を緩めたわけではない。「『略奪経済』がはびこる無秩序な地域にしてはならない」。ティラーソン米国務長官はこう話す。念頭にあるのは、中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」だ。途上国に多額の資金を貸し、返済が滞れば経済権益を得る手法と警戒する。米外交問題評議会のシーラ・スミス氏は「米国はTPPなしで、どうやって経済秩序をつくるのか」と指摘する。

主導権争い激しく

 中国経済は年7%近い成長を続けており、30年代に米国を抜いて世界一の経済大国になるとの見方もある。アジアの中国依存が強まるのは自然な流れだ。だが強引な海洋進出が象徴するように中国はアジア諸国との摩擦をいとわず、アジアでは「中国化」の加速への不安も根強い。タイの英字紙「ネーション」は9日の社説で「トランプ氏は米国第一の立場を緩和しなければならない」と呼びかけた。

 本来なら地域の安定を守るべき米国が秩序を揺さぶるリスクにどう対応するか。ヒントはある。

 トランプ氏はアジア歴訪中に何度も「自由で開かれたインド太平洋地域をめざす」と口にした。法の支配など価値観を共有するオーストラリアやインドを巻き込み、自由貿易や海洋安全保障の枠組みづくりをめざす構想だ。もともと日本が提唱した戦略で、米側が賛同した。日本の外務省幹部は「トランプ政権を多国間の枠組みに引き込んだ意味は大きい」と語る。

 トランプ政権のアジア戦略はいまだ具体策に欠けるだけに、日本やアジアが知恵を絞る余地がある。中国の経済力に期待する半面、「中国化」が歯止めなく進むことに不安を覚えるアジア。トランプ氏はその現実を的確にくみ取れるか。米国がアジアの経済、外交を巡る主導権を今後も握り続けることができるかどうかのカギとなる。

(ダナン=永沢毅、張勇祥、富山篤)



アジアの振り子、米に戻るか トランプ氏、関与継続表明中国の影響力 拡大に不安 2017/11/11 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「アジアの振り子、米に戻るか トランプ氏、関与継続表明中国の影響力拡大に不安 」です。





 トランプ米大統領は10日、訪問先のベトナム・ダナンで演説し「我々はインド太平洋地域のパートナーであり、同盟国だ」と訴え、アジアへの関与を続ける姿勢を鮮明にした。だが「米国第一」は譲らず、多国間交渉を通じて地域全体に自由貿易のルールと理念を広げる先導者の役割には背を向ける。代わりに台頭してきた中国は、大国としての影響力の一段の拡大に余念がない。アジアの主導権を巡る振り子は米に戻るのか。(関連記事総合2、国際面に)

 「全てのインド太平洋諸国との友情の絆と貿易関係の強化に向けて協力するためにここにきた」。アジア政策を初めて包括的に表明したトランプ氏は「『自由で開かれたインド太平洋』というビジョンを共有するのは誇らしい」と、アジアに関与し続ける姿勢を明確にした。

貿易協定、2国間で

 もっとも「全ての国が自国を第一に考えるように、私は米国を第一に考える」とクギを刺した。自身による環太平洋経済連携協定(TPP)離脱の決断を正当化し、「公正で互恵的な貿易という原則を守る国とは2国間の貿易協定を結んでいく」と強調。多国間の枠組みによる国際協調を重視したオバマ前政権との違いを改めて印象付けた。

 自国優先に傾く米国のスキを突き、地域の盟主の座をうかがうのが中国だ。トランプ氏の直後に演説に立った習近平(シー・ジンピン)国家主席は「アジア太平洋の平和と安定、繁栄はアジアの人々に属する」と語った。独自の勢力圏づくりを急ぐ。米中が太平洋を挟んでせめぎ合う構図が深まっている。

 むろん、安全保障面ではなお米国の軍事的な実力が中国を圧倒している。トランプ氏も「力による平和」に大きく傾き、強力な米軍の存在を誇示する。自身のアジア歴訪に合わせ、西太平洋に米空母3隻を同時に展開させる異例の軍事訓練の実施を決め、北朝鮮をけん制した。南シナ海では中国の動きに目を光らせ、「航行の自由」作戦は政権発足から4回を重ねる。

