安保理改革、アフリカ配慮の新提案 日独など4カ国、非常任理事国の配分拡大 2015/05/09 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「安保理改革、アフリカ配慮の新提案 日独など4カ国、非常任理事国の配分拡大」です。

戦後秩序の変更の試みとして、第二次世界大戦の敗戦国たる日本やドイツが、インドやブラジルと連帯して常任理事国を増やそうと動いています。

しかし、この動き、恐らく中国によって封じ込められるでしょう。中国の積極的な投資を受けているアフリカ諸国が中国の顔色をうかがうはずであり、彼らが賛成票を投じる可能性は低いと思われます。





 日本、ドイツ、インド、ブラジルの4カ国(G4)は国連安全保障理事会の新しい改革案をまとめた。常任理事国を現在の5から11に、非常任理事国を10から14~15に拡大する。2005年にG4が打ち出した改革案をほぼ踏襲しているが、非常任理事国のアフリカへの配分枠を1から1~2に増やす。大票田のアフリカに配慮し、支持獲得につなげたい考えだ。

 日独などは4月中旬に「安保理改革に関する政府間交渉」の議長を務めるジャマイカのラトレイ国連大使にG4案を出した。採択には193の国連加盟国の3分の2以上(129カ国)の支持、発効には安保理常任理事国5カ国を含む3分の2の批准がそれぞれ必要だ。国連創設70周年となる今年の9月の国連総会に向け支持を呼びかける。

 アフリカの加盟国は54にのぼり、10年前には同地域の反対で改革に頓挫した。

 菅義偉官房長官は8日の記者会見で「G4として安保理改革を推進させるため、アフリカをはじめ各国への働きかけを強化したい」と述べた。

スクランブル 「2つの発言」市場に影 緩和相場、限界近づく? 2015/05/08 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 「2つの発言」市場に影 緩和相場、限界近づく?」です。





 世界の証券市場が2人の大物の発言に揺れている。「債券王」と称されるビル・グロス氏がドイツ国債を「売りの機会」とし、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は、米国株を「高い」と評した。緩和マネーで押し上げられた株や債券の水準は限界に近いのではないか。そんな疑念が市場に影を落としている。

 連休明け7日の株式市場では日経平均株価が4月1日以来約1カ月ぶりに1万9300円を下回った。債券や株に向かった投資マネーの巻き戻しが連休中の欧米市場で顕著になり、日本市場にも波及した格好だ。

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 巻き戻しの発端をたどると、グロス氏の4月21日のツイッターでの発言にたどり着く。独10年物国債を「一生に一度の売りのチャンス」とし、1993年にジョージ・ソロス氏が英通貨ポンドを売り浴びせた局面になぞらえた。

 独国債利回りは4月29日から急騰(価格は急低下)し始め、なお上昇が止まらない。物価上昇が引き金になったとされるが、「誰もが高い、もう限界、と思いながら買ってきたチキンレースが終わった」(欧州証券トレーダー)という売買の事情がある。

 トレンドの転換とみた投資家の動きは株式にも向かい、拍車をかけたのがイエレン議長の発言だ。「利上げ前後に株価急落を招きたくないためのガス抜きだろう。市場への警報だ」(マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジスト)と受け止められている。

 欧州の量的緩和でマネーが流れ込む欧州国債は割高。一方で、7年に及ぶ米国の量的緩和で水準を切り上げてきた米株も割高。2人の発言は、世界の主要な資産が緩和で買われすぎていることを改めて市場関係者に意識させた。

 東京株式市場でも「買われすぎの銘柄」に警戒感が広がっている。利回りを求めるマネーが債券から株式に移動し、値動きが安定している食品株や医薬品株が買われてきたが、下げがきつい。キッコーマンやオリエンタルランド(OLC)の今年の上昇率は一時4割に達していた。ところが、足元では1割強と日経平均並みに下がった。

 もっとも、マネーの巻き戻しは「一時のポジション調整に過ぎない」(アムンディ・ジャパンの吉野晶雄チーフエコノミスト)との見方も根強い。欧州は消費がなお低迷し、ドイツでも設備投資が伸びていない。米景気が4~6月に持ち直せば、マネーの流れは元に戻るとの見方は多い。

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 米景気不安から株価が軟調な中で、イエレン議長が、あえて割高と指摘したのは、「現在の株価水準に見合うほど景気が回復するまで、慎重に景気指標を見定めて利上げするというメッセージ」(アムンディの吉野氏)とも読める。

