Q & A 「2国家共存」なぜ米は方針転換? パレスチナ問題、ひと まず棚上げ アラブとイスラエル、協力模索 2017/2/17 本日の日 本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「Q & A 「2国家共存」なぜ米は方針転換? パレスチナ問題、ひとまず棚上げ アラブとイスラエル、協力模索」です。





 トランプ米大統領は、中東和平を巡りパレスチナ国家とイスラエルとの共存を目指す「2国家共存」にこだわらないとの考えを表明した。パレスチナとイスラエルを巡る問題の背景を探った。(総合2面参照)

 Q 中東和平の「2国家共存」の解決策とは?

 A 中東にユダヤ人の国であるイスラエルと友好的なパレスチナ人の国を新たにつくり、2つが平和に共存することを目指す立場だ。米国だけでなく国連、欧州連合(EU)、日本など多くの国が公式の立場としてこれを支持してきた。

 Q 2つの国ができることの何が問題なのか?

 A 解決しなければならない課題が多いからだ。特に難しいのが首都をどうするかだ。パレスチナ側はエルサレムの東側を首都にしたい考えだが、イスラエルは「エルサレムは永遠に分けることのできない首都」と主張している。国境の線を引くのも大変な作業だ。

 Q どうしてお互いの不信感が強いのか?

 A パレスチナ人にとって、イスラエルがヨルダン川の西岸に住宅をつくり、多くのユダヤ人が移り住んでいることへの不満がある。歴史的合意とされる1993年のパレスチナ暫定自治宣言(オスロ合意)から20年以上になるのにまったく状況が改善していない。

 イスラエル人はパレスチナ人の暴力を恐れている。ガザ地区を支配するイスラム原理主義組織ハマスは、イスラエルが存在することも認めていない。一般市民を狙ったテロを容認するかのような発言を自治政府の関係者が繰り返していることもイスラエル側の不信感をふくらませている。

 Q 2国家共存以外にどんな選択があるのか?

 A イスラエルとパレスチナが協力してひとつの国をつくる考えは理屈としてはある。イスラエルがつくられる前の英国が統治していた地域ではユダヤ人とアラブ人が共存していた。しかし、ユダヤ人の国家というイスラエルの国としての性質が変わってしまう。

 ユダヤ人国家としての性質を残し、パレスチナ人の平等な権利が認められないままひとつの国になるのは、最悪のシナリオを招きかねない。国際社会はイスラエルに制裁を科すことになり、パレスチナ人による暴力が広がるかもしれない。いまの状況では現実的な選択とはいえない。

 Q 歴代の米大統領はなぜ、中東和平に力を注いできたのか?

 A 国内ユダヤ人ロビーの存在が大きい。4次にわたる中東戦争や湾岸戦争、過激派による各地のテロの背景としてパレスチナ問題をめぐるアラブ人の不満があり、その解決が世界の安定に重要とみられてきた。

 Q トランプ氏はなぜ従来の方針を覆すかのような発言をしたのか?

 A パレスチナ国家創設の問題は宗教やイデオロギーがからむため解決が非常に難しい。エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地だ。トランプ氏はパレスチナの問題をひとまず棚上げし、実質的な協力関係が進むアラブ諸国とイスラエルの和平を進めることを優先しようとしている可能性がある。

 台頭するイランやイスラム過激派という共通の敵に直面するイスラエルとサウジアラビアは非公式の協力を深めていると伝えられる。中東の政治地図は一変しており、地域の安全保障や経済協力を進めるうえで、アラブ諸国の関与を引き出そうというアプローチは理にかなっている。

(カイロ=岐部秀光)



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