 「戦略的忍耐」と称して北朝鮮の核・ミサイル開発を事実上放置し、「航行の自由」作戦の提案を何度も退けたオバマ前政権との違いがここでも際立つ。

 だが安全保障と両輪であるべき経済外交戦略は乏しい。

 2008年のリーマン・ショック以降、世界経済における米国の存在感は低下し、中国が躍進した。東南アジア主要国をみると、07年にフィリピンやタイの最大の輸入相手は米国や日本だったが、いまや軒並み中国がトップ。中国マネーもアジアに押し寄せる。だがトランプ政権はアジアの「中国化」に歯止めをかけるTPPからの離脱を決め、貿易や投資のルールづくりを主導する座を自ら捨てた。

 米国が中国への警戒感を緩めたわけではない。「『略奪経済』がはびこる無秩序な地域にしてはならない」。ティラーソン米国務長官はこう話す。念頭にあるのは、中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」だ。途上国に多額の資金を貸し、返済が滞れば経済権益を得る手法と警戒する。米外交問題評議会のシーラ・スミス氏は「米国はTPPなしで、どうやって経済秩序をつくるのか」と指摘する。

主導権争い激しく

 中国経済は年7%近い成長を続けており、30年代に米国を抜いて世界一の経済大国になるとの見方もある。アジアの中国依存が強まるのは自然な流れだ。だが強引な海洋進出が象徴するように中国はアジア諸国との摩擦をいとわず、アジアでは「中国化」の加速への不安も根強い。タイの英字紙「ネーション」は9日の社説で「トランプ氏は米国第一の立場を緩和しなければならない」と呼びかけた。

 本来なら地域の安定を守るべき米国が秩序を揺さぶるリスクにどう対応するか。ヒントはある。

 トランプ氏はアジア歴訪中に何度も「自由で開かれたインド太平洋地域をめざす」と口にした。法の支配など価値観を共有するオーストラリアやインドを巻き込み、自由貿易や海洋安全保障の枠組みづくりをめざす構想だ。もともと日本が提唱した戦略で、米側が賛同した。日本の外務省幹部は「トランプ政権を多国間の枠組みに引き込んだ意味は大きい」と語る。

 トランプ政権のアジア戦略はいまだ具体策に欠けるだけに、日本やアジアが知恵を絞る余地がある。中国の経済力に期待する半面、「中国化」が歯止めなく進むことに不安を覚えるアジア。トランプ氏はその現実を的確にくみ取れるか。米国がアジアの経済、外交を巡る主導権を今後も握り続けることができるかどうかのカギとなる。

(ダナン=永沢毅、張勇祥、富山篤)



日本株、バブル崩壊後の「半値戻し」視野 2017/11/10 本日の日本 経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「日本株、バブル崩壊後の「半値戻し」視野」です。





 日経平均株価は9日、1989年につけた史上最高値(3万8915円)からバブル崩壊後の最安値(2009年の7054円)までの下げ幅の「半値戻し」となる2万2985円を一時上回った。調整局面の終わりを示唆する水準として意識されており、終値でも回復すれば新たな強材料と受け止められそうだ。

 「バブル崩壊後の下げの半値戻しは株価の『デフレ脱却宣言』を意味する」と東海東京調査センターの中井裕幸専務は指摘する。この水準が注目されるのは、「半値戻しは全値戻し」との相場格言があるためだ。

 これまでの下げ幅の半分相当を回復できれば、過去の高値に達する勢いにつながるとの経験則を示す。底値から戻る過程で利益を得ている投資家が多くなり、心理的に上値を追いやすくなるためとみられる。

 ただ、これはあくまで経験則にすぎず、一段の株高には企業業績の拡大などが欠かせない。それでも「半値戻し」が間近に迫るなか、市場では「投資家心理が強気に傾くサインとなる」(大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリスト)との声が早くも出ている。



ヤフオク、悪質転売排除へ一歩出品禁止ルール、大量出品の削除に期待も 2017/11/10 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「ヤフオク、悪質転売排除へ一歩出品禁止ルール、大量出品の削除に期待も」です。





 ヤフーがオークションサービス「ヤフオク」のガイドラインを改定し、転売目的とみられるチケットの出品を禁止した。ルール違反の出品は発見次第削除し、悪質な出品者に対してはアカウントの停止処分も検討するという。チケットの高額転売で荒稼ぎする「転売ヤー」を追い出すことができるのか。それとも、いたちごっこが続くのか。

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「嵐」のチケットはペアで7万円を超える値が付いている

 ルール改定の発表は8日。ただ、9日の昼時点では、引き続き転売目的とみられるチケットが多数出品されている。

 ヤフオクで「チケット」と検索すると、約1万8400件の出品が確認できる。その中でも人気なのは歌手のコンサートやライブ、宝塚歌劇団の公演、韓国の平昌冬季五輪のフィギュアスケートのチケットなどだ。

