風見鶏 韓国、なぜ急に反日に 解けぬ野田氏の疑問 2013/11/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・政治面にある「風見鶏 韓国、なぜ急に反日に 解けぬ野田氏の疑問」です。

人間の心、そこから発せられる言葉、これが変節するようでは、意思疎通が難しくなるのは当たり前、ましてや国家を代表する者同士であれば尚のことでしょう。自身の心から湧き出た発言、つまり、自身が考える理想を披歴した後、自らそれを披歴したものの前で破り捨てる。人間関係など形成できるわけがなく、それを日本国民は見ています。





 首相を退いてから、12月で1年。野田佳彦氏には、いまでも解けない疑問があるという。自分の在任中、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領はなぜ、あそこまで反日に振れたのか。その真意である。

 2011年10月、首相に就いた野田氏がまず訪れたのが韓国だった。彼によると、李大統領からは予想外の発言が飛び出した。

 「歴代の韓国政権は最初、日韓の未来志向を語りながら、だんだん支持率が下がると、歴史問題の対日カードを使ってきた。それによって、支持率を浮上させようとすることを繰り返してきた。私は絶対、そういうことはやりたくない」

 李氏は会談でこう断言し、未来志向の関係を約束した。野田氏は「すごい指導者だ」と感じ、「彼の在任中に経済だけでなく、安全保障の協力も強めるべきだ」と確信したという。

 ところが、初対面から2カ月後の同年12月、京都での2回目の会談では、李氏は別人のようだった。執拗に慰安婦問題を追及し、会談の半分以上がけんか腰の応酬になってしまった。

 「初会談であんなに打ち解け、未来志向の関係で合意したのになぜ、2カ月後にこんなに変わるのか。驚いたとしか言いようがなかった」。野田氏はこう振り返り、今でも「なぜなのか、分からない」と語る。

 さらに翌年8月、李氏は竹島訪問を強行した。日本としては到底、受け入れられず、李氏と協力する余地は完全に消えた。

 反日感情が根強い韓国では結局、だれが大統領になっても反日に振れる。経営者出身のリアリストで、保守派の李氏も例外ではなかった……。こう切り捨てることもできるだろう。だが、この対立劇の裏側には日韓を占うヒントもひそんでいる気がする。

ニッポンの製造業 新たな挑戦 東レ(下) 視線は常に「50年後」 2013/11/17 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「ニッポンの製造業 新たな挑戦 東レ(下) 視線は常に「50年後」」です。





 今年5月、東レの日覚昭広社長のもとに、ある炭素繊維メーカーの身売り話が舞い込んだ。風力発電の羽根など低価格品の有力メーカー、米ゾルテック。日覚社長はすぐさま調査を指示、9月には580億円で買収案件をまとめ上げた。

「ずっと赤字」

 航空機向けなど最先端の炭素繊維でトップを走る東レ。新興メーカーとの競争の激しい低価格品でも需要地で生産する体制を整え、世界で本格展開する段階に入る。ただ、ここに至る道のりは長かった。

 鉄に比べ4分の1の重さで強度が10倍の炭素繊維は、大阪工業技術試験所(現産業技術総合研究所)の進藤昭男博士が1961年に発明した日本発の技術。東レは早くから技術者を派遣、71年に世界で初めて量産化したが、利益には結びつかなかった。

 釣りざおやゴルフクラブ向けの需要はあっても「研究に1400億円以上を費やし、ずっと赤字」(榊原定征会長)。そんな状況がある契約で一変する。

 2003年4月16日。炭素繊維を担当する大西盛行専務には忘れられない日だ。米ボーイングから「次の飛行機(787)は主翼も胴体も炭素繊維で作る。東レに任せたい」と告げられた。苦労が実った瞬間だった。当時、年7000トンだった炭素繊維の生産量は12年に1万8000トンまで増えた。11年3月期には黒字が定着。売上高はボーイング向けだけで21年までに合計1兆円を見込む。