 緩和相場では円安や原油安を支えに日本株は相対的に買われやすい。ただ、今回の巻き戻しを経験し、ドルや債券、株価が再び高くなれば、新たな売りの機会と捉える投資家も増えてくるはずだ。日経平均が2万円を再び超えるには、企業収益の拡大など、緩和の先が見えてくる必要がある。

(松崎雄典)

株2万円、IT相場と差は 2015/05/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「株2万円、IT相場と差は」です。





日経平均株価は連休前に下落したものの4月に15年ぶりとなる2万円台を回復するなど総じて堅調だ。金融緩和を背景にした投資資金の流入と、拡大する企業業績への期待が買い要因だ。当面もう一段調整する場面があるかもしれないが、2万円乗せ後に下落基調となった2000年と比べると市場環境は大きく異なる。15年前の「ITバブル相場」と比べながら年後半の相場を占ってみよう。

日経平均は2000年4月中旬に2万0833円の高値をつけた(グラフA)。当時、PER(株価収益率)は305倍と異常値と言ってもいい水準で、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りなども現在に比べると大きく見劣りする(表B)。

グラフA

表B

市場の信頼高く

2000年は4月後半から相場は下げ基調となり、年末の日経平均は1万3000円台まで下げて終わった。前回がITバブルなら今回は日銀バブルだから、同様に2万円乗せがゴールになるのではと懸念する声もあるが、15年前と今が決定的に違うのは、日本企業に対する市場の信頼感だ。

今年4月22日に日経平均が終値で2万円を回復した直接のきっかけは中国の金融緩和だったが、理由はほかにもある。拡大する企業業績と、自己資本利益率(ROE)革命と言われる経営体質の改善が大きい。

2年前に5%台だった日本企業のROEは今期10%に乗せそうで、急激に改善している。アベノミクスによって経営者が攻めの姿勢を取り戻し、長年ため込んだ約100兆円もの資金を使い始めた。成長のための設備投資やM&A(合併・買収)、株主還元のための増配や自社株買いがここへきて急増しており、それが株価を押し上げている。

ROE革命の先駆けとなった企業が味の素だ。アベノミクスの始まる前の11年に攻めの経営に打って出た。ROEの水準を8%まで高める方針を示した。自社株買いとその消却、設備投資などに積極的に取り組んできた結果、900円前後だった株価は2500円前後まで上昇している。

味の素に続けとばかりに、有力企業がROE革命の波に乗る。富士フイルムは昨年11月、内部資金の活用と株主還元の強化を打ち出した。3年間で2000億円を配当と自社株買いに使い、4000億~5000億円をM&Aに使う方針だ。これによりROE7%を実現する。

今年に入り、三菱重工業やファナックなど保守的な印象が強かった企業が、株主還元を強化する姿勢を示し、投資家の信頼感を高めている。先陣を切って前3月期の決算を発表した安川電機も、「10年後でもROE13%は維持できている経営を目指す」(宇佐見昇副社長)という。

こうした流れは簡単に終わらない。世界最大の議決権行使助言会社ISSが、過去5期の平均ROEが5%を下回る企業について、経営トップ選出への反対を推奨するなど、投資家側もROE革命に呼応する。日本生命保険もROE5%を下回る企業について、議案を厳しく精査する。

ROE5%は最低ラインという印象が強まる中、表Cのように三菱地所、任天堂など過去5期の平均ROEが5%を下回る企業は、今後ROE向上に動き出す可能性が高い。

表C

中計の動き期待

その契機となるのが3~5年ごとに企業がまとめる中期経営計画だ。味の素や富士フイルムもそうだった。表Dに示したように、今後、中計が更新の時期を迎える企業は多い。こうした企業がROE改善を打ち出し、自社株買いや大型投資に動き出せば、株価上昇要因となるだろう。

表D

特に長期保有を前提とする投資家は、こうしたROE革命を評価している。今後、海外の政府系ファンドや年金基金など長期投資家が日本株買いを増やす可能性がある。

中期的には、企業業績の改善とROE改善などを評価する長期投資家の買いが見込め、2000年のような日経平均2万円達成をピークに、後は下落という流れにはならないだろう。

ただ、一本調子の上げも見込めない。例年5月に相場が調整することが多いが、今年もギリシャ情勢など不安材料がある。ギリシャ支援を巡る方向性が見えてくれば、内容によっては株式相場の調整色が強まる場面もあるだろう。6月とも言われてきた米国の早期利上げ観測は足元で後退しているが、年後半には利上げの可能性が残る。