 人気アイドルグループ「嵐」の12月の東京ドーム公演はペア2万円で入札が始まり7万2000円まで跳ね上がっている。安全地帯の11月の日本武道館でのライブチケットは即決価格として3万2000円の提示。韓国の女性グループ「TWICE」のスペシャルチケット(写真撮影の権利付き)は22万1000円だ。

 ただ、今回のヤフーの措置が転売対策に効果がないというわけではない。同一アカウントによる大量出品を警告無しで削除できるようにすることで、チケットを大量に入手して売りさばく手口を崩せるからだ。

 大量出品は目立つためアルゴリズムによる監視網に引っかかりやすい。また、多くの入札を集める転売者は利用者からの評価が高い。取引実績に応じて評価がつくためだが、こうしたアカウントを重点的に監視して追い出すことも可能になる。

 チケットの転売は制限すべきでないとの意見もある。何らかの理由でイベントに参加できなくなった際に、オークションサイトなどで正規に近い価格で売れるからだ。

 問題視されるのは異常な高値による転売だ。定価と転売価格の差益は、主催者側には一切入らない。高額での取引がまん延すればファン離れが起き、エンターテインメント市場そのものの縮小を引き起こしかねない。

 警察もこうした行為を問題視し始めた。兵庫県警は6月、人気アーティストのライブの電子チケットを転売目的で購入したとして43歳の男性を逮捕した。容疑は詐欺。公共の場でのダフ屋行為は迷惑防止条例などで取り締まれるが、ネット上では明確な禁止ルールはないとされていたため、捜査当局の方針転換との指摘が企業の法務担当者から出ている。

 政府や超党派の国会議員で組織するスポーツ議員連盟は2020年の東京五輪をにらみ、チケットの高額転売を規制する法整備を検討している。

 こうした状況で、大手ネット企業のヤフーが転売対策を明確に打ち出した影響は大きい。「高額転売は不適切」との認識がネット全体に広がる効果が期待できる。利用客が適正価格で取引できる再販市場を整備することも健全なエンターテインメントの発展には必要だ。

(石塚史人、指宿伸一郎)



所得税改革3年程度かけ実現 宮沢自民党税調会長 2017/11/10 本日の日本経済新聞より

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 自民党の宮沢洋一税制調査会長は9日、日本経済新聞のインタビューで改めて所得税改革への意欲を示した。今後3年ほどかけて実現を目指す。各種控除を見直して所得の再分配を強化するほか、多様な働き方を税制面で後押しする狙いもある。ただ、高額所得者の負担が重くなりすぎると働く意欲をそぐ懸念もある。納税者の財布に直結するだけに丁寧に議論を進める。

 宮沢氏は「今年は基礎控除と給与所得控除の見直しを議論する」と表明した。所得税改革は課税所得の計算にあたり一律38万円を差し引ける基礎控除や給与から一定額を差し引く給与所得控除を見直す大がかりなものとなる。

 所得税は所得金額から基礎控除など一定額を引いた上で税率をかける。税率は所得額につれて高くなる累進構造になっており、高所得者ほど控除の恩恵が大きくなる。宮沢氏は「逆進的なものをどう考えるのかという観点がある」と指摘。基礎控除については、高所得者の控除減額や低所得者に有利な税額控除方式の導入を検討するとした。

 給与所得控除は会社員が実際にかかった経費ではなく、概算で一定額を給与収入から差し引く仕組み。副業やフリーランスとして働く人が増え、システムエンジニアなど企業に雇用される労働者に近い「雇用的自営業」は自営業者の3割弱にまで拡大した。会社員中心の税制は時代遅れになりつつある。

 宮沢氏は「請負契約などの形態で仕事をしている人が多くなっている」と強調。働き方の変化を踏まえて見直しを検討する。高額な報酬を得ている高齢者の年金課税も見直す方向だ。

 もっとも一連の改革は高所得者の負担を増やし、低所得者の負担を減らす方向になる。宮沢氏は「2019年度改正、20年度改正まで視野に入れなければいけない」と指摘。「相当に慎重な議論をしないといけない。性急に結論を出せる話ではない」と述べ、慎重に議論を進める意向をにじませた。