 1968年に開発を始めた水処理膜。水のろ過に使う同素材もこれからが収穫期だ。アジア・中東で海水の淡水化や下水処理の大型プラント建設が本格化、需要が拡大している。

 事業が花開くまで半世紀近くを費やす「50年経営」。炭素繊維は米デュポンや独BASFなど欧米大手も参入したが、赤字により数年で撤退。東レは短期の収益を犠牲にするかわり、結果的に他の追随を許さない事業を育てる。

 そのこだわりはどこからくるのか。51年に東レがデュポンから販売ライセンスを受けたナイロン。実は戦中に独自開発していた。その技術がアクリル開発につながる。炭素繊維の製造にはアクリルの生産技術が欠かせない。

 アジア勢に押されていた00年代初め。旭化成や帝人など各社が繊維事業を分社化、研究予算を削減した。しかし一部株主から批判を浴びながらも当時の前田勝之助・東レ会長は「繊維はいくつもの事業を育てる基幹事業」と手をつけなかった。そこには連綿と続く素材開発への自負がある。

繊維から新事業

 鎌倉にある「先端融合研究所」。03年5月の開所式の直前、前田会長が「名前に『融合』の文字を」と指示、看板を作り替える一幕があった。今、繊維を核にバイオや医療など異なる技術を融合した研究が進む。

 常駐研究者は100人だが、常時、大学や外部の研究機関の研究者が出入りするオープンな体制で、事業のタネを育てている。

 東レが追いかけてきたデュポンは祖業の火薬、繊維からM&A(合併・買収)で医療、食糧などに進出。対照的に東レは繊維から枝を伸ばし新事業をつくる。「手法はどうあれ、出した結果を株式市場は評価する」(みずほ証券の佐藤和佳子シニアアナリスト)。次の50年を支える事業のタネを絶え間なく生み出し続けることが東レの背負った宿命かもしれない。

 西條都夫、林英樹、丸山修一が担当しました。



2013/10/21 本日の日本経済新聞より「起業の軌跡 バルミューダ 寺尾玄社長 「自然の風」再現した扇風機ヒット 破綻寸前 世のニーズ追求」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の新興・中小企業面にある「バルミューダ 寺尾玄社長 「自然の風」再現した扇風機ヒット 破綻寸前 世のニーズ追求」です。





 扇風機に空気清浄機、加湿器……。バルミューダ(東京都武蔵野市)はその独自の技術や設計で、大手メーカーがひしめく国内家電市場に新風を送り込む。

 同社の存在感を高めたのが2010年に発売した扇風機「グリーンファン」だ。二重構造の羽根が生む風がぶつかり合って拡散し、自然の風に近い空気の流れをつくり出す。体に優しい風が過去の製品と思われがちだった扇風機に新たな価値をもたらした。

 創業社長の寺尾玄はもともとミュージシャン志望だった。20代で大手レコード会社と契約したが、結局断念。「次の挑戦を考えたときに頭に浮かんだのがものづくりだった」。音楽創作活動で使っていたパソコンや椅子の使い勝手やデザインにほれ込んだ経験があったからだ。

 だから製品開発のこだわりは半端ではない。デザインは約1千通りから絞り込む。動作機構も同じ程度を検討する。自前の工場を持たないファブレスメーカーだが、徹底的に試作を重ね、量産を委託する協力工場には自ら製造法と品質管理を指導する。

 とはいえ、当初は夢はあっても素人。秋葉原の電気街などに通い、素材や構造を研究。電話帳を片っ端からめくって町工場を訪ね、自ら描いた図面を手に加工を頼むとともに製法を学んだ。CAD(コンピューターによる設計)も独学だ。

 03年に起業し、デスク用照明スタンドなどを開発。価格は高めだったが、シンプルで洗練されたデザインが若い世代に受けた。だが08年秋のリーマン・ショック後、売れ行きが止まった。「人々が本当に必要としているものではなかった」ことを思い知る。