日本株が調整する場面があっても、それほど長期化しないとみる。今期、日本企業の業績は主要国の中で特に良好で、最終的には製造業を中心に20%近い経常増益が期待できる。ROE革命による日本企業への信頼回復もあり、年後半には日経平均が2万1000円を超える場面があるのではないだろうか。

(編集委員 鈴木亮)



米買収ファンド 投資先確保苦戦 2015/05/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「米買収ファンド 投資先確保苦戦」です。





【ニューヨーク=山下晃】米国の企業買収ファンドが投資先の確保に苦慮している。米国株式相場が歴史的な高値圏にある中で、割安な企業が減り、大型投資が難しくなっているためだ。不動産や融資など新たな運用先の開拓に力を入れたり、運用期間を延ばしたりする例が出始めた。

「資金は十分にある。ただ、基準に合った投資機会を見つけるのに苦労している」。JPモルガンのグローバルM&A(合併・買収)部門共同責任者、クリス・ベントレスカ氏はこう指摘した。

米調査会社トムソン・ロイターによると、2015年1~3月に買収ファンド(未公開株ファンド)が関与した企業買収の総額(米国市場)は、HJハインツとクラフト・フーズ・グループの大型合併(約547億ドル=6兆5800億円)によって押し上げられ、約729億ドルに上った。前年同期比で7割弱も増え、四半期としては金融危機前の07年以来の高水準に膨らんだが、大型合併という特殊な要因を除けば6割減の182億ドルで、10年1~3月期以来の低水準に沈む。

買収ファンドは業績が振るわない企業を買収し、事業を再建して売却する。買収後に株式を非公開化して外部の影響を受けにくくすることで、短期で収益改善をめざすのが特徴だ。金融危機前には四半期で1000億ドル超を投資していた。足元の投資規模は当時の2割にも満たない。

米企業への投資規模が縮小した理由として「株価が高く『筋肉質』になっている。経営を改善させて企業価値を高める余地が少ない」(米投資ファンド)こともある。事業企業が事業分野やシェア拡大をめざして積極的に買収に動き、1~3月期の世界のM&Aが金融危機以来の水準に拡大しているのとは対照的だ。

買収ファンドの資産売却は増えつつある。「大型案件を無理に追いかけるような状況ではない。市場環境を逆手にとって売却に注力している」(ノムラ・ファンド・リサーチ・アンド・テクノロジー・アメリカ)との指摘もある。

別のリスクマネーの出し手と投資先を共有する例もある。買収ファンドのペルミラは4月、カナダ年金計画投資委員会と米ソフト開発のインフォマティカを共同買収すると発表した。本来、買収ファンドはこうした年金や政府系ファンドの資金を預かって投資していた。手数料が割高との声にも対応し、年金マネーに直接投資の割合を与え、投資機会を開拓する。

投資採算の良い案件が減り、短い期間で目標の収益を上げられなくなっていることから、一部の買収ファンドは運用期間を延ばす検討も始めた。長期的に安定収益が期待できるインフラ関連などの企業へ投資する。

こうした手法はバフェット氏に代表される長期投資に近い。買収ファンドからは「我々にもバフェット氏のような投資ができるはずだ」(ブラックストーン・グループ)との声も聞こえる。低金利下での運用難の長期化は買収ファンドの投資姿勢にも影響を与えている。



株2万円、IT相場と差は ROE重視、海外が評価 2015/05/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「株2万円、IT相場と差は ROE重視、海外が評価」です。





 日経平均株価は連休前に下落したものの4月に15年ぶりとなる2万円台を回復するなど総じて堅調だ。金融緩和を背景にした投資資金の流入と、拡大する企業業績への期待が買い要因だ。当面もう一段調整する場面があるかもしれないが、2万円乗せ後に下落基調となった2000年と比べると市場環境は大きく異なる。15年前の「ITバブル相場」と比べながら年後半の相場を占ってみよう。

 日経平均は2000年4月中旬に2万0833円の高値をつけた(グラフA)。当時、PER(株価収益率)は305倍と異常値と言ってもいい水準で、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りなども現在に比べると大きく見劣りする(表B)。

 

市場の信頼高く

 2000年は4月後半から相場は下げ基調となり、年末の日経平均は1万3000円台まで下げて終わった。前回がITバブルなら今回は日銀バブルだから、同様に2万円乗せがゴールになるのではと懸念する声もあるが、15年前と今が決定的に違うのは、日本企業に対する市場の信頼感だ。