 所得税改革は「取れるところから取る」という批判もつきまとう。高所得者狙い撃ちの増税は働く意欲を阻害しかねない。宮沢氏も「勤労意欲をそぐことがあっては身もふたもない」と話した。

 加熱式たばこの税率引き上げは「どの程度まで上げられるか考えないといけない」と話した一方、紙巻きたばこについては「私の中で(税額を)上げるという判断はしていない」と述べるにとどめた。森林整備に充てる新税の森林環境税は「消費増税の導入後にならざるを得ない」としながらも導入する方針を示した。



米中「新型大国関係」視野に 習政権ブレーンの胡氏 2017/11/9 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「米中「新型大国関係」視野に 習政権ブレーンの胡氏」です。





 中国の習近平(シー・ジンピン)政権のブレーンとして知られる清華大学の胡鞍鋼教授は8日、都内で日本経済新聞の取材に応じた。9日に控える習氏とトランプ米大統領の首脳会談について「良い成果が得られることを期待する」と述べた。胡氏は8日の講演で米中関係を「新型大国関係」とも表現し、経済や軍事面で米国に並ぶ強国を目指す考えをにじませた。

 胡氏は清華大の国情研究院長を務め、中国の政策決定に影響力を持つ。今回は学術交流や講演目的で来日した。

 米中関係の現状を巡っては、様々な分野で進む協力の成果を強調した。習政権が発足した2012年以降、米中間で交わした合意は700件を超えると指摘。米国のオバマ前政権と習政権が14年に温暖化ガス削減強化で合意したことに触れ「米中が手を携えれば世界中の問題に対処できるようになり、世界の安定に欠かせない」と指摘した。

 米中両国は貿易不均衡を巡りきしみも目立つが、企業活動などでは相互依存が強まる。胡氏は中国を訪れる米国人の1人当たり消費が欧州や日本から訪れた人を大きく上回るなどと説明し「今後も両国間の民間交流は貿易を除き全方位で伸びる余地がある」と述べた。

 その先に描くのは胡氏が口にした「新型大国関係」だ。この言葉には、領土や主権を巡る中国側の主張を容認するよう求める意図が隠されているとされる。習氏はオバマ前米大統領との会談でこの言葉を用いて米国の警戒を招いた経緯があり、トランプ政権発足後はこの表現を封印してきた。

 習氏は10月の共産党大会で自らの名前を冠した政治思想を「行動指針」として党規約に盛り込み、建国100年の今世紀半ばまでに経済や軍事などで米国に並ぶ「強国」になると宣言した。米国との対等な関係を意識した動きは今後一段と強まりそうだ。(国際アジア部 川上尚志)



財政規律 未来からの警鐘(2) インフラ維持ずしり「第 2の社会保障費」防げ 2017/11/9 本日の日本経済新聞より

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 203X年。人口100人に満たない東北のある農村で、恒例の年度末の道路工事が始まった。高齢の建設作業者の動きはおしなべて鈍い。過疎化が進んだ地域では若者が村を去り、半分以上が空き家だ。先日90歳の誕生日を迎えた女性は作業を遠目にしながらつぶやいた。「誰も車で通らない道なのに、なぜ工事を毎年続けるのかしら」――。

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 日本の公共投資が曲がり角を迎えている。国土交通省の試算では、道路や港湾などのインフラ維持費は33年度に最大5.5兆円に上る。13年度に比べ2兆円ほど増える。東洋大学の根本祐二教授は「今後50年で約450兆円のインフラ更新予算がいる」という。日本の財政の根幹を揺るがしかねない重い負担だ。

 戦後の日本は国土の開発を拡張し続けてきた。バブル経済が崩壊し、日本がデフレに入った後も公共投資は景気対策の主軸として膨らんだ。公共事業予算は1998年度のピークで15兆円。道路や橋になりふり構わずお金を投じた。

 公共投資にメスを入れた時期もあった。06年、当時の小泉政権は公共投資を5年にわたり3%削る方針を掲げた。当時の竹中平蔵総務相は「ムダな公共事業はどうして出るのか。予測が過大で、後から不要になる」と指摘。人口変化を踏まえた見直しを求めた。

 縮む日本の姿とは逆行し、公共投資は一段と膨らむ気配がある。18年度予算の概算要求額は前の年度比16%増の6兆円超。被害の大きい自然災害が相次ぎ、防災や減災の対策費を増やす。前例踏襲型の予算を続けると、インフラの維持補修はどんどん積み重なる。