 「どうせつぶれるなら前向きに倒れたい」。破綻寸前に追い込まれ、最後の挑戦に選んだのが、省エネ意識の高まりで再評価されると目をつけていた扇風機。「必要とされる扇風機は何か」。突き詰めた結果が自然の風だった。続いて送り出した空気清浄機も看板商品になり、リーマン・ショック直前は数千万円だった年商は10億円を超える規模になった。

 今月、新たにラインアップに加えた加湿器は水がめのような形が特徴的だ。「使う人の利便性や所作、居間での調和などを考えればこの形も自然」と言う。

 「スマートフォンだって少し前まで存在しなかった。今は世にないが、10年後には当たり前のように使われている家電をつくるチャンスはある」。寺尾の目には、家電市場は今なお成長市場に映る。

=敬称略

(岡森章男)

 てらお・げん 高校中退後、音楽活動などを経て2003年(平15年)バルミューダデザイン(現バルミューダ)設立。茨城県出身。40歳

2013/10/21 本日の日本経済新聞より「グローバルオピニオン 中東の安定、日英に役割 英国王立防衛安全保障研究所長 マイケル・クラーク氏」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「中東の安定、日英に役割 英国王立防衛安全保障研究所長 マイケル・クラーク氏」です。





 米ロ両政府がシリアの化学兵器廃棄で合意し、国連安全保障理事会が採択した決議に基づいて、化学兵器全廃に向けた査察が始まった。だが、英政府が提出した軍事介入決議案を英下院が否決。米国でも世論や議会は武力介入に懐疑的な意見が多く、力による解決は選択しにくくなった。欧米はシリア問題の解決策を見い出せない状況だ。

 中東の民主化運動「アラブの春」では、2年前に米英仏がリビア反政府派を支援してカダフィ体制が崩壊した。しかし、シリアはイスラム系組織が台頭するなど複雑な事情を抱える。アサド政権は化学兵器を使うことができないだろうが、欧米も武力を使えず、内戦は長びきそうだ。

 一方で、米イラン首脳の電話協議は明るい材料だ。ロウハニ・イラン大統領は「米と新たな雰囲気をつくり前進したい」と考える点で、強硬一辺倒だった前任者のアハマディネジャド氏と違う。

 宗派を巡るサウジアラビアとの確執も、地域の不安定要因として残る。東地中海からペルシャ湾岸にかけて走る「宗派の断層線」は、重要な意味を持っている。レバノン、シリアを経てイラクなどアラブ産油国まで、イスラム教シーア派、スンニ派が同居し、イラン、サウジが各派を支援する代理戦のような構図はテロや内乱を過熱させる。

 スンニ派のアルカイダ系組織は地域の動揺につけ込み、シリア、イラクで勢い付いた。欧米では、シリア危機がいつ我々の街角にテロとして波及するかとの懸念も大きい。英国が2005年に経験した同時テロのような脅威が再び台頭する恐れもある。情報収集など予防体制を拡充しなければならない。

 米国は中東からアジアへ外交の軸足を移すと宣言したが、難しそうだ。地政学的に米の長期的な利益がアジアにあるのは間違いない。「シェール革命」が進めば中東への依存は減るが、今は不穏な中東情勢を無視することはできない。

 強い指導層がアラブの春により一掃され、揺れる中東の安定を図るため、米国にはパートナーが必要だ。そこで日英という米政府と緊密な2国の協力が重要になる。

 英海軍は1968年に撤退した「スエズ以東」のペルシャ湾岸周辺で積極的に活動し始めた。産油国に要員を随時派遣し、訓練を通じて治安維持を支援する。地元を刺激しないよう常駐を避ける「賢明な足跡」と呼ぶ手法だ。

 近年、日本と英国は情報秘密保護協定を結ぶなど安全保障面での連携を深めている。日本は海上自衛隊の掃海艇による機雷除去など憲法上可能な範囲で地域の安定に貢献してきた。中東の安全保障や外交に関して、日英間の協力が一段と活発になるよう強く望む。

(談)