 今年4月22日に日経平均が終値で2万円を回復した直接のきっかけは中国の金融緩和だったが、理由はほかにもある。拡大する企業業績と、自己資本利益率(ROE)革命と言われる経営体質の改善が大きい。

 2年前に5%台だった日本企業のROEは今期10%に乗せそうで、急激に改善している。アベノミクスによって経営者が攻めの姿勢を取り戻し、長年ため込んだ約100兆円もの資金を使い始めた。成長のための設備投資やM&A(合併・買収)、株主還元のための増配や自社株買いがここへきて急増しており、それが株価を押し上げている。

 ROE革命の先駆けとなった企業が味の素だ。アベノミクスの始まる前の11年に攻めの経営に打って出た。ROEの水準を8%まで高める方針を示した。自社株買いとその消却、設備投資などに積極的に取り組んできた結果、900円前後だった株価は2500円前後まで上昇している。

 味の素に続けとばかりに、有力企業がROE革命の波に乗る。富士フイルムは昨年11月、内部資金の活用と株主還元の強化を打ち出した。3年間で2000億円を配当と自社株買いに使い、4000億~5000億円をM&Aに使う方針だ。これによりROE7%を実現する。

 今年に入り、三菱重工業やファナックなど保守的な印象が強かった企業が、株主還元を強化する姿勢を示し、投資家の信頼感を高めている。先陣を切って前3月期の決算を発表した安川電機も、「10年後でもROE13%は維持できている経営を目指す」(宇佐見昇副社長)という。

 こうした流れは簡単に終わらない。世界最大の議決権行使助言会社ISSが、過去5期の平均ROEが5%を下回る企業について、経営トップ選出への反対を推奨するなど、投資家側もROE革命に呼応する。日本生命保険もROE5%を下回る企業について、議案を厳しく精査する。

 ROE5%は最低ラインという印象が強まる中、表Cのように三菱地所、任天堂など過去5期の平均ROEが5%を下回る企業は、今後ROE向上に動き出す可能性が高い。

 

中計の動き期待

 その契機となるのが3~5年ごとに企業がまとめる中期経営計画だ。味の素や富士フイルムもそうだった。表Dに示したように、今後、中計が更新の時期を迎える企業は多い。こうした企業がROE改善を打ち出し、自社株買いや大型投資に動き出せば、株価上昇要因となるだろう。

 特に長期保有を前提とする投資家は、こうしたROE革命を評価している。今後、海外の政府系ファンドや年金基金など長期投資家が日本株買いを増やす可能性がある。

 中期的には、企業業績の改善とROE改善などを評価する長期投資家の買いが見込め、2000年のような日経平均2万円達成をピークに、後は下落という流れにはならないだろう。

 ただ、一本調子の上げも見込めない。例年5月に相場が調整することが多いが、今年もギリシャ情勢など不安材料がある。ギリシャ支援を巡る方向性が見えてくれば、内容によっては株式相場の調整色が強まる場面もあるだろう。6月とも言われてきた米国の早期利上げ観測は足元で後退しているが、年後半には利上げの可能性が残る。

 日本株が調整する場面があっても、それほど長期化しないとみる。今期、日本企業の業績は主要国の中で特に良好で、最終的には製造業を中心に20%近い経常増益が期待できる。ROE革命による日本企業への信頼回復もあり、年後半には日経平均が2万1000円を超える場面があるのではないだろうか。

(編集委員 鈴木亮)

不動産投資や融資は活発 2015/05/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「不動産投資や融資は活発」です。





【ニューヨーク=山下晃】低金利で多額の資金が流れ込む買収ファンドは、不動産や融資などを軸にした投資戦略を積極化している。

代表格のブラックストーン・グループは3月、不動産に投資するファンドを新設し、145億ドル(約1.7兆円)の大規模な資金を調達した。ゼネラル・エレクトリック(GE)が決めた不動産や関連金融資産の売却の受け皿にもなる見通しだ。

ブラックストーンは運用資産を2014年に2900億ドルと、10年足らずで5倍に増やした。ただ、増加分のうち企業買収の関連資産は約2割で、大半は不動産投資と融資だ。

買収ファンドは大手金融機関と異なり、金融危機後に厳しくなった金融規制の対象から外れた。「厳しい規制で融資しにくい金融機関にかわり法人融資を拡大する好機」と判断し、欧州企業向けなどに積極的に融資している。

