Taxウオーズ 改革 法人税(上) 「減税の逆説」に挑む 2014/02/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「Taxウオーズ 改革 法人税(上) 「減税の逆説」に挑む」です。





 「ムーミン」で知られる北欧フィンランド。スマートフォン(スマホ)ゲーム関連の新興企業が180社も集積し、米シリコンバレーに続く「起業家の聖地」とされる同国は今年1月、法人税率を24.5%から20%に引き下げた。

フィンランドはカタイネン首相自ら企業を誘致する=写真 Tuomo Lampinen

 「投資家や企業にもっと効率的な環境をつくる」。首相のユルキ・カタイネン(42)は昨年11月、世界中から起業家ら6千人を招いたイベントで企業誘致の先頭に立った。ベンチャー企業投資を優遇するエンジェル税制も拡充。法人税率下げは2012年に続き、首相就任以降2度目だ。

 携帯電話大手ノキアはかつてフィンランドの輸出の2割を占め、同国法人税収の約2割を納めた。だが11年まで14年連続で世界首位だった携帯端末事業はスマホの時流に乗れず衰退、米マイクロソフトへの売却が決まった。カタイネンは新たな成長のけん引役を求め、自ら世界に訴える。

「優しさ」に呼応

 世界の企業や投資家はフィンランドのメッセージに呼応し始めた。韓国サムスン電子は北欧で初の研究開発(R&D)センターを開いた。独化学・医薬品大手バイエルは500万ユーロ(約7億円)を投じ、同国南西部に工場を増設する。

 スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」が大ヒットし、昨年10月にフィンランドのスマホゲーム会社スーパーセルをソフトバンクとともに買収したガンホー・オンライン・エンターテイメント。低い法人税率を理由に本社のフィンランド移転を一時検討した、と海外メディアに報じられた。ガンホーは事実関係を否定するが、「企業に優しい」が売り物の税制には成長企業の視線が集まる。

 ノルウェー(28%→27%)、デンマーク(25%→24.5%)、ポルトガル(25%→23%)。欧州各国は1月、法人税率を相次ぎ引き下げた。昨年4月、23%に下げた英国も今年4月にはさらに21%に引き下げる。

 欧州連合(EU)加盟国の法人税率は平均で23%を下回る。安倍政権が日本の法人実効税率(35.64%、14年度)下げの目標とするアジアの平均にすでに並んでいる。

成長企業を優遇

 欧州で広がる法人税率の引き下げ競争。その背景には「法人税のパラドックス(逆説)」と呼ばれる経験がある。EU統計局によると、EUの法人税率は1995年の平均35.0%から07年の25.5%に下がったが、法人税収は国内総生産(GDP)比で2%から3%へ、逆に増えた。

 各国政府は税率下げで利益を生む成長企業を優遇する一方、旧態依然とした政策減税はやめ、法人税の課税範囲は広げた。ドイツや英国は、日本の消費税に当たる付加価値税率の引き上げと法人税率の引き下げを組み合わせて、成長と財政健全化の両立に成功した。

 「各国経済に有害だ」。経済協力開発機構(OECD)は法人税率下げ競争に警告を発する。過熱すれば、各国が終わりなき減税を繰り返す事態にもなりかねない。

 減税の功罪は相半ばする。80年代、米レーガン政権は減税で経済成長を高めれば税収も増えると唱えた。だが現実には税収不足を招き、財政と貿易の「双子の赤字」を生んだ。一方で減税が米IT産業勃興の基礎をつくったとの評価もある。

 富と雇用を生む企業の誘致は各国共通の課題だ。法人税を中心に税制改革を競う各国。それは成長戦略の競争そのものだ。

(敬称略)

 安倍政権が法人税率引き下げの検討に入った。法人税改革の世界的な潮流と、日本の制度の問題点に迫る。

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