Michael Clarke 英下院国防、外務両委の専門家諮問委員、ロンドン大・キングズカレッジ社会科学公共政策学部長、英首相諮問会議メンバーなどを歴任。63歳。

<記者の見方>「米肩代わり」議論を

 米国は1990年代から、湾岸戦争やイラク戦争など中東関連の「警察任務」の中心にいて、英国もこれを支えていた。だが財政負担も大きいうえ、危うさも増す中東にいつまで関わるのかという世論を両国とも無視できない情勢だ。とはいえイランによる核開発や、「イスラム」を名のる過激派が増殖する懸念が残る中東にはまだまだ目配りがいる。外交や経済、教育面などソフトパワーも含めどう米国の負担を軽減させるのか。国際秩序維持のため議論すべき時が来ている。

(編集委員 中西俊裕)

2013/10/20 本日の日本経済新聞より「けいざい解読 中国経済の真のリスク、党支配の限界見極めこそ」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・経済面にある「中国経済の真のリスク、党支配の限界見極めこそ」です。





 最近の中国経済を見ていると、イソップ童話「オオカミと羊飼い」を思い出す。成長率が落ちたり、経済に火ダネが見つかったりするたび「いよいよ危ない」と騒ぎになる。しばらくすると勘違いだったことが分かり、混乱がおさまる。

 今回も似たような経緯をたどりそうだ。国家統計局が18日に発表した7~9月の成長率は前年同期比で実質7.8%。4~6月と比べ、0.3ポイント改善した。理由は単純。成長率が下がるのを防ぐため、インフラ投資を増やし始めたからだ。

 ついこの間までは「もっと減速する」などの声が多かった。だが中国のいまの財政事情なら、本当に危なくなれば何か手を打つ。国家統計局の報道官は18日の記者会見で「安定的に上向いている」と語った。

 習近平政権が本格始動してから半年余り。その間、中国リスクが最も意識されたのが、6月下旬の金利急騰だ。銀行間市場で金利が突如、13%台にはね上がった。

 銀行融資の外側で、資金の流れが見えにくい「影の銀行」がちょうど問題になっていたこともあり、市場に「金融システムが危ない」と緊張が走った。これで中国経済の先行きに悲観的な見方が一気に強まった。

 あの騒動の原因は何だったのか。中国の金融に詳しい信金中央金庫の露口洋介上席審議役によると「影の銀行に関わった金融機関への警告の意味を込め、中国人民銀行(中央銀行)がわざと金利を引き上げたという見方は間違い」。

 中国は金融政策の標的を貸出量から金利に移すため、金利をできるだけ市場に委ねようとしている。そんな中「一部の銀行が期末の資金管理を怠り、金利が上がった」(露口氏)というのが真相のようだ。人民銀は今月16日の発表文で「期末や月末に金利が上がるのは正常」と強調した。

 もちろん影の銀行が市場の不安を増幅した面はある。だがサブプライムローンで信用膨張が歯止めなく進んだ米国とは違い、中国の金融技術はまだ未熟。むしろ似ているのは1990年代後半の日本の住宅金融専門会社(住専)問題だ。

 はじめから回収のあてのない融資が混じっていて、実態がつかめない。ただ不良債権で金融システムが揺らぎそうになれば、中国は迷わず公的資金を使う。反対する政治勢力はいない。住専処理への税金投入でもめた日本とそこは違う。

 欧米がよほど混乱しない限り、中国は当面7%台の成長が続くだろう。民間投資は公共事業で補う。消費も堅調で、自動車の販売は年2000万台を超す勢い。必要なら世論を気にせず、銀行に資本を入れる。

 リスクが表に出るのはもっと先だ。富の格差や国有企業の独占、主要企業の隅々まで張りめぐらした共産党組織。問題の根幹にある党の支配が、公平なルールと市場の効率性に道を譲るべきときが必ず来る。だがうまくいく保証はない。