米連邦準備理事会のパウエル理事は「規制強化の代償で商業銀行から規制の緩い主体に取引が移っている」と指摘する。当局の監視の目が届きにくい金融取引が増えることは、金融秩序の安定を乱しかねないと懸念されている。



経営書を読む カーネマン著「ファスト&スロー」(4) 酔っ払いのジレンマ 本人は正気のつもり 2015/05/05 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「経営書を読む カーネマン著「ファスト&スロー」(4) 酔っ払いのジレンマ 本人は正気のつもり」です。





 今回の連載で、私たちは合理的、論理的であるつもりなのですが、現実には無意識のシステム1に従って意思決定することが多いことをご理解頂けたのではないでしょうか。(1)目の前の個別事象(あるいは人)を重視し(2)客観的な確率を無視し(3)間違ったと言われても根拠があいまいな直感や信念に引っ張られて行動を変えないことが多い――のです。

 カーネマン教授が指摘するように、心理学から学べることは「新たな知識が増えたかどうかではなく、遭遇する状況の見方や認識の仕方が変わったかどうか」です。

 「見方が変わった」といっても、それは自分のシステム1が言っているだけかもしれません。「俺は酔ってない」とクダを巻くオジサンと同じです。他人から見れば悪酔いは明らかでも、本人は真剣に「酔っていない」と思っているのです。

 「見たものが全て」のシステム1と「怠け者」のシステム2を手なずけることは容易ではありません。それではどうしたらよいのでしょうか?

 カーネマン教授は「システム1に教えても無駄」「私が進歩したのは、エラーが起こりそうな状況を認識する力だけである」と控えめですが、そもそも自分がバイアスのある直感に左右されていることを認識するだけでも、「わかったつもり」「俺は正しい」と思い込むよりましです。

 また、自分の直感を疑うことは難しくても、「他人が地雷原に迷い込もうとしているのを指摘するのは簡単」です。その意味で人間の意思決定というのは酔っ払いと同じで、「おかしい」と指摘してくれる誰か、しかも信頼できる人がいるかどうかが大切なことだと思います。

 自分のやりたいようにやる(直感に従う)ことは快いし、他人の助言を聞くのは苦痛です。しかし、スポーツ練習の後の筋肉痛のように、痛みは自分の成長を教えてくれるシグナルなのです。

数字で知る日本経済2(7) 出生率「1.8」、1つの目安に 若年層の不安解消カギ 2015/05/05 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・経済面にある「数字で知る日本経済2(7) 出生率「1.8」、1つの目安に 若年層の不安解消カギ」です。

出生率2.0、1.8、1.6のそれぞれが持つ意味を解説した記事です。政府の政策としてどこを目指すのか、そのためにどんなアクションを取るのか、これに注目が集まります。





 総務省によると2014年の日本の人口は1億2708万人。4年連続で減った。1990年代から加速した少子化を背景に日本は人口減少時代に突入した。政府内では「このままでは経済活力を保てなくなる」と懸念が強まっている。

 1人の女性が生涯に産む子供の平均的な人数を「合計特殊出生率」という。死亡率を加味すると、日本の人口を維持するには出生率2.07が必要になる。

 日本の出生率は75年に2.0を下回ってから低下傾向をたどり、05年には過去最低である1.26まで落ち込んだ。その後は40歳前後の年齢になった「第2次ベビーブーム世代」の駆け込み出産があり、直近の13年には1.43まで回復した。ただ世界でも低い水準であることは変わらない。

 政府の試算では、1.35程度の出生率が続くと、100年後の日本の人口は5千万人を割り込んでしまう。ただ30~40年ごろまでに出生率が2.07まで回復すれば2060年時点でも1億人程度を維持できる。

 日本が少子化対策を進める上で、当面どの程度の出生率を目指すべきなのか。1つの目安といえるのが「1.8」という数字だ。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、子どもを欲しいと考えている若年層の希望がすべてかなうと1.8程度になるという。

 実際の出生率1.43との開きは、希望しているのに何らかの理由で子どもを持てない人が相当いるということを示している。仕事と育児を両立できない。結婚できない。経済力が不安で2人目、3人目に踏み切れない。様々な理由があるとみられるが、そこには国や自治体、企業など多方面の努力で解決できる余地があるかもしれない。

 このため政府は14年11月にまとめた地方創生の長期ビジョンで「若い世代の希望が実現すれば出生率は1.8程度に向上する」と明記。今年3月の少子化大綱では保育の充実や子育て負担の軽減、結婚支援に取り組む方針を打ち出した。