 「今やっていることでも捨てることもある」。国交省の若手官僚による政策提言会。30年に向け、こんな意見が出た。公共投資を主管する役所も将来への不安に覆われている。30代の男性官僚は「公共投資を増え続ける『第2の社会保障費』にしてはいけない」と語る。国土の未来図を視野に入れ、予算をうまく再配分する必要がある。

(馬場燃、石橋茉莉)



日米、豪印との連携へ 対中国「けん制」「協力」使い分け インド太平洋戦略 2017/11/7 本日の日本経済新聞より

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 安倍晋三首相とトランプ米大統領は6日の首脳会談で、アジア・アフリカ地域の安定と成長をめざす「自由で開かれたインド太平洋戦略」の推進で一致した。オーストラリアやインドを加えた4カ国の連携を軸に、自由貿易や安全保障で同地域に関与する枠組みづくりを狙う。軍事・経済両面で台頭する中国には「けん制」と「協力」の2つの姿勢を使い分ける考えだ。

 安倍、トランプ両氏は首脳会談後の共同記者会見で「インド太平洋」の重要さをそろって説いた。首相は「海洋秩序の維持、強化は地域の平和と繁栄にとって死活的に重要だ。日米が主導的な役割を果たしていく」と指摘。トランプ氏は「貿易を改善し、軍事的な問題を解決するたくさんの課題がある」と強調した。

 日本側の説明によると、会談では(1)基本的価値の普及(2)経済的繁栄を追求(3)平和と安定の確保――を戦略の3本柱とする方針も確認した。豪印をはじめ自由貿易や民主主義の価値観をともにする東南アジア諸国連合(ASEAN)などを巻き込み推進する。

 インド太平洋戦略は2016年に首相が打ち出した。日米がいまこれを共有する背景には、米国の存在感がアジアで低下している現状がある。

 トランプ政権が離脱表明した環太平洋経済連携協定(TPP)には日米が通商ルールづくりを主導する狙いがあった。南シナ海の軍事拠点化を進める中国に対抗して「航行の自由作戦」は展開するが、経済を含む体系的なアジア関与戦略は示していない。

 日米は存在感を増す中国を意識しつつ、その距離感には神経を使っている。日本政府は中国を念頭に「特定の国を対象にした戦略ではない」との公式見解も発表した。

 「中国包囲網」と受け止められたくない事情もある。豊富な資金を背景にした中国の広域経済圏構想「一帯一路」はアジアに浸透している。経済、安全保障で深く関わるASEANにとって、中国は「対抗」すべき国ではない。経済面で結びつきの強いオーストラリアや、国境地帯で紛争を抱えるインドも中国とは微妙な間合いをはかりながら外交を展開している。

 南シナ海の海洋秩序やルール変更に挑む行為はけん制しつつ、経済では共存をはかる姿勢のさじ加減が課題となる。



こころの健康学 車いすの96歳 動かす夢 2017/11/6 本日の日本経済新聞より

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 10月初めに久しぶりに米国フィラデルフィアに出かけた。私が専門にする認知行動療法を提唱したアーロン・ベック先生にゆかりのある人の集まりに招待されたためだ。

 私が米国留学中に初めてベック先生に会ってからもう30年になる。ベック先生は96歳になったが2日間の会議にずっと出席していた。だからといって、決して体が健康というわけではない。目の病気で視力はほとんど失われているし、脚も弱くなって車椅子の生活だ。会議前に「懐かしいからといってハグをしないように」というメールが参加者に届いたほどだ。

 しかし、ベック先生に会うと、体が不自由だからといって、こころまで不自由になるわけではないことがよくわかる。精神的にはまったく元気で発言は相変わらずシャープで、その内容はユーモアに富んでいた。

 じつは会議の少し前に、全世界400万人が登録するMedscapeという医療サイトが20世紀に最も影響を与えた医療者のランキングを発表し、ベック先生が4位になったことが仲間内で話題になった。先生は今では世界的に認められているが、それまでの道のりは平たんではなかった。自分の考えに誰も耳を傾けてくれないので、当時13歳の娘に話して聞かせていたと、会議の席でも笑いながら話していた。

 そのように苦しい体験をしていても、自分にとって大切な夢を大事にしてきたからこそ頑張り抜けたのだろうし、体が不自由になっている今でも頑張っていられるのだろう。その様子を見て、私も大きな力をもらうことができた。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