 イソップ童話は「危ない」と騒ぎ過ぎて、本当の危機を見過ごすことがないよう戒める。中国経済をみるときも、チャンスとリスクを冷静に見極めたいものだ。

(編集委員 吉田忠則)

2013/10/12 本日の日本経済新聞より「時価総額 米企業に勢い 日本勢じわり浮上 中国、トップ10の座失う」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合2面にある「時価総額 米企業に勢い 日本勢じわり浮上 中国、トップ10の座失う」です。

世界中の企業の株式の時価総額を横で比較し、その結果をもとに米企業に勢いがあるとしていますが、そもそも、マーケットを支える投資家や貨幣価値、企業が相手にしている市場の規模などに影響するはずですので、この記事に書いてある内容はあまり意味がないように思います。収益性や効率性を軸に評価する方が良いと思われます。





 世界の上場企業の株式時価総額で上位の顔ぶれが変わってきた。米国を中心に先進国企業の優位が鮮明で、9月末時点で上位10社を米国と欧州で独占した。トヨタ自動車など日本勢も浮上。一方で新興国に一時の勢いはなく、中国勢は約8年ぶりにトップ10の地位を失った。足元では米国の財政問題がくすぶるものの、先進国景気は底堅さをみせ、グローバルに稼ぐ企業を中心に市場の評価を高めている。

 【ニューヨーク=川上穣】米調査会社ファクトセットの集計をもとに、世界の上場企業の時価総額(ドルベース)をランキングした。株価に発行済み株式数を掛けたものが時価総額で、市場がつけた会社の価値を表している。

 9月末時点では首位のアップル(4331億ドル)から9位まで米国勢が占めた。次いで10位にスイスの医薬品大手ロシュが入った。先進国がトップ10を独占するのは、年末ベースで遡ると2005年以来になる。

 米企業が市場で評価を高めているのは、国際的なブランド力や製品の強い競争力にある。IT(情報技術)や消費財などの分野でリード、米国内に限らず新興国を含めた世界で広く利益を稼ぐ。

 アップルの時価総額は1社で世界の株式市場全体の1%近くを占める存在だ。高いブランド力で世界に販路を拡大。主力のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」は足元で利益率が落ちているとはいえ、販売額は前年同期比2ケタの伸びとなっている。

 さらにマイクロソフト、グーグルと世界を代表するIT企業が並ぶ。グーグルの場合、昨年末の19位から8位に躍進。インターネット広告がけん引し、4~6月期は2ケタの増収増益だ。

 金融危機から5年。米景気の回復ぶりは目を引く。「シェール革命に支えられた米経済の底力が評価されている」(三菱UFJ投信の石金淳チーフストラテジスト)。6位のゼネラル・エレクトリック(GE)は、米製造業の復活の象徴だ。金融事業を縮小し、航空機エンジンなど産業部門が収益回復の原動力だ。

 底堅い米個人消費も企業の収益を支える。小売りのウォルマート・ストアーズが恩恵を受ける代表だ。著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが3位に浮上。景気の回復で、傘下の鉄道や食品事業が着実に利益を上げている。

 日本企業もじわりと巻き返している。トヨタ自動車は昨年末の27位から15位に上昇、一時7位につけた06年末以来の高位だ。やはり北米販売が好調で、円安も加わって利益拡大へ期待が高まっている。アジアの製造業としては韓国サムスン電子(20位)を抜き返した。

 アベノミクスへの期待もあり、日本株の底上げが進んでいる。ソフトバンクは10月に入り、三菱UFJフィナンシャル・グループを追い抜く場面もあった。米通信会社の買収で成長期待を集めており、米景気の追い風を受ける側になる。

 株主を重視する経営も見逃せない。アップルは4~6月期に約160億ドルの自社株を購入。米企業としては四半期ベースで最高という。マイクロソフトも9月、四半期配当を22%引き上げると発表した。潤沢な手元資金を有効に活用する姿勢が株価を下支えしている。

真相深層 中国、挑発減らし揺さぶり 「尖閣」戦術に変化 2014/08/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合1面にある「真相深層 中国、挑発減らし揺さぶり 「尖閣」戦術に変化」です。