 ただ逆にいえば、出生率を1.8を超えて上げるのは、かなり難しいということでもある。「子どもはいらない」と決めていた夫婦が「やはり欲しい」と根本から考えを変えないと実現できないような数字だ。

 フランスやスウェーデンは落ち込んだ出生率を2程度まで回復させた。より多くの人が「子どもが欲しい」と思う国にできるか。国づくりの根本が問われる。

世界の株 時価総額9000兆円 4月末、GDP合計に匹敵 2015/05/05 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「世界の株 時価総額9000兆円 4月末、GDP合計に匹敵」です。





 世界の株式市場の時価総額の合計が4月末に75兆ドル弱(約9000兆円)に増え、最高を更新した。主要国の金融緩和などを背景に日本や米国、ドイツなどで歴史的な株高になり、世界の国内総生産(GDP)合計に匹敵する額に膨らんでいる。実体経済を上回る株式マネーの膨張に、相場過熱を警戒する声もある。

 個別企業の株価に発行済み株式数をかけて算出する時価総額は、株式市場に流入するマネーの総量を示す。世界取引所連盟(WFE)の統計とグローバルな株価指数から推計すると、世界の時価総額は4月末で74.7兆ドルとなった。

 世界の時価総額は金融危機前に記録した2007年10月の64兆ドルをピークにいったん減少。13年11月以降、ようやく過去最高を更新する局面に戻った経緯がある。大規模な金融緩和をテコに日米欧で株高が進行。足元では中国株も追加緩和を支えに急上昇している。

 株式時価総額とGDPのバランスは株価の過熱の度合いをみる物差しとされ、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が注目することから「バフェットの指標」とも呼ばれる。国際通貨基金(IMF)が推計する2015年の世界のGDPは74.5兆ドルで、時価総額はこれにほぼ並んでいる。

 世界の時価総額はIT(情報技術)バブル期の1999年、金融危機前の2006~07年にGDPを上回っている。現在は「かつてのような熱狂は感じられない」(JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳氏)との声が多いが、緩和マネー主導の株高に対する警戒感も根強い。

バフェット氏「米株、金利戻れば割高」 50周年の株主総会 後継者は言及せず 2015/05/04 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「バフェット氏「米株、金利戻れば割高」 50周年の株主総会 後継者は言及せず」です。

米国における今後の金利上昇局面において、株が割高という認識が広まった際に、緩和マネーがどこに向かうのか、留意が必要そうです。





 著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは2日、定時株主総会を開いた。今年は創業50周年に当たる節目とあり、米中西部ネブラスカ州オマハには過去最多の4万人を超える株主が世界中から集まった。バフェット氏は高値圏で推移する米国株式相場について「金利水準が通常に戻れば、割高にも見える」などと話した。

 オマハはバークシャー社が本社を構え、バフェット氏が生活の拠点とする都市だ。今年は紡績業を手掛けていたバークシャー・ハザウェイをバフェット氏が買収し、投資会社として姿を変えてから50周年に当たる。

 今年に入っても積極的な投資が続いている。投資ファンドの3Gキャピタルと共同で投資するケチャップで有名な米食品HJハインツと食品大手のクラフト・フーズ・グループの統合をしかけ、「クラフト・ハインツ」社を誕生させた。

 消費関連の投資先企業のさらなる再編があるのかとの質問に対し「ブランド力は重要な要素で、将来的に(再編の)案件はある。常にブランド(メーカー)と量販店は戦っている」と答えた。昨年の総会では3Gキャピタルと共同で大きな投資案件を手掛ける可能性を示唆していた。

 2015年1~3月の米実質国内総生産速報値が低調な伸びにとどまる中、過去最高値圏にある米国株式相場には市場で警戒感も出ている。バフェット氏は「米国のビジネス環境が良好なことを示している」と高値は許容できるとの見方を示す一方、低金利が支えになっているとして「通常の水準に戻るなら、割高に見える」とも話した。

 かねてバフェット氏は早期のゼロ金利政策の解除には慎重な発言を繰り返してきた。かつてはインフレなどを懸念していたこともあったが「何も悪いことは起こらなかった」と金融緩和政策を改めて評価した。仮に将来、経済が混乱する局面を迎えた場合には「バークシャーは心理的にも財務的にも喜んで資金を供給する準備がある」と述べた。

 後継体制にも注目が集まっていたが具体的な言及はなかった。「私が去ってからも企業文化は変わることはない。安心していて良い」と株主に話した。

(オマハ〈ネブラスカ州〉=山下晃)

日本経済新聞の本日の記事から