迫真 アマゾン・エフェクト1 垣根越える買収「怖い」 201 7/11/6 本日の日本経済新聞より

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 「シアトルに飛べ」

 9月7日、米アマゾン・ドット・コムが第2本社の設置を検討しているというニュースを聞いた米イリノイ州知事のラウナー(60)はすぐに誘致の特別チームを編成し指示を飛ばした。

 同州には現在、約630の日本企業が進出し約5万人が働く。だがアマゾンは第2本社だけで同じ5万人の雇用を生むという。ラウナー自らもアマゾン幹部に交通インフラの充実などを電話で直接訴えた。

 狂騒曲は北米全域に広がる。ニュージャージー州は知事が70億ドルの税制優遇を約束。アマゾン本社があるワシントン州も誘致に動いた。カナダのトルドー首相(45)もアマゾンの最高経営責任者(CEO)、ジェフ・ベゾス(53)に同国の魅力を訴える書簡を送った。10月19日の締め切りに集まった自治体からの提案書の数は238に上る。

 膨張するネット小売りの巨人、アマゾン。6月16日に発表した食品スーパーのホールフーズマーケット買収で、その存在感はさらに高まった。

 生鮮品の宅配代行ベンチャー、米インスタカートのCEO、アポルボ・メタ(31)はその日のことを鮮明に覚えている。「発表直後にある大手小売りの幹部から電話がかかってきた。緊急役員会を開きスーパーも宅配を考えないとダメということを話し合ったそうだ。『アマゾンがやって来た』。誰もがあの時そう思ったはずだ」

 アマゾンが進出すればその業界の秩序がゆらぐ。「アマゾンショック」は全米のどこかで毎日のように起きている。

 年末商戦を控えたニューヨークの繁華街タイムズスクエア。一角にある米玩具販売大手トイザラスの店舗「ホリデーショップ」は、周りの騒がしさと比べると人影もまばらだ。9月18日に連邦破産法11条の適用を申請した影響が及ぶ。

 夫と店舗を訪れていたカーラ・ベキオーネは「2人の息子のクリスマスプレゼントのために商品を見たが、買い物はアマゾンでするわ」と語る。最近は年会費が必要だが、2日で配送してくれる同社のプライム会員になった。「田舎暮らしの私たちにとって、これ以上便利なものはない」

 クレディ・スイスによると米小売業は過去5年で1万4千を超える店舗が閉鎖した。17年は8640店舗が閉じるとみられている。1990年代には玩具業界の先進企業だったトイザラスもこの流れから逃れられない。

 7月、米家電大手ベストバイの株価が急落した。担当者を家庭に派遣する家電設置サービスをアマゾンが手掛けるとのニュースが流れ、同じサービスをするベストバイに連想売りが集まった。

 その前月には薬の販売にアマゾンが乗り出すと報じられ、ドラッグストア企業の株価が軒並み下向いた。実際に参入が起きていなくとも、その影がちらつくだけで関連業界は身震いする。

 競争すらも放棄した企業もある。米百貨店大手コールズのロサンゼルス郊外にある店舗。中に入ると店員が話しかけてきた。「ここにあった衣料品ならもうないわよ」

 同店は衣料品売り場を改装し、10月18日から会話型スピーカー「エコー」などアマゾン製品を売りはじめた。いまやネット小売りの製品を実店舗企業が売る時代に。「うちも買収されたりして」と店員はおどける。

 ネットとリアルの垣根を越えて膨張を続けるアマゾン。この先に待っているのは業際をまたいでさらに膨らむ経済圏だ。

 「アマゾンが怖くて夜も寝られない」。広告世界最大手WPPのCEO、マーティン・ソレル(72)は今春、米紙のインタビューに漏らした。

 デジタル広告の世界はグーグルとフェイスブックが2強だが、ネット販売のユーザー増とともにやがてはアマゾンのサイトは巨大な広告プラットフォームになり得る。代理店にとってこれ以上プラットフォーマーが増えて中抜きが進むことは耐えがたい事態だ。

 「事業を水平に展開し、ライバルとの競争はそれぞれ垂直に深く取り組む」。ジェフ・ベゾスの側近で、小売り担当副社長のジェフ・ウィルケがよく使う言葉だ。アマゾンの代名詞「エブリシングストア(すべてを扱う店)」の実現に向け、巨人の歩みは当分とどまりそうにない。(敬称略)

◇〓F行中〓F

 競合をなぎ倒す「アマゾン・エフェクト」が広がる。企業も消費者も存在を無視できなくなったアマゾンの今を追う。



日本経済新聞の本日の記事から