 尖閣諸島をめぐる日中の対立は、いっこうに出口が見えない。だが、現場の海域では静かな変化も起きている。その底流を探ると、中国の秘めた思惑が透けてくる。

尖閣諸島周辺の領海内を航行する中国の海洋監視船(手前)と海上保安庁の巡視船(2013年4月)

 「中国が、尖閣の揺さぶり戦術を変えはじめた」。政府内で最近、こんな分析が漏れるようになった。尖閣にやってくる中国船の動きに異変がみられるからだ。

■昨年の半分以下

 いちばんはっきりしているのが、尖閣周辺の領海に、中国船が侵入する頻度が下がっていることだ。今年1~6月に侵入した中国船は延べ40隻。月平均にならすと、6.6隻だ。昨年同期(94隻、月平均15.6隻)の半分以下に減った。

 1回当たりの侵入時間も短くなってきた。昨年は4時間を超えることも少なくなかったが、今春以降はほぼ2~3時間で推移しているという。

 これだけではない。昨年まで繰り返された危うい挑発にも、一定の抑えが効くようになった。

 政府関係者らによると、尖閣付近では昨年、中国船が日本の漁船を捕まえ、法執行をしようとしたり、日本の巡視船の進路に割って入ったりする動きがあった。

 だが「最近、こうした行為はかなり減った」。日本漁船を強引に追いかけ回すのはやめるよう、中国当局が指示を出したとの情報もある。

 だからといって、尖閣への中国首脳の公式な態度が、軟化したわけではない。

 中国は日中首脳会談を開く条件の一つとして、尖閣の領土問題が存在することを認めるよう、水面下でなお求めている。日本が呼びかける危機管理制度づくりの協議にも、応じる気配はない。

 ではなぜ、中国は尖閣の現場海域では、挑発にブレーキをかけるようなそぶりを見せるのか。最近の情勢に通じた複数の安全保障担当者の分析はこうだ。

 中国はすでに尖閣の「領土問題」は十分、世界に知れわたったと判断した。これ以上、緊張を高めれば、対中非難がさらに強まり、逆効果になりかねない。このため、中国は激しい挑発は減らし、淡々と領海への侵入を続ける路線に軸足を移すことにした――。

 サラミをナイフで薄く切るように、少しずつ尖閣を攻略するサラミ戦術といえる。根底にあるのは、持久戦なら中国が有利という自信だ。

■南シナ海も影響

 中国軍に近い日中関係筋によると、中国の安保担当者らは「監視船を増強し、いまの頻度で(領海侵入を)続ければ、日本の実効支配は着実に崩れていくと判断している」という。

 サラミ戦術のほうが、アジア諸国の警戒心を和らげ、日米の結束を揺さぶりやすいとの計算もあるだろう。

 日本にとっては痛しかゆしだ。「尖閣の危機をあおった結果、中国は孤立を深めてきた。逆に、危なっかしい挑発を控え、冷徹に尖閣を攻略してくるとすれば、ずっと手ごわい」。防衛省幹部はこう警戒する。

 尖閣対立の行方を占ううえで、もうひとつ大切な変数になるのが、南シナ海の情勢だ。

 中国は5月から、南シナ海の西沙(パラセル)諸島の周辺海域で、石油の探査を強行した。ひとまず7月半ばに作業を終えたが、島の領有権を争うベトナムは猛反発、対立が深まった。フィリピンとの領有権争いも激しさを増している。

 この緊張がさらに高まれば、中国は南シナ海にも多くの監視船を配備しなければならない。その分、尖閣に回せる隻数は減る。「南シナ海の状況は、中国の尖閣対応に大きく影響する」。中国に精通した元米政府高官はこうみる。

 尖閣の国有化から来月で2年。領海侵入の頻度が落ちたとはいえ、手放しでは安心できない展開が続いている。(編集委員 秋田浩之)

日本経済新聞の本日